【本編完】しがない男爵令嬢だった私が、ひょんなことから辺境最強の騎士と最強の剣の精霊から求愛されている件について A-side

325号室の住人

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「団長、いよいよ全てが整ったようです。」

《タコパ》の最中、団長の現在の従者が現辺境伯の耳元に告げた。

現辺境伯は辺境騎士団詰所付の副団長に目配せをすると、ミレア副団長と共に立ち上がり、会場の砂浜から母艦へと歩き出した。

それを視界に入れた辺境騎士団員達もまた、静かに立ち上がり、2人に続いた。

その後をライドとフレリアも気になって続くと、母艦のブリッジにミレア副団長が特大の魔法陣を描き終えたところだった。

その魔法陣の上に、辺境伯とミレア副団長、砦付の副団長と彼らの補佐らが乗る。

フレリアとライドもミレア副団長からの目配せに走って合流すると、魔法陣は下からの発光に上に乗る全員を包み込むようにしながらとある場所へ全員を送った。

その場所は、

「あんっ…ぃい! もう良いのぉ! あんっあんっ!!」
「もっと善がれ! オレを求めろ! オレを欲しがれ!!」
「イヤんっ…いや!」

情事の声が響く、辺境伯邸だった。

その部屋…サロンへ到着した面々は、目の前の情事に目が点である。

特に、伸し掛かる男も下で喚く女もよく知っているライドとフレリアは、驚きのあまり棒立ちになってしまった。
だって、上には第2王子、下には辺境伯夫人が全裸でくんずほぐれつ状態なのだから。

「んんーっ!」

辺境伯は咳払いをする。
しかし、2人の声に掻き消される。

「おい、辺境伯当主の御前ぞ! 直れ!!」

砦の副団長がわかりやすく声を掛けるが、2人は止まらない。

そこで、ミレア副団長が魔法のインクで元王子の背中に手紙を書いた。

《わたしは、現辺境伯を陥れ、その位を簒奪しようと企てました。どうぞ罰してください。》

夫人の背には、離縁届を貼り付けた。
《わたくしの有責での離縁を申請致します。わたくしはもう二度と、辺境伯領内に侵入は致しません。》

そしてそのまま、見苦しい2人を王城へと魔法で送った。


目の前から確かに2人が消えたと確認すると辺境伯とミレア副団長は視線を合わせ、それから抱き合って唇を合わせた。






現辺境伯は、元々ら兄の補佐をしていた。
しかし兄が事故で亡くなると、何故か兄の妻である夫人が娘を2人連れて転がり込んできた。
《心配しないで。もう籍は移してあるの。書類も受理されているわ。》
と、勝手に自分と現辺境伯との婚姻手続きを済ませていたのだ。

現辺境伯には当時、想い合う相手が居た。
しかし彼女は人族ではない別の種族の娘であり、この国では婚姻は認められなかったため、娘を1人もうけながらも事実婚状態になっていたのだ。

そうして引き裂かれた2人が、やっと再び結ばれた。
事情を知る砦付の副団長は、涙を拭いて流しながら祝福した。


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