18 / 49
《そうはさせるかっ!》
しおりを挟む
食事を終えて海月がさっさと帰宅しようとすればモグラはゆったりとしていた。海月は帰りたかったが、モグラは月を見ながらグラスを掲げている。緑茶の香り立つ良い匂いがした。だが海月は帰りたくて仕方がないらしい。
「あの……、帰りませんかモグラさん?」
「ん~、そうだなぁ。海月、ご馳走のお礼に水面占いでもしてあげれば?」
モグラは呑気に縁側で茶を啜っていたので海月は疲弊の息を吐いた。変わり者で最近占いをしないモグラは気持ちがわからないだろうが、水面占いは気力も体力も使うのであまりしたくはない。
しかし、モグラの呑気なお願いに海月は仕方なくモグラの元へ戻って用意をし始めた。海月は恩師で親代わりモグラの言うことは聞く。というか、弱いのである。
「はぁ……。まぁ良いですよ。じゃあ、占いって欲しい方いますか?」
「俺して欲しいっ!」
「僕もっ! 家族のことを占って欲しいですっ」
手が挙がるのは双子の三重と甲斐だ。海月は内心で舌打ちを打った。いなければ帰れたのにと、双子を奥底で呪う。
水瓶はないのでたらいを使わせてもらった。聖水ではないが山から引いている水を使用して、普段から持参している袋に入った砕けた水晶を流し込む。
普段よりかは的中率が下がってしまうかもしれないが、今夜は曇り空ではなく月がくっきりと出ている。月が出ている日は水面占いに適しているし大きな力をくれるのだ。ちなみに今回は三日月だが満月だとより良い力を与えてくれる。
「こんなんで見えんのかよ?」
「ちょっと兄さん、占いしているんだからちょっかい出さない方がいいよ」
「だって水晶入れて、水汲んだだけでな~。信じられねぇっていうか」
「まぁまぁ二人とも。海月が集中しているからあんまり話しかけないでね」
「「はぁ~い!」」
モグラの一声で双子が返事をすれば、海月は瞳を閉じて心中で問いかける。
――この先の未来を教えてください。ご家族が安心して暮らせるように予知してください。
黒く鋭い瞳が開けられる。――すると水面には三重と甲斐がなにかに追われている姿が映っていたのだ。しかもその物体は、いや、赤いなにかは燃え盛るような勢いで突進してきている。そして、双子と一緒に居るのは……自分だ。
「なんだ……? なにに追われているんだ?」
「なにが見えたんだよ?」
三重がじっと見つめてくるので海月は今見たものを、モグラを含めた三人に話した。甲斐は「また面倒ごとが起きるのかな?」そう不安げになり、逆に三重は「なにかあったらぶっ飛ばしてやる!」なんて調子の良いことを謳っていた。すると後ろから父親である仁田に殴られた。
「また訴訟でも起こされたら今度こそ追い出すぞ」
「……はーい。い、いてぇ」
強面の顔をさらに厳めしくしている仁田に殴られた三重は頭を擦る。だがモグラは違う。
「ふ~ん、三重くんと甲斐くんがね。それは少し心配だな。……学校帰りでも良いから、また占ってあげれば?」
モグラの安直な提案に今度こそ海月はそうはさせるかという勢いで冷徹に放った。「……水面占いは五千円からですけど」
「げぇ! 五千円もすんのかよ、高っ!」
三重がインチキ臭いのになどと言っているが、無視をした海月はふて腐れたようにモグラへ苦言を吐いた。するとモグラは「まぁカード占いでも良いじゃん~。また虫を持ってこさせれば良いでしょ?」茶を飲み終えてにっこりと笑っていた。
まぁ虫だったら……というのもあったので、海月は三重と甲斐にも本店への住所を記した名刺を渡し、「学校帰りにでも来てください」冷たい声質で一応言っておいた。
三重は海月の無愛想な性格に少々憤りを感じていた。だが弟の甲斐は違う。
「でも美波も占われていたから気になるよね。兄さんも気になるんじゃないの?」
「きっ、気になんねぇよ!」
「ふ~ん、どうかな~」
甲斐が興味を持ったようで海月へ微笑んで礼を告げた。
「来なくても怒りませんからね」
そう言って突き放した海月は双子へ念押ししてモグラと共に仁田宅を去るのであった。
「あの……、帰りませんかモグラさん?」
「ん~、そうだなぁ。海月、ご馳走のお礼に水面占いでもしてあげれば?」
モグラは呑気に縁側で茶を啜っていたので海月は疲弊の息を吐いた。変わり者で最近占いをしないモグラは気持ちがわからないだろうが、水面占いは気力も体力も使うのであまりしたくはない。
しかし、モグラの呑気なお願いに海月は仕方なくモグラの元へ戻って用意をし始めた。海月は恩師で親代わりモグラの言うことは聞く。というか、弱いのである。
「はぁ……。まぁ良いですよ。じゃあ、占いって欲しい方いますか?」
「俺して欲しいっ!」
「僕もっ! 家族のことを占って欲しいですっ」
手が挙がるのは双子の三重と甲斐だ。海月は内心で舌打ちを打った。いなければ帰れたのにと、双子を奥底で呪う。
