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29話 何者
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「うーん、そうだな。フェイってさ、カロスよりも弱いよな」
俺がフェイに向けて放った言葉に、周りにいた者全員が唖然としたのだった。
「リウス様……何をおっしゃっているのですの……?」
急に何を言われているのか意味がわかっていない様子のフェイは、顔をしかめて俺の目を見た。
だが俺はそんなことにはお構いなしに、笑顔で喋り続けた。
「いやさぁ、急に思っちゃったんだけどフェイって皆んなから様付けで呼ばれてるのに強くないなって思っちゃってさ」
俺の異常な行動に辺り一体が静まり返り、風や鳥の鳴き声しか聞こえなくなった。
「リウス様が急にどうなさったのか分かりませんが……私がカロス様より強いわけがないじゃないですの。なんせカロス様は五大魔獣の……」
俺は言葉を遮るように、フェイの腕を掴み顔を息がかかるほどの距離まで近づけた。
「これで決まりだな」
「リウス……急にどうしたんだ?」
俺の行動に心配するエンファをよそに、フェイに向かって追及を始めた。
「どうなさったのかはお前の方だ、普段のフェイなら俺の今の挑発に絶対反論してくるはずだ。私が、カロスなんかに負けるわけがないってな」
俺の言葉を聞くなり、周りにいた者達はフェイの違和感に気づき出し、ざわつき始めた。
「そういうことでだ。お前はフェイではない。一体何者だ?フェイに化けているのか取り憑いているのか知らないが、早く正体を言え」
絶対に放さない、という意味でフェイを掴む俺の腕の力がさらに強まった。
「さあ、早く正体を……」
「クハハハ……ハハハハハッ!」
緊張が漂う空気の中で、フェイの姿をした何者かは俺に掴まれていない手を腹にあて、大声で笑い出した。
「君すごいよ!余の幻が見破られたのは君が初めてだ!」
目の前で俺を称える何者かは、フェイの姿から別の姿にゆっくりと変わっていき、正体を表した。
そこにいたのは、腰ぐらいまである長い髪で右目を隠し、黒い服を着る女だった。
謎の女が現れたことにより、周りがさらにざわつき始めた。
「あぁ、そう言えば君は余の正体が知りたいんだっけ?いいよ、教えてあげる。私がギルド順位四位の副リーダー、ナーシャだよ」
俺はこの女の正体を聞き、内心で舌打ちをした。
ギルド順位四位の副リーダー……相当な強さを持ってないと副リーダーなどなれない。つまりコイツは……
「自己紹介どうも、ナーシャ。それでお前は何が目的だ……って聞いても俺たちを殺すのが目的だよな」
「いいじゃん、いいじゃん。話が早くて助かるよー。本当は中から殺していって混乱させてやろうと思ったんだけど、バレちゃったなら仕方ないよねぇ」
「何が仕方ないんだ?」
俺の問いかけに、ニヤリと笑って見せ自由な手を服に突っ込み短剣を取り出した。
「ッ!!!」
俺は反射的に短剣を避け、ナーシャの腕を放し、数歩分後ろに下がった。
ナーシャは短剣を顔の近く持っていくと、長い舌を出し冷たい金属を舐めた。
「まさかここで戦闘になるとは思ってなかったけど、まあ余は強いから大丈夫だよねぇ」
周りのファイアーウルフを見渡しながら、獲物を見るかのような鋭い目つきをした。
「おいおい、俺たちをそんな怖い目で睨むなよ。それより一つ質問したいんだが、お前に質問があるんだがフェイをどこにやった。お前が化けていたってことはどこかに監禁していたりするんだろ?」
「はぁ?君何言ってるのかな」
ナーシャは俺に対して意味の分からない、というような表情をした。
「俺が何かおかしなこと言ったか?」
「当たり前じゃん。だって余がとっくの前に殺して食べたもん」
俺がフェイに向けて放った言葉に、周りにいた者全員が唖然としたのだった。
「リウス様……何をおっしゃっているのですの……?」
急に何を言われているのか意味がわかっていない様子のフェイは、顔をしかめて俺の目を見た。
だが俺はそんなことにはお構いなしに、笑顔で喋り続けた。
「いやさぁ、急に思っちゃったんだけどフェイって皆んなから様付けで呼ばれてるのに強くないなって思っちゃってさ」
俺の異常な行動に辺り一体が静まり返り、風や鳥の鳴き声しか聞こえなくなった。
「リウス様が急にどうなさったのか分かりませんが……私がカロス様より強いわけがないじゃないですの。なんせカロス様は五大魔獣の……」
俺は言葉を遮るように、フェイの腕を掴み顔を息がかかるほどの距離まで近づけた。
「これで決まりだな」
「リウス……急にどうしたんだ?」
俺の行動に心配するエンファをよそに、フェイに向かって追及を始めた。
「どうなさったのかはお前の方だ、普段のフェイなら俺の今の挑発に絶対反論してくるはずだ。私が、カロスなんかに負けるわけがないってな」
俺の言葉を聞くなり、周りにいた者達はフェイの違和感に気づき出し、ざわつき始めた。
「そういうことでだ。お前はフェイではない。一体何者だ?フェイに化けているのか取り憑いているのか知らないが、早く正体を言え」
絶対に放さない、という意味でフェイを掴む俺の腕の力がさらに強まった。
「さあ、早く正体を……」
「クハハハ……ハハハハハッ!」
緊張が漂う空気の中で、フェイの姿をした何者かは俺に掴まれていない手を腹にあて、大声で笑い出した。
「君すごいよ!余の幻が見破られたのは君が初めてだ!」
目の前で俺を称える何者かは、フェイの姿から別の姿にゆっくりと変わっていき、正体を表した。
そこにいたのは、腰ぐらいまである長い髪で右目を隠し、黒い服を着る女だった。
謎の女が現れたことにより、周りがさらにざわつき始めた。
「あぁ、そう言えば君は余の正体が知りたいんだっけ?いいよ、教えてあげる。私がギルド順位四位の副リーダー、ナーシャだよ」
俺はこの女の正体を聞き、内心で舌打ちをした。
ギルド順位四位の副リーダー……相当な強さを持ってないと副リーダーなどなれない。つまりコイツは……
「自己紹介どうも、ナーシャ。それでお前は何が目的だ……って聞いても俺たちを殺すのが目的だよな」
「いいじゃん、いいじゃん。話が早くて助かるよー。本当は中から殺していって混乱させてやろうと思ったんだけど、バレちゃったなら仕方ないよねぇ」
「何が仕方ないんだ?」
俺の問いかけに、ニヤリと笑って見せ自由な手を服に突っ込み短剣を取り出した。
「ッ!!!」
俺は反射的に短剣を避け、ナーシャの腕を放し、数歩分後ろに下がった。
ナーシャは短剣を顔の近く持っていくと、長い舌を出し冷たい金属を舐めた。
「まさかここで戦闘になるとは思ってなかったけど、まあ余は強いから大丈夫だよねぇ」
周りのファイアーウルフを見渡しながら、獲物を見るかのような鋭い目つきをした。
「おいおい、俺たちをそんな怖い目で睨むなよ。それより一つ質問したいんだが、お前に質問があるんだがフェイをどこにやった。お前が化けていたってことはどこかに監禁していたりするんだろ?」
「はぁ?君何言ってるのかな」
ナーシャは俺に対して意味の分からない、というような表情をした。
「俺が何かおかしなこと言ったか?」
「当たり前じゃん。だって余がとっくの前に殺して食べたもん」
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