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#13 共生と連戦
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マクミラ師匠は「モルモリュケーは見かけても攻撃するな」とおっしゃっていた。
モルモリュケーは、狼と似ているが全くの別種族――もともとは異界から渡ってきた移住者で、獣種の言葉もわかるというか、女性の外見は獣種の犬種の狼亜種にそっくりで、会話も可能だという。
男性の外見はほぼ動物の狼だが、男女ともに性格は穏やからしい。
ただし主食は生き物の血で、狩った獲物の血をすすって生きている。
さらに「モルモリュケーの乳」には、子どもを丈夫にする力があるらしく、血を飲ませている間は搾乳もさせてもらえるので、モルモリュケーを呼び寄せるために、贈り物とする動物に流血させるという方法もあるとか。
リテルは見たことはなかったが、知識としては知っていた。それでも死体からも血をすするというのは初耳というか――でもよく考えりゃおかしくはないんだよな。
仲間が倒した獲物から血をすすっているのなら、死体からの吸血なんていつものことなのかも。
「見るのは初めてですが、狩人の師匠から聞いてはいました」
「ルブルムやアルブムも、モルモリュケーの乳を飲ませたのだぞ」
「カエルレウム様、それは初めて知った」
ルブルムさんの声には驚きも嫌悪も感じられない。
死体から血をすすっている現場を見てしまい、うへぇって気持ちになりかけていた自分の非紳士的思考を猛省する。
そういや元の世界では血のソーセージを食べたこともあったじゃないか。自分にとって馴染みがないってだけのことを否定的な感情で受け止めようとするなんて……元の世界の家族みたいで辟易する。俺はあの人たちとは違う。
自分が紳士には程遠いことはとても悔しいけれど、それに今気づけたことに感謝しよう。
「どうやら生き残りは近くには居ないようだな」
そうだ。『魔力感知』!
もっと慣れないと……あっ、モルモリュケーたちが去ってゆくのを感じる。
それともう一つ感じたことがある。『魔力感知』に意識を多めに費やすと、弱まるのは通常の視覚だけじゃなく嗅覚や聴覚もだってこと。しかも意識すると、視覚同様に嗅覚や聴覚も『魔力感知』へ意識を振り分けるか、リアル五感へ振り分けるかをそれぞれ別々にコントロールできるっぽい。
これはこういうシーンではありがたい。嗅覚だけは意識を『魔力感知』へ最大振りをしてなんとかこの場をしのぎたい。
「死体が一つ二つなら森に任せるところだがな、いかんせん数が多い。土に還すぞ」
カエルレウム師匠が周囲を警戒し、ルブルムさんと俺とで埋めることになった。
マドハトは、ぐったりとうずくまっている片腕ゴブリンを捕まえておくというか寄り添っている係。
ルブルムさんが残っている短槍の片方を俺に手渡し、自分でもそれで地面をザクザクと刺し始める。確かに、今あるもので穴を掘るとしたらこれが一番か。でも地面を柔らかくするのはともかく、掻き出すのには物足りない。せめてスコップ……リテルの記憶だと踏み鋤か……そういう道具をパパッと作れないものかな。
「この短槍の先端に取り付けられる踏み鋤の先端部分を魔法で作るってのは、とても難しいことだったりしますか?」
「持ってくる」的な考えだと、ここからストウ村までどのくらいあるか分からないし、そもそも大きな金属の塊なんか持ってきたら、鹿の王様に乗せていただけなくなっちゃうかもだし。
「創造する魔法は難しい。作れる材質は単一で、その構造をよく理解していないといけない。その創造を行えた所で、これだけの量の死体を埋めるまでの時間、継続して維持する魔法代償を計算すると、そこまで寿命の渦を消費する価値があるかどうかだ。持ってくる魔法を使うにしても、火打ち石と火打ち金のように一瞬だけ効果のみを借りてくるのに使用する魔法代償と、道具を実際に取ってくる労力とを比較するべきだな」
なるほど。コスパを考えた思考をしなきゃなんだな。
「ルブルム、リテルはなぜ地面に短槍を刺すだけで土を掻き出さないのかに思考が届いていないようだぞ」
え?
