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61.

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貴族の処罰を終えた翌週。
クリスティーナは、また乗馬服に身を包む。

本日のお供はアトリだ。
近衛騎士を5名引き連れて、クロルとミラにはお留守番をお願いした。


「王妃殿下が行かなくても私共で参りますが」


と、至極真っ当な意見でやんわりと止めに入ったミラだったが、クリスティーナは笑顔で首を振って答えた。


「大丈夫よ。私はあの子の保護者なのだから」


その言葉に周りの皆は心打たれて、「なんと慈悲深い!」と感動していた。しかししながら、実際は森ガールコレクションを作って送ったけれど一つも目にしていないクリスティーナの我慢が出来なくなり、飛び出して行きたくなっただけだったりもする。


「さぁ行くわよ!」とウッキウキで出かけるクリスティーナの背を、ミラとクロルが頭を下げて見送る。そしてふと頭を上げた時にミラは気づく。


「陛下には……」


言ったのだろうか?との疑問は冬の冷たい風に吹かれて飛ばされたのだった。


森の脇道まで馬車と護衛の意外と大所帯で行き、数人を途中で待機をさせて森に入る。


場所がはっきりとわかった今回は、前回と比べてだいぶ早くスティラの家へと辿り着いた。

雪が前回よりも積もった道に気をつけつつ、クリスティーナはスティラの家の戸を叩いた。


「はいよー。だれだい?」


お昼頃に差し掛かった時間。中から物臭そうなスティラの声が響き、クリスティーナは護衛の後ろから声を上げた。


「クリスティーナです、スティラさん!」


ややあって開かれた扉からひょこっと顔を出したスティラは、どこか悩ましげに口を歪めていた。


「久しぶり。まぁ寒いから入んな。ハーブティーでも淹れようかね」
「ありがとうございます」



スティラの勧めで護衛と共に中に入って、クリスティーナはスティラのもてなしを受けることにした。

現在スノウは子供達の家に行っているらしく、不在だった。クリスティーナは残念な気持ちを表に出さずに、ニコニコと笑みを浮かべてスティラの話に耳を傾ける。


話を聞き終えたクリスティーナは、取り敢えずスティラの家を出てスノウが今いる場所へと向かった。


小道を進んだ先に見えた大きめのログハウス。その扉を控えめにノックすると、ガチャっと開いた。

確認もなく顔を出したのは、面識のあるサロだった。


「クリスティーナさん、久しぶり!あー…スノウだよな」
「ええ。居るかしら?」
「う、ん」


気不味そうに後頭部をかくサロに、クリスティーナは静かな声で言った。


「こっそり見せてもらっても良いかしら?」


その申し出に、不思議そうな顔をしたサロだったが、コックリと頷いて中が見えるように体をずらした。


スノウはキッチンでお手伝いをしているようだった。少し膨よかな人の良さそうな女性の横に寄り添って嬉しそうに話しながら。

その笑顔に憂いがなく、それだけでスノウの心が穏やかであることが察せられた。

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