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本編
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しおりを挟む光る剣にキスをしただけ。
それだけで私は、ライド様と婚姻の儀式を済ませてしまった。
どうやらそれは、騎士との婚姻式の神殿で行う儀式の際にもする正式なものらしく、神への婚姻の届けとなるとのこと。
けれど、それが婚姻の儀式だと知るのはミーヤだけ。
国王陛下に夕食にと呼ばれていた時間だったので、その場はそのまま夕食の席に着くことになった。
私はライド様にエスコートされ、ミーヤを引き連れ、王家の皆さまがお待ちになっている部屋へと急いだ。
ライド様とミーヤは私の背後に控えている。
夕食を食べながらではあるが、元第3王子の不祥事を、そのご家族皆様でお詫びしてくださった。
最初は、
「責任を取ってこの第2王子の第2妃に。」
という話だったのが、剣の結界が私を守るように展開されてしまった。
そこでミーヤから進言があり、私とライド様がうっかりと婚姻してしまったことが報告された。
実はちょっと、初対面から王家の皆様の視線が私の胸に集まることが気になっていた。
王妃様は第2王子殿下と似た美しい金髪碧眼と容姿で、私の胸と服をガン見で往復してから男たちの視線の行方を怖い顔で確認している。
第2王子殿下の思い出し赤面と、一瞬ではあるけれど、元ブヒ他称王子と容姿の似た国王陛下と体格と色味の似た第1王子殿下が、胸を見ながら鼻の下をのばすのも気になっていた。
その時にどうしてもあの元ブヒ他称王子を思い出してしまって辛かったから…
私1人がその視線を主張してもただの不敬罪だけれど、剣が結界を張れば不敬罪とは取られない。
偶然とは言え、私、グッジョブ!!
翌日には城へ提出の婚姻のための書類にライド様と署名をし、書類上でも私とライド様は夫婦となった。
ただし、私とライド様は今年の誕生日に成人を迎えるため、いわゆる夫婦生活はそれまでお預けである。
そしてそれから1週間。
私はライド様の実家にてご厄介になっている。
(うっかりと)婚姻してしまった旨を国王陛下のお名前で実家へ連絡していただいたところ、実家の義母より『新婚夫婦を引き裂くような下衆な趣味はございません。喜んで嫁に出し、以降は全てお任せいたします。』と連絡が来たそうな。
そこで私はとりあえずライド様の嫁として、王都にある騎士団長の邸宅にお世話になることになった。
ライド様は次男で、家督を継ぐ立場にはいない。
そこで、ライド様のお母様のご実家である辺境伯様の領地で、息子の居ない辺境伯様の養子として迎え入れられつつ、騎士として身を立てることになったのだ。
書類上と神の元では夫婦な私達だけど、成人までは別棟に住まう。
ライド様は騎士のための寮で、私は辺境伯様の邸宅で侍女見習いとして働く予定だ。
出発は来週。
私とライド様はたまたま同日に生まれたので、同じ日に成人の誕生日を迎え、その日を婚姻式の日取りとした。
辺境伯領までは馬車で1週間弱の旅となり、到着からひと月後が婚姻式となる。
元々、学園では側近兼護衛として第2王子殿下に侍る予定でいたライド様。それが突如辺境へ旅立つことになったための引き継ぎやら手続きもろもろでライド様は毎日お忙しそうだ。
今日はたまたまライド様がお休みで、私達はライド様の愛馬に跨り、遠乗りにやってきた。
本当は『護衛を…』とのお話もあったが、私には剣の結界があるので丁重にお断りし、二人っきりだ。
王都を見渡せる丘の上へやって来た私達。丘の上から見る王都の街は、貴族の大邸宅でさえもとても小さく見えた。
大樹の根元に並んで座れば、
「フレリア、癒やしてくれ。」
ライド様は私を軽々と持ち上げ、私は膝の上に跨るように乗せられた。
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