魔女として断罪された悪役令嬢は婚約破棄されたので魔王の妃として溺愛されることを目指します

悠月

文字の大きさ
4 / 106
第一章 婚約破棄されたので魔王のもとに向かいます

2 さらに魔女としての疑いをかけられました

しおりを挟む
「ダミアン、エレインの罪状を読み上げろ」

 ジャンは、聖堂騎士団の副団長、ダミアン・ド・モンティレに命じた。
 自身の側近でもある、隻眼せきがんの騎士である。

「はい」

 ダミアンは用意していたと思われる羊皮紙を懐から取り出す。

「エレイン・ド・サヴァティエは、ことあるごとにヴァレリー・フルニエ嬢に対して、悪意を持った発言を繰り返し、糾弾きゅうだんすることで、ヴァレリー嬢を精神的に追い詰め、ヴァレリー嬢が宮廷にいられなくなるように画策かくさくしたと思われ……」

 いや、私は「誰にでもいい顔をするのは、誤解を招くことになりかねませんわ。あなたのためにも、相手のためにもなりませんわよ」と注意をして差し上げただけだ。
 それを、「精神的に追い詰め」と言われてしまうなんて。
 糾弾なんてしていない……!
 そう反駁はんばくしようとしたところで、さらに耳を疑う罪状が聞こえて来る。

「ヴァレリー嬢は、この聖カトミアル王国、ひいては、この世界を救うべくこの世に使わされた、創造神ファシシュの代理人、聖なる乙女である。その聖女ヴァレリー嬢を、エレイン・ド・サヴァティエは、悪魔を召喚しては夜毎に呪っているとの密告が多数なされている」

 聖女!?
 悪魔を召喚?
 呪う……?

 いきなり、覚えのない罪状を読み上げられ、私は思わず唖然とした。
 確かに私は、修道会の方々や修道騎士の方々ほど、創造神ファシシュへの信仰神は篤くないかもれない。
 しかし、悪魔を召喚だなんて……。
 いまだかつて、行った覚えがない罪で、糾弾されている。

「ヴァレリー嬢、このことについて、もう少し詳しく教えてはくれないか?」

 ジャンがヴァレリーに問う。
 いつの間にか、ヴァレリーはジャンのすぐ傍、指一本分ほどの距離で寄り添うように立っていた。

(そこは、本来なら婚約者である私の立つ位置ではないのか?)

 そう突っ込みたい気持ちを抑えながら、私はヴァレリーの返答を待った。

「いえ、エレイン様は何も悪くないのです……、ただ……、魔王とお話しされていらっしゃいました。それと、黒猫を……悪魔の使いと言われる黒猫を……可愛がっておられるところを見た……だけです……」

 え……、それって……?
 誰にでもいい顔をするヴァレリーのところに、魔王と呼ばれているヴィネが現れて、くどいているところを、私が間に入って助けた時のことを言っているの?
 黒猫は、確かに、悪魔の使いだと言われているけれど、「ただ毛色が違うだけで差別するなんておかしいじゃない?」と、そう思ったから、ヴァレリーには正直にそう伝えたことはあるわ。

 だって、ヴァレリーは、黒猫をいじめようとしていたから!

「本当なのか? エレイン? そなた、魔王と通じて、ヴァレリー嬢を呪ったのか? ……もしや、この聖カトミアル王国の転覆を狙っているのではないか? この世を滅ぼそうと思っているのではないか!?」

(黒猫を庇っただけで、なぜ、そこまで話が飛躍するんですの!?)
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。 ◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない

あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。 王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。 だがある日、 誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。 奇跡は、止まった。 城は動揺し、事実を隠し、 責任を聖女ひとりに押しつけようとする。 民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。 一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、 奇跡が失われる“その日”に備え、 治癒に頼らない世界を着々と整えていた。 聖女は象徴となり、城は主導権を失う。 奇跡に縋った者たちは、 何も奪われず、ただ立場を失った。 選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。 ――これは、 聖女でも、英雄でもない 「悪役令嬢」が勝ち残る物語。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

処理中です...