草稿集

藤堂Máquina

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夜伽

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本だ。

本に囲まれている。

辺りはぼんやりと明るく輝く電灯の光に包まれている。

夜伽はその中から1冊を手に取ると、決まっていたかのように最初のページをめくる。

夜伽は綴られた文字群を滑らかに読み進めると、軽快に次のページをめくる。
耳の繊毛をくすぐる。

それは声ではない。

音とも言い難い。

夜伽の呼吸だけが部屋中に焚かれているようだ。

夜伽の憂鬱だけが部屋中に撒かれているようだ。
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