滅亡世界の魔装設計士 ~五体不満足で転生した設計士は、魔装を設計し最強へと成り上がる~

高美濃 四間

文字の大きさ
55 / 251
第四章 ライトニングハウンド

因縁

しおりを挟む
 その日、ハナは廃墟と化した村の外れを歩いていた。
 以前、シュウゴが撃退したカオスキメラが再び現れたという情報があり、クエストを受けたのだ。
 特にカオスキメラに興味はなかったが、なんとなくシュウゴの顔が思い浮かび受けていた。

 ハナが歩いているのは村から出てすぐの荒野で、ゴツゴツと不格好で大きな岩が転がっている。
 その先は霧が濃くなり、討伐隊も未だに進めていない。
 以前であればまっすぐ進むと大規模な都市があったはずだが、霧の中では方向感覚が狂い思うように進めないようだ。

 ハナは歩きながらシュウゴたちのことを思い出す。

(いい人たちだったなぁ……メイちゃんは純粋で可愛らしいし、デュラくんは犬みたいにシュウゴくんべったりで面白いし……それに、シュウゴくん……)

 ハナは立ち止まり胸に手を当てた。
 なんだか不思議と温かい気持ちになってくる。
 しかし今はクエスト中。
 ハナは気を引き締め直し、再び歩き始める。

 次第にハナは胸騒ぎを感じるようになった。
 目撃情報のあった場所は既に過ぎているというのに、カオスキメラの姿がどこにもない。
 ハナは不審に思って立ち止まると、周囲を見回した。
 すると、激しく争った跡を見つけ、そして――

「――えっ?」

 ある岩の影に死骸を見つけた。それは……『カオスキメラ』の死骸だった。

(そんな……一体誰がクラスBを……)

 バクバクと不安に暴れる心臓の音を無視しながら慎重に近づいていく。

「――ガルゥゥゥ」

 突如、ハナの背後から猛獣の唸り声が響き、なにかがドスンッ!と着地する。
 ハナは緊張に頬を強張らせながら背後を振り向いた。

「っ!?」

「――ガオォォォォォォォォォォンッ!」

 ――――――――――

 その日、隼の修復が完了し、シュウゴはすぐにシモンの鍛冶屋で換装を済ませた。
 メイはそろそろ孤児院での仕事が終わる頃だが、デュラが迎えに行っている。
 シモンは最後に、隼の稼働を確かめながら言った。

「結局、あの鉱石がどんな性質を秘めてるのか分からなかったよ」

「そうか……まぁただの硬い石ってだけかもな」

「とりあえず、隼の補強には十分の硬度だから存分に使ったよ。でも次からあまり無茶するなよ? 金のなる木がなくなったんじゃ商売上がったりだ」

「余計な一言を付け加えるなよ」

 二人はゲラゲラと笑い合う。
 シュウゴが鍛冶屋を出ると、夕方の商業区は人通りがやけに多かった。
 特にハンターらしき恰好の者が多く、誰もが不満だったり恐怖だったりを表情に出していた。
 変な胸騒ぎがする。
 不穏な空気から察するに、なにかが起こっているのは間違いない。
 そこで、道行くハンターをつかまえて聞いてみると、「一時的にフィールドへの転移禁止」となったようだ。
 彼はフィールドで討伐隊に声をかけられ、今すぐ町へ戻るよう圧力をかけられたらしい。
 シュウゴはその理由を知るべく彼らの向かう場所、中央広場へ向かった。

「――メイ! デュラ!」

 シュウゴが広場に到着すると掲示板に群がる人だかりの中にメイとデュラを見つけた。
 二人はシュウゴの声に反応し、人込みを掻き分けてシュウゴの元へ駆け寄る。
 メイは動揺に瞳を揺らしていた。

「お兄様、大変なことになってるようです……」

「張り紙が読めたのか? 一体なにがあったんだ?」

「『ベヒーモス』が廃墟と化した村に出現したと」

「なに!?」

 シュウゴはクラスAモンスターの出現に戦慄する。
 だがそれに加えて気がかりなことができた。

「まさか、ベヒーモス討伐のクエストが発注されたんじゃ!?」

「い、いえ。むしろその逆で、一時的にクエスト受注とフィールドへの転移を停止し、まだ村にいる人たちは討伐隊が即刻帰るよう、呼びかけて回っているようです」

「そうか……」

 それを聞いてもシュウゴの胸騒ぎは収まらなかった。

「……ハナは? ハナの姿を見たか?」

「い、いえ……」

 メイとデュラは気まずそうに首を横へ振る。

「くっ!」

 シュウゴは紹介所へと駆け出した。
 無用な心配である可能性が高い。
 それに村への転移が禁止されている以上、カムラで彼女の姿を探すぐらいしか今のシュウゴにできることはない。
 だがそれでも、一度は仲間になった人を放置するなんてできなかった。

「あんな思い、もう二度としたくない!」

 シュウゴの脳裏にアンとリンの絶望に彩られた顔が蘇り、胸を締めつける。
 あのとき誓ったのだ。
 もう二度と仲間を傷つけさせたりしないと。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

処理中です...