魔女として断罪された悪役令嬢は婚約破棄されたので魔王の妃として溺愛されることを目指します

悠月

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第一章 婚約破棄されたので魔王のもとに向かいます

3 自宅謹慎を言い渡されました

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 私の心の声に反するように、周囲の人々はざわめき立つ。

「エレイン様が……魔女?」
「聖女様を呪うなんて……エレイン様……」
「エレイン様が、魔王と共に世界を滅ぼそうと……」

 ヴァレリーが聖女だというのも初耳だったのだが、なぜか、話は私の想像を超えて、どんどんと飛躍していく。

「エレイン……ああ、本当に、残念だ……」

 ジャンが、口惜しそうに唇を噛む。

「私は、婚約破棄だけではなく、君を魔女として断罪しなければならない……。ああ、それが聖堂騎士団長としての務めなのだ、許してくれ、エレイン」

 自らの台詞に酔うように、苦悩の表情を浮かべ、髪を掻きむしるジャン。
 ヴァレリーは、ジャンのサーコートを、指先でちょこんとつまんで、

「ああ、ジャン様は何も悪くありませんわ!」

 と、自らも苦悶の表情を浮かべて見せる。
 目尻には、涙までにじんでいた。

「ヴァレリー、君は、なんて優しいんだ! さすが聖女だ!」
「そんなことございませんわ、ジャン様。ですが、私を聖女と認めてくださるのならば、一言、言わせてください。エレイン様へのご処分……どうか、ご慈悲を。慈悲深い処分をお願いいたします……」
「自らをおとしめた女に対して、そこまで……寛大になれるというのか、ヴァレリー、君という人は……本当に……」

 周囲にいる数多あまたの人間を差し置いて、ジャンとヴァレリーは二人だけの世界を創り出している。
 ああ、そういうことだったのか、と、合点がいった。
 私も、他の淑女たちと同様、この天然の“人たらし”であるヴァレリー嬢に婚約者を取られたのだ。
 そのあげく、魔女として断罪されたのだ。

「エレイン、そなたの処分は追ってくだす。しばらくは、自宅で謹慎するように」

 ついさっきまで婚約者だったとは思えないほどの冷たい声音で、ジャンが私に告げる。

「ああ、ごめんなさい、エレイン様……まさか、こんなことになるだなんて……私、思ってもみなかったのです……」

 子ウサギのような脅えた瞳で私を見つめ、震えるような声でヴァレリーが詫びる。

(ああ、ったく、胸くそが悪いったらないわ! こいつら、一度……いや何度でも、ぶち殺してやりたいんですけど!)

 私らしくもない下品な言葉が脳内に浮かぶと同時に、急に目の前が暗くなる。
 私は、その場で気を失った。
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