【完結】R18 明石と行定と勇者と魔王

325号室の住人

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「……明石、コレ…」
「先輩っ、これは…」

2人が正面から向かい合うと、先輩が泣きそうな顔をしているのに気付いて、オレは緩く抱き締めた。
身長差があるせいで、先輩の頭頂部はオレの肩に隠れるので腕の中にすっぽりと収まった。

「先輩、スミマセン。全部聞こえてました。これは昨日の取引先のトイレですよ。オレ…」
「明石…まぁ、お前にはバレてるよな。カァ~! 俺はお前にいくら払えば良いんだ?」
「いくら?」
「《取引先のトイレで後ろでイく》なんて、スキャンダルだろ?」
「いいえ、全然。寧ろ、先輩もこちら側で驚きました。」
「は?」
「オレ、先輩のこと好きなんです。……その、恋愛対象として。」






俺は明石の突然のカミングアウトに驚いて腕の中から顔だけ脱すると、明石の顔を見上げた。
明石は耳まで赤く染めながらオレを見下ろし、ぎこちなく微笑んだ。

「本当に?」
「はい。」
「でも俺、その……男とシたことはない。ただ、後ろの刺激が……」
「なら、お試しで1回シてください。」
「………………わかった。ただ、腹が減って…パンだけ食べさせてくれ!」
「はい、どうぞ。」

明石は長い手でトーストを掴むと、俺の口元へ運ぶ。
俺は大口を開けて喰らいつき、手を使わずにムシャムシャ食べ切った。

直後に冷蔵庫の閉まる音がして、ペットボトルの水が差し出されてグビグビ飲む。
舌で押して終了の合図をすれば、ペットボトルは取り上げられてダイニングのテーブルへ置かれ、ほぼ同時に抱き上げられると、自然な流れでキスをされた。

「パンかすだらけですよ?」

口の周りを唇できれいにされ、再びキスされると今度は舌が侵入してきて口の中まで掃除された。
唇が離れた時には俺はベッドに転がって呼吸を整えていた。
俺のを脱がし自分も全てを脱ぎながら、上から明石が嬉しそうな顔で見下ろしてくる。

俺はこれから始まるコトに、嫌悪感よりもワクワクが勝っていることに気付いて、前向きに明石を受け入れることにした。






「ハァッハァッハァッ……」

自分の呼吸と拍動が煩くて、ノッてきた先輩の漏らす声が聞こえない。
オレは一度キスを辞めると上体を起こし、深呼吸をした。

「スミマセン。緊張してしまって。先輩、かわいいですね。」

筋トレを続けているというのは本当のようで、ほんのり割れた腹筋に指先で触れた。

「……ひぅっ…」

声と共に乳首が立ち上がる。

「こっちも触れますから、安心してください。」

少し舌を出したまま近付き、チロチロと舐めれば、

「はっ…んんっ……や…ひゃんっあぁ…くっ!」

先輩がモジモジするのでスウェットのズボンを脱がすと、ぷるりとテカテカしたモノが顔を出した。
一度噴火はしたようでマグマが山裾へ流れるように、白濁が流れているのへ舌を伸ばす。






俺は目を疑った。
俺の目の前で、切っ先から流れ落ちる白濁を、溶けたソフトクリームがコーンを伝うのを舌で阻止するかのように舐め取る明石の図。

「おまっ! 汚いからやめろ。吐き出せ!」

手足をバタバタ動かして、明石の髪を鷲掴んで、メチャメチャに暴れた。

けれど次の瞬間には両脚が明石の肩にかかり、両手同士でしっかりと組み合い、明石が俺の切っ先に喰い付こうと大口を開けて迫ってきていた。






「うわぁーーーーー!!!」

オレが先輩のチン○に齧り付こうとした時、有り得ないけれど上から叫び声と共に何かが降ってきた。

咄嗟に先輩を庇って振り返れば、青髪に革の簡易な鎧姿の筋骨隆々の大男が、オレのベッドの真ん中に座り込んでボーッとしている。

「イテテ…おかしいな。咄嗟に《シン》を思い浮かべたのに…って、ここどこだ?」
「シン? 先輩のことですか?」

オレはその人物に話し掛けた。

するとその人物は、
「え? タイチの父さん? の後ろにシン? 裸? デキてんの?」
「は?」

理解できないオレの後ろから先輩が、

「お前、もしかして相楽サガラか?」
「やっぱりシン! 全然変わらないな! そうだ。僕は相楽ハルトだよ。」
「は? ハルトって、顔も色も何もかも全然違うだろ?」
「そうなんだよ。僕今、異世界に召喚されて勇者やってるんだ。ってことは、タイチの父さんじゃなくて、もしかしてタイチ本人?」
「そうだ!…って言うか、先輩とハルトは知り合いなのか?」
「あぁ。俺たちは幼馴染だよ、明石。」
「それより、明石がハルトと知り合いって方が…」
「ガラケーに写真があっただろう? タイチと僕は…ひと夏の経験仲間だよ。」
「もう、先輩の前で言うなよハルト。恥ずかしい。」

真っ赤になって顔を覆えば、先輩に触れるだけのキスをされて、赤面の上書きをしてしまった。


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