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第9章 フォレスト国
第129話 里帰り
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里の中を長老の先導の下、進んでいく。周りからは恐怖や忌避、憎悪といったマイナスの視線を注がれているのを感じるが特に気にはならない。先程の門番同様、他種族に対して何か思うところがあるというのは理解しているつもりだ。だが、それも直になくなるだろう。何故ならば、長老が俺達についてしっかり説明すると言ってくれたからだ。そうして里の中を進むこと約10分。辿り着いたのは里の中で最も大きな広場のようだった。既にそこには里の者達全員が集められ、これから長老の方からの説明があるということで皆、ソワソワとしているような状況だった。早速、長老は辺りを見回し口を開いた。
「皆の者、どうか聞いて欲しいことがある。今日はここに客人がやって来た。普段、我々は結界に守られたこの隠れ里にて、ひっそりと暮らしておる。そんな中、突如、外からこちらの方々がやって来られたのだ。といっても心配などはせんでいい。何も結界を壊したり、卑怯な手を使って、ここを探り当てた訳ではない。そんなことをする必要がないからだ。単刀直入に言おう。なんとこちらの方々は今、この場におるローズの所属するクランの方々なのだ。ローズに関してはあの時のこともあり、数年ぶりの再会となる。色々と思うところもあるのは承知じゃ。だが、本人がこうして、また顔を見せたいと思ったのもまた事実。どうやら、何か言いたいこともあるようじゃしの……………」
そう言って、長老は一歩後ろへと下がり、代わりにローズが一歩前へと進み出た。少し緊張した面持ちを見せると軽く深呼吸をしてから、話し出す。
「みんな、久しぶり。まずは………………帰ってくるのが遅くなって、本当にごめんなさい!色々とご迷惑や心配をおかけしたのもごめんなさい!勝手に居なくなって、ごめんなさい!なかなか帰ってこられなくて、ごめんなさい!それから、それから………………」
「ローズ、落ち着くのじゃ。そんなに急がずとも皆、待ってくれるであろう?それは以前、この里で暮らしてきたお主が一番理解しておるはずじゃが?」
「長老……………ありがとう。そうね、長老の言う通りだわ。すぅ~はぁ~…………」
そこでもまた深呼吸したローズは少しすると先程とは打って変わって緊張など微塵も感じさせないほど自信に満ち溢れた表情をしていた。
「みんな、もう1つ聞いて欲しいことがあるの!ワタシ……………外に出てから、散々な目に遭ってきた。ダークエルフだからというだけで酷いこともされた。やっぱり、みんなに言われてたように外になんて出るんじゃなかった。何度もそう思って後悔した。でも…………それだけじゃなかった!ワタシはここにいるシンヤに出会って、それからクランの一員になった。そこには多種多様な種族の人達がいて、みんな仲良くしてくれた。その人達は全員、仲間であり家族だと思ったし、実際そう言ってくれた。今では幹部にまでなって頼もしい部下までできたのよ?みんな可愛くて、その子達の為だったら、何だってできちゃう!現にこの間はゾロアスター教の幹部まで倒せたんだし……………だから、誤解しないで!世界にはそんな人達ばかりじゃない!大半はそうかもしれないけど、探せばきっといるはずよ!ワタシ達のことを差別も偏見も持たず、平等に接してくれる人達が……………」
里の者達はローズの言葉に聞き入っていた。そして、固唾を呑んで次の言葉を待つ。彼女の言葉に含まれるもの、それは嘘偽りのない事実と気持ち、そして里の者達に対する深い愛情であった。それが伝わったからこそ、余計な茶々や野次が入ることなく、進んでいるのだろう。
「安心して。ワタシは今、とっても幸せだから。ここへもワタシの我儘でみんなを付き合わせたの。みんなは違うって言ってくれてるけどね……………だから、みんなが嫌悪感丸出しの顔をしてたら、せっかく招いたのに申し訳ないの。お願い。彼等を認め……………」
「ローズ、それ以上は待て」
「え……………」
俺は話の途中で悪いとは思ったが無理矢理、中断させてローズを後ろへと下がらせた。代わりに俺が一歩前へと進みでて、口を開いた。
「今、紹介に預かったシンヤだ。冒険者をしている。この度はあなた達の穏やかな暮らしを急に踏み荒らすかのようで本当に申し訳ない。それからここまで追い出さずにいてくれて、ありがとう。ローズとは出会ってから、ずっと仲間として家族として接してきた。俺も含め、クランの皆は彼女を心の底から愛している。これだけは誓って言える。しかし、急にそんなことを言われても信じることができないかもしれないし、仮に信じることができたとして俺達自体を認めることとは話が別だと俺は思う。確かにローズの言う通り、世界にはあなた達に理解のある者がいるかもしれない。だが、これまであなた達が受けてきたものは決してなかったことにはできないし、消えるものでもない。だから、俺から1つ提案がある」
「シンヤ……………?」
不安そうな顔でこちらを見つめるローズと目が合った。俺は大丈夫だと言葉を発さず、口の動きだけで伝え、再び周りの者達を見回して、こう言った。
「俺が………………あなた達の怒りや憎しみを受け止めよう」
「皆の者、どうか聞いて欲しいことがある。今日はここに客人がやって来た。普段、我々は結界に守られたこの隠れ里にて、ひっそりと暮らしておる。そんな中、突如、外からこちらの方々がやって来られたのだ。といっても心配などはせんでいい。何も結界を壊したり、卑怯な手を使って、ここを探り当てた訳ではない。そんなことをする必要がないからだ。単刀直入に言おう。なんとこちらの方々は今、この場におるローズの所属するクランの方々なのだ。ローズに関してはあの時のこともあり、数年ぶりの再会となる。色々と思うところもあるのは承知じゃ。だが、本人がこうして、また顔を見せたいと思ったのもまた事実。どうやら、何か言いたいこともあるようじゃしの……………」
そう言って、長老は一歩後ろへと下がり、代わりにローズが一歩前へと進み出た。少し緊張した面持ちを見せると軽く深呼吸をしてから、話し出す。
「みんな、久しぶり。まずは………………帰ってくるのが遅くなって、本当にごめんなさい!色々とご迷惑や心配をおかけしたのもごめんなさい!勝手に居なくなって、ごめんなさい!なかなか帰ってこられなくて、ごめんなさい!それから、それから………………」
「ローズ、落ち着くのじゃ。そんなに急がずとも皆、待ってくれるであろう?それは以前、この里で暮らしてきたお主が一番理解しておるはずじゃが?」
「長老……………ありがとう。そうね、長老の言う通りだわ。すぅ~はぁ~…………」
そこでもまた深呼吸したローズは少しすると先程とは打って変わって緊張など微塵も感じさせないほど自信に満ち溢れた表情をしていた。
「みんな、もう1つ聞いて欲しいことがあるの!ワタシ……………外に出てから、散々な目に遭ってきた。ダークエルフだからというだけで酷いこともされた。やっぱり、みんなに言われてたように外になんて出るんじゃなかった。何度もそう思って後悔した。でも…………それだけじゃなかった!ワタシはここにいるシンヤに出会って、それからクランの一員になった。そこには多種多様な種族の人達がいて、みんな仲良くしてくれた。その人達は全員、仲間であり家族だと思ったし、実際そう言ってくれた。今では幹部にまでなって頼もしい部下までできたのよ?みんな可愛くて、その子達の為だったら、何だってできちゃう!現にこの間はゾロアスター教の幹部まで倒せたんだし……………だから、誤解しないで!世界にはそんな人達ばかりじゃない!大半はそうかもしれないけど、探せばきっといるはずよ!ワタシ達のことを差別も偏見も持たず、平等に接してくれる人達が……………」
里の者達はローズの言葉に聞き入っていた。そして、固唾を呑んで次の言葉を待つ。彼女の言葉に含まれるもの、それは嘘偽りのない事実と気持ち、そして里の者達に対する深い愛情であった。それが伝わったからこそ、余計な茶々や野次が入ることなく、進んでいるのだろう。
「安心して。ワタシは今、とっても幸せだから。ここへもワタシの我儘でみんなを付き合わせたの。みんなは違うって言ってくれてるけどね……………だから、みんなが嫌悪感丸出しの顔をしてたら、せっかく招いたのに申し訳ないの。お願い。彼等を認め……………」
「ローズ、それ以上は待て」
「え……………」
俺は話の途中で悪いとは思ったが無理矢理、中断させてローズを後ろへと下がらせた。代わりに俺が一歩前へと進みでて、口を開いた。
「今、紹介に預かったシンヤだ。冒険者をしている。この度はあなた達の穏やかな暮らしを急に踏み荒らすかのようで本当に申し訳ない。それからここまで追い出さずにいてくれて、ありがとう。ローズとは出会ってから、ずっと仲間として家族として接してきた。俺も含め、クランの皆は彼女を心の底から愛している。これだけは誓って言える。しかし、急にそんなことを言われても信じることができないかもしれないし、仮に信じることができたとして俺達自体を認めることとは話が別だと俺は思う。確かにローズの言う通り、世界にはあなた達に理解のある者がいるかもしれない。だが、これまであなた達が受けてきたものは決してなかったことにはできないし、消えるものでもない。だから、俺から1つ提案がある」
「シンヤ……………?」
不安そうな顔でこちらを見つめるローズと目が合った。俺は大丈夫だと言葉を発さず、口の動きだけで伝え、再び周りの者達を見回して、こう言った。
「俺が………………あなた達の怒りや憎しみを受け止めよう」
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