……あー。確かにルブルムさん、刺すだけだ。後でまとめて掻き出すのかなって思ってた。
するとルブルムさんは俺の方をじっと見つめてから血まみれの地面に触れ、消費命を集中、消費した。
さらにそこへ短槍の柄でゴブリンの死体を転がす――沈んだ?
ゴブリンの死体はゆっくりと沈み始めた。まるで泥沼に呑まれてゆくみたいに。ルブルムさんの体に触れていたわけじゃないので、思考は読み取れていないけれど、魔法代償がさほど多くなかったことは『魔力感知』でわかっている。
「地面を沼みたいに変化させたのですか?」
「私は、多くの血が染み込んだ土は、もうほとんど泥沼みたいだなと思った」
そう言いながらルブルムさんは俺の手を取り、その手でまた少し離れた地面へと触れる。また魔法を使う――『血の泥沼』――なるほど。この大量の血も、思考の一部として使ったのか。さすがルブルムさん――ルブルム先輩だ。
「魔法の効果時間は長くない。なるべく多く沈めて」
俺は慌てて周囲のゴブリンの死体を短槍の柄で転がし、『血の泥沼』の中へと落としてゆく。
それを二人で何度か繰り返し、俺も『血の泥沼』を使ってみたりして、一応、地表上のゴブリン死体は全て沈めることができた。
「ルブルム先輩のおかげで、作業がとても早く終わりました。でも色んな魔法があるんですね。ルブルム先輩はどのくらいの数の魔法を覚えているんですか?」
ルブルム先輩は、現場にある様々なモノの中から最適解と思われる魔法を瞬時に選び出した。俺はたまたま手に持っていた短槍にとらわれて、短槍の周辺に思考を閉じてしまっていた。思考を中断はしていなかったけれど、柔軟さを失い短槍の回りだけでぐるぐる回っていた思考は、カエルレウム師匠が注意してくださった「思考を手放す」状態と似たようなものなんじゃないだろうか。
あと同じ魔法を使っているのにも関わらず、俺の方がより多くの消費命を費やしているのも気になった。魔法の熟練度みたいなのがあるのかな?
「今作った」
ルブルム先輩を二度見した。『血の泥沼』を? 今?
「新しい魔法を? え、でも、呪文を使っていなかったですよね……」
熟練すれば無詠唱発動というのは、呪文ごとにではなく、魔法というもの全般に対して?
ああ、俺はまた先入観で自分の可能性を狭めていたのか……色々と恥ずかしい。
「リテルがなぜ驚く。リテルも既に君自身の魔法を作っているではないか。呪文さえ唱えれば使えると、そう考えて発動を試みただろう。だが実際にはその解釈はリテル独自の思考で行っていた。それは新しい魔法以外の何者でもない」
目からウロコだった。
そうか……そうか。
さっき『魔力感知』を外側に向けたときのように、世界が急に広がった感覚を再び味わった。
「……ということは、俺の『血の泥沼』がルブルム先輩よりも多くの魔法代償を要求されたのは、俺の思考が何か足りなかったということなのですね」
熟練度とかじゃなく、思考そのものが。
「ルブルム、リテル、同時に『血の泥沼』を使ってみろ。魔法代償は消費せずにだ」
カエルレウム師匠が両手でそれぞれルブルム先輩と俺の手を取る。
言われた通りに『血の泥沼』の発動を集中し、魔法代償の要求には消費命を渡さないように留めた。
「ふむ。リテルは泥沼になるにはもっと多くの水分が必要だと考えている。実際、本物の泥沼を作る場合はそうだろう。しかし、ルブルムの思考は一時的な泥沼だ。そこが違いだろう」
確かに言われた通りだ。
ルブルム先輩が俺の手を再び取り、もう一度『血の泥沼』発動を集中してくれる……なるほど。干上がるまでに何日間も続く泥沼を作る水分量をベースに考えたとき、わずか一ディヴだけ泥沼に変えるのであれば、その比率を実際の泥沼を作るのに必要な水分量にも当てはめて……そういう思考か。物理的な思考ではなく数学的な思考の印象。
「ありがとうございます。とても勉強になりました」
「リテル、魔術師にとって知識はとても重要だ。しかし知識は時に思考に仕切りを作り、思考の中心を狭い中へ閉じ込める。一つの思考にたどり着いたなら、まずその回りに壁を感じるのだ。そしてその壁の先へも思考を広げるのだ。壁に突き当ることを喜びなさい。壁の向こうにまでたどり着ければ、今の時点にない思考が手に入るということだから」
「はい!」
概念は理解できても実践はなかなかに難しそうな思考。
でも、不可能とは思わない。
俺はまだまだ未熟だけど、このままカエルレウム師匠からも学んでゆければ、もっと柔軟な魔術師になれるような気がする――と、気持ち新たに周囲を見回して、マドハトと片腕のゴブリンが居ないことに気付いた。
「マドハト?」
『魔力感知』を併用しつつ周囲を確認して……見つけた。けど、頭上?