水瓶はないのでたらいを使わせてもらった。聖水ではないが山から引いている水を使用して、普段から持参している袋に入った砕けた水晶を流し込む。
普段よりかは的中率が下がってしまうかもしれないが、今夜は曇り空ではなく月がくっきりと出ている。月が出ている日は水面占いに適しているし大きな力をくれるのだ。ちなみに今回は三日月だが満月だとより良い力を与えてくれる。
「こんなんで見えんのかよ?」
「ちょっと兄さん、占いしているんだからちょっかい出さない方がいいよ」
「だって水晶入れて、水汲んだだけでな~。信じられねぇっていうか」
「まぁまぁ二人とも。海月が集中しているからあんまり話しかけないでね」
「「はぁ~い!」」
モグラの一声で双子が返事をすれば、海月は瞳を閉じて心中で問いかける。
――この先の未来を教えてください。ご家族が安心して暮らせるように予知してください。
黒く鋭い瞳が開けられる。――すると水面には三重と甲斐がなにかに追われている姿が映っていたのだ。しかもその物体は、いや、赤いなにかは燃え盛るような勢いで突進してきている。そして、双子と一緒に居るのは……自分だ。
「なんだ……? なにに追われているんだ?」
「なにが見えたんだよ?」
三重がじっと見つめてくるので海月は今見たものを、モグラを含めた三人に話した。甲斐は「また面倒ごとが起きるのかな?」そう不安げになり、逆に三重は「なにかあったらぶっ飛ばしてやる!」なんて調子の良いことを謳っていた。すると後ろから父親である仁田に殴られた。
「また訴訟でも起こされたら今度こそ追い出すぞ」
「……はーい。い、いてぇ」
強面の顔をさらに厳めしくしている仁田に殴られた三重は頭を擦る。だがモグラは違う。
「ふ~ん、三重くんと甲斐くんがね。それは少し心配だな。……学校帰りでも良いから、また占ってあげれば?」
モグラの安直な提案に今度こそ海月はそうはさせるかという勢いで冷徹に放った。「……水面占いは五千円からですけど」
「げぇ! 五千円もすんのかよ、高っ!」
三重がインチキ臭いのになどと言っているが、無視をした海月はふて腐れたようにモグラへ苦言を吐いた。するとモグラは「まぁカード占いでも良いじゃん~。また虫を持ってこさせれば良いでしょ?」茶を飲み終えてにっこりと笑っていた。
まぁ虫だったら……というのもあったので、海月は三重と甲斐にも本店への住所を記した名刺を渡し、「学校帰りにでも来てください」冷たい声質で一応言っておいた。
三重は海月の無愛想な性格に少々憤りを感じていた。だが弟の甲斐は違う。
「でも美波も占われていたから気になるよね。兄さんも気になるんじゃないの?」
「きっ、気になんねぇよ!」
「ふ~ん、どうかな~」
甲斐が興味を持ったようで海月へ微笑んで礼を告げた。
「来なくても怒りませんからね」
そう言って突き放した海月は双子へ念押ししてモグラと共に仁田宅を去るのであった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
熱い風の果てへ
朝陽ゆりね
ライト文芸
沙良は母が遺した絵を求めてエジプトにやってきた。
カルナック神殿で一服中に池に落ちてしまう。
必死で泳いで這い上がるが、なんだか周囲の様子がおかしい。
そこで出会った青年は自らの名をラムセスと名乗る。
まさか――
そのまさかは的中する。
ここは第18王朝末期の古代エジプトだった。
※本作はすでに販売終了した作品を改稿したものです。
神木さんちのお兄ちゃん!
雪桜
キャラ文芸
✨ キャラ文芸ランキング週間・月間1位&累計250万pt突破、ありがとうございます!
神木家の双子の妹弟・華と蓮には"絶世の美男子"と言われるほどの金髪碧眼な『兄』がいる。
美人でカッコよくて、その上優しいお兄ちゃんは、常にみんなの人気者!
だけど、そんな兄には、何故か彼女がいなかった。
幼い頃に母を亡くし、いつも母親代わりだったお兄ちゃん。もしかして、お兄ちゃんが彼女が作らないのは自分達のせい?!
そう思った華と蓮は、兄のためにも自立することを決意する。
だけど、このお兄ちゃん。実は、家族しか愛せない超拗らせた兄だった!
これは、モテまくってるくせに家族しか愛せない美人すぎるお兄ちゃんと、兄離れしたいけど、なかなか出来ない双子の妹弟が繰り広げる、甘くて優しくて、ちょっぴり切ない愛と絆のハートフルラブ(家族愛)コメディ。
果たして、家族しか愛せないお兄ちゃんに、恋人ができる日はくるのか?
これは、美人すぎるお兄ちゃんがいる神木一家の、波乱万丈な日々を綴った物語である。
***
イラストは、全て自作です。
カクヨムにて、先行連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる