165 / 416
第10章 セントラル魔法学院
第165話 北上
しおりを挟む
「じゃあ、後のことは任せたぞ」
「おうよ!こっちのことは気にせず、楽しんできてくれ」
「いい土産を期待してるのじゃ」
「事業のことも気にすんな。俺達が交代で手伝うからな」
「シンヤにしか対応できないのが来たら、保留にしとくわ」
シンヤ達がフリーダムへと帰還してから2週間が経ち、いよいよカンパル王国へ向けて出発する日がやってきた。この間に新人のクランメンバーの教育・事業の視察・傘下クランとのやり取りなどやることは尽きなかったが超効率化した動きによって、どんどんと仕事を終わらせていった。また溜まっている依頼にも全て目を通し、クランメンバーに振り分けたり、却下したり、帰ってきてから取り掛かれそうなものに至っては保留にした。本来は依頼主がギルドへと依頼し、それを受けるのが冒険者としてあるべき姿なのかもしれないが稀に有名なクランや軍団に対してギルドを介さず直接、依頼をしてくる者もいる。ギルド側としては仲介手数料が主な収入源となっている為、冒険者と依頼主が直接やり取りをするのはあまり良い顔をしないと思われがちだが決してそんなことはない。ギルドが設けた規約には直接依頼の禁止という項目は存在さず、また下手にそれを禁止して高ランク冒険者の機嫌を損ねてしまい拠点を変えるなどの損害を被ることを考えれば、咎める気など最初から起きないのである。だから、こうして"黒天の星"には日夜、依頼が舞い込んでくるのだ。ちなみに"黒の系譜"に対しても依頼がくるのだが、その場合は希望する傘下クランへと回したりしている。依頼主側からすれば1つのクランに依頼をしても断られる可能性がある為、軍団に対して依頼を出すこともある。そうすれば、傘下クランのどこかしらが引き受けてくれるかもしれない。しかもこと"黒の系譜"に至っては世界を救った英雄が所属しているのだ。当然、その英雄が選んだ傘下クランにも期待が寄せられるというものである。
「じゃあ行ってくるわ」
「留守の間は頼みましたよ」
「無理だけはなさらぬようにね」
出発の時が訪れ、シンヤ・ティア・サラは三者三様の言葉を残し、同行するメンバー達を伴ってクランハウスの敷地内から外に出た。そこから少し歩き、振り返ると見送りのメンバー達は未だにその場を動かず、手を振りながら
「「「「「行ってらっしゃい!!!!!」」」」」
と大きな声で送り出してくれていた。
――――――――――――――――――――
「やっぱり運転はいいね」
「だろう?練習ではこんな道、走らなかったから余計に楽しく感じるだろ」
「うん。普段、歩きや馬車で通るような道を車で走ると爽快感があるね」
前回の依頼の時と同様、今回も事前に同行するメンバー達には車の運転の練習をさせていた。するとやはりというべきか、すぐにコツを覚え、運転を楽しむようになっていった。その為、ハンドルの取り合いにならないよう交代で運転することに決め、結果的に最初はニーベルが務めることになったのだ。
「シンヤ、進路は?」
「このまま真っ直ぐ北上する。何か面白いものを見つけたり、トラブルが起こらない限り、止まることはないだろう」
「ちなみにあれは?」
ニーベルはここから少し進んだ先の方に見える光景を目で示しながら言った。ソワソワとしているメンバー達は既にそこに気が付き、一部自分の武器を撫で回している者もいる。シンヤはチラッと全員の様子を見ながら、こう言った。
「とりあえず、近くで止まって様子を窺おう。話はそれからだ」
「おうよ!こっちのことは気にせず、楽しんできてくれ」
「いい土産を期待してるのじゃ」
「事業のことも気にすんな。俺達が交代で手伝うからな」
「シンヤにしか対応できないのが来たら、保留にしとくわ」
シンヤ達がフリーダムへと帰還してから2週間が経ち、いよいよカンパル王国へ向けて出発する日がやってきた。この間に新人のクランメンバーの教育・事業の視察・傘下クランとのやり取りなどやることは尽きなかったが超効率化した動きによって、どんどんと仕事を終わらせていった。また溜まっている依頼にも全て目を通し、クランメンバーに振り分けたり、却下したり、帰ってきてから取り掛かれそうなものに至っては保留にした。本来は依頼主がギルドへと依頼し、それを受けるのが冒険者としてあるべき姿なのかもしれないが稀に有名なクランや軍団に対してギルドを介さず直接、依頼をしてくる者もいる。ギルド側としては仲介手数料が主な収入源となっている為、冒険者と依頼主が直接やり取りをするのはあまり良い顔をしないと思われがちだが決してそんなことはない。ギルドが設けた規約には直接依頼の禁止という項目は存在さず、また下手にそれを禁止して高ランク冒険者の機嫌を損ねてしまい拠点を変えるなどの損害を被ることを考えれば、咎める気など最初から起きないのである。だから、こうして"黒天の星"には日夜、依頼が舞い込んでくるのだ。ちなみに"黒の系譜"に対しても依頼がくるのだが、その場合は希望する傘下クランへと回したりしている。依頼主側からすれば1つのクランに依頼をしても断られる可能性がある為、軍団に対して依頼を出すこともある。そうすれば、傘下クランのどこかしらが引き受けてくれるかもしれない。しかもこと"黒の系譜"に至っては世界を救った英雄が所属しているのだ。当然、その英雄が選んだ傘下クランにも期待が寄せられるというものである。
「じゃあ行ってくるわ」
「留守の間は頼みましたよ」
「無理だけはなさらぬようにね」
出発の時が訪れ、シンヤ・ティア・サラは三者三様の言葉を残し、同行するメンバー達を伴ってクランハウスの敷地内から外に出た。そこから少し歩き、振り返ると見送りのメンバー達は未だにその場を動かず、手を振りながら
「「「「「行ってらっしゃい!!!!!」」」」」
と大きな声で送り出してくれていた。
――――――――――――――――――――
「やっぱり運転はいいね」
「だろう?練習ではこんな道、走らなかったから余計に楽しく感じるだろ」
「うん。普段、歩きや馬車で通るような道を車で走ると爽快感があるね」
前回の依頼の時と同様、今回も事前に同行するメンバー達には車の運転の練習をさせていた。するとやはりというべきか、すぐにコツを覚え、運転を楽しむようになっていった。その為、ハンドルの取り合いにならないよう交代で運転することに決め、結果的に最初はニーベルが務めることになったのだ。
「シンヤ、進路は?」
「このまま真っ直ぐ北上する。何か面白いものを見つけたり、トラブルが起こらない限り、止まることはないだろう」
「ちなみにあれは?」
ニーベルはここから少し進んだ先の方に見える光景を目で示しながら言った。ソワソワとしているメンバー達は既にそこに気が付き、一部自分の武器を撫で回している者もいる。シンヤはチラッと全員の様子を見ながら、こう言った。
「とりあえず、近くで止まって様子を窺おう。話はそれからだ」
12
あなたにおすすめの小説
ハーレムキング
チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。
効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。
日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。
青年は今日も女の子を口説き回る。
「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」
「変な人!」
※2025/6/6 完結。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
イレギュラーから始まるポンコツハンター 〜Fランクハンターが英雄を目指したら〜
KeyBow
ファンタジー
遡ること20年前、世界中に突如として同時に多数のダンジョンが出現し、人々を混乱に陥れた。そのダンジョンから湧き出る魔物たちは、生活を脅かし、冒険者たちの誕生を促した。
主人公、市河銀治は、最低ランクのハンターとして日々を生き抜く高校生。彼の家計を支えるため、ダンジョンに潜り続けるが、その実力は周囲から「洋梨」と揶揄されるほどの弱さだ。しかし、銀治の心には、行方不明の父親を思う強い思いがあった。
ある日、クラスメイトの春森新司からレイド戦への参加を強要され、銀治は不安を抱えながらも挑むことを決意する。しかし、待ち受けていたのは予想外の強敵と仲間たちの裏切り。絶望的な状況で、銀治は新たなスキルを手に入れ、運命を切り開くために立ち上がる。
果たして、彼は仲間たちを救い、自らの運命を変えることができるのか?友情、裏切り、そして成長を描くアクションファンタジーここに始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる