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番外編
お飾り状態
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「はぁ…」
『どうしたのリナリア』
『ご飯もらえてないの? だから最近元気がないんだ!』
私が深々とため息を吐き出すと、広い庭を駆け回っていた犬たちが話しかけてきた。
「違う、ご飯は出してもらってるから」
私が元気でないのを食事していないせいだと思われ、慌てて否定する。
私の友達である犬猫たちは、私の嫁入りと一緒にクライネルト家に引っ越してきた。
その際、ご迷惑にならないかと心配してきた両親とは別に、動物たちを可愛がっていた従業員が犬猫を引き止めていたけど、犬猫たちの意志は固かった。
私の側にいたいと言ってくれた彼らの気持ちが嬉しくて、彼らを庭に住まわせてくれとクライネルト一家にお願いすると快く受け入れてくれた。
私の貯蓄をはたいて、庭の外れに犬猫たちの小屋も建設してもらい、今では私が彼らのお世話を一任している。
これまでは私の周りが忙しくて他の人に面倒を見てもらっていたけど、今度は違う。彼らの寿命が尽きるまで責任持って面倒見るつもりだ。彼らは私の大切な友達であり家族なのだ。
「私、養われてるだけでなんのために存在してるのかが分からないわ」
一緒に来てくれた彼らに私はついつい愚痴ってしまった。
こんなことウルスラさんに話しても彼女の立場からして返事に困るだろうから言えないし、義理両親には更に言いにくい。
当事者のルーカスは着替えに帰ってきても私が起きる前にまた大学に戻っているようだ。
『それを言うなら、俺達だってそうだよな』
『どこかで狩ってこなくてもリナリアがご飯くれるものね』
口々に犬猫が言っているが、そうじゃない。君たちと私は状況が違うんだ。
だけど人間の男女のあれこれを動物に話しても彼らは理解できないだろう。彼らは素直で、人間みたいに面倒くさい思考回路をしていないので、何処までもまっすぐで簡単な返事しかもらえない気がする。
『じゃあ帰ればいいんじゃない?』
「…え?」
猫の一匹が顔を洗いながら提案した。
私はそれに眉を潜めた。
帰れって…今私は家にいるけど…?
『リナリアのパパが言ってたじゃん! いつでも帰ってきていいって!』
犬が尻尾を振りながら元気に発した言葉に、それだ。と私はひらめいた。
確かにお父さんは私が嫁ぐ日にそんな事を言っていた。お父さんが言ったのは、たまの里帰りとかそういう意味合いだったんだろうけど、その言葉に甘えてもいいかも。
どうせ、ルーカスは私と会わない生活をしている。
ここにいても妻らしいことは何も出来ないし、家のことは使用人さんの仕事。私はいてもいなくてもいい存在なんだ。
実家に帰ろう。
そう決めた後は私の行動は素早かった。
私は荷物をかばんに詰めると、フェリクスを抱き上げた。
「リナリア…荷物をまとめちゃって一体どうしたの?」
「ちょっと、顔見せに実家に帰ろうと思って」
「そうなの?」
「ウルスラさんはちょっとの間休暇だと思って自由に過ごしてね」
突然実家に帰ると告げられたウルスラさんは目を白黒させていたけど、最終的に曖昧に頷いていた。
「リナリア様、そのお荷物は一体…」
「息子と共に実家へ帰りますので、あとのことはよろしくおねがいします」
家のことを丸投げすることに若干の罪悪感はあったけど、私ももういっぱいいっぱいなんだ。
安心してほしい。犬猫も一緒に連れて帰るので問題ない。
ちょっと実家に帰って気持ちが落ち着いたら帰る。その位したって許されるはずだと思うんだ。
馬車はクライネルト家のを使わせてもらう。馭者はいなくても、私が馬に話しかけながら操縦すればなんとかなるはずだ。
「お、お待ち下さい!」
「お考え直しを!!」
玄関の扉を開いて外に出ようとすると、私は血相変えた執事さんに引き止められた。
「坊ちゃまを、ルーカス様をすぐに呼び戻しますので、お話し合いをなさってください!」
「彼と話すことはないです。毎日こうして放置されているんですから、私のことなんてどうでもいいんじゃないですか」
この数日ずーっと会っていないからね。やさぐれたくもなる。
止める手を振り払おうともみくちゃになっていると、ルーカスがいつの間にか後ろにいた。え、早くない? 誰が連絡したの……
伝書鳩を使える人間は現在この屋敷で私以外に、アンゼルムさんとウルスラさんがいるけど……まさか、ウルスラさんがルーカスに連絡したのだろうか。
「リナリア、一体どうしたんだ」
悪びれもせず帰ってきたルーカスに対し、私は怒りが湧いてきた。
こっちは悩んでいるってのに、なにが「一体どうした」よ!
「離婚しましょうルーカス」
単刀直入に切り出すと、私の周りの音が消えた。
さっきまで私を引きとめようと騒いでいたメイドさんですら、彫刻のように固まっている。
ルーカスはまばたきを忘れて固まっている。私はそれに密かに溜飲を下げた。
「私も仕事に復帰するから、生活のことは心配しないで。それとこの子の親権と養育費は……」
私と抱っこされているフェリクス以外全員固まっているけど、それに構わずその場で今後のことについて話し始めた。
新婚3ヶ月以内で離婚になるとは思わなかったけど、私はもう我慢できなかった。結婚してほしいと望まれたから、愛しているから結婚したのに許せない。こんな屈辱的なことはないと思う。
「いやいや、待った! なんでそうなるの? 落ち度があったなら直すから考え直してくれないか」
この期に及んで私を引き留めようとするルーカスは青ざめていた。さっきまで人形みたいに固まっていたのに、感情が露になって一気に人間味が増した。
ところで、今の彼の発言に私はピキリと来た。
「考え直せ、ですって?」
自分の行動を棚に上げて、何を上から目線なのかしらこの人。
怒りも我慢の限界も頂点に達していた。私がぎろりと睨みあげると、ルーカスは怯んだ様子でビクッと肩を揺らしていた。
「私、なんのためにあなたの妻になったのかしら。今の私、妻としてなにか役に立ってる? ただの居候も同然じゃない?」
情けなくて涙がでてきそうだったので、こらえるためにぐっと歯を食いしばる。
「あなたは私を大切にすると言った。愛していると言ってくれた。だから私も素直になって貴方の求婚を受け入れたのに……私はこんなことを望んでいたんじゃない。書類上のお飾り妻なんて御免被るわ!」
「リナリア…ここじゃあれだから、ふたりでゆっくり話し合おう」
私を別の場所へ誘導しようとルーカスが促してきたので、私は首を横に振って拒んだ。ギュッと目をつぶり、断固拒否の姿勢を見せたのだ。
するとするっと腕の中の重みが消え去り、私の元からフェリクスが取り上げられてしまった。ルーカスによって高い高いされたフェリクスはそのままそばにいた執事さんの腕の中に託された。
「フェリクス!」
「フェリクスをウルスラさんに預けてくれ」
「かしこまりました」
私が取り返そうとするも、ルーカスは私の体を抱き上げて運び出した。
フェリクスを人質にするなんて卑怯な人!
「離して! 捕縛せ」
「おしゃべり女よ、口縛れよ」
魔法を使ってルーカスの動きを封じ込めてやろうとしたら、反撃された。呪文を紡げないように口を封じられた私は口元をモゴモゴさせながらジタバタ暴れた。
私の抵抗を物ともしないルーカスは階段を上がって、奥へ進んでいく。暴れている私を抱えているのに、その足はよろけることもない。
こうなったのはすべてルーカスのせいなのに、なんなのこの扱いは!!
『どうしたのリナリア』
『ご飯もらえてないの? だから最近元気がないんだ!』
私が深々とため息を吐き出すと、広い庭を駆け回っていた犬たちが話しかけてきた。
「違う、ご飯は出してもらってるから」
私が元気でないのを食事していないせいだと思われ、慌てて否定する。
私の友達である犬猫たちは、私の嫁入りと一緒にクライネルト家に引っ越してきた。
その際、ご迷惑にならないかと心配してきた両親とは別に、動物たちを可愛がっていた従業員が犬猫を引き止めていたけど、犬猫たちの意志は固かった。
私の側にいたいと言ってくれた彼らの気持ちが嬉しくて、彼らを庭に住まわせてくれとクライネルト一家にお願いすると快く受け入れてくれた。
私の貯蓄をはたいて、庭の外れに犬猫たちの小屋も建設してもらい、今では私が彼らのお世話を一任している。
これまでは私の周りが忙しくて他の人に面倒を見てもらっていたけど、今度は違う。彼らの寿命が尽きるまで責任持って面倒見るつもりだ。彼らは私の大切な友達であり家族なのだ。
「私、養われてるだけでなんのために存在してるのかが分からないわ」
一緒に来てくれた彼らに私はついつい愚痴ってしまった。
こんなことウルスラさんに話しても彼女の立場からして返事に困るだろうから言えないし、義理両親には更に言いにくい。
当事者のルーカスは着替えに帰ってきても私が起きる前にまた大学に戻っているようだ。
『それを言うなら、俺達だってそうだよな』
『どこかで狩ってこなくてもリナリアがご飯くれるものね』
口々に犬猫が言っているが、そうじゃない。君たちと私は状況が違うんだ。
だけど人間の男女のあれこれを動物に話しても彼らは理解できないだろう。彼らは素直で、人間みたいに面倒くさい思考回路をしていないので、何処までもまっすぐで簡単な返事しかもらえない気がする。
『じゃあ帰ればいいんじゃない?』
「…え?」
猫の一匹が顔を洗いながら提案した。
私はそれに眉を潜めた。
帰れって…今私は家にいるけど…?
『リナリアのパパが言ってたじゃん! いつでも帰ってきていいって!』
犬が尻尾を振りながら元気に発した言葉に、それだ。と私はひらめいた。
確かにお父さんは私が嫁ぐ日にそんな事を言っていた。お父さんが言ったのは、たまの里帰りとかそういう意味合いだったんだろうけど、その言葉に甘えてもいいかも。
どうせ、ルーカスは私と会わない生活をしている。
ここにいても妻らしいことは何も出来ないし、家のことは使用人さんの仕事。私はいてもいなくてもいい存在なんだ。
実家に帰ろう。
そう決めた後は私の行動は素早かった。
私は荷物をかばんに詰めると、フェリクスを抱き上げた。
「リナリア…荷物をまとめちゃって一体どうしたの?」
「ちょっと、顔見せに実家に帰ろうと思って」
「そうなの?」
「ウルスラさんはちょっとの間休暇だと思って自由に過ごしてね」
突然実家に帰ると告げられたウルスラさんは目を白黒させていたけど、最終的に曖昧に頷いていた。
「リナリア様、そのお荷物は一体…」
「息子と共に実家へ帰りますので、あとのことはよろしくおねがいします」
家のことを丸投げすることに若干の罪悪感はあったけど、私ももういっぱいいっぱいなんだ。
安心してほしい。犬猫も一緒に連れて帰るので問題ない。
ちょっと実家に帰って気持ちが落ち着いたら帰る。その位したって許されるはずだと思うんだ。
馬車はクライネルト家のを使わせてもらう。馭者はいなくても、私が馬に話しかけながら操縦すればなんとかなるはずだ。
「お、お待ち下さい!」
「お考え直しを!!」
玄関の扉を開いて外に出ようとすると、私は血相変えた執事さんに引き止められた。
「坊ちゃまを、ルーカス様をすぐに呼び戻しますので、お話し合いをなさってください!」
「彼と話すことはないです。毎日こうして放置されているんですから、私のことなんてどうでもいいんじゃないですか」
この数日ずーっと会っていないからね。やさぐれたくもなる。
止める手を振り払おうともみくちゃになっていると、ルーカスがいつの間にか後ろにいた。え、早くない? 誰が連絡したの……
伝書鳩を使える人間は現在この屋敷で私以外に、アンゼルムさんとウルスラさんがいるけど……まさか、ウルスラさんがルーカスに連絡したのだろうか。
「リナリア、一体どうしたんだ」
悪びれもせず帰ってきたルーカスに対し、私は怒りが湧いてきた。
こっちは悩んでいるってのに、なにが「一体どうした」よ!
「離婚しましょうルーカス」
単刀直入に切り出すと、私の周りの音が消えた。
さっきまで私を引きとめようと騒いでいたメイドさんですら、彫刻のように固まっている。
ルーカスはまばたきを忘れて固まっている。私はそれに密かに溜飲を下げた。
「私も仕事に復帰するから、生活のことは心配しないで。それとこの子の親権と養育費は……」
私と抱っこされているフェリクス以外全員固まっているけど、それに構わずその場で今後のことについて話し始めた。
新婚3ヶ月以内で離婚になるとは思わなかったけど、私はもう我慢できなかった。結婚してほしいと望まれたから、愛しているから結婚したのに許せない。こんな屈辱的なことはないと思う。
「いやいや、待った! なんでそうなるの? 落ち度があったなら直すから考え直してくれないか」
この期に及んで私を引き留めようとするルーカスは青ざめていた。さっきまで人形みたいに固まっていたのに、感情が露になって一気に人間味が増した。
ところで、今の彼の発言に私はピキリと来た。
「考え直せ、ですって?」
自分の行動を棚に上げて、何を上から目線なのかしらこの人。
怒りも我慢の限界も頂点に達していた。私がぎろりと睨みあげると、ルーカスは怯んだ様子でビクッと肩を揺らしていた。
「私、なんのためにあなたの妻になったのかしら。今の私、妻としてなにか役に立ってる? ただの居候も同然じゃない?」
情けなくて涙がでてきそうだったので、こらえるためにぐっと歯を食いしばる。
「あなたは私を大切にすると言った。愛していると言ってくれた。だから私も素直になって貴方の求婚を受け入れたのに……私はこんなことを望んでいたんじゃない。書類上のお飾り妻なんて御免被るわ!」
「リナリア…ここじゃあれだから、ふたりでゆっくり話し合おう」
私を別の場所へ誘導しようとルーカスが促してきたので、私は首を横に振って拒んだ。ギュッと目をつぶり、断固拒否の姿勢を見せたのだ。
するとするっと腕の中の重みが消え去り、私の元からフェリクスが取り上げられてしまった。ルーカスによって高い高いされたフェリクスはそのままそばにいた執事さんの腕の中に託された。
「フェリクス!」
「フェリクスをウルスラさんに預けてくれ」
「かしこまりました」
私が取り返そうとするも、ルーカスは私の体を抱き上げて運び出した。
フェリクスを人質にするなんて卑怯な人!
「離して! 捕縛せ」
「おしゃべり女よ、口縛れよ」
魔法を使ってルーカスの動きを封じ込めてやろうとしたら、反撃された。呪文を紡げないように口を封じられた私は口元をモゴモゴさせながらジタバタ暴れた。
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