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赦しの日は
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── カツン カツン カツン
硬質な石畳に響く音が、殿下へと近づいていく。
「何もかも…遅いのです。ですが私は問いたい。何故婚約に関わる事を、陛下や私抜きで判断し、娘を詰り、断罪し、脅したのですか…?」
「宰相っ!脅したなどっ違うっっ!」
『これ以上見苦しい真似をするならば、国外追放に処し、家に責を問う事になるぞ』
「───!!!」
「やっと気付いたのですか?あれは紛れもなく脅しに当たると」
すぐ近くに立ち止まった宰相は、座り込む殿下を上から鋭く見据える。
「オフィーリアから、ある程度の話は聞いておりましたが。殿下が特定の女生徒を傍に置いていると。妾妃になるかも知れない可能性も。学園の雰囲気が少々不穏だとも。娘は懸命に諫め、宥めていました。……力及ばず抑えきれませんでしたがね。私も陛下に進言しましたよ。殿下の態度が正されなければ、解消を視野に入れてくれる様にと」
「……!!そん、なこと」
「いいえ、聞いているはずです。ですが『相談に乗っているだけ』『可哀想な娘で』でしたか?」
「それ、は……」
殿下は周りからの言葉に、確かにそう返した事を思い出して黙り込む。
「あの様な証言で……直情型もここまで来ると害悪ですね」
興味が失せたように殿下から視線を外した宰相は、悲しみと嘆き、懺悔に暮れる者達を見渡した。
「『かつての娘の言葉を、日々を胸に』、後悔と絶望の日々を、私と共に送りましょう」
昏いその目は、決して赦しの日が来ない事を物語っていた。
硬質な石畳に響く音が、殿下へと近づいていく。
「何もかも…遅いのです。ですが私は問いたい。何故婚約に関わる事を、陛下や私抜きで判断し、娘を詰り、断罪し、脅したのですか…?」
「宰相っ!脅したなどっ違うっっ!」
『これ以上見苦しい真似をするならば、国外追放に処し、家に責を問う事になるぞ』
「───!!!」
「やっと気付いたのですか?あれは紛れもなく脅しに当たると」
すぐ近くに立ち止まった宰相は、座り込む殿下を上から鋭く見据える。
「オフィーリアから、ある程度の話は聞いておりましたが。殿下が特定の女生徒を傍に置いていると。妾妃になるかも知れない可能性も。学園の雰囲気が少々不穏だとも。娘は懸命に諫め、宥めていました。……力及ばず抑えきれませんでしたがね。私も陛下に進言しましたよ。殿下の態度が正されなければ、解消を視野に入れてくれる様にと」
「……!!そん、なこと」
「いいえ、聞いているはずです。ですが『相談に乗っているだけ』『可哀想な娘で』でしたか?」
「それ、は……」
殿下は周りからの言葉に、確かにそう返した事を思い出して黙り込む。
「あの様な証言で……直情型もここまで来ると害悪ですね」
興味が失せたように殿下から視線を外した宰相は、悲しみと嘆き、懺悔に暮れる者達を見渡した。
「『かつての娘の言葉を、日々を胸に』、後悔と絶望の日々を、私と共に送りましょう」
昏いその目は、決して赦しの日が来ない事を物語っていた。
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