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誘惑?と帰宅

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「あんっ、ァ…………ァはっ…ひゃん……はぁ……」
「ケイ。誘ったのは貴方です。責任は果たすべきでしょう?」
「んっんぅ……違っ」
「ほら、もっと啼いてください。」
「あんっ……ゃだあ……」

僕はソーマに挿入されないまま、何度もイかされていた。

「さぁ、お強請りしてください。私のことが好きだ!と、欲しい!と、体全体で表現してください。」
「恥ずか……ヤぁ!」

僕は顔を庇ってソーマから背ける。

「強情ですね。ならばこうしましょう!」

その瞬間に、僕の体がほわっと暖かな光に包まれ……

「どうですか? 癒やしの魔法を掛けました。もう気怠さはないでしょう?」

確かに、体に力が入るようになったので、体の前に手をついて支えるように上体を持ち上げた。

その間にソーマもベッドの上を四つん這いで移動し、壁に背を預ける。

ソーマはそうして四肢を投げ出すようにすると、
「ケイが誘ったのです。私をお好きに愉しませてください。」
ソーマが優雅な貴婦人のような笑みを浮かべて言う。

「さぁ。」

ソーマが僕に向かって、野生の動物を慣れさせるみたいに手のひらを上にして差し出した。

僕はその手に対してどうしたら良いのか考える頭がなく…
ただソーマには触れたいと、本能が訴える。

僕はその手に両手を伸ばし、掲げるように掴む。
それから少しだけにじり寄り、その手に頬を乗せるようにして頬擦りした。

瞬間なぜかとても心が満たされ、僕はそのままソーマの胸に倒れ込み…………どうやらそのまま眠ったようだ。それが最後の記憶となり、次に目が覚めると朝で、僕はソーマの手のひらを枕にしたままだった。



朝食前にチェックアウトした。

ワッツァさんは昨日は大興奮状態が続いて眠ったのが遅かったようで、まだ眠っていると言われて会えなかった。

けれど、ワッツァさんのお母さんである宿の女将(♂)に何度もお礼を言われて、解呪を喜んでくれて嬉しかった。


僕とソーマは宿を出てすぐ裏路地へ入り、転移でソーマの家である別邸のあの部屋のあのベッドへ戻った。

それから、シャワーを浴びたり着替えたりしてから、ソーマの用意した朝食を食べ、仕事場へ向かおうとした時だった。

扉を開けると、そこにはルフネさんが立っていた。

「ソーマ様、お客様がこれからいらっしゃいます。
申し訳ありませんが、本邸までお越しください。」

ソーマへ告げると頭を下げた。



三人で歩いて本邸へ向かう。
今回は僕もしっかりした足取りで歩いている。

到着して裏口から本邸に入ろうとすれば、

「この時間ですと、こちらからの方が近いです。」

ルフネさんと一緒に本邸をぐるりと正面玄関の方へまわった。

そこは既に《屋敷中の使用人が集まりました》という体のお出迎え待ち状態で、扉の前には、ソーマのお父上様とお母上様、兄上様ご夫妻も姿勢を正して待ち構えていた。

その時、馬の嘶きが聞こえて門から一台の馬車がこちらへ入ってきた。

キャリッジには複雑でカラフルな紋章が描かれている。

どこの家紋になるのかソーマに聞こうと振り返れば、僕より後ろの人という人が全員頭を垂れていた。


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