27 / 49
《神々の仕組み》
しおりを挟む
「おい、海のモグラよ。俺を元の姿に戻すように、海月に命令をしろ。そうしなければ、俺が神々の仕組みについて教えてしまうぞ」
「別に仕組みを教えるのは良いんだけどさ……お前、人間の姿だと暴れそうじゃん。――だからやだ」
「き……きさまぁっっ!」
火実はニワトリの姿でモグラにダイレクトアタックをした。するとモグラは飲んでいたウーロン茶を零し、チャイナ服を濡らしてしまう。
「てめぇ! ……このニワトリがぁぁっっ!!」
双子はかろうじて避けてはいるが、モグラは人間の姿から変化させ動物フォルムのモグラになってダイレクトキックをした。
恐らく、人間の姿だと動物虐待となるから自身も動物になったのだろう。……動物同士で争うのもおかしいとは思うが。
「あの……モグラさんに火実さん。まったく、もう……」
「海月も大変だなぁ~。これで俺の苦労が少しわかっただろう?」
「仁田さんのお気持ちがよくわかりましたよ」
疲弊の息を漏らしつつも止めにかかろうとする海月ではあるが、仁田がふと言葉にした。「海月はさ」などと美波を撫でて二匹を楽しそうに見ている双子に目をやった。
「今は生きている意味がわからずとも、生きていて良かったなって思う日が絶対に来るはずだぜ」
「生きていて……良かった、ですか?」
「あぁ。だって、寂しくはないだろう? 金にだって困っていないしさ。虚空な日常のなかでも、楽しいことはあるもんだ。せっかくの命だ。……命が尽きるまでは生きていかなきゃならないんだ」
ウーロン茶を飲みながらはにかむ仁田の姿と言葉が海月に突き刺さる。モグラから説教臭いことを言われてこなかったおかげもあるので骨身に沁みた。
しかも仁田の妻は……美波や三重や甲斐の母親は病死をしている。だからさらに重みが増した。
「まぁ、お前には俺たち家族が居るし、それにモグラも居るからな。そこのニワトリ……じゃなかった、火実も居るんだしよ。……お前が死んで悲しむ奴が居るんだから生きた方が良いぜ?」
「ウーロン茶のお代わりくれ」そう言って仁田はグラスを傾けた。すると海月は固い表情筋を和らげてグラスにウーロン茶を注いだ。しかしそれでもモグラと火実の喧嘩は終わらない。
「このっ、馬鹿ニワトリっ! クソトリっ!」
「お前の方こそっ! この下品モグラっ、愚か者っ!」
「ほら、モグラさんも火実さんも喧嘩はやめてくださいよ。邪魔ですから」
仁田にウーロン茶を淹れ終えてから二匹を持ち上げた海月の瞳は普段とは違っていた。
「別に仕組みを教えるのは良いんだけどさ……お前、人間の姿だと暴れそうじゃん。――だからやだ」
「き……きさまぁっっ!」
火実はニワトリの姿でモグラにダイレクトアタックをした。するとモグラは飲んでいたウーロン茶を零し、チャイナ服を濡らしてしまう。
「てめぇ! ……このニワトリがぁぁっっ!!」
双子はかろうじて避けてはいるが、モグラは人間の姿から変化させ動物フォルムのモグラになってダイレクトキックをした。
恐らく、人間の姿だと動物虐待となるから自身も動物になったのだろう。……動物同士で争うのもおかしいとは思うが。
「あの……モグラさんに火実さん。まったく、もう……」
「海月も大変だなぁ~。これで俺の苦労が少しわかっただろう?」
「仁田さんのお気持ちがよくわかりましたよ」
疲弊の息を漏らしつつも止めにかかろうとする海月ではあるが、仁田がふと言葉にした。「海月はさ」などと美波を撫でて二匹を楽しそうに見ている双子に目をやった。
「今は生きている意味がわからずとも、生きていて良かったなって思う日が絶対に来るはずだぜ」
「生きていて……良かった、ですか?」
「あぁ。だって、寂しくはないだろう? 金にだって困っていないしさ。虚空な日常のなかでも、楽しいことはあるもんだ。せっかくの命だ。……命が尽きるまでは生きていかなきゃならないんだ」
ウーロン茶を飲みながらはにかむ仁田の姿と言葉が海月に突き刺さる。モグラから説教臭いことを言われてこなかったおかげもあるので骨身に沁みた。
しかも仁田の妻は……美波や三重や甲斐の母親は病死をしている。だからさらに重みが増した。
「まぁ、お前には俺たち家族が居るし、それにモグラも居るからな。そこのニワトリ……じゃなかった、火実も居るんだしよ。……お前が死んで悲しむ奴が居るんだから生きた方が良いぜ?」
「ウーロン茶のお代わりくれ」そう言って仁田はグラスを傾けた。すると海月は固い表情筋を和らげてグラスにウーロン茶を注いだ。しかしそれでもモグラと火実の喧嘩は終わらない。
「このっ、馬鹿ニワトリっ! クソトリっ!」
「お前の方こそっ! この下品モグラっ、愚か者っ!」
「ほら、モグラさんも火実さんも喧嘩はやめてくださいよ。邪魔ですから」
仁田にウーロン茶を淹れ終えてから二匹を持ち上げた海月の瞳は普段とは違っていた。
0
あなたにおすすめの小説
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
熱い風の果てへ
朝陽ゆりね
ライト文芸
沙良は母が遺した絵を求めてエジプトにやってきた。
カルナック神殿で一服中に池に落ちてしまう。
必死で泳いで這い上がるが、なんだか周囲の様子がおかしい。
そこで出会った青年は自らの名をラムセスと名乗る。
まさか――
そのまさかは的中する。
ここは第18王朝末期の古代エジプトだった。
※本作はすでに販売終了した作品を改稿したものです。
神木さんちのお兄ちゃん!
雪桜
キャラ文芸
✨ キャラ文芸ランキング週間・月間1位&累計250万pt突破、ありがとうございます!
神木家の双子の妹弟・華と蓮には"絶世の美男子"と言われるほどの金髪碧眼な『兄』がいる。
美人でカッコよくて、その上優しいお兄ちゃんは、常にみんなの人気者!
だけど、そんな兄には、何故か彼女がいなかった。
幼い頃に母を亡くし、いつも母親代わりだったお兄ちゃん。もしかして、お兄ちゃんが彼女が作らないのは自分達のせい?!
そう思った華と蓮は、兄のためにも自立することを決意する。
だけど、このお兄ちゃん。実は、家族しか愛せない超拗らせた兄だった!
これは、モテまくってるくせに家族しか愛せない美人すぎるお兄ちゃんと、兄離れしたいけど、なかなか出来ない双子の妹弟が繰り広げる、甘くて優しくて、ちょっぴり切ない愛と絆のハートフルラブ(家族愛)コメディ。
果たして、家族しか愛せないお兄ちゃんに、恋人ができる日はくるのか?
これは、美人すぎるお兄ちゃんがいる神木一家の、波乱万丈な日々を綴った物語である。
***
イラストは、全て自作です。
カクヨムにて、先行連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる