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最終章 逆襲の投資家
復讐の結末
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広間には既に、武装した大勢のエデン国民が押しかけていた。
「なるほど確かに」
オーキは感心したように頷く。
彼らの武装を見るに、潤沢な資金がつぎ込まれていることがよく分かる。
オーキは側近たちに目配せし、キグスを彼らの元へ放り投げさせた。
「ぎゃっ!」
無様な悲鳴を上げるキグス。
先頭のハンターたちは驚いた様子だったが、慌てて逃げようとするキグスを取り押さえた。
その様子をオーキは満足げに眺める。だが決して、それをおとりに逃げようとはしない。
「……下がっていろ」
オーキは、背後の騎士たちに短く告げると剣を強く握り、ゆっくりと反乱者たちの元へ歩き出す。
彼が素早く民衆を見回していくと、その中に目的の人物を見つけた。
焦げ茶色のマントを羽織った不審な人物。
フードの奥に光る目と合った。
「ランダぁぁぁぁぁっ!」
そして旧友の名を叫び、オーキは剣を振り上げて駆け出した。
猛然と駆け出す王に、ざわざわと浮足立つ民たち。
しかしランダーは目に焼き付けるかのように、オーキの姿をジッと見つめ微動だにしない。
そのとき、彼の目の前を紅の閃光が走り、一陣の疾風が先頭へと駆け抜けた。
――キイィィィンッ!
激しく重い金属音が鳴り響く。
次の瞬間、オーキとつばぜり合っている一人の女騎士の姿があった。
「……君か、アリサ」
「オーキ騎士団長、お覚悟を」
「ふっ、騎士団長か。やはり、それが俺に一番合っているな」
オーキは懐かしさに頬を緩めて言うと、力づくで剣を押し返した。
アリサは数歩下がる。
「お久しぶりです」
アリサは剣の切っ先をオーキへ向けて言った。
「どうりで並の騎士では勝てないわけだ」
二人は踏み込み、無数の剣閃を走らせる。
芸術とまで言える、剣の軌跡が美しく宙に描かれた。
「あの懐かしい日々に戻りたいな。そうすれば、君から剣を向けられるなんていう、悲しい結末にはならなかっただろに!」
絶体絶命の状況だというのに、オーキは生き生きとしていた。
「しかしあなたは間違いを犯してしまった。私はそれを許せない」
アリサの鋭い突きをオーキはかろうじて受け流し、カウンターを放つ。
しかしそれは届かない。
凄まじい速度で繰り出される斬撃が、強力な衝撃となって空間を揺らす。
その頂上決戦を前に、誰もが固唾をのんで見守るしかなかった。
「ランダーのためか?」
「言うまでもありません」
オーキの表情がわずかに歪み、太刀筋が変化する。
アリサはあくまで冷静に、その重い連撃を受け流していく。
「本当は玉座などではなく、ただ君の心が欲しかった。それだけだったんだ!」
オーキから放たれた渾身の一撃をアリサは全力で受け止めた。
あまりの威力に腕が痺れる。
「申し訳ありません」
「残念だ」
アリサが寂しそうに眉尻を下げて告げると、オーキはふっと頬を緩め、力を込めて押し飛ばした。
アリサは力の流れに逆らわず飛び退く。
「……手加減はなしだ、アリサ」
オーキは大きく息を吸うと、アリサを見据え駆け出した。
乾坤一擲。
彼は守りを捨て、次の一撃にすべてをかけようとしている。
「百も承知」
アリサは片足を引き腰を落とす。
オーキの一挙手一投足を逃すまいと、全神経をこの一瞬に注ぎ込んだ。
そして――
――キイィィィィィンッ!!