見上げると、二人とも樹の上に登っている。
「ルブルム、リテル、注意するのだ」
カエルレウム師匠の声が厳しさを帯びる。
『魔力感知』を集中すると、範囲内に入ってきた大きな寿命の渦――この雰囲気、見覚えがある。恐らくアルティバティラエ。さっきの奴と一緒に異門を通って来た奴なのか?
短槍をルブルム先輩へと返し、弓を構える。矢筒から矢を二本。一本をつがえて二の矢も薬指と小指との間に挟む。地面スレスレを高速で近づいてくるアルティバティラエ。今度は同じ失敗は繰り返さない。
味方の位置と、射線とを考えつつ俺も動く。アルティバティラエは俺へと向かってくる――そうか。カエルレウム師匠もルブルム先輩も寿命の渦がほとんど感知できないくらいに小さいから、必然的に俺へと向かってくるのか。
弓を引き絞る。
比較的背の高い下生えから飛び出すアルティバティラエに、ルブルム先輩の鋭い突き。今度は俺の矢もアルティバティラエの肩へと命中している。
「リテル!」
カエルレウム師匠の声がさっきよりも切羽詰まっている――そう感じたそのときだった。俺の体は宙へと舞った。
何かが俺を引っ掛けて撥ね上げたようだ。俺の意識は完全にアルティバティラエへと向いていて、横から飛び出してきたソイツには全く気付けなかった。
「リテルさまぁーーー!」
樹上のマドハトの声が、急激に遠ざかる。
俺の体が獣臭い毛皮の上に乗っていることに気付いたのは、その直後だった。
● 主な登場者
・有主利照/リテル
猿種、十五歳。リテルの体と記憶、利照の自意識と記憶とを持つ。
リテルの想いをケティに伝えた後、盛り上がっている途中で呪詛に感染。寄らずの森の魔女様から魔法を習い始めた。
・ケティ
リテルの幼馴染の女子。猿種、十六歳。黒い瞳に黒髪、肌は日焼けで薄い褐色の美人。胸も大きい。
リテルとは両想い。熱を出したリテルを一晩中看病してくれていた。
・ラビツ
久々に南の山を越えてストウ村を訪れた傭兵四人組の一人。ケティの唇を奪った。
・マドハト
ゴブリン魔法『取り替え子』の被害者。ゴド村の住人で、とうとう犬種の体を取り戻した。
ゴブリン時代にリテルに助けられたことを恩に感じ、リテルについてきた。
・ゴブリン
ゴド村のマドハトと魂を入れ替えられていたゴブリン。現在は片腕。
犬種の体に宿っていたとき病弱だったのは、獣種よりもゴブリンの方が短命だったため。
・ルブルム
魔女様の弟子と思われる赤髪の少女。整った顔立ちのクールビューティー。華奢な猿種。
リテルとマクミラ師匠が二人がかりで持ってきた重たい荷物を軽々と持ち上げた。槍を使った戦闘も得意。
・カエルレウム
寄らずの森の魔女様。深い青のストレートロングの髪が膝くらいまである猿種。
魔法の使い方を教えてほしいと請うたリテルへ魔法について解説し始めた。ゴブリンに呪詛を与えた張本人。
・鹿の王
手を合わせて拝みたくなるような圧倒的な荘厳さ、立派な角、存在感の大きな鹿。
リテルたち四人を乗せても軽々と森を駆け抜ける。
・アルティバティラエ
半裸に申し訳程度に白い布をまとい、怪我をした髪の長い獣種の姿に擬態して近づいてきた魔物。
人を捕食する。数日前、カリカンジャロスと共に異門を越えてきたっぽい。
・モルモリュケー
ゴブリンの死体に群がり血をすすっていた。その乳は子供を丈夫にすると重宝される。
男性の外見は狼に、女性は犬種狼亜種によく似ている。
■ はみ出しコラム【トイレ事情】
