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第2章 切迫
case 2
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令和5年7月10日
麗しの漆黒の君様……
あなた様のことを考えると私の心は張り裂けんばかりに燃え上がり、私を形作る外壁を焼き焦がしてしまいそうです。
どくん どくん どくん
ほら、こんなに脈動して。
ああ、いつくしみ深き漆黒の君よ
たのしいときも かなしいときも
どこまでもともに あるきましょう
われ祈りまつる
漆黒の君のみちびきに従い
ともにゆかん
永遠の地をめざして
なーんて、
うふふふ うふふ
朝のお祈りの歌をちょっと編曲してみました。
だいたいダルいのよね、毎朝毎朝…
どんなに綺麗事並べても汚れた子は汚れたままなのに。
ううん、あんな子たちが汚れたままでいることは別にいいのよ。勝手に汚れてればって感じ。
でも汚れは伝染する。
一緒の空気を吸ってるだけで、汚れは広がっていくのよ。水中に垂らした墨汁のようにね。
これは絶対陰謀。鼻の下を伸ばしたクソ汚いオヤジどもが、自分たちがちょっと若い女の子たちを手篭めにしたいからって、股の緩い病をどんどん広めてるんだ。
あいつらは言う。いかにも自分たちがクラスのヒエラルキーの上位ですのよって顔して。オヤジたちの手先のくせに。
あら、あなたまだ男の子としたことないの?
今どき流行んないよ、処女だなんて。
これからは女性の社会進出が推奨される世の中になるんだから、どんどん女の子も積極的にならなくちゃ…って?
うるさいうるさいうるさいうるさい
はあ?女性の社会進出とオヤジたちといたすことがどう繋がるっていうのさ。自分たちのモラルの低さを責任転嫁しやがって!
特にあいつ!いっつも周りからチヤホヤされていい気になりやがって!
私、見たんだ、あいつが漆黒の君さまと話してるとこ。
ああ、漆黒の君さま、あなたさまはあんなビッチになんかなびきませんよね?
お優しいあなたのことだから話しかけられたら無下にできないのは分かります。
でも、惑わされないで下さい。
私には分かります。あいつがドス黒い空気を纏っていることを。
あと、陽菜のやつ…
あいつは裏切りもんだ!
ちょっとあんなビッチに話しかけられたからってヘラヘラしやがって!
裏切りものは殺す!
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
あら、私としたことが…
ちょっと熱くなってしまいました。
玉の緒よ
絶えなば絶えね
ながらへば
忍ぶることの
弱りもぞする
私の好きな詩。
この前古文で習って、私の心にすとんと落ちた。
ああ、漆黒の君さま
私、あなたのためなら何でもします。
例えこの命を捧げることになっても。
こんな汚い世界で生きながらえるよりも、私は純血のまま死ぬことを選びます。
知ってます?
所詮この世は仮想現実なのです。
だから死んでも、また違う世界に行くだけ。
え?アニメの見過ぎ?
違いますって。私、YourTubeで見ましたもん。量子物理学かなんかの偉い先生が言ってたの。
二重スリット実験ってやつ。
何でも最小単位の粒子をスリットにぶつけたとき、人が見てる場合と見てない場合とでは動き方が違うんですって。
私、物理は得意じゃないから詳しいことは分からないけど、ほら、この前Switter社を買収したミーロン・マスク氏も言ってるそうですよ?
この世は99.9%仮想現実だって。
あんなに偉い人が言ってるんだもん、可能性は限りなく高いでしょ?
それにね、私がテンション上がったのは何も自分がゲームの主人公みたいだからじゃないの。
引き寄せの法則…って、あるでしょ?
そう、思いは叶うってやつ。
この世は仮想現実だとして、じゃあだから何だよってなるでしょ?
