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本編
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しおりを挟むそれから約1時間後……
私達は、先程までライド様たちが鍛錬していた場所へ降りてきていた。
「ここは第5の甲板なんだ。第5は海上に浮いて船として航行しながら他国の軍艦が来ないか見張りをしているのだ。」
「他国?」
「たとえばあっちにある帝国とか、な。けれどそれは20年前からしてない。今はホラ、専らアレだ。」
「あれ?」
ミレアさんの言葉を聞き返すと、海の中から巨大な何かが飛び上がり、
バッシャー……!!
水飛沫を上げながら海中に戻って行った。
「タコチンだよ。」
「タコチン?」
「何らかの原因で巨大化したのかこの世界のが元々あのサイズなのか、生態不明の巨大蛸だよ。本当の名前もわからない。ただ、20年前から《タコチン》って呼んでるんだ。
年イチ現れると第5で討伐して、みんなでタコパするんだ。」
「タコパ!」
そこで私のお腹がゴウッと鳴ってしまった。
恥ずかしい……
「それじゃ、そろそろ食堂へ向かうか。」
ミレアさんから声が掛かった時、リッカ様がミレアさんに向かって姿勢をただして敬礼をした。
「副団長殿! それでは私は休暇に戻らせて頂いても?」
「良いわよ。マーロン呼ぶ?」
「結構です。それよりミレア様、そろそろ着替えたいのですが。」
急に会話に参加してきた男声に驚いてそちらを見れば、先程の抹茶ミルクさんが黃縁のサングラスをカチューシャみたいにして足音もなくやって来ていた。
「仕方ないなぁ。」
ミレアさんは言うと不意に自身の右耳に触れる。
すると一瞬で、抹茶ミルク色のもっさりした髪型から短髪と、王都でも見慣れた型の軍服のロングコート姿になった。
「じゃ、リッカもね。」
ミレアさんが言うと、紅潮したリッカ様が瞬時に見慣れたワンピース姿になった。
2人はお互いの姿に見惚れるように見詰め合い、手を取り合う。
──おやおやおやぁ? これはこれは。
シュカと2人、ついつい生温かい視線を送ってしまう。
「2人の送迎は任せて。隣の領まで送るから、思う存分おデートしてらっしゃい!」
ミレアさんが耳に触れると、2人の姿がパッと消えた。
「「え?」」
「安心して、魔法だから。
あの2人恋人同士なんだけどね、この領では面が割れ過ぎててデートどころじゃなくなっちゃうのよ。」
「「へぇー。」」
「あいつ、マーロンね。リッカが生まれた頃は前辺境伯の従者をしていてね、リッカの初恋なんだって。かわいいとこあるわよね。」
思わずシュカと2人でうんうん頷いてしまったのは、言うまでもない。
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