ホルトゥスにおいては、糞尿は肥料として大切にされている。
そのため農村部においては一般家庭にはトイレはなく、村に共同のトイレが設置され、そこで集められた糞尿を畑にて肥料として活用するのが一般的である。
農村部のトイレは汲取式であり、大きく男女兼用、女性専用の二種類に分かれている。
これは女性の場合、時期によっては糞尿に経血が混ざることがあるためであり、ホルトゥスの農村においては、家畜を屠蓄した際、その血液をも大切に使う(血のソーセージなどがある)ことから、経血入りの糞尿を通常の糞尿よりも「より生命の力が宿った肥料」として重宝する。
畑で催した場合、わざわざ共同トイレまで足を運ばず、土を掘って埋めるのが一般的である。
都市部においては、肥料用の公共トイレは存在するが、使用人を雇えるような中層以上の屋敷においては、各屋敷毎にトイレを持つことも少なくない。
屋敷トイレの場合、その部屋にはトイレとして使用する陶器の容れ物が幾つか置かれ、その中に用を足し、普段は蓋を閉じておく。肥料を買い取りに業者が来た際にはそれを外へと持ち出し、中身を受け渡し、またトイレ容器を部屋に戻す。
・匂い消し
屋敷トイレを有する屋敷の持ち主が裕福である場合、「香り粉」や「香水」をトイレに持ち込んで使用する場合も少なくない。
「香り粉」とは、植物などを乾燥しすり潰した粉状のお香で、これを用いる場合は台所より炭の欠片をもらい、トイレへと持ち込んだ後で、上から香り粉をかけると、お香が燻されて香りを出すというもの。
「香水」は、花など植物から精製したものを油に溶かしたもので、「香り粉」よりも高価。
・水洗トイレ
大きな都市になると上水道・下水道の施設が充実しており、公共トイレ、屋敷トイレともに、水洗化されていたりする。
とはいえ、それは水の流れる溝であり、便座のようなものが設置されることは稀で、大抵が溝にまたがって垂れ流すスタイルである。
公共のトイレは、公共の風呂のすぐ脇に設置されていることが多く、風呂の排水を水洗用に二次利用している。
・局部を洗うもの
野外においては草葉、水洗式の場合は手指をもって拭く。手指は下水の水でいったん洗う。外で採取した柔らかく広い葉をトイレ用として用いる富裕層もいる。
また富裕層や貴族においては、海辺の地域にて採取されるスポンゴスという海藻を革袋に入れて携帯し、それに水を含ませて使用する場合もある。お財布事情によっては、スポンゴスが再利用されることもある。
・その他の肥料
糞尿以外にも、カエメン灰を用いた灰肥や、刈った植物を肥料とする緑肥、また動物の骨をもとにした骨肥、またグアノと呼ばれる動物の糞が堆積して化石化した希少な肥料も一部地域では使用されている。
・三圃式農業
リテルの住むストウ村を始め、魔物の被害が比較的少ない地域では、二種類の作物と休耕とを交互に繰り返し土地が痩せないように運用することが多い。
野山には魔物が出現することが多いため、規模の大きな放牧は行えず、安全に飼育できる家畜にも限度がある。
そのため人糞が重要視されている。
モルモリュケーは、狼と似ているが全くの別種族――もともとは異界から渡ってきた移住者で、獣種の言葉もわかるというか、女性の外見は獣種の犬種の狼亜種にそっくりで、会話も可能だという。
男性の外見はほぼ動物の狼だが、男女ともに性格は穏やからしい。
ただし主食は生き物の血で、狩った獲物の血をすすって生きている。
