お嬢様なんて柄じゃない

スズキアカネ

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お許しあそばして。お嬢様なんて柄じゃございませんの。

美味しそうに食べる君が好き

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 ──あぁ、このまま教室に行くのが怖い。
 絶対に彼女たちはいる、きっといる。
 首絞めか? タコ殴りか? 可愛くてほっぺた攻撃か? 

 私は愛しの婚約者のために作ったケーキと特製カレーを入れた紙袋を持って、高等部の入門ゲートを通過した。気分はまるで戦場に挑む戦士のよう。
 辺りを警戒しながらそれを去年と同じく食堂のおばちゃんに預かってもらって、そのついでに賄賂(余ったカレーとケーキ)を渡しておく。これで紛失の恐れはなくなる。手元にあるとどうなるかわからないからね……


「今年からそういうものは受け取れないんだ。悪いな」
 
 教室に足を踏み入れると、タイミング悪くその現場を目撃してしまった。
 教室のど真ん中で、3人のタイプの異なる美少女たちからギフトを差し出されている絶世の美男子が受取拒否していたのだ。

「な、なななな…なん…」
「婚約者からしか受け取らないことにしたんだ」

 ……あぁ、ほらね。
 私は側にいたクラスメイトの菅谷君の背後にサッと身を隠した。加納ガールズの攻撃を避けるためである。
 気合完璧で挑んだのであろう加納ガールズたちはショックで言葉が出ない様子でわなわな震えていた。たぶん今まで一度も慎悟から受取拒否をされたことがないのであろう。

「またあの女狐ですの!?」
「私は傷つきました! とても傷つきました!」
「あんまりですわ! 私達がどれだけこの日を楽しみにしていたと思っていますの!?」

 ひどい、ひどいの大合唱。慎悟は彼女たちの非難を黙って受け止めている。
 ……ここで私が現れたらリンチ一直線だ。私だって火に油を注ぎたくない。……どうしたら過激派を抑えられるだろうか?

「あの、二階堂様?」
「しっ」 

 私が防波堤にしている菅谷君が困惑しているが、今私の存在を明らかにしたらだめだ。彼に静かにするように命じる。
 私は彼女たちから逃げているのではない。これは危機回避だ。言葉の通じない相手には回避が一番。

「ひどいですわ、慎悟様のお馬鹿ー!」
「こんなにもお慕いしていますのにー!」
「貰ってくれないなら私が食べてしまいますからねーっ」

 ギャーンと大泣きしながら加納ガールズたちは一斉に教室を飛び出していった。慎悟はそれを見送ってため息を吐いている。
 ──朝から修羅場全開で一日が始まった。



 その日は朝からバレンタインの対応に追われていた慎悟。面と向かってギフトを手渡そうとする女子生徒にお断りをし、下駄箱や机に置かれたものは名前を見て、本人に返却して謝罪。
 その度に断り文句を告げて、女の子たちをショックに陥れている。なんて罪な男だ。
 ……まるで……私が受け取るなとわがままを言ったような印象を与えているみたいでとても……とっても…
 
「悪い。受け取れない」

 慎悟のその言葉を今日何度聞いたことだろうか。その度に私は女の子たちに睨まれているのだ……
 本音は別のところにあるけど、浮気じゃないから受け取ってくれても構わないんだよ。ていうかそのほうが平和に事が終わると思うんだ。
 忘れたのか? 慎悟の周りには肉食系女子が多いことを。その視線がチクチク刺さって複雑な気分になるよ。 
 …なのに慎悟は私に誠実でありたいと妙に頑ななんだ。愛されてると実感する以前に、私には針のむしろフラグが建設されたとしか思えないんだよ。 

 これでも去年や一昨年よりも収穫が少ない。なんたって彼には私という婚約者がいるのだ。
 それでも渡してくる猛者は存在した。その相手が一度婚約破棄をした二階堂エリカだということで強気な女子が堂々と渡しに来るのである。
 あからさまにそれを態度に出されると、侮辱されているようでとても不快である。短気な私が出てこないように抑えるので私も必死なんだ。 

「…二階堂様に言われましたの?」
「彼女が言ったんじゃない。俺がそうしたいだけだ。とにかくごめん」
「そんなっ受け取っていただけるだけでいいんです! 二階堂様、いいですわよね?」
「本当にごめん。…行くぞ」

 素気なく断ると彼は私の肩を抱いて先へと促した。私は黙って誘導される。
 だが、その前を塞ぐようにして過激派は私達に立ちはだかった。中央に立つ巻き毛は腰に手をやり仁王立ちしている。ロリ巨乳や能面たちも腕を組み、恐ろしい形相でこちらを睨みつけていた。
 
