1 / 1
アミちゃん
しおりを挟む私の祖父母は、白いプードルのメスのアミちゃんを飼っていた。
祖父母は昔から犬が好きで、いろんな犬種を飼っていて、一番最後の犬がアミちゃんだ。
私も父、母も犬好きで、祖父母の家から離れたところに住んでいたためアミちゃんとはなかなか会えなかったが、学校がない日はちょくちょく会いに行っていた。
アミちゃんは、私が物心ついた頃に一番最初に出会った犬だ。
親が言うには、私は幼い頃活発な子供で祖父母の家の中の廊下で、三輪車を漕いでいたらアミちゃんの足をひいたみたいで、それから私が三輪車を漕いでいるのを見たら、ハウスに入るようになったそうだ。
それの影響で私に恐怖心が芽生えたのだろうか。あまり懐いてはくれなかった。
一番懐いていたのは祖父で、一緒に車に乗ってドライブしにいったり近所の公園まで散歩しにいっていたこともあり可愛いがっていた。
祖父母が旅行に行くことになり、当時はペット同伴可能なホテルは今より少なかったため父、母と私が祖父母の家で、面倒をみることになった。
その時点でアミちゃんが14歳だったこともあり、夜ご飯の牛乳を飲んだ後体調を崩して、祖父母が帰ってきた数日後に、息を引きとった。
アミちゃんが亡くなった以降は、祖父母は犬を飼わなくなってしまった。
私が、「もう飼わないの?」と聴いても
祖父が「歳をとってきたし仕事も忙しいから」
と言っていたが、内心は自分がいない間にあんなに元気だったのに家に帰ってきたら体調不良で数日後に亡くなったのが相当ショックが大きかったと私は思う。
月日は経ち、祖父が亡くなり、今は祖父母の住んでいた家を壊して、同じ場所に新しい家を建た。祖母と両親と私が住んでいたが、去年祖母も亡くなった。
ある日のこと、夕方に家の外から
「ワン!」
と鳴き声が聴こえた。
何処からか知らないが大型犬が脱走して自宅の駐車場に座っていたことがあった。
なんであんな端っこで座りにくいところにいるのかなと不思議に思ったら、ちょうど座っていた場所が昔アミちゃんのハウスがあったところだったのを思い出した。
偶然か、はたまた匂いがまだ残っていたのか、もうアミちゃんが亡くなってだいぶたっているのに。
その後大型犬の飼い主が現れて無事に引き取られていった。朝からいなくなってずっと車で、探していたそうだ。
やはり、犬好きな人は家族の一員として大切にしているんだなと改めて思いました。
またお盆近くの日に、自宅の庭の方からアミちゃんの匂いがした。
お盆だから自宅に帰ってきて祖父母と戯れているのかなと思うと、なんだか微笑ましい気持ちになる。
大手のショッピングモールに買い物にいくと、ペットショップの横を通り過ぎる。
私が犬好きなことがわかるのか、マルチーズが尻尾をふりながら、舌をだして窓ガラスをペロペロしていたこともあった。
いろいろな犬種がショーウィンドウの向こう側にいるが、やはりプードルが一番可愛く目に映るのは、なぜだろうか。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ
海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。
あぁ、大丈夫よ。
だって彼私の部屋にいるもん。
部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
自分も犬や猫を飼ってた経験があるので
なんかジーンと来ました
ご感想ありがとうございます。
初めて、コメントをいただけたので大変嬉しいです。