さらに「モルモリュケーの乳」には、子どもを丈夫にする力があるらしく、血を飲ませている間は搾乳もさせてもらえるので、モルモリュケーを呼び寄せるために、贈り物とする動物に流血させるという方法もあるとか。
リテルは見たことはなかったが、知識としては知っていた。それでも死体からも血をすするというのは初耳というか――でもよく考えりゃおかしくはないんだよな。
仲間が倒した獲物から血をすすっているのなら、死体からの吸血なんていつものことなのかも。
「見るのは初めてですが、狩人の師匠から聞いてはいました」
「ルブルムやアルブムも、モルモリュケーの乳を飲ませたのだぞ」
「カエルレウム様、それは初めて知った」
ルブルムさんの声には驚きも嫌悪も感じられない。
死体から血をすすっている現場を見てしまい、うへぇって気持ちになりかけていた自分の非紳士的思考を猛省する。
そういや元の世界では血のソーセージを食べたこともあったじゃないか。自分にとって馴染みがないってだけのことを否定的な感情で受け止めようとするなんて……元の世界の家族みたいで辟易する。俺はあの人たちとは違う。
自分が紳士には程遠いことはとても悔しいけれど、それに今気づけたことに感謝しよう。
「どうやら生き残りは近くには居ないようだな」
そうだ。『魔力感知』!
もっと慣れないと……あっ、モルモリュケーたちが去ってゆくのを感じる。
それともう一つ感じたことがある。『魔力感知』に意識を多めに費やすと、弱まるのは通常の視覚だけじゃなく嗅覚や聴覚もだってこと。しかも意識すると、視覚同様に嗅覚や聴覚も『魔力感知』へ意識を振り分けるか、リアル五感へ振り分けるかをそれぞれ別々にコントロールできるっぽい。
これはこういうシーンではありがたい。嗅覚だけは意識を『魔力感知』へ最大振りをしてなんとかこの場をしのぎたい。
「死体が一つ二つなら森に任せるところだがな、いかんせん数が多い。土に還すぞ」
カエルレウム師匠が周囲を警戒し、ルブルムさんと俺とで埋めることになった。
マドハトは、ぐったりとうずくまっている片腕ゴブリンを捕まえておくというか寄り添っている係。
ルブルムさんが残っている短槍の片方を俺に手渡し、自分でもそれで地面をザクザクと刺し始める。確かに、今あるもので穴を掘るとしたらこれが一番か。でも地面を柔らかくするのはともかく、掻き出すのには物足りない。せめてスコップ……リテルの記憶だと踏み鋤か……そういう道具をパパッと作れないものかな。
「この短槍の先端に取り付けられる踏み鋤の先端部分を魔法で作るってのは、とても難しいことだったりしますか?」
「持ってくる」的な考えだと、ここからストウ村までどのくらいあるか分からないし、そもそも大きな金属の塊なんか持ってきたら、鹿の王様に乗せていただけなくなっちゃうかもだし。
「創造する魔法は難しい。作れる材質は単一で、その構造をよく理解していないといけない。その創造を行えた所で、これだけの量の死体を埋めるまでの時間、継続して維持する魔法代償を計算すると、そこまで寿命の渦を消費する価値があるかどうかだ。持ってくる魔法を使うにしても、火打ち石と火打ち金のように一瞬だけ効果のみを借りてくるのに使用する魔法代償と、道具を実際に取ってくる労力とを比較するべきだな」
なるほど。コスパを考えた思考をしなきゃなんだな。
「ルブルム、リテルはなぜ地面に短槍を刺すだけで土を掻き出さないのかに思考が届いていないようだぞ」
え?
