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STAGE15-09
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「毒にさえ気をつければいいのなら」
「この程度の敵――恐れるに足らぬわ!!」
メイスを取りに駆け出した私の背後で、二人の勇ましい声が上がる。
ちらりとふり返れば、狂ったように雄叫びを上げる大蛇に、ジュードとディアナ様の刃が容赦なく襲い掛かっている。
飛び散った泥のような体液が、闘技場の一角を一瞬で黒く染めた。
(うわあ、えげつない)
人の何十倍もある巨大な蛇が、二人の攻撃に翻弄され始めている。つい先ほどまで強敵だったのに、もはや弱いものいじめのような気すらしてきたわ。
凶悪な毒は残っているし、決して楽な相手ではないはずなんだけど、あの二人が強すぎるのよね。
「――っと、あった、私のメイス!」
彼らが引き付けてくれている内に、私も無事メイスの元へと辿りつけた。投げてごめんね、私の相棒!
これで私も戦線復帰。追いかけられた分、あの大蛇を思いっきり殴ってやるわ!
「お帰りアンジェラ。怪我はない?」
「もちろんよ、お待たせ!」
柄を握りしめてUターンをすれば、すぐ様ジュードがフォローに駆け寄ってくれる。
結構近くで戦っていたように見えたけど、彼にも毒が付着している様子はなさそうだ。ブンッと払った刃から、黒い体液がまた飛び散った。
「走りすぎて脇腹はちょっと痛いけど、あいつを倒すまでは戦うわ。手伝ってくれるわよね?」
「了解。じゃあ、ここをよろしく!!」
答えるやいなや、ジュードの曲剣が早速きらめき、大蛇の側面の肉を削ぎ落した。
私も続けざまにメイスを叩き込めば、かなりいい打撃音が闘技場に響く。手応えもよし、これは大ダメージが入ったわね!
「さすがだね、アンジェラ」
「貴方こそ」
それぞれ武器を一度引いて、笑い合う。十年以上一緒に戦ってきただけあり、やはり彼と合わせるのが一番楽だわ。さあこの調子で、ヤツの体力をガンガン削ってやりましょう!
「……オレ、君たちだけは敵に回したくないわ」
再び構えに入れば、近くで見ていたらしいダレンがぽそっと呟いている。大蛇よりも敵に回したくないなんて、なかなか素敵な褒め言葉ね。
まあ、私もジュードを敵に回したら勝てる気はしないけど。
「ダレンさん、手と足を動かしましょうよー? じゃないと、私が敵になっちゃいますよー?」
「ちょっと!? オレ今日は結構頑張ってるからね、アンジェラちゃん!?」
からかいも含めて返してみれば、すかさずダレンから悲鳴のような声が上がった。あれだけ走り回っていてまだツッコむ余裕があるなんて、この人はこの人で結構タフね。
「ダレンさんにはそろそろ一仕事ありますから、もう少し頑張って下さいね」
「そうだよダレン、さあ走って走って」
「二人とも酷くないか!?」
からかった私に続くように、ジュードと王子様も楽しげにダレンをいじっている。一仕事っていうのは知らないけど、とりあえず皆まだ元気そうね。元ラスボス前の強敵を相手にして、この軽さは本当に驚きだわ。
(これなら魔術の発動までにもっと削れそうね)
もう準備時間は充分にとれたと思うけど、弱らせておくに越したことはないもの。
まだあの泥女が姿を見せていない以上、脅威は確実に排除しておきたいし。
「ジュード、そこ殴るから避けてね!」
「わかった。反対側を削っておくから、そっちもよろしく!」
メイスを構えれば、ジュードは体の反対側へと器用に回って、斜めに曲剣を走らせる。
続けて私がその痕を殴れば、巨大な体は軋み、ガタガタと震え始めた。これは予想以上にいい感じだ。もしかしたら、このまま倒せてしまうかもしれない。
「そういう動きをサラッとやるから、君たちは怖いんだってば……んで、ウィル君の進み具合はどうだー?」
私たちが戦ってる横をひよいひょい避けていくダレンも大概だろうけど。
さて、大蛇が走り回っている中、攻撃が当たりにくい端のほうで準備をしていたウィリアムが、ダレンの声にパッと顔をあげた。その横で彼を守っていたノアも同様だ。
二人の前には身長をゆうに超える大きさの魔術の陣が、ぐるぐると回転しながら光っている。
ゲームの時とはエフェクトが違うから今の私が見てもよくわからないのだけど、とりあえず『なんかすごい魔術っぽい』というのは伝わってきた。
さあ、進捗はいかが?
「俺の準備は済んでいる。いつでもいけるぞ」
「おっ?」
「ぼくも…………お待たせしました! いけます!!」
「おお!!」
二人の力強い返事に、前衛組の皆の顔がパッと輝いた。影を抑えているカールも、どこか誇らしげに笑っている。
いよいよこの【混沌の大蛇】も処刑の時だ! ……まあ、思ったよりも苦戦しなかったけど、むしろよかったと思っておきましょう。ざまーみろ、泥女め!
「となれば、エルドレッド殿下、ダレンさん! 最後の一仕事ですよ!」
「よし、任せてくれ!!」
返事を聞いたジュードと王子様、そしてダレンが勢いよく駆け出していく。顔を向けた先は、大蛇の頭部のほうだ。
「なるべくウィリアムさんが撃ちやすいように、向きに気をつけて! アンジェラとディアナさんは、離れてて!」
「えっ!? わ、わかったわ」
私はともかくディアナ様まで退いてくれとは、彼らは何をするつもりなのだろう。
ディアナ様も不思議そうな顔をしながら大蛇から距離をとっているので、どうも男性陣だけで決めた作戦のようだ。
さっきの台詞から察するに、ウィリアムが魔術を撃ちやすくするためのサポートっぽいけど。
「……退いたね? 二人とも準備はいいですか?」
「いつでもどーぞ!」
私たちがウィリアムたちのところへ走っていく内に、彼らも配置についたようだ。
ジュードが向かって右側、主従コンビが左側に立って、中央の部分に大蛇の巨大な頭が迫ってきている。
「ちょっと、近すぎるわよ!?」
がばりと開いたヤツの口の中が、離れた私たちにまでよく見える。糸を引いて滴っているのは、あの魔物唯一の脅威である猛毒だ。
しかし彼らは立ったまま。王子様がダレンをかばうように盾を掲げて、ジュードは何故か上着を脱いで、左肩にかけている。
「――――よし、今だ! 走って!!」
私たちが見守る中、三人はその配置のまま大蛇に向かって走り出す。
そして、大蛇の口に飲み込まれる直前で――ダレンの双剣とジュードの曲剣が同時に迅った。
「――あっ!?」
制止の声をかける間もない早業。
次の瞬間――大蛇の下顎が、大きな音を立てて地面に叩きつけられた。
(そうか、口を繋いだ膜を斬ったのか!!)
蛇の口の中には、上顎と下顎を繋ぐ膜がある。
直接支えているわけではないけれど、それを斬られてしまえば、当然口は通常時以上にばっくりと開いてしまうだろう。
――強引に広げられた、その先に待っているのは。
「撃て!!」
逆ハの字に左右へ避けていった三人から、鋭い声が飛ぶ。
≪消し飛べ!!≫
そして続く、ウィリアムの魔術の発動の合図。
無理矢理広げられた口は、ウィリアムのまっすぐ先にあった。
「――――ッ!?」
一瞬にして視界が真っ白になり、思わず頭を下げる。
遠くから聞こえてきたのは、『ジュッ』という音一つだけだ。……まるで、熱したフライパンに水をかけたような、何かが消えゆく音。
何秒か遅れて、モワッとした大量の熱気が、私たちの体を包み込んだ。
「うわ、あっつ!?」
「ッ、これでも防いでいるんだ! もう少し距離をとれ!」
思わず声を上げれば、頭上からノアの注意が聞こえてきた。
言われるままに後退して――そうっと目を開く。
「…………うひゃあ……」
色を取り戻した私の視界に入ってきたのは、頭を完全に消失した巨大な何かの残骸だった。
数十メートルある体さえも、頭部付近はほとんど炭化しており、その他の部分もごうごうと燃えている。
慌ててこちらへ逃げてくる三人も、ちょっとだけ髪や服が焦げていた。
(できないかって提案したのは私だけどさ)
改めて、うちの部隊の魔術師、マジでえげつないわ。
毒ごと焼き尽くしてとは言ったけど、まさか本当に焼失するほどの高温を出せるとは思わなかった。
ノアは「またこれか……」とげんなりしてしまっているし、少し離れたカールも頬が引きつっている。
唯一、成功させたウィリアム本人だけは、とても嬉しそうに笑っていた。
「……蛇の毒じゃなくて、ウィル君の魔術で死ぬかと思ったわ」
「いやあ、見事だったね。生物っぽいものが蒸発するところを初めて間近で見たよ。素晴らしい魔術だ、ウィリアム。あとノア、守ってくれてありがとう」
「お前たちの分は二重で防御壁を張ったのだが、正直無理かと思った」
「ああああああ! ごめんなさいごめんなさい!! ご無事で何よりです!!」
やがて合流した三人は、すっかりくたびれた様子でため息をついた。ジュードは上着を脱いだせいで余計に熱を受けたのか、無言でぐったりしている。
……ちなみに、彼が上着を脱いだのは言うまでもなく蛇の毒避けだ。ダレンは王子様がかばいながら斬ったみたいだけど、ジュードは一人で膜を斬ったからね。
「…………まあ、何はともあれ」
全員の視線が、もはや原型を留めていない【混沌の大蛇】へと向かう。
さすがにこれだけ破壊されてしまえば、いかに泥や影の魔物でも動くことはできないだろう。
「大蛇の魔物、討伐完了! 私たちの勝利よ!!」
「おー、お疲れー……」
私が上げた勝利の声に、疲れ切った皆の弱々しい返事が重なった。
あと、ウィリアムは人間卒業おめでとう!!
「この程度の敵――恐れるに足らぬわ!!」
メイスを取りに駆け出した私の背後で、二人の勇ましい声が上がる。
ちらりとふり返れば、狂ったように雄叫びを上げる大蛇に、ジュードとディアナ様の刃が容赦なく襲い掛かっている。
飛び散った泥のような体液が、闘技場の一角を一瞬で黒く染めた。
(うわあ、えげつない)
人の何十倍もある巨大な蛇が、二人の攻撃に翻弄され始めている。つい先ほどまで強敵だったのに、もはや弱いものいじめのような気すらしてきたわ。
凶悪な毒は残っているし、決して楽な相手ではないはずなんだけど、あの二人が強すぎるのよね。
「――っと、あった、私のメイス!」
彼らが引き付けてくれている内に、私も無事メイスの元へと辿りつけた。投げてごめんね、私の相棒!
これで私も戦線復帰。追いかけられた分、あの大蛇を思いっきり殴ってやるわ!
「お帰りアンジェラ。怪我はない?」
「もちろんよ、お待たせ!」
柄を握りしめてUターンをすれば、すぐ様ジュードがフォローに駆け寄ってくれる。
結構近くで戦っていたように見えたけど、彼にも毒が付着している様子はなさそうだ。ブンッと払った刃から、黒い体液がまた飛び散った。
「走りすぎて脇腹はちょっと痛いけど、あいつを倒すまでは戦うわ。手伝ってくれるわよね?」
「了解。じゃあ、ここをよろしく!!」
答えるやいなや、ジュードの曲剣が早速きらめき、大蛇の側面の肉を削ぎ落した。
私も続けざまにメイスを叩き込めば、かなりいい打撃音が闘技場に響く。手応えもよし、これは大ダメージが入ったわね!
「さすがだね、アンジェラ」
「貴方こそ」
それぞれ武器を一度引いて、笑い合う。十年以上一緒に戦ってきただけあり、やはり彼と合わせるのが一番楽だわ。さあこの調子で、ヤツの体力をガンガン削ってやりましょう!
「……オレ、君たちだけは敵に回したくないわ」
再び構えに入れば、近くで見ていたらしいダレンがぽそっと呟いている。大蛇よりも敵に回したくないなんて、なかなか素敵な褒め言葉ね。
まあ、私もジュードを敵に回したら勝てる気はしないけど。
「ダレンさん、手と足を動かしましょうよー? じゃないと、私が敵になっちゃいますよー?」
「ちょっと!? オレ今日は結構頑張ってるからね、アンジェラちゃん!?」
からかいも含めて返してみれば、すかさずダレンから悲鳴のような声が上がった。あれだけ走り回っていてまだツッコむ余裕があるなんて、この人はこの人で結構タフね。
「ダレンさんにはそろそろ一仕事ありますから、もう少し頑張って下さいね」
「そうだよダレン、さあ走って走って」
「二人とも酷くないか!?」
からかった私に続くように、ジュードと王子様も楽しげにダレンをいじっている。一仕事っていうのは知らないけど、とりあえず皆まだ元気そうね。元ラスボス前の強敵を相手にして、この軽さは本当に驚きだわ。
(これなら魔術の発動までにもっと削れそうね)
もう準備時間は充分にとれたと思うけど、弱らせておくに越したことはないもの。
まだあの泥女が姿を見せていない以上、脅威は確実に排除しておきたいし。
「ジュード、そこ殴るから避けてね!」
「わかった。反対側を削っておくから、そっちもよろしく!」
メイスを構えれば、ジュードは体の反対側へと器用に回って、斜めに曲剣を走らせる。
続けて私がその痕を殴れば、巨大な体は軋み、ガタガタと震え始めた。これは予想以上にいい感じだ。もしかしたら、このまま倒せてしまうかもしれない。
「そういう動きをサラッとやるから、君たちは怖いんだってば……んで、ウィル君の進み具合はどうだー?」
私たちが戦ってる横をひよいひょい避けていくダレンも大概だろうけど。
さて、大蛇が走り回っている中、攻撃が当たりにくい端のほうで準備をしていたウィリアムが、ダレンの声にパッと顔をあげた。その横で彼を守っていたノアも同様だ。
二人の前には身長をゆうに超える大きさの魔術の陣が、ぐるぐると回転しながら光っている。
ゲームの時とはエフェクトが違うから今の私が見てもよくわからないのだけど、とりあえず『なんかすごい魔術っぽい』というのは伝わってきた。
さあ、進捗はいかが?
「俺の準備は済んでいる。いつでもいけるぞ」
「おっ?」
「ぼくも…………お待たせしました! いけます!!」
「おお!!」
二人の力強い返事に、前衛組の皆の顔がパッと輝いた。影を抑えているカールも、どこか誇らしげに笑っている。
いよいよこの【混沌の大蛇】も処刑の時だ! ……まあ、思ったよりも苦戦しなかったけど、むしろよかったと思っておきましょう。ざまーみろ、泥女め!
「となれば、エルドレッド殿下、ダレンさん! 最後の一仕事ですよ!」
「よし、任せてくれ!!」
返事を聞いたジュードと王子様、そしてダレンが勢いよく駆け出していく。顔を向けた先は、大蛇の頭部のほうだ。
「なるべくウィリアムさんが撃ちやすいように、向きに気をつけて! アンジェラとディアナさんは、離れてて!」
「えっ!? わ、わかったわ」
私はともかくディアナ様まで退いてくれとは、彼らは何をするつもりなのだろう。
ディアナ様も不思議そうな顔をしながら大蛇から距離をとっているので、どうも男性陣だけで決めた作戦のようだ。
さっきの台詞から察するに、ウィリアムが魔術を撃ちやすくするためのサポートっぽいけど。
「……退いたね? 二人とも準備はいいですか?」
「いつでもどーぞ!」
私たちがウィリアムたちのところへ走っていく内に、彼らも配置についたようだ。
ジュードが向かって右側、主従コンビが左側に立って、中央の部分に大蛇の巨大な頭が迫ってきている。
「ちょっと、近すぎるわよ!?」
がばりと開いたヤツの口の中が、離れた私たちにまでよく見える。糸を引いて滴っているのは、あの魔物唯一の脅威である猛毒だ。
しかし彼らは立ったまま。王子様がダレンをかばうように盾を掲げて、ジュードは何故か上着を脱いで、左肩にかけている。
「――――よし、今だ! 走って!!」
私たちが見守る中、三人はその配置のまま大蛇に向かって走り出す。
そして、大蛇の口に飲み込まれる直前で――ダレンの双剣とジュードの曲剣が同時に迅った。
「――あっ!?」
制止の声をかける間もない早業。
次の瞬間――大蛇の下顎が、大きな音を立てて地面に叩きつけられた。
(そうか、口を繋いだ膜を斬ったのか!!)
蛇の口の中には、上顎と下顎を繋ぐ膜がある。
直接支えているわけではないけれど、それを斬られてしまえば、当然口は通常時以上にばっくりと開いてしまうだろう。
――強引に広げられた、その先に待っているのは。
「撃て!!」
逆ハの字に左右へ避けていった三人から、鋭い声が飛ぶ。
≪消し飛べ!!≫
そして続く、ウィリアムの魔術の発動の合図。
無理矢理広げられた口は、ウィリアムのまっすぐ先にあった。
「――――ッ!?」
一瞬にして視界が真っ白になり、思わず頭を下げる。
遠くから聞こえてきたのは、『ジュッ』という音一つだけだ。……まるで、熱したフライパンに水をかけたような、何かが消えゆく音。
何秒か遅れて、モワッとした大量の熱気が、私たちの体を包み込んだ。
「うわ、あっつ!?」
「ッ、これでも防いでいるんだ! もう少し距離をとれ!」
思わず声を上げれば、頭上からノアの注意が聞こえてきた。
言われるままに後退して――そうっと目を開く。
「…………うひゃあ……」
色を取り戻した私の視界に入ってきたのは、頭を完全に消失した巨大な何かの残骸だった。
数十メートルある体さえも、頭部付近はほとんど炭化しており、その他の部分もごうごうと燃えている。
慌ててこちらへ逃げてくる三人も、ちょっとだけ髪や服が焦げていた。
(できないかって提案したのは私だけどさ)
改めて、うちの部隊の魔術師、マジでえげつないわ。
毒ごと焼き尽くしてとは言ったけど、まさか本当に焼失するほどの高温を出せるとは思わなかった。
ノアは「またこれか……」とげんなりしてしまっているし、少し離れたカールも頬が引きつっている。
唯一、成功させたウィリアム本人だけは、とても嬉しそうに笑っていた。
「……蛇の毒じゃなくて、ウィル君の魔術で死ぬかと思ったわ」
「いやあ、見事だったね。生物っぽいものが蒸発するところを初めて間近で見たよ。素晴らしい魔術だ、ウィリアム。あとノア、守ってくれてありがとう」
「お前たちの分は二重で防御壁を張ったのだが、正直無理かと思った」
「ああああああ! ごめんなさいごめんなさい!! ご無事で何よりです!!」
やがて合流した三人は、すっかりくたびれた様子でため息をついた。ジュードは上着を脱いだせいで余計に熱を受けたのか、無言でぐったりしている。
……ちなみに、彼が上着を脱いだのは言うまでもなく蛇の毒避けだ。ダレンは王子様がかばいながら斬ったみたいだけど、ジュードは一人で膜を斬ったからね。
「…………まあ、何はともあれ」
全員の視線が、もはや原型を留めていない【混沌の大蛇】へと向かう。
さすがにこれだけ破壊されてしまえば、いかに泥や影の魔物でも動くことはできないだろう。
「大蛇の魔物、討伐完了! 私たちの勝利よ!!」
「おー、お疲れー……」
私が上げた勝利の声に、疲れ切った皆の弱々しい返事が重なった。
あと、ウィリアムは人間卒業おめでとう!!
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