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4・えーと、つまり?
しおりを挟む「とりあえず、私がいる場所は分かりました。でも何をすればいいのやら…。あと、これからどうなるのでしょうか。」
不安、この一言に尽きる。
「んー、ユウカはこれから僕たちと一緒に城へ行って王と会う感じかなぁ。」
「なぁに、ただの挨拶だ。安心しな。」
「…俺たちも一緒に行く。」
「…王って国王様?」
「そうそう、国王陛下。」
「やっほー迷い人だよ、って感じで平気だと思うぞ。」
「…紹介は任せろ。ユウカは一緒に来てくれれば大丈夫だ。」
「…ザック、頼んだよ、私の生活の平和は君にかかっている気がする。頼んだよ…。」
「…悪い奴らじゃないんだ。」
「わかっているさ…あなたも大変ですね。」
ザックとなんだか以心伝心をした瞬間だった。
まぁ、まずは他の隊の奴らが集合したら行こうな。と、たいちょーさん。
なんと野外訓練中であったとのこと、今いる所がゴール地点なのだそうだ。あと30分もすれば皆集まるだろうと、たき火をして訓練終わりの軽食を作ろうとしていたらしい。ザックは薪集めの最中に私が空から光と共に降ってくるのを見事その両腕でキャッチしたんだって。なんだか覚えてないけど、お世話になって、ありがとうございました。
「ユウカは料理する?」
「んー、それなりにね。」
「へぇ!じゃあ手伝ってくれる?そこの2人がつくると料理が全部黒くなるから大変なんだよー。」
「黒く…。」
「そう…不思議だよね。じゃあよろしくね。」
「うん、頑張る。」
作るもの全てが黒くなるとか…暗黒魔術の使い手なのかな…。
「何作るの?」
「簡単なスープだよ。具材を切って煮て味付けるだけー。」
「簡単というかなんというか…。ジュリ、もしよかったら私に任せてもらえる?」
「え、いいの?実は僕も料理は得意じゃないんだよ…でもそこの2人よりはましだからさ…。」
「…よしよし、よく頑張ってたねジュリ。私がやってみるよ。器具とか使い慣れてないから教えてくれる?」
「うぅ、ありがとう…。もちろんさっ!」
かわいい。かわいさパワーもらって私頑張るよ!
料理人じゃないけど、いくらかましなものはつくれるだろう…きっと。
ジュリにいろいろ聞きつつ、たいちょーさんにちょっかい出されながら作りました。ザックはちらちらこっちを見てた。
オニオンもどきスープを作りました。支給されたそうなカッチカチの固いパンを切って入れてみるのもよし、だと思う。味見したし。
まずは、たいちょーさんに。
「たいちょーさん、味見してくれますか?」
「お、もちろん。どれどれ。」
と、小さめのお皿に盛り付け、たいちょーさんへ渡す。ダンディだなぁと思いつつ見つめていると、目を見開く様子がとれた。
「娘っ子!!!なんだこれ、うまいぞ!最高!もっとくれ!」
「ぐはっ!」
お、おおう。すごい勢いで私を抱きしめに来たたいちょーさん。身長が高いから、いいおっぱいが顔に当たります、柔らかさなんて微塵もないけど。
「隊長!ユウカが潰れます!」
「そうだ!離れて!今すぐ!」
「おぉ、悪い悪い、つい。すまんな娘っ子。」
「い、いえ。」
あぁ…おっぱい、さようなら。
「そんなにうまかったのか、隊長。」
「あぁ!こんなにうまいスープは初めてだ!」
「へぇ!僕ものみたい!」
「…は、はい、どうぞ。」
圧がすごい。ザックとジュリの分もよそって渡しつつ、たいちょーさんにはおかわりを。…あれ、これ隊員さん全員に行きわたるかな…足りないかな…もっと作る?え?
「っ!!」
「美味しいーーー!!!」
「よかった?です。…あの、これ足ります?もっと作った方がいいですかね…?」
「確かに。皆おかわり祭りだな、こりゃあ。」
「もう一つ鍋があるから作ってもらう?」
「…賛成だ。」
「おかわり祭り…作りますね。」
きっと激しい祭り…いや戦いになるだろう。
ジュリに手伝ってもらいながら、もうひと鍋分を作成。よし、味はオッケー。あとは皆さんが来るのを待つだけ。
「悪いなぁ娘っ子。あとで上手い菓子をごちそうさせてくれ。」
「美味しいお菓子!!たいちょーさん!楽しみ!」
「はははっ!かわいいなぁ娘っ子は。今度うちのにも会わせたいなぁ。」
「あっ隊長ずるい!」とジュリが騒いでいる。
いやいやそれより美味しい異世界お菓子…いっけね、よだれが。
「ん?うちの?」
「あぁ、うちのかみさんだ。可愛いもの好きだからデレデレになるのが目に浮かぶ。」
へぇ、可愛いもの好きのたいちょーさんの奥さんか、ちょっと見てみたいな。
「機会があればぜひ!」
「おぉ、そうだな。」と、また頭をなでなでされました。
そんなこんなでお話したり、ちょっかい出されたりして待っていると、ちらほら戻ってくる人が。
皆さんボロボロでした。なんで隊長、副隊長はあんなにぴんぴんなの…。
1人1人へスープを配ると、器を両手で大事そうに持ち涙を浮かべる人や、キラキラした瞳で見つめてくる人やらなんともくすぐったい反応をされた。どんな訓練なの、この訓練。鬼畜な計画だったんだなきっと。誰が考えたの…あっ…なるほど、皆さんお疲れさま。
スープを口に含んだ人から涙を流すという、なんだろう、ほんとお疲れ様でした。
「たいちょーさん…。」
「なんだ娘っ子。」
「皆さん、私の事なんとも思わないんですか?普通こんなところに私みたいな者いないでしょう?」
「ははっ、そうだな。でも大丈夫だ。あのジュリーがあんな表情で話すくらいだ。あと念話で伝えてあるからな。」
「ジュリが?…念話…なるほど魔法な感じですね。」
「そうジュリーが。魔法だな。」
「ふぅん…。あとで色々見せてください。」
「可愛いな娘っ子は。」
色々考えるのを止めときました。案の定ジュリはこちらを見てきていますし…かわいい。
あと、たいちょーさんは頭を撫でるのがくせなのかな?
ザックは隊員さん達と一緒になってスープをおかわりしています。いつの間に。
3つの鍋はあっという間にすっからかんになり、皆さん幸せそうな顔をしています。
「…やっぱり君は迷い人に違いない。」
これまたいつの間にかそばにいたザックは、周りを見渡しながら私につぶやきます。
「え?どうしたのザック」ジュリに。
「ほほう、その心は。」たいちょーさんも。
「あいつらのこんなにも幸せそうな顔を見たのは初めだ。“幸せを運ぶ”が迷い人、だろ?」
ザックのその言葉に、たいちょーさんとジュリは顔を見合わせ、「違いない。」と微笑み合った。
なるほど、こういう幸せの導き方もあるのね、と私は気づかされた。
そっと胸元に光る雫に誓う、私なりの幸せを導きます、と。
いつかあなた方にもご馳走できるかな、神様。なんて、おこがましいか!でも私を助けてくれてありがとうって気持ちが伝わっているといいな。そんな私の思いに雫がキラッと煌めいた気がした。
片付けを手伝おうとすると、いつの間にかたいちょーさんの膝の上に座っていました。早業でした。
あと、私24歳です、と伝えると皆さんびっくりして少し時が止まったよ。何歳にみえてたのよ、え?
紳士な騎士様たちは女性に重いものなど持たせられない、と、あれ、さっきまでボロボロでしたよね?というくらいにきびきび動いてました。
城でもまたひと悶着あったんですよ。
実はたいちょーさんが王様の弟だったり。あ、王様は絶対腹黒。たいちょーさんの奥さんは超絶美人の元騎士で最恐説濃厚です。
ジュリは精霊使いで人の良し悪しがわかってしまうハーフエルフさんでした、美少年なはずだよ!
ザックは最強美人なお姉様に鍛えられたせいで軽く女性恐怖症なんだと発覚、だからいつも不機嫌そうだったのね。美形がもったいない。なんやかんやあって、そんなザックと恋に落ちるのはまた別のお話。
『-今度の神会議にユウカ呼んじゃいましょうか。さてさて、どんな料理をふるまってくれるのか…。』と、神が権力を振りかざして自由に暴走し始めるのも近い未来です。
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