「お待ち下さいな!」
「慎悟様! やはり私達納得できませんわ!」
「あなたはそんな薄情な殿方ではないはず! きっとその女に操られておられるのだわ! その女は魔女なのです!」 

 今日の朝、慎悟から受取拒否された彼女たちは発狂して教室から飛び出していたのだが、それからリカバリーしたらしい。
 彼女たちは朝から化粧にヘアメイクに気合を入れていたようだが、嘆き悲しんだ影響でちょっとぼろぼろになっている。今はお直しどころではないのであろうか。美少女が型無しである。

「二階堂エリカ! 黙っていないでなんとか言ったらどうですの!?」

 そんな事言われても…どうせ巻き毛は私が何を言おうと信じないじゃないの…。対話ができない相手とのやり取りは疲れるんだよなぁ…
 嫉妬で目の前が真っ赤になっている状態の巻き毛が私に手を伸ばそうとした。察知した私は素早く後ずさったが、サッと前に腕が現れて庇われる。

「俺は彼女を不安にさせるような事をしたくない……何よりも大切なんだ」

 慎悟が真面目な顔で言い放つと、加納ガールズが更なる嫉妬で顔を歪めていた。
 ……この野郎。いま正に針のむしろ状態で不安でいっぱいだわ。慎悟がモテるのも、毎年バレンタイン大収穫なのもわかっていたさ。
 他の女性からギフトを受け取ることに多少は嫉妬するにしても、慎悟が好きなのは私だから受け取るくらいは構わないのに。
 それを言っても聞かないんだこいつは。
 
 …だけど慎悟が私のことを第一に考えて動いてくれるというのはとてもよく伝わってくる。私はそんな彼が愛おしくて、背後から抱きついた。
 びっくりした慎悟の身体が揺れる。……心配するな。私にとって慎悟は誰よりも格好いい素敵な恋人であり、婚約者だ。私を大切にしてくれているのは伝わってくるよ。

「慎悟、お昼休み時間がなくなっちゃうから早く食堂に行こう。…頑張って作ってきたんだよ?」

 抱きついた体勢のまま、後ろから覗き込むようにして慎悟の顔を見上げた。慎悟は前に回っている私の手を解くと、それをしっかり握って微笑んでいた。
 ……その笑顔の麗しさよ。ハートに打撃を与えたぞ。美形は罪である。
 私は慎悟の不意打ちスマイルに耐性が出来てきたけど、目の前にいる加納ガールズ(過激派)はそうじゃないらしい。

「キィエエエ!! し、慎悟様が笑ったァァー!」
「イィィヤァァ! 慎悟様嫌です! 私以外の女にそんな麗しい笑顔を向けるなんて! 何故そのような女を愛おしげに見つめられるのです!」
「うぐぅっ…! お、おのれ、二階堂エリカ……覚えていなさいよ…! このっ魔女ぉぉ!」

 過激派3人組は慎悟の笑顔を直視すると奇声を上げた。赤面させて胸元をグッと抑え込むと、よろよろしながら撤退していったのだ。
 な、なに? 呆気ないな…。てっきり食堂までついてきて、隣でチクチク嫌味を言ってくるのかと思ったのに。
 あそこまで叫ぶ元気があるなら、彼女たちはもう大丈夫だろう。
 あ…、いい事ひらめいたぞ。

「ねぇねぇ、今度からあの3人の前で慎悟が笑えば大人しく撤退してくれるかもよ」
「面白くないのに笑えるわけ無いだろ」

 白馬の風来坊将軍や、某御老公の印籠のように、慎悟の笑顔で彼女らの勢いを削げるんじゃと思ったけど、慎悟から無理だと拒否されちゃった。残念。
 

■□■


「ジャジャーン! 慎悟のために作ったマッサマンカレーと初めて作ったチョコケーキだよ!」

 食堂のおばちゃんに用意してもらったランチ(デザートつき)を差し出すと、慎悟の頬が赤らんだように見えた。
 何だよ、去年も作ってあげたのに何今更照れているのか。可愛くてたまらなくなって私は慎悟の頬を突いた。

「慎悟のためなら、またいつでも作ってあげるよ…ふが」

 私がニコニコ笑顔を向けると、慎悟に鼻を摘まれた。照れ隠しするなよ。照れ屋さんめ。

「冷めないうちに食べて食べて!」
「いただきます」

 私が食べるようにすすめると、慎悟はスプーンを手にとって食事を取り始めた。
 私達は終始にこやかに食事を取っていた。……たとえ対面の席に上杉が座っていようと。

「いいなぁ、美味しそう。…ねぇ」
「慎悟、ケーキのお供はコーヒーでいいかな?」
「あぁ、俺が頼んで…いや、ここにあんたを残していくのは危ないな」
 
 敢えて目の前のストーカーを無視して二人で並んで食事をしていたのだが、奴は私達の会話に茶々入れてくる。鬱陶しいことこの上ない。

「こんなことなら予約席サーブすればよかったね。待ってて、すぐに飲み物注文してくるから」

 有料の予約席だったら食後の飲み物を配膳してくれるサービス付きだったのだが、なんせバレンタインデー。どの席も予約でいっぱいだったのだ。みんな恋人との時間を大切にしたいと考えているのであろう……おのれセレブ生め。
 ストーカーのことは慎悟が席で監視してくれるだろう。私は食後の飲み物を注文しに行った。