……あー。確かにルブルムさん、刺すだけだ。後でまとめて掻き出すのかなって思ってた。
するとルブルムさんは俺の方をじっと見つめてから血まみれの地面に触れ、消費命を集中、消費した。
さらにそこへ短槍の柄でゴブリンの死体を転がす――沈んだ?
ゴブリンの死体はゆっくりと沈み始めた。まるで泥沼に呑まれてゆくみたいに。ルブルムさんの体に触れていたわけじゃないので、思考は読み取れていないけれど、魔法代償がさほど多くなかったことは『魔力感知』でわかっている。
「地面を沼みたいに変化させたのですか?」
「私は、多くの血が染み込んだ土は、もうほとんど泥沼みたいだなと思った」
そう言いながらルブルムさんは俺の手を取り、その手でまた少し離れた地面へと触れる。また魔法を使う――『血の泥沼』――なるほど。この大量の血も、思考の一部として使ったのか。さすがルブルムさん――ルブルム先輩だ。
「魔法の効果時間は長くない。なるべく多く沈めて」
俺は慌てて周囲のゴブリンの死体を短槍の柄で転がし、『血の泥沼』の中へと落としてゆく。
それを二人で何度か繰り返し、俺も『血の泥沼』を使ってみたりして、一応、地表上のゴブリン死体は全て沈めることができた。
「ルブルム先輩のおかげで、作業がとても早く終わりました。でも色んな魔法があるんですね。ルブルム先輩はどのくらいの数の魔法を覚えているんですか?」
ルブルム先輩は、現場にある様々なモノの中から最適解と思われる魔法を瞬時に選び出した。俺はたまたま手に持っていた短槍にとらわれて、短槍の周辺に思考を閉じてしまっていた。思考を中断はしていなかったけれど、柔軟さを失い短槍の回りだけでぐるぐる回っていた思考は、カエルレウム師匠が注意してくださった「思考を手放す」状態と似たようなものなんじゃないだろうか。
あと同じ魔法を使っているのにも関わらず、俺の方がより多くの消費命を費やしているのも気になった。魔法の熟練度みたいなのがあるのかな?
「今作った」
ルブルム先輩を二度見した。『血の泥沼』を? 今?
「新しい魔法を? え、でも、呪文を使っていなかったですよね……」
熟練すれば無詠唱発動というのは、呪文ごとにではなく、魔法というもの全般に対して?
ああ、俺はまた先入観で自分の可能性を狭めていたのか……色々と恥ずかしい。
「リテルがなぜ驚く。リテルも既に君自身の魔法を作っているではないか。呪文さえ唱えれば使えると、そう考えて発動を試みただろう。だが実際にはその解釈はリテル独自の思考で行っていた。それは新しい魔法以外の何者でもない」
目からウロコだった。
そうか……そうか。
さっき『魔力感知』を外側に向けたときのように、世界が急に広がった感覚を再び味わった。
「……ということは、俺の『血の泥沼』がルブルム先輩よりも多くの魔法代償を要求されたのは、俺の思考が何か足りなかったということなのですね」
熟練度とかじゃなく、思考そのものが。
「ルブルム、リテル、同時に『血の泥沼』を使ってみろ。魔法代償は消費せずにだ」
カエルレウム師匠が両手でそれぞれルブルム先輩と俺の手を取る。
言われた通りに『血の泥沼』の発動を集中し、魔法代償の要求には消費命を渡さないように留めた。
「ふむ。リテルは泥沼になるにはもっと多くの水分が必要だと考えている。実際、本物の泥沼を作る場合はそうだろう。しかし、ルブルムの思考は一時的な泥沼だ。そこが違いだろう」
確かに言われた通りだ。
ルブルム先輩が俺の手を再び取り、もう一度『血の泥沼』発動を集中してくれる……なるほど。干上がるまでに何日間も続く泥沼を作る水分量をベースに考えたとき、わずか一ディヴだけ泥沼に変えるのであれば、その比率を実際の泥沼を作るのに必要な水分量にも当てはめて……そういう思考か。物理的な思考ではなく数学的な思考の印象。
「ありがとうございます。とても勉強になりました」
「リテル、魔術師にとって知識はとても重要だ。しかし知識は時に思考に仕切りを作り、思考の中心を狭い中へ閉じ込める。一つの思考にたどり着いたなら、まずその回りに壁を感じるのだ。そしてその壁の先へも思考を広げるのだ。壁に突き当ることを喜びなさい。壁の向こうにまでたどり着ければ、今の時点にない思考が手に入るということだから」
「はい!」
概念は理解できても実践はなかなかに難しそうな思考。
でも、不可能とは思わない。
俺はまだまだ未熟だけど、このままカエルレウム師匠からも学んでゆければ、もっと柔軟な魔術師になれるような気がする――と、気持ち新たに周囲を見回して、マドハトと片腕のゴブリンが居ないことに気付いた。
「マドハト?」
『魔力感知』を併用しつつ周囲を確認して……見つけた。けど、頭上?
