最強魔獣使いとなった俺、全ての魔獣の能力を使えるようになる〜最強魔獣使いになったんで元ギルドを潰してやろうと思います〜

東雲ハヤブサ

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70話 人間じゃない

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 まだ生暖かい赤色の液体が、俺たちに向かって飛び散り、辺りを一瞬にして赤く染めた。

 「全く……戦意を失った奴はどうしようもないな」
 「あの人……仲間を……殺しました……」
 「信じられないですね……。躊躇することなく仲間を殺すなんて、人間じゃない」

 様々な戦場に赴いた覇獣士でさえ、驚きで体が固まってしまっている。

 誰だこいつは……?
 突然現れたと思ったら、仲間の頭を握りつぶす。
 完全に危険人物だ。

 「仲間を殺すなんて、正気とは思えません」
 「仲間?」
 
 ミルマの発した言葉に反応し、長髪の男は俺達を睨む。

 「私に仲間などいない」
 「でもそこに――」
 「勘違いをするなよ魔獣が。貴様ファイアーウルフだろ。人型になったとて頭が魔獣のままだ。だから私が教えてやろう。こいつらは私の所有物だ」
 
 長髪の男は、自分に跪く者達を見下ろすと、まるで嘲笑うかのようにそう言い放った。

 「あとそうだな。向こうで戦っている……ヴァミア、というやつも俺の所有物だ」
 「は……? 貴様ふざけるな!!!」

 顔に血管を浮かばせて、怒声を放つミルマの肩を掴み、俺は一旦落ち着かせた。

 「お前、何者だ」
 「なんだ。私のことを知らないのか。なら教えてやる。私の名はセハンだ。そのちっぽけな脳みそに刻み込むがいい」
 
 こいつがセハンか……!
 こんな危険な奴が支配していた国に住んでいたと思うと、恐ろしいな。

 「ところでお前たち、なぜ戦っていないんだ?」
 「そ、それは……」
 「まさか戦う気が無かったのか?」
 「いえ……そんなことは――」
 「そうだよなぁ。だがもし戦うのをやめたら、お前達もこうなると思え」

 自分の横に横たわる顔のない死体を、足で軽く蹴りながら跪く者たちを見下ろした。

 「そういえば、ひとつだけいい報告が入っていたな。確か、ファイアーウルフのリーダーを殺した、ってな」

 駄目だ。
 落ち着け。
 ミルマを落ち着かせておいて、自分が感情的に動こうとしてどうする。

 「もしかしてお前、そいつと知り合いだったんじゃないのかぁ?」
 「……」
 「その反応! やはり知り合いだな。実に悲しかっただろ? 苦しかっただろ? 敵が苦しむ姿を私は見るのが大好きだ。是非、お前の苦しむ姿も見たかったなぁ。ヒヒヒッ」
 「貴様……!」

 俺は強く拳を握る。
 落ち着け、落ち着け。

 「……なんだ。挑発にのってこないのか。つまらない奴だ。もういい。お前たち、そこにいる奴らを殺せ。そういえば、休んでいた兵士たちにも私から声をかけておいた。しばらくすれば来るはずだ」

 本当に物を見るかのような目で、跪く者達に指示を出すと、反対側を向いて歩き出していった。

 「急で悪いが、覇獣士はあいつらの相手を頼む」
 「オッケー」
 「ミルマは今のうちにヴァミアの元へ行くんだ」
 「分かりました」
 「ゼーラは兵士たちの相手をしてくれ。数は万を超えるが出来るか?」
 「クフフフ……。勿論でございます。雑魚がいくら数を束ねようとも、雑魚なのには変わりがありませんからねぇ」
 「全く頼もしいな」

 さて、俺も暴れるか。
 
 俺は魔獣の力を一気に解放し、足に力を溜める。

 「絶対に殺す」

 溜めた力を迷いなく放出して、セハンに急接近する。

 「全く。所有物が逆らってもらっては困るな。……さて、ヴァミアのところにでも行って――」
 「お前の相手は俺だ。セハン」
 「な……!」

 俺の声でようやく気付いたのか、振り返って長髪を靡かせながら、驚きの表情を俺に向けてきた。
 そしてそんな表情をする顔に、鉱石のように硬化させて炎を纏わせた腕を、打ち込んだ。

 「勝手に所持者になったぐらいで調子にのるなよ」

 

 
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