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御堂蒼真(みどう そうま)は、うちの大学きっての美形で通っている。女子たちのよくある、うちの大学でイケメンって誰だろ~という、暇を持て余した彼女たちの話の中でまず1番に上がるのが蒼真だ。スラリと高い身長に、着痩せして見えるが程よく筋肉がつき引き締まっている身体。緩くパーマのかかったダークブラウンの髪は、涼やかな切れ長の目を柔和に見せていて、どことなく甘い雰囲気を纏っている。彼女はいるのかとよく聞かれているのを目にするが、いつも適当にはぐらかしているから真偽は分かっていない。それが余計に彼女たちの心に火を付けるのか、蒼真の周りにはいつも女の子たちが群がっている。そう、現在進行形でだ。
着る人を選ぶであろうシックなロングコートに身を包み、気だるげにスマホをいじりながら女の子たちの相手をしているヤツこそが俺の幼馴染の御堂蒼真である。大学の5限が終わったらたまには飯を外に食いにいこうと連絡が来たのがついさっき。あのキラキラした集団の中に俺は突っ込んでいかないといけないのか、、と気が重くなる。
「うわ~なんだあれ近づきたくねぇ、、」
「あっ、陸斗!やっときた!!」
先ほどまでのクールな出立ちはどうしたのかと言いたくなるほどに顔を輝かせ、俺に気づいた蒼真がズンズンとこちらにやってくる。その様子に俺のこと好きすぎだろ、と嬉しいのが半分、背後に取り残された女性陣が恐ろしいのが半分だ。冷たい視線を送ってくる彼女たちにペコリと軽く頭を下げ、逃げるようにそこから離れる。
「ずいぶん遅かったじゃん、陸斗」
「悪かったって。ちょっとゼミのやつらに捕まってさ。あいつら話し始めると長いんだよ。」
「ふーん、あのいつもの距離が近い人たち?」
「距離が近いって、、別に普通だろ。気のいいやつらだよ?」
さっきのバカ話を思い出してふふっ、と思い出し笑いをする。するとあからさまに蒼真が顔を顰めたので慌てて居住まいを正した。そうだった俺は待たせた身なんだった。
「ま、いいけどさ。陸斗が男にモテんのは昔からだし。それより何食べたい?」
「おい嫌味か?どうせ女の子にはモテませんよ!」
「はいはい。で、何食べんの?」
「ん~、中華かな。最近食べてないしな。」
「分かった。じゃあ行こうか。」
行き先も決まったところで歩き出す。蒼真はいつも外食のとき必ず俺の意見を優先してくれるし、俺が決めあぐねている時は美味しいお店を提案してくれる。女の子にもこういうことしてるのかな、と思うとチクリと心が痛むが、俺が甘やかされているのは分かっているのでズルズルとこの温い関係が気に入っている。
まあ最近突拍子のないことも言われたけど。
そう思って自分の胸元に視線を下ろす。蒼真が何考えてるのか分からないな、とぼんやりしてると、横からクスクスと笑い声が聞こえた。
「そこは、帰ってからな。」
「は?………ばっ、違うわ!バカ!」
「えー?触ってほしいのかと思った。」
クスクスと笑うのをやめない蒼真の足を軽く蹴る。うわ、笑ってる顔も良い。ムカつく。「わあ、痛い」と気の抜けた声を出す蒼真を引っ張って足を早めた。
美味しい料理を食べ、ご機嫌で家に帰りシャワーを浴びてソファーに寝転ぶ。髪乾かせ風邪引くぞ、と口出ししてくる蒼真に舌を出して反抗すると、はぁ、とため息をつかれドライヤーを持った蒼真がソファーに乗り上げてきた。足の間に収まり、後ろから髪を乾かしてもらう。
「いたれりつくせりだな。」
「お前なぁ、、」
髪の毛が十分に乾いたところで、カチ、とドライヤーの電源が切られ、髪の毛をすくように撫でられる。心地よさに目を瞑っていると、するりと服の中に蒼真の手が入ってきた。さわさわと肌の上を滑らされ、そのまま胸の頂まで近づいてくる。
「ちょっ、蒼真!え、今日もすんの?」
「もちろん。はい陸斗はテレビでも見てな。」
「えぇ、、分かったよ」
意思を持った指が俺の胸を弄り始めたのに諦めのため息をひとつつき、大人しくテレビを付ける。蒼真を背もたれに体を預け、身を任せることにした。
もちろん寝る時間になるまで蒼真の指が止まることはなかった。
着る人を選ぶであろうシックなロングコートに身を包み、気だるげにスマホをいじりながら女の子たちの相手をしているヤツこそが俺の幼馴染の御堂蒼真である。大学の5限が終わったらたまには飯を外に食いにいこうと連絡が来たのがついさっき。あのキラキラした集団の中に俺は突っ込んでいかないといけないのか、、と気が重くなる。
「うわ~なんだあれ近づきたくねぇ、、」
「あっ、陸斗!やっときた!!」
先ほどまでのクールな出立ちはどうしたのかと言いたくなるほどに顔を輝かせ、俺に気づいた蒼真がズンズンとこちらにやってくる。その様子に俺のこと好きすぎだろ、と嬉しいのが半分、背後に取り残された女性陣が恐ろしいのが半分だ。冷たい視線を送ってくる彼女たちにペコリと軽く頭を下げ、逃げるようにそこから離れる。
「ずいぶん遅かったじゃん、陸斗」
「悪かったって。ちょっとゼミのやつらに捕まってさ。あいつら話し始めると長いんだよ。」
「ふーん、あのいつもの距離が近い人たち?」
「距離が近いって、、別に普通だろ。気のいいやつらだよ?」
さっきのバカ話を思い出してふふっ、と思い出し笑いをする。するとあからさまに蒼真が顔を顰めたので慌てて居住まいを正した。そうだった俺は待たせた身なんだった。
「ま、いいけどさ。陸斗が男にモテんのは昔からだし。それより何食べたい?」
「おい嫌味か?どうせ女の子にはモテませんよ!」
「はいはい。で、何食べんの?」
「ん~、中華かな。最近食べてないしな。」
「分かった。じゃあ行こうか。」
行き先も決まったところで歩き出す。蒼真はいつも外食のとき必ず俺の意見を優先してくれるし、俺が決めあぐねている時は美味しいお店を提案してくれる。女の子にもこういうことしてるのかな、と思うとチクリと心が痛むが、俺が甘やかされているのは分かっているのでズルズルとこの温い関係が気に入っている。
まあ最近突拍子のないことも言われたけど。
そう思って自分の胸元に視線を下ろす。蒼真が何考えてるのか分からないな、とぼんやりしてると、横からクスクスと笑い声が聞こえた。
「そこは、帰ってからな。」
「は?………ばっ、違うわ!バカ!」
「えー?触ってほしいのかと思った。」
クスクスと笑うのをやめない蒼真の足を軽く蹴る。うわ、笑ってる顔も良い。ムカつく。「わあ、痛い」と気の抜けた声を出す蒼真を引っ張って足を早めた。
美味しい料理を食べ、ご機嫌で家に帰りシャワーを浴びてソファーに寝転ぶ。髪乾かせ風邪引くぞ、と口出ししてくる蒼真に舌を出して反抗すると、はぁ、とため息をつかれドライヤーを持った蒼真がソファーに乗り上げてきた。足の間に収まり、後ろから髪を乾かしてもらう。
「いたれりつくせりだな。」
「お前なぁ、、」
髪の毛が十分に乾いたところで、カチ、とドライヤーの電源が切られ、髪の毛をすくように撫でられる。心地よさに目を瞑っていると、するりと服の中に蒼真の手が入ってきた。さわさわと肌の上を滑らされ、そのまま胸の頂まで近づいてくる。
「ちょっ、蒼真!え、今日もすんの?」
「もちろん。はい陸斗はテレビでも見てな。」
「えぇ、、分かったよ」
意思を持った指が俺の胸を弄り始めたのに諦めのため息をひとつつき、大人しくテレビを付ける。蒼真を背もたれに体を預け、身を任せることにした。
もちろん寝る時間になるまで蒼真の指が止まることはなかった。
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