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しおりを挟む靴も脱ぎ散らかし、バックもその辺に放置して座り込む。1人になってしんとした部屋にいると、さっきのことや俺は失恋したということを実感して、ポロリと涙が溢れた。
「うわ、俺情けな。」
この恋が実らないことなんて最初からわかっていたことなのに、いざ現実を目の前に見せられたら結構へこむもんだな。この際ルールシェアもやめて、ちゃんと区切りをつけようか。ごめん蒼真、これ以上は俺が耐えられそうにないわ。
「おい!陸斗!!」
「え、」
鼻をすすって、そう思って立ち上がったとき、今一番会いたくなかったやつの声がした。急いで帰ってきたのか、バタバタと玄関から音が聞こえる。逃げなきゃと思ったが、この2人用の狭い部屋に隠れられる場所はあるはずもなく、俺の大好きだった人はリビングに入って来てしまった。
「……お前、なんで泣いてんの。」
「蒼真、、」
つかつかと一直線にこちらにやってきて、肩を掴まれる。予想以上の力に驚き顔をしかめながらも、俺は言った。
「別に、なんでもないから。」
「なんでもないないわけねえだろ。俺なんかした?もしそうだったら言って、謝るから。」
「っ、ほんとにいいから、手離せ。」
「無理。なあ、どうしたんだよ。」
「……俺たちさ、もうルールシェアもやめようよ。」
「……は?なんでいきなり、」
蒼真の顔から表情が消えて、凍りつく。グッと肩に込める力が強くなり、痛みが走った。痛みに顔を顰めながらも言葉を続ける。
「前から考えてたことだから。もう、だめなんだよ。」
「勝手に一人で決めんなよ!そんな俺と暮らすの嫌だった?」
「そんな事ない!でもさ、俺がいたらずっと迷惑かけちゃうし。その、お前好きな子とかにも遠慮するだろ。俺はお前の邪魔になりたいわけじゃない。」
「……は?」
蒼真の表情がどんどん冷たくなって、明らかに不快そうな感情を隠さない。
……そんな顔するなよ。ごめんって、俺気づかなくて。
望みはないってわかってはいたけど、好きな人にそんな顔されたらさすがに落ち込む。ダメだ、と思って顔を逸らした。
「おい、こっち向けって」
「………」
「俺の話聞いて!」
「嫌だ」
「っ!何を勘違いしてるのか知らないけど、俺が好きなのはお前だから!昔からずっと!」
「……へ?」
無理やり視線を合わされて、そう告げられる。俺を?好き?頭が追いつかなくて呆然とする。蒼真が髪をグシャ、とかきあげて、不服そうな顔をした。
「ああぁ、もう。こんな形で言うはずじゃなかったのに。」
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