幸せってひとそれぞれ。

うー

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2・嘘、ではないのか

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「うぅん…。」


「あ、起きたかな?」
「お?」


なんだか背中が痛い。それになんだか土と獣の臭いがするし、話し声がするような。


「それにしても、珍しいよねこの色。」
「だな。」
「おい、そんなに近づくな。」
「なになにザック、やきもちぃ?」
「…なんでそうなる。得体も知れないものに近づくな、と言っているんだ。」
「ほほう。」
「こんなに可愛いのに、無害でしょこの子。」
「…なぜ言い切れるんだ。」


声がする…。うーん。


「…っ!ひょえぇー!!」


ぱちりと目を開けると、すぐそばに美少年がいました。


「あ、起きた。なになにー、その叫び。」
「ひょえー、だってよ。かーわい。」
「…鳴き声か?」

「な、ななな。」

「よし、落ち着け。」
「深呼吸だよ、可愛い子。」
「…。」

「なんじゃここ!!そして誰ですか!?」


美少年とワイルドダンディと不機嫌な美形が私を見ているこの状況、いったいなんですか。説明求む、だれか!!


「元気がいい娘っ子だな。」
「だねー。」
「…落ち着け。」
 

説明求む!!!


とりあえず、深呼吸しといた。無意味に顔も叩いてみた、痛い…。え、ということは…この状況、夢じゃない…。


「可愛い顔が赤くなってんぜ娘っ子。急にどうした?」
「すごい音がしたね、ふふ。」
「…。」


喋ってるし、この人たちは生きているし。ここは夢の世界でもない。待って、私この状況になる前に何してたんだっけ。

勤続2年になる小さな会社の事務で働いて、帰宅前にスーパーに寄ったでしょ?よっしゃー今日は贅沢にビーフシチューをじっくりことこと作るぞー、と意気込んで買い物した、と。…あ、スーパーから家に行く途中で…子供が車に…。


「私、死んだのか…。」

「…これまた急にどうした。」
「しゅん、ってしてるね、それに発言がやばい。」
「…情緒不安定だな。」


子どもは助かったのかな…?


『 ―助かりました。』

「っ!?」


心で投じた疑問に答えが返ってきた。頭に響くような透き通った声が。


「ほんとう!?なら私は…。」

『えぇ、ありがとうございました。結香、あなた自身の寿命はもっと長かったのですが…こんな事になってしまい、申し訳ない。お詫びに別の世界へ連れ出すことであなたのこれからを救うかたちになりました。』

「あの子が助かったのなら…ん?別の世界…え!?」

『あなたの様に純粋で高貴な魂はとても珍しいのです。神会議で満場一致で異世界転移が決まりました。これからも皆見守りたいと、あなたへのギフトの量が異例で、私も困っています。』

「…すみません、もう意味がわかりません。」

『ふふふ、そうですね、気にしないで下さい。私からこのペンダントを送ります、それに念じてもらえれば、いつでも私と話せます。』


空中が急にまばゆい光に包まれ、私に降り注ぐ。ふと、首元の重みを感じて触ると、ひやりと触れるものがそこに。持ち上げてみると、ビー玉ほどの雫型が、赤のような緑のような黒い不思議な色合いできらりと輝いていた。


「ありがとうございます?」

『ふふ、愛し子よ。あなたの未来に幸あらんことを。』


と、綺麗な声と光は消えていったのだ。何だったの…頭がパンクしそう。待って…“カミ”とか言ってなかった?

…えぇ、そうですね。このような場合、『 神 』がしっくりきますよね、えぇ。…神様と話しちゃったのか、私。





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