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28話 再来
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俺たちはこの緊急事態を伝えに行くため、獣人の国に向かうことになった。
「なあエンファ、ここから獣人の国まででのくらいの距離があるんだ?」
「そうだなぁ、もしこの魔獣で行くとしたらあと半日はかかるな」
半日か……。カロスが足止めしてくれているおかげで少しだけ余裕はあるが、それでもちょっと時間は厳しいくらいだろう。
ていうか今カロスは五万の敵を相手にしてるんだよな……。やっぱり戻って増援に……いや、ここで戻ったらカロスが足止めしてくれていた意味がなくなってしまう。だからこのカロスがくれた時間を有効に使わなければいけない。
「リウスはもっと早く獣人の国に着きたいのか?」
「そうだな。できる限る早く着いて知らせないと準備とかがな……」
「それならいい方法がある」
すると、エンファは口に手を当て高い音を鳴らした。
エンファは何をやっているんだ?何かを呼んでいるのか?
「多分もうそろそろ来るはず……」
すると、周りの木が揺れ始め、地面も小さく振動を始めた。
「おいおい、お前は一体何を呼んだんだ!?」
次第に振動は大きくなっていき、そして振動を起こしていた生物が俺たちの目の前に現れた。
体中が黒く染まっており、ところどころ赤い線が入っている魔獣。
「グロキュラス……!?」
だが今は前のように暴れることなく、大人しく座って待機している。
「そうだ。こいつの名前はフェロックだ。リウスと戦っていたやつだぞ?」
だよな、そうだよな……。あの時に味わった恐怖は忘れてないぜ……。
魔獣の上に乗っているミミィも、体を細かく振るわせ、顔を伏せている。
「申し訳ないがエンファ、こいつめちゃくちゃ攻撃的じゃないか?」
俺のことを見つけた瞬間襲ってきた相手に気を許すわけにはいかない。
「あのときは機嫌が悪かっただけだ。こいつが食べたがっていた餌をその日はやらずに別の餌に変えたんだ。そしたら急に暴れて飛び出しちまってなぁ。あと少しで捕まえれたっていうときにリウスと戦闘になってさらに逃げちゃったってわけ」
あぁ、だからあの時にエンファは俺に向かって、お前がしたことただで済むと思うなよ、って言ったのか。
「ていうか魔獣と喋れるんだから話してみればいいじゃねぇか」
「いや、確かにそうだけども。普通に怖いんだよ、近づくのが……」
そう言いつつも、俺はゆっくりとグロキュラスに近づいた。
グロキュラスの鼻息が当たるほどの場所まで行き、襲われませんように、と祈りながら目を瞑った。
(なんだお前。魔獣と会話ができるのか?)
(まあな。それでなんでこの前は俺を襲ったんだ?)
まあどうせストレス発散に、とかでも言うんだろうな。
(エンファが俺の好きな肉くれなかったのでな、ストレス発散に襲おうかと)
やっぱりなぁ。まあでもこれでコイツが悪いやつじゃないことはわかった。
(リウスよ。なんだ、そのお詫びと言ってはなんだが、我が獣人の国まで乗せて行ってやろう)
(わかった。それであの件は無しということで。それとお前の名前はフェロックらしいな。俺そう呼んでもいいか?)
(もちろんだ)
俺は目を開けると手のひらをフェロックの額にあて、エンファを見た。
「これで問題は解決だ」
周りにいるファイアーウルフ達は、俺が恐れられているグロキュラスと親しげにしている様子に驚いているようだ。
「それじゃあそろそろ出発……」
「いや、待ってくれ。出発する前に一つしなければいけないことがある」
俺は魔獣に乗り、走らせようとするエンファを止めてフェイの目の前に立った。
「どうしたんですの?」
「うーん、そうだな。フェイってさ、カロスよりも弱いよな」
俺がフェイに向けて放った言葉に、周りにいた者全員が唖然としたのだった。
「なあエンファ、ここから獣人の国まででのくらいの距離があるんだ?」
「そうだなぁ、もしこの魔獣で行くとしたらあと半日はかかるな」
半日か……。カロスが足止めしてくれているおかげで少しだけ余裕はあるが、それでもちょっと時間は厳しいくらいだろう。
ていうか今カロスは五万の敵を相手にしてるんだよな……。やっぱり戻って増援に……いや、ここで戻ったらカロスが足止めしてくれていた意味がなくなってしまう。だからこのカロスがくれた時間を有効に使わなければいけない。
「リウスはもっと早く獣人の国に着きたいのか?」
「そうだな。できる限る早く着いて知らせないと準備とかがな……」
「それならいい方法がある」
すると、エンファは口に手を当て高い音を鳴らした。
エンファは何をやっているんだ?何かを呼んでいるのか?
「多分もうそろそろ来るはず……」
すると、周りの木が揺れ始め、地面も小さく振動を始めた。
「おいおい、お前は一体何を呼んだんだ!?」
次第に振動は大きくなっていき、そして振動を起こしていた生物が俺たちの目の前に現れた。
体中が黒く染まっており、ところどころ赤い線が入っている魔獣。
「グロキュラス……!?」
だが今は前のように暴れることなく、大人しく座って待機している。
「そうだ。こいつの名前はフェロックだ。リウスと戦っていたやつだぞ?」
だよな、そうだよな……。あの時に味わった恐怖は忘れてないぜ……。
魔獣の上に乗っているミミィも、体を細かく振るわせ、顔を伏せている。
「申し訳ないがエンファ、こいつめちゃくちゃ攻撃的じゃないか?」
俺のことを見つけた瞬間襲ってきた相手に気を許すわけにはいかない。
「あのときは機嫌が悪かっただけだ。こいつが食べたがっていた餌をその日はやらずに別の餌に変えたんだ。そしたら急に暴れて飛び出しちまってなぁ。あと少しで捕まえれたっていうときにリウスと戦闘になってさらに逃げちゃったってわけ」
あぁ、だからあの時にエンファは俺に向かって、お前がしたことただで済むと思うなよ、って言ったのか。
「ていうか魔獣と喋れるんだから話してみればいいじゃねぇか」
「いや、確かにそうだけども。普通に怖いんだよ、近づくのが……」
そう言いつつも、俺はゆっくりとグロキュラスに近づいた。
グロキュラスの鼻息が当たるほどの場所まで行き、襲われませんように、と祈りながら目を瞑った。
(なんだお前。魔獣と会話ができるのか?)
(まあな。それでなんでこの前は俺を襲ったんだ?)
まあどうせストレス発散に、とかでも言うんだろうな。
(エンファが俺の好きな肉くれなかったのでな、ストレス発散に襲おうかと)
やっぱりなぁ。まあでもこれでコイツが悪いやつじゃないことはわかった。
(リウスよ。なんだ、そのお詫びと言ってはなんだが、我が獣人の国まで乗せて行ってやろう)
(わかった。それであの件は無しということで。それとお前の名前はフェロックらしいな。俺そう呼んでもいいか?)
(もちろんだ)
俺は目を開けると手のひらをフェロックの額にあて、エンファを見た。
「これで問題は解決だ」
周りにいるファイアーウルフ達は、俺が恐れられているグロキュラスと親しげにしている様子に驚いているようだ。
「それじゃあそろそろ出発……」
「いや、待ってくれ。出発する前に一つしなければいけないことがある」
俺は魔獣に乗り、走らせようとするエンファを止めてフェイの目の前に立った。
「どうしたんですの?」
「うーん、そうだな。フェイってさ、カロスよりも弱いよな」
俺がフェイに向けて放った言葉に、周りにいた者全員が唖然としたのだった。
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