そんでね、その考えを一歩進めると、この世のあらゆる事象は人の意識で変えられるってわけ。
意識の持ち方によって未来は変えられるんだよね。
何だかちょっと、宗教くさいよね。私もね、最初はそう思った。
私の名前…いつも心が晴れやかでいられますようにって、お父様とお母様が付けてくれた。でも、私の心が晴れやかな時なんてそうそう無い。好きな都市伝説のこと考えてるときくらい。
お前はダメな子だって、ずっとお父様に叱られてきた。心を引き締めるためだって、ビンタもよくされた。力が入りすぎたときはツウっと鼻血が出たりして。
え?虐待じゃないよ。
私がちゃんと出来ないから私が悪い。
お父様は優秀な裁判官であり、敬虔なクリスチャンだから厳しいのは仕方がないと思う。
でもさすがにぶつのはやり過ぎだと思うけどね。いくら私のことを思ってやってたとしてもね。
そんなときお母様はいつもお父様の側につく。そして私に追い打ちをかける。
あなたがちゃんとしないから悪いんだよって。
でもそれはね、私のためを思って言ってくれてるんだって分かってる。だってお父様って一度怒り出したらなかなか感情が収まらないんだもん。ヒートアップすると何回も何回も叩かれちゃうの。だから、お母様が私の肩を持つと駄目なんだよ。お父様の感情を抑えるために、お父様の言葉をなぞるの。そうやって、お父様の感情が静まるのを待つの。
お父様だって可哀想なのかもしれない。だって法廷ではずっと厳粛な顔をしてなくちゃならないでしょ?きっとストレスが溜まってるのね。本当は私が優秀な子でいてお父様を安心させられたらよかったんだけどね、私、勉強はあんまし得意じゃないから…
だから私の心はずっと晴れなかった。
そんなときに出会ったのよね、引き寄せの法則に。
え?私の思いは引き寄せられてるのかって?
えへへ…
まずは、あなた。
漆黒の君さま。
素敵な男性と出会ますようにって、心で強く願ったのね。でもね、そのやり方じゃダメなんだ。
○○しますようにって願うのってね、それはそうなってないから願うわけで、結果そうならない世界を引き寄せちゃうんだって。
例えば宝くじが当たりますようにって願うと、逆に貧乏になっちゃうの。どうしてかって、それはお金が欲しいって強く思うことはお金が無いってことを強く意識することだから、お金が無い状況をさらに引き寄せちゃうわけ。
だからね、私、考えたの。どんなお願いの仕方が一番効果的なのかって。
そしたらね、教えてもらったんだ、すっごくいいやり方を!
それをやった次の日ね、あなたと出会えたの。正しいんだ、このやり方って思った。
どんどん引き寄せたよ、そのやり方で。
そして私、ついにすごい力を手に入れた。
この力があれば、私はこれから先ずっと心晴れやかに過ごせるかもしれないって、超テンション上がった。
え?誰に教えてもらったのかって?
それはあ、憧れのユァチューバーさん!
ひょっとしたら、すでに私には引き寄せの力があったのかもしれない。そして教えてもらった。引き寄せの力を強める方法を。
だから私もう、あんなやつらに引け目を感じることもないんだよね。
そうだ、明日陽菜んとこ行ったら思いっ切り自慢してやろう。
陽菜もね、そのユァチューバーさんのことが好きなの。
きっと羨ましがるだろうな…
うふふ、ちょっと楽しみになってきた。
明日はいろいろやらなくっちゃ。
ああ、早く明日にならないかな~。
麗しの漆黒の君様……
あなた様のことを考えると私の心は張り裂けんばかりに燃え上がり、私を形作る外壁を焼き焦がしてしまいそうです。
どくん どくん どくん
ほら、こんなに脈動して。
ああ、いつくしみ深き漆黒の君よ
たのしいときも かなしいときも
どこまでもともに あるきましょう
われ祈りまつる
漆黒の君のみちびきに従い
ともにゆかん
永遠の地をめざして
なーんて、
うふふふ うふふ
朝のお祈りの歌をちょっと編曲してみました。
だいたいダルいのよね、毎朝毎朝…
どんなに綺麗事並べても汚れた子は汚れたままなのに。
ううん、あんな子たちが汚れたままでいることは別にいいのよ。勝手に汚れてればって感じ。
でも汚れは伝染する。
一緒の空気を吸ってるだけで、汚れは広がっていくのよ。水中に垂らした墨汁のようにね。
これは絶対陰謀。鼻の下を伸ばしたクソ汚いオヤジどもが、自分たちがちょっと若い女の子たちを手篭めにしたいからって、股の緩い病をどんどん広めてるんだ。
あいつらは言う。いかにも自分たちがクラスのヒエラルキーの上位ですのよって顔して。オヤジたちの手先のくせに。
あら、あなたまだ男の子としたことないの?
今どき流行んないよ、処女だなんて。
これからは女性の社会進出が推奨される世の中になるんだから、どんどん女の子も積極的にならなくちゃ…って?
うるさいうるさいうるさいうるさい
はあ?女性の社会進出とオヤジたちといたすことがどう繋がるっていうのさ。自分たちのモラルの低さを責任転嫁しやがって!
特にあいつ!いっつも周りからチヤホヤされていい気になりやがって!
私、見たんだ、あいつが漆黒の君さまと話してるとこ。
ああ、漆黒の君さま、あなたさまはあんなビッチになんかなびきませんよね?
お優しいあなたのことだから話しかけられたら無下にできないのは分かります。
でも、惑わされないで下さい。
私には分かります。あいつがドス黒い空気を纏っていることを。
あと、陽菜のやつ…
あいつは裏切りもんだ!
