生意気坊っちゃまの護衛は大変です。

カロット

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「ぬぎゃぁああああああ!!」

とある王都の一等地。
そこに居を構える豪邸の中庭の一画で、猫が尻尾を踏まれた様な絶叫が木霊した。

「何しやがりますかぁ!」
「えー、剣なんて無くても使える武器は何でも使え!そう言ったのはクロエじゃ無いかぁ」
「それで武器が無くなったからって、カンチョーはないわ!」
「もー、あー言えばこー言う」

クソガキの頭を小突きつつ、皺を直すフリで食い込んだパンツを元に戻す。
一様これでも乙女な訳で、後数センチズレていれば結構悲惨な事になっていたぞ....。

「イタイなぁ」
「...はぁ、坊ちゃん、そろそろ日が暮れますし、訓練も程々にしないと夕飯に遅れます、風呂だって入らないといけません」
「もうちょっとやろうよー、もう一つ新しい必殺技考えたんだぁ僕」
「....因みにどんな技なんで?」
「あのね、鼻くそポイポイって言って「...もういいです!」..えー」
どこの世界に武器が鼻くその貴族が居るんだ...。
ご当主さまにそんなものを見られたら、一気に私の首が飛ぶ。
そんな意味では必殺技だった...。

この屋敷へ来て早2年。
未だに私の主人である、カリオス坊っちゃまには手を焼かされてばかりである。
ある時期から貴族の子息の癖に市内を歩き回るのが好きになったらしく、
止めたら止めたで1人で勝手に屋敷の外へ出て行く始末。

手を焼いたご当主様が苦肉の策として護衛兼剣術指南役として雇ったのが、
その時期隣国の戦争で深手を置い、
傭兵として飯を食うには後遺症で荷が重くなり
実家のある王都で職を探していた私だった。

傭兵時代よりも下手をすれば良い給料と、
市内を回る貴族の子供のお守りと思って気楽に飛びつけば、
まさかここまで悪ガキだとは....。
今から過去の自分に手紙を送れるなら、
まだ父の店を継いで鼻歌交じりに八百屋でもやれと、
そう書きなぐって送ることだろう。

私の背後へ回ってまたクソ技の構えを取りたしたクソガキの襟を掴み、
屋敷の中へと引きずっていく。
こんなわんぱく坊主が貴族の...
伯爵家の子息だとは、今だにとても信じたくなかった。

屋敷へ入った私は近くのメイドさんに坊っちゃまを押し付けると、
使用人用に用意された狭い更衣室で軽く汗を拭いてから自分に割り当てられた部屋へと戻る。

坊っちゃまのお守り以外、これと言って決まった仕事は無く、
たまに薪割りや力仕事など、使用人に混ざって手伝わされるだけ、
三食寝床と週に一度の風呂の使用も許されている。
こうして1人、自室が与えられて居るのは、
けっこう恵まれた職場環境なのだろう。

備え付けのベットへ座り、日中履きっぱなしだったブーツを脱ぐ。
硬くなった足を揉むとムワッと乙女的に鼻を背けたくなる様な匂いが広がった...。
反射的に靴下を脱いで部屋の隅へ放る。

「.....捨てよ」

ベットへ四肢を投げ出し目を閉じる。

この後は使用人皆で夕飯の後、
少し実家の両親に手紙でも書こう、
そろそろ送らなければ顔を見に来かねない時期だ。
心配ばかりさせてもいれないし...だが、眠いな...。


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