決着は一瞬だった。
「――私は、敬愛する主のために、倒れるわけにはいかないのです」
「……君に敗れるなら、本望だ……」
鈍ってしまった今のオーキの剣では、まっすぐに信念を貫き通したアリサの剣には敵わなかった。
オーキは吐血すると潔く倒れ、背後の民たちが歓喜の雄たけびを上げる。
「見事だ、親友」
オーキの勇姿を最後まで見届けたランダーは、寂しげに呟くと背を向ける。
虚しい逆襲劇は、遂に幕を閉じたのだった。
「なるほど確かに」
オーキは感心したように頷く。
彼らの武装を見るに、潤沢な資金がつぎ込まれていることがよく分かる。
オーキは側近たちに目配せし、キグスを彼らの元へ放り投げさせた。
「ぎゃっ!」
無様な悲鳴を上げるキグス。
先頭のハンターたちは驚いた様子だったが、慌てて逃げようとするキグスを取り押さえた。
その様子をオーキは満足げに眺める。だが決して、それをおとりに逃げようとはしない。
「……下がっていろ」
オーキは、背後の騎士たちに短く告げると剣を強く握り、ゆっくりと反乱者たちの元へ歩き出す。
彼が素早く民衆を見回していくと、その中に目的の人物を見つけた。
焦げ茶色のマントを羽織った不審な人物。
フードの奥に光る目と合った。
「ランダぁぁぁぁぁっ!」
そして旧友の名を叫び、オーキは剣を振り上げて駆け出した。
猛然と駆け出す王に、ざわざわと浮足立つ民たち。
しかしランダーは目に焼き付けるかのように、オーキの姿をジッと見つめ微動だにしない。
そのとき、彼の目の前を紅の閃光が走り、一陣の疾風が先頭へと駆け抜けた。
――キイィィィンッ!
激しく重い金属音が鳴り響く。
次の瞬間、オーキとつばぜり合っている一人の女騎士の姿があった。
「……君か、アリサ」
「オーキ騎士団長、お覚悟を」
「ふっ、騎士団長か。やはり、それが俺に一番合っているな」
オーキは懐かしさに頬を緩めて言うと、力づくで剣を押し返した。
アリサは数歩下がる。
「お久しぶりです」
アリサは剣の切っ先をオーキへ向けて言った。
「どうりで並の騎士では勝てないわけだ」
二人は踏み込み、無数の剣閃を走らせる。
芸術とまで言える、剣の軌跡が美しく宙に描かれた。
「あの懐かしい日々に戻りたいな。そうすれば、君から剣を向けられるなんていう、悲しい結末にはならなかっただろに!」
絶体絶命の状況だというのに、オーキは生き生きとしていた。
「しかしあなたは間違いを犯してしまった。私はそれを許せない」
アリサの鋭い突きをオーキはかろうじて受け流し、カウンターを放つ。
しかしそれは届かない。
凄まじい速度で繰り出される斬撃が、強力な衝撃となって空間を揺らす。
その頂上決戦を前に、誰もが固唾をのんで見守るしかなかった。
「ランダーのためか?」
「言うまでもありません」
オーキの表情がわずかに歪み、太刀筋が変化する。
アリサはあくまで冷静に、その重い連撃を受け流していく。
「本当は玉座などではなく、ただ君の心が欲しかった。それだけだったんだ!」
オーキから放たれた渾身の一撃をアリサは全力で受け止めた。
あまりの威力に腕が痺れる。
「申し訳ありません」
「残念だ」
アリサが寂しそうに眉尻を下げて告げると、オーキはふっと頬を緩め、力を込めて押し飛ばした。
アリサは力の流れに逆らわず飛び退く。
「……手加減はなしだ、アリサ」
オーキは大きく息を吸うと、アリサを見据え駆け出した。
乾坤一擲。
彼は守りを捨て、次の一撃にすべてをかけようとしている。
「百も承知」
アリサは片足を引き腰を落とす。
オーキの一挙手一投足を逃すまいと、全神経をこの一瞬に注ぎ込んだ。
そして――
――キイィィィィィンッ!!
決着は一瞬だった。
「――私は、敬愛する主のために、倒れるわけにはいかないのです」
「……君に敗れるなら、本望だ……」
鈍ってしまった今のオーキの剣では、まっすぐに信念を貫き通したアリサの剣には敵わなかった。
オーキは吐血すると潔く倒れ、背後の民たちが歓喜の雄たけびを上げる。
「見事だ、親友」
オーキの勇姿を最後まで見届けたランダーは、寂しげに呟くと背を向ける。
虚しい逆襲劇は、遂に幕を閉じたのだった。
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