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乱れる乙女心
見つかったなくしもの
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私は休憩中になると、時折ひとりで還らずの森へ転送術で飛ぶ。地形がある程度わかっている場所であれば、転送術での移動も可能なため、暇を見つけてはあちらと職場を行き来している。
そこでは還らずの森の動物たちと交流していた。
ただお喋りをする日もあれば、誘われたら変幻術で目の前の動物や魔獣たちに似た生物に変化して遊ぶこともある。
今日は鳥型魔獣の姿から変化して、彼らと森の上を自由気ままに飛行した。たくさん飛び回って疲れたら地上に着陸して元の姿に戻る。
その時、本来の髪色である金色の髪の毛が太陽の光に反射した。
『ミモザはどうしてその姿じゃないの?』
『なんで変わるの?』
私の本当の姿を知っている彼らは不思議そうに質問してきた。
ごもっともな質問に私は苦笑いを浮かべてしまう。
「かくれんぼしているんだよ。絶対に見つかってはいけないかくれんぼ。みんな、このこと誰にも話しちゃいけないよ」
『わかった!』
私の事情を話しても、生態も文化も異なる彼らには理解できないだろう。動物たちにも理解できるよう、とにかく秘密なんだと念押しすると、素直な彼らは秘密を守ってくれると言った。
『私はその姿のほうがミモザらしくて好きだな』
『髪がキラキラしててきれい』
「ホント? 嬉しいな」
大好きな動物たちに囲まれている間は、母親としてのリナリアでも、偽りのミモザじゃなくてもいい。ただのリナリアとして過ごせる貴重な時間だ。
彼らに癒やしを与える代わりに、私は彼らに元気を貰っている。
ここを離れたらまた母親として、偽りの人間として振る舞わなくてはいけないけれど、もう少しだけ。そしたらまた私は頑張れるから。
『──ねぇ、あの人間が来たよ』
木の上に留まっていた小鳥がひらりと飛んできて私に警告してくれた。
『ミモザ、隠れなきゃ!』
『はやくはやく』
あの人間がどの人間かわからないけど、姿を隠さなくては。この姿を誰かに見られたら色々と面倒だ。
私は慌てて自分に幻影術を掛けた。
「我に従う元素達よ、我が姿を霧の影に隠し給え」
呪文を唱えると、霧が全身に覆って私の本当の姿を隠してくれた。
私はリナリアからミモザに変わると、ふぅと一息ついた。
地べたに座ったままだった私がゆっくり立ち上がると、背後でがさっと草を踏みしめる音が聞こえてバッと後ろを振り返った。
「ミモザさんこんなところでどうしたんですか? 顔と服に土がついていますよ」
そこにいたのはまさかのルーカスである。
あ、危なかった…
「ちょっとこの子達と戯れているときにコケてしまいまして…クライネルトさんはどうしてここへ?」
あと一歩遅かったらバレていたところだった。
バクバクする心臓を気取られぬよう、平静を装って質問すると、ルーカスは手に持っていた薬草採集用のかごを見せてきた。
「父からお使いを頼まれて。前回の案内でなんとなくこの辺の地理は把握したので1人で探索していたのです」
なるほど。
ルーカスは1人でも還らずの森へ入る実力がある。そして薬草採集程度なら依頼をせずとも自力でできることだから1人で森に入っていたのか。
しかし困ったな。私にとって休息の場であるここにルーカスが入ってくるようになったら、ここでも気が抜けなくなってしまう……
そんなことを考えていると、ふっと目の前が陰った。
何かと思って視線を上げると、先程よりもルーカスが近くにいて驚いた。びっくりしてのけぞりかけた私にもお構いなしに、彼は持っていたハンカチで私の顔を拭い始めた。
「ちょ、ちょっと、あの、大丈夫です。後で自分で拭くので」
ちょっと、ついこの間私に対して「無防備だ」と小言言ってきたばかりのくせして、自分こそ距離感間違っていない?
気恥ずかしくなってしまって彼のお世話から逃れようと身を捩る。
だけど、ルーカスは私を逃さぬよう、しっかり肩を掴んで阻止してきた。
「動かないで」
そう命じられた私は口ごもった。
じっと目を見られて、言葉が出てこなくなったのだ。
あんなに好きだった群青の瞳を私は直視できずにそらしていた。
◆◇◆
仕事があるのでと断って、森の中でルーカスとはお別れした。
日が暮れる前に森から出たほうがいいと念のために忠告したが、彼のことだからそのへんは抜かりないだろうと大して心配していない。
1人で引き返すと、職場に戻って事務作業をこなした。外に出ての業務がないときは基本的に室内で書類仕事をしているのだ。
そして終業時間まで勤め上げ、上がりの時間になったら他の職員に挨拶して帰宅する。それがいつもの流れだった。
「あれ?」
上がるために仕事着から私服へ着替えようとしたとき、異変に気づいた。ポケットに入れていた雫型のネックレスがなくなっていたのだ。
──変化したときに落としたんだ。
空を飛んでいる時に森のどこかに落ちてしまったのだろう。うっかりしていた。いつもはそんなことないからすっかり油断していた。
本当は急いで家に帰りたい。フェリクスが私の帰りを待っているから。
だけど……お守り代わりにいつも入れているそれは、仕事着に着替えるときもポケットに入れていつもそばに置いているのに、それがなくなった私は無性に不安になってしまい、このまま帰宅する気分になれなかった。
今日私が変幻して飛行した範囲は…広い。今日中に見つかるだろうか。もしかしたら見つからないかもしれない。
あのネックレスはルーカスがくれたものだ。
あれだけは手放せなかった。そばにあるから未練がましくいつまでも根に持ってしまうんだとわかっているけど、あれだけはそばに置いておきたかった。
たった1人で母親になる私の支えだったから。
着替え終わって荷物を持つとそのまま転送術で還らずの森へと移動した。
昼に来たときとは異なり、薄暗くなった還らずの森は不気味だった。油断したら森に飲み込まれてしまいそうな雰囲気だ。この時間帯に森へ足を踏み入れる機会がなかった私は怯みそうだった。だけど探さなくては。
足元を照らすために火の魔法で明かりを灯すと、捜索開始した。
「青い石のネックレス見てない?」
『ねっくれす、ってなぁに?』
「あぁ…そこからか」
顔見知りの動物たちにネックレスが落ちているのを見ていないか聞こうとしたが、見たことも名前も知らないものの居所を聞かれても彼らにわかるわけがない。
こうなってしまったら宛てもなくがむしゃらに探すしかない。
最悪、光り物が大好きな生き物に拾われて二度と戻ってこない可能性も考えないとな……犬になって…いや、犬になると視力が落ちるから余計に探し出せない。ネックレスについた匂いを辿るにも自分の匂いとかわからないし。
「なにかお探しですか」
「!?」
この場にいる人間は私しかいないと思っていたので、上から降ってきた声に飛び上がって驚いた。
四つん這いになったまま顔を上げれば、そこには昼に遭遇したばかりのルーカスの姿があった。
まだ森の中にいたの?
「あ、大丈夫です。お気遣いなく」
確かに探してはいるけど、その贈り主に言うわけにはいかない。
ただでさえ私は正体を隠している立場なのだから。
「ですがもう暗いですし、1人では」
「私は慣れていますから」
だからお構いなく、と土だらけになった手で制す。
しかしルーカスは立ち去ろうとはしない。おもむろに着用していたマントの中に手を差し入れて、何やらごそごそし始めたと思ったら、すっと手のひらを見せてきた。
……ちがう、手のひらに乗ったあるものを見せてきたのだ。
「もしかしてこのネックレスをお探しではありませんか?」
彼の手の上には見覚えの有りすぎるネックレスがあった。
全身の血の気が引いた。
これがどこにでもある量産型のネックレスなら私も平然とできたけど、そのネックレスは珍しいものだったから。
そこでは還らずの森の動物たちと交流していた。
ただお喋りをする日もあれば、誘われたら変幻術で目の前の動物や魔獣たちに似た生物に変化して遊ぶこともある。
今日は鳥型魔獣の姿から変化して、彼らと森の上を自由気ままに飛行した。たくさん飛び回って疲れたら地上に着陸して元の姿に戻る。
その時、本来の髪色である金色の髪の毛が太陽の光に反射した。
『ミモザはどうしてその姿じゃないの?』
『なんで変わるの?』
私の本当の姿を知っている彼らは不思議そうに質問してきた。
ごもっともな質問に私は苦笑いを浮かべてしまう。
「かくれんぼしているんだよ。絶対に見つかってはいけないかくれんぼ。みんな、このこと誰にも話しちゃいけないよ」
『わかった!』
私の事情を話しても、生態も文化も異なる彼らには理解できないだろう。動物たちにも理解できるよう、とにかく秘密なんだと念押しすると、素直な彼らは秘密を守ってくれると言った。
『私はその姿のほうがミモザらしくて好きだな』
『髪がキラキラしててきれい』
「ホント? 嬉しいな」
大好きな動物たちに囲まれている間は、母親としてのリナリアでも、偽りのミモザじゃなくてもいい。ただのリナリアとして過ごせる貴重な時間だ。
彼らに癒やしを与える代わりに、私は彼らに元気を貰っている。
ここを離れたらまた母親として、偽りの人間として振る舞わなくてはいけないけれど、もう少しだけ。そしたらまた私は頑張れるから。
『──ねぇ、あの人間が来たよ』
木の上に留まっていた小鳥がひらりと飛んできて私に警告してくれた。
『ミモザ、隠れなきゃ!』
『はやくはやく』
あの人間がどの人間かわからないけど、姿を隠さなくては。この姿を誰かに見られたら色々と面倒だ。
私は慌てて自分に幻影術を掛けた。
「我に従う元素達よ、我が姿を霧の影に隠し給え」
呪文を唱えると、霧が全身に覆って私の本当の姿を隠してくれた。
私はリナリアからミモザに変わると、ふぅと一息ついた。
地べたに座ったままだった私がゆっくり立ち上がると、背後でがさっと草を踏みしめる音が聞こえてバッと後ろを振り返った。
「ミモザさんこんなところでどうしたんですか? 顔と服に土がついていますよ」
そこにいたのはまさかのルーカスである。
あ、危なかった…
「ちょっとこの子達と戯れているときにコケてしまいまして…クライネルトさんはどうしてここへ?」
あと一歩遅かったらバレていたところだった。
バクバクする心臓を気取られぬよう、平静を装って質問すると、ルーカスは手に持っていた薬草採集用のかごを見せてきた。
「父からお使いを頼まれて。前回の案内でなんとなくこの辺の地理は把握したので1人で探索していたのです」
なるほど。
ルーカスは1人でも還らずの森へ入る実力がある。そして薬草採集程度なら依頼をせずとも自力でできることだから1人で森に入っていたのか。
しかし困ったな。私にとって休息の場であるここにルーカスが入ってくるようになったら、ここでも気が抜けなくなってしまう……
そんなことを考えていると、ふっと目の前が陰った。
何かと思って視線を上げると、先程よりもルーカスが近くにいて驚いた。びっくりしてのけぞりかけた私にもお構いなしに、彼は持っていたハンカチで私の顔を拭い始めた。
「ちょ、ちょっと、あの、大丈夫です。後で自分で拭くので」
ちょっと、ついこの間私に対して「無防備だ」と小言言ってきたばかりのくせして、自分こそ距離感間違っていない?