ちょっとあんなビッチに話しかけられたからってヘラヘラしやがって!
裏切りものは殺す!
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
あら、私としたことが…
ちょっと熱くなってしまいました。
玉の緒よ
絶えなば絶えね
ながらへば
忍ぶることの
弱りもぞする
私の好きな詩。
この前古文で習って、私の心にすとんと落ちた。
ああ、漆黒の君さま
私、あなたのためなら何でもします。
例えこの命を捧げることになっても。
こんな汚い世界で生きながらえるよりも、私は純血のまま死ぬことを選びます。
知ってます?
所詮この世は仮想現実なのです。
だから死んでも、また違う世界に行くだけ。
え?アニメの見過ぎ?
違いますって。私、YourTubeで見ましたもん。量子物理学かなんかの偉い先生が言ってたの。
二重スリット実験ってやつ。
何でも最小単位の粒子をスリットにぶつけたとき、人が見てる場合と見てない場合とでは動き方が違うんですって。
私、物理は得意じゃないから詳しいことは分からないけど、ほら、この前Switter社を買収したミーロン・マスク氏も言ってるそうですよ?
この世は99.9%仮想現実だって。
あんなに偉い人が言ってるんだもん、可能性は限りなく高いでしょ?
それにね、私がテンション上がったのは何も自分がゲームの主人公みたいだからじゃないの。
引き寄せの法則…って、あるでしょ?
そう、思いは叶うってやつ。
この世は仮想現実だとして、じゃあだから何だよってなるでしょ?
そんでね、その考えを一歩進めると、この世のあらゆる事象は人の意識で変えられるってわけ。
意識の持ち方によって未来は変えられるんだよね。
何だかちょっと、宗教くさいよね。私もね、最初はそう思った。
私の名前…いつも心が晴れやかでいられますようにって、お父様とお母様が付けてくれた。でも、私の心が晴れやかな時なんてそうそう無い。好きな都市伝説のこと考えてるときくらい。
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え?虐待じゃないよ。
私がちゃんと出来ないから私が悪い。
お父様は優秀な裁判官であり、敬虔なクリスチャンだから厳しいのは仕方がないと思う。
でもさすがにぶつのはやり過ぎだと思うけどね。いくら私のことを思ってやってたとしてもね。
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あなたがちゃんとしないから悪いんだよって。
でもそれはね、私のためを思って言ってくれてるんだって分かってる。だってお父様って一度怒り出したらなかなか感情が収まらないんだもん。ヒートアップすると何回も何回も叩かれちゃうの。だから、お母様が私の肩を持つと駄目なんだよ。お父様の感情を抑えるために、お父様の言葉をなぞるの。そうやって、お父様の感情が静まるのを待つの。
お父様だって可哀想なのかもしれない。だって法廷ではずっと厳粛な顔をしてなくちゃならないでしょ?きっとストレスが溜まってるのね。本当は私が優秀な子でいてお父様を安心させられたらよかったんだけどね、私、勉強はあんまし得意じゃないから…
だから私の心はずっと晴れなかった。
そんなときに出会ったのよね、引き寄せの法則に。
え?私の思いは引き寄せられてるのかって?
えへへ…
まずは、あなた。
漆黒の君さま。
素敵な男性と出会ますようにって、心で強く願ったのね。でもね、そのやり方じゃダメなんだ。
○○しますようにって願うのってね、それはそうなってないから願うわけで、結果そうならない世界を引き寄せちゃうんだって。
例えば宝くじが当たりますようにって願うと、逆に貧乏になっちゃうの。どうしてかって、それはお金が欲しいって強く思うことはお金が無いってことを強く意識することだから、お金が無い状況をさらに引き寄せちゃうわけ。
だからね、私、考えたの。どんなお願いの仕方が一番効果的なのかって。
そしたらね、教えてもらったんだ、すっごくいいやり方を!
それをやった次の日ね、あなたと出会えたの。正しいんだ、このやり方って思った。
どんどん引き寄せたよ、そのやり方で。
そして私、ついにすごい力を手に入れた。
この力があれば、私はこれから先ずっと心晴れやかに過ごせるかもしれないって、超テンション上がった。
え?誰に教えてもらったのかって?
それはあ、憧れのユァチューバーさん!
ひょっとしたら、すでに私には引き寄せの力があったのかもしれない。そして教えてもらった。引き寄せの力を強める方法を。
だから私もう、あんなやつらに引け目を感じることもないんだよね。
そうだ、明日陽菜んとこ行ったら思いっ切り自慢してやろう。
陽菜もね、そのユァチューバーさんのことが好きなの。
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