「お前、虚しくならないのか? 彼女に蛇蝎のごとく嫌われているのだから、いい加減心入れ替えたらどうだ」
「余計なお世話だよ。君こそよりどりみどりなんだ、彼女にこだわる必要はないだろ?」
「それ、お前にも言えるけどな」
「今日の彼女、君の周りを囲む女の子のせいで肩身狭そうにしてるけど気づいてる? 誠実でありたいとか格好つけているけど、君は女の子たちを全く制御できていないよね。きっと彼女を苦労させるよ?」

 湯気を立てたコーヒーを2つトレイに乗せて席に戻ると、慎悟と上杉はチクチクと嫌味の応酬をしていた。
 せっかくのバレンタインなのに、なんだかなぁ。

「余計なお世話。それは私と慎悟の問題だから他人のあんたが口出ししなくていいお話です。…ねぇ上杉、このケーキあげたらどこかに消えてくれる?」

 2人の会話を妨害するように口を挟むと、上杉はこちらを見上げて……にっこりと腹に一物抱えたような笑顔を浮かべた。

「君が手ずから食べさせてくれたら考えてあげてもいいよ?」
「あ、それ絶対に約束違えるやつだ。ならいい」

 絶対に嫌だし、絶対にこいつは「考えたけど、やっぱりやめた」とか言い出すに決まっている。ケーキ一切れが犠牲になるだけで平穏が訪れるならと思ったけど、却下だ却下。
 慎悟の前にコーヒーを出すと、私は席に座り直す。もうこいつの言葉は耳障りの悪いBGMとでも思ってケーキを食べよう。

「慎悟、食べて食べて」

 私に促されてケーキ用のフォークを手にとった慎悟がケーキをひとくち食べたのをドキドキしながら見つめた。
 味見してくれた阿南さんは美味しいと言ってくれたが、なんたって初めて作ったお菓子だ。しかもケーキ。舌の肥えた慎悟の口に合うかどうか不安で仕方がなかったのだ。

「…美味しい」

 ホワン…と慎悟の口元が緩む。
 私は拳をぐっと握った。合格点をゲットしたようだ。阿南さんありがとう! 本当にありがとう!
 安心できたし私もケーキ食べようとケーキにフォークを入れた。一口分をそのまま口に入れると、濃厚なチョコレートが口の中いっぱいに広がった。昨日味見したときよりも深みが増した気がする。
 
 新たな一口を食べようと私はフォークを口に運んでいた。
 すると、横から手がニョキッと伸びてきて、フォークを掴んでいた手を引っ張られた。…私は呆然とそれを見上げていた。
 なぜ、目の前にいた上杉が横にいるんだ。いや、それよりも今こいつは何をした?

 私の目に映った光景、それは…
 先程私が口をつけたフォークを、上杉が口にしていたのだ。

「…ぎゃぁー! 変態! 間接キスしたー!」

 あまりの衝撃に私は上杉の手を振り払うついでにフォークを投げ捨ててしまった。
 吹っ飛んだフォークがチャリーンと音を立てて床の上を吹っ飛んでいくが、それを拾いに行く余裕がなかった。
 
「ごちそうさま、美味しかったよ」
「……上杉。お前本当に嫌われる行為しかしてないからな」

 美味しいと言われても嬉しくありません。
 私の隣にいた慎悟は表情を全て失くして、感情を感じさせない声で上杉を注意しているが、当の本人はご満悦のようでニコニコ笑っている。

「アドバイスどうも。僕は好かれるとか嫌われるとか、感情を向けられてもよくわからないからどうでもいいんだ」

 うん、それはなんとなく気づいていた。普通の神経を持った人間ではないと気づいていたよ。
 だけど今の私にはそんな冷静な返しはできない。全身を襲う寒気、鳥肌、心を苛む恐怖に取り憑かれてガタガタ震えていたのだ。

「……サイコパス!!」

 ケーキが食べたいからって……とんでもない変態行為を働くんじゃない!!
 私が感情に任せて熱々のコーヒーをかけなかったことを誰か褒めてくれ。
 
 その後ケーキを食べる気が起きなくて結局残してしまった。

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