見上げると、二人とも樹の上に登っている。
「ルブルム、リテル、注意するのだ」
カエルレウム師匠の声が厳しさを帯びる。
『魔力感知』を集中すると、範囲内に入ってきた大きな寿命の渦――この雰囲気、見覚えがある。恐らくアルティバティラエ。さっきの奴と一緒に異門を通って来た奴なのか?
短槍をルブルム先輩へと返し、弓を構える。矢筒から矢を二本。一本をつがえて二の矢も薬指と小指との間に挟む。地面スレスレを高速で近づいてくるアルティバティラエ。今度は同じ失敗は繰り返さない。
味方の位置と、射線とを考えつつ俺も動く。アルティバティラエは俺へと向かってくる――そうか。カエルレウム師匠もルブルム先輩も寿命の渦がほとんど感知できないくらいに小さいから、必然的に俺へと向かってくるのか。
弓を引き絞る。
比較的背の高い下生えから飛び出すアルティバティラエに、ルブルム先輩の鋭い突き。今度は俺の矢もアルティバティラエの肩へと命中している。
「リテル!」
カエルレウム師匠の声がさっきよりも切羽詰まっている――そう感じたそのときだった。俺の体は宙へと舞った。
何かが俺を引っ掛けて撥ね上げたようだ。俺の意識は完全にアルティバティラエへと向いていて、横から飛び出してきたソイツには全く気付けなかった。
「リテルさまぁーーー!」
樹上のマドハトの声が、急激に遠ざかる。
俺の体が獣臭い毛皮の上に乗っていることに気付いたのは、その直後だった。
● 主な登場者
・有主利照/リテル
猿種、十五歳。リテルの体と記憶、利照の自意識と記憶とを持つ。
リテルの想いをケティに伝えた後、盛り上がっている途中で呪詛に感染。寄らずの森の魔女様から魔法を習い始めた。
・ケティ
リテルの幼馴染の女子。猿種、十六歳。黒い瞳に黒髪、肌は日焼けで薄い褐色の美人。胸も大きい。
リテルとは両想い。熱を出したリテルを一晩中看病してくれていた。
・ラビツ
久々に南の山を越えてストウ村を訪れた傭兵四人組の一人。ケティの唇を奪った。
・マドハト
ゴブリン魔法『取り替え子』の被害者。ゴド村の住人で、とうとう犬種の体を取り戻した。
ゴブリン時代にリテルに助けられたことを恩に感じ、リテルについてきた。
・ゴブリン
ゴド村のマドハトと魂を入れ替えられていたゴブリン。現在は片腕。
犬種の体に宿っていたとき病弱だったのは、獣種よりもゴブリンの方が短命だったため。
・ルブルム
魔女様の弟子と思われる赤髪の少女。整った顔立ちのクールビューティー。華奢な猿種。
リテルとマクミラ師匠が二人がかりで持ってきた重たい荷物を軽々と持ち上げた。槍を使った戦闘も得意。
・カエルレウム
寄らずの森の魔女様。深い青のストレートロングの髪が膝くらいまである猿種。
魔法の使い方を教えてほしいと請うたリテルへ魔法について解説し始めた。ゴブリンに呪詛を与えた張本人。
・鹿の王
手を合わせて拝みたくなるような圧倒的な荘厳さ、立派な角、存在感の大きな鹿。
リテルたち四人を乗せても軽々と森を駆け抜ける。
・アルティバティラエ
半裸に申し訳程度に白い布をまとい、怪我をした髪の長い獣種の姿に擬態して近づいてきた魔物。
人を捕食する。数日前、カリカンジャロスと共に異門を越えてきたっぽい。
・モルモリュケー
ゴブリンの死体に群がり血をすすっていた。その乳は子供を丈夫にすると重宝される。
男性の外見は狼に、女性は犬種狼亜種によく似ている。
■ はみ出しコラム【トイレ事情】
ホルトゥスにおいては、糞尿は肥料として大切にされている。
そのため農村部においては一般家庭にはトイレはなく、村に共同のトイレが設置され、そこで集められた糞尿を畑にて肥料として活用するのが一般的である。
農村部のトイレは汲取式であり、大きく男女兼用、女性専用の二種類に分かれている。
これは女性の場合、時期によっては糞尿に経血が混ざることがあるためであり、ホルトゥスの農村においては、家畜を屠蓄した際、その血液をも大切に使う(血のソーセージなどがある)ことから、経血入りの糞尿を通常の糞尿よりも「より生命の力が宿った肥料」として重宝する。
畑で催した場合、わざわざ共同トイレまで足を運ばず、土を掘って埋めるのが一般的である。
都市部においては、肥料用の公共トイレは存在するが、使用人を雇えるような中層以上の屋敷においては、各屋敷毎にトイレを持つことも少なくない。
屋敷トイレの場合、その部屋にはトイレとして使用する陶器の容れ物が幾つか置かれ、その中に用を足し、普段は蓋を閉じておく。肥料を買い取りに業者が来た際にはそれを外へと持ち出し、中身を受け渡し、またトイレ容器を部屋に戻す。