気恥ずかしくなってしまって彼のお世話から逃れようと身を捩る。
だけど、ルーカスは私を逃さぬよう、しっかり肩を掴んで阻止してきた。
「動かないで」
そう命じられた私は口ごもった。
じっと目を見られて、言葉が出てこなくなったのだ。
あんなに好きだった群青の瞳を私は直視できずにそらしていた。
◆◇◆
仕事があるのでと断って、森の中でルーカスとはお別れした。
日が暮れる前に森から出たほうがいいと念のために忠告したが、彼のことだからそのへんは抜かりないだろうと大して心配していない。
1人で引き返すと、職場に戻って事務作業をこなした。外に出ての業務がないときは基本的に室内で書類仕事をしているのだ。
そして終業時間まで勤め上げ、上がりの時間になったら他の職員に挨拶して帰宅する。それがいつもの流れだった。
「あれ?」
上がるために仕事着から私服へ着替えようとしたとき、異変に気づいた。ポケットに入れていた雫型のネックレスがなくなっていたのだ。
──変化したときに落としたんだ。
空を飛んでいる時に森のどこかに落ちてしまったのだろう。うっかりしていた。いつもはそんなことないからすっかり油断していた。
本当は急いで家に帰りたい。フェリクスが私の帰りを待っているから。
だけど……お守り代わりにいつも入れているそれは、仕事着に着替えるときもポケットに入れていつもそばに置いているのに、それがなくなった私は無性に不安になってしまい、このまま帰宅する気分になれなかった。
今日私が変幻して飛行した範囲は…広い。今日中に見つかるだろうか。もしかしたら見つからないかもしれない。
あのネックレスはルーカスがくれたものだ。
あれだけは手放せなかった。そばにあるから未練がましくいつまでも根に持ってしまうんだとわかっているけど、あれだけはそばに置いておきたかった。
たった1人で母親になる私の支えだったから。
着替え終わって荷物を持つとそのまま転送術で還らずの森へと移動した。
昼に来たときとは異なり、薄暗くなった還らずの森は不気味だった。油断したら森に飲み込まれてしまいそうな雰囲気だ。この時間帯に森へ足を踏み入れる機会がなかった私は怯みそうだった。だけど探さなくては。
足元を照らすために火の魔法で明かりを灯すと、捜索開始した。
「青い石のネックレス見てない?」
『ねっくれす、ってなぁに?』
「あぁ…そこからか」
顔見知りの動物たちにネックレスが落ちているのを見ていないか聞こうとしたが、見たことも名前も知らないものの居所を聞かれても彼らにわかるわけがない。
こうなってしまったら宛てもなくがむしゃらに探すしかない。
最悪、光り物が大好きな生き物に拾われて二度と戻ってこない可能性も考えないとな……犬になって…いや、犬になると視力が落ちるから余計に探し出せない。ネックレスについた匂いを辿るにも自分の匂いとかわからないし。
「なにかお探しですか」
「!?」
この場にいる人間は私しかいないと思っていたので、上から降ってきた声に飛び上がって驚いた。
四つん這いになったまま顔を上げれば、そこには昼に遭遇したばかりのルーカスの姿があった。
まだ森の中にいたの?
「あ、大丈夫です。お気遣いなく」
確かに探してはいるけど、その贈り主に言うわけにはいかない。
ただでさえ私は正体を隠している立場なのだから。
「ですがもう暗いですし、1人では」
「私は慣れていますから」
だからお構いなく、と土だらけになった手で制す。
しかしルーカスは立ち去ろうとはしない。おもむろに着用していたマントの中に手を差し入れて、何やらごそごそし始めたと思ったら、すっと手のひらを見せてきた。
……ちがう、手のひらに乗ったあるものを見せてきたのだ。
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