お嬢様の“専属”

ユウキ

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お嬢様が慌てておられます

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抱えていたものを一気にぶちまけた私は、目を固く瞑ってリリアンナ様の言葉を待った。


とても長い時間に思える静寂が訪れた後、そっと開いたリリアンナ様の口から吐息と共に滑り落ちたのは



「ノエル…… 男の子だったの……?」



と言う、なんとも脱力する言葉だった。


「はい。この通り背も高くなり、変声期も訪れ、段々低くなって来ております」


私はそう言うと、ダリウス様を縛ったことで無くなったタイがあった襟元を少し寛げ、喉元を晒した。


「ノエル…」

「はい、お嬢様」

「あ、喉、動いた。本物なのね…」

「はい、お嬢様」

「…………」

「……」


「ノエルが男ーーー?!」


やっと頭で理解したのか、リリアンナ様は立ち上がり、サーシャさんの腕へ取り縋った。



「サーシャ!ノエルが男だって!」

「はいお嬢様。存じております」

「サーシャ?!あなたいつから!」

「侍女長様から専属に上げられる前でしょうか?」

「なんで言わないのよ!」

「奥様から、面白いから気づかれるまで放っておく様にと」

「お母様…!!!!!!!
はっ!待って、ノエルがうちに来た日、お医者様に診てもらっていたわよね?!」

「健康や怪我がないかを確認しましたが、全身ひっぺがしたり、股まで診ませんでしたから」

「サーシャ!言葉!!」

「失礼いたしました」ペコリ


飄々と言い放ったサーシャさんは、リリアンナ様の叱責を受けても軽く頭を下げていたが、反省の色はなさそうだった。悔しそうに私へと目を向けたリリアンナ様が八つ当たりの様に叫ぶ。


「ノエルもその時に言えば良いじゃない!」

「あの頃のお嬢様は人のお話を聞かなかったですから。それに言っておられたではありませんか。『もう聞かないわよ!』と。その後高笑いをして立ち去ったと記憶しております」

「…そんな事もあったかしら…」

「ノエルさんから、辞めると言われたくなくて、何か言いたそうにしていたら有無をいわせずに振りまわしておられました」

「…そんな事もあったかしらね…」

「しかし、学園の男子学生の制服を着て潜入調査に来られていた時は、恥ずかしながら少々驚きました」

「…そんな事があったのね…」


 段々と打ちひしがれて、最後には頭を抱えたリリアンナ様は、サーシャさんにポンポンと背中を宥める様に叩かれて、またソファーへ連れ戻されて、落ち着かされ、いつの間にかティーカップを手にしていた。
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