・匂い消し
屋敷トイレを有する屋敷の持ち主が裕福である場合、「香り粉」や「香水」をトイレに持ち込んで使用する場合も少なくない。
「香り粉」とは、植物などを乾燥しすり潰した粉状のお香で、これを用いる場合は台所より炭の欠片をもらい、トイレへと持ち込んだ後で、上から香り粉をかけると、お香が燻されて香りを出すというもの。
「香水」は、花など植物から精製したものを油に溶かしたもので、「香り粉」よりも高価。
・水洗トイレ
大きな都市になると上水道・下水道の施設が充実しており、公共トイレ、屋敷トイレともに、水洗化されていたりする。
とはいえ、それは水の流れる溝であり、便座のようなものが設置されることは稀で、大抵が溝にまたがって垂れ流すスタイルである。
公共のトイレは、公共の風呂のすぐ脇に設置されていることが多く、風呂の排水を水洗用に二次利用している。
・局部を洗うもの
野外においては草葉、水洗式の場合は手指をもって拭く。手指は下水の水でいったん洗う。外で採取した柔らかく広い葉をトイレ用として用いる富裕層もいる。
また富裕層や貴族においては、海辺の地域にて採取されるスポンゴスという海藻を革袋に入れて携帯し、それに水を含ませて使用する場合もある。お財布事情によっては、スポンゴスが再利用されることもある。
・その他の肥料
糞尿以外にも、カエメン灰を用いた灰肥や、刈った植物を肥料とする緑肥、また動物の骨をもとにした骨肥、またグアノと呼ばれる動物の糞が堆積して化石化した希少な肥料も一部地域では使用されている。
・三圃式農業
リテルの住むストウ村を始め、魔物の被害が比較的少ない地域では、二種類の作物と休耕とを交互に繰り返し土地が痩せないように運用することが多い。
野山には魔物が出現することが多いため、規模の大きな放牧は行えず、安全に飼育できる家畜にも限度がある。
そのため人糞が重要視されている。
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※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
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その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
不死王はスローライフを希望します
小狐丸
ファンタジー
気がついたら、暗い森の中に居た男。
深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。
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最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。
その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。
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暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。
設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
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高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
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悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
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ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
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