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3.

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ーユウトー

「出来たか?」

「うん、バッチリ!」

俺はアーノに地面を掘って固めてもらいお風呂を作ってもらった。大きく長いスノコも用意して服をそこに置き……いざ入るとしようか!

『チョン』
「おお、いい湯加減だ」

足で湯加減を確かめたので体も浸かり

「うああああああぁぁぁぁぁゴボゴボゴボ!」



沈む



「プレイヤーさん!」

アーノが即座に引き上げスノコの上に置いてくれる

「どうしたのプレイヤーさん!」

「アーノ…俺はとんでもない事をしてしまった!」

「なっなんだってー!」

俺はなんと恐ろしいことをしてしまったんだ!

「どういうこと、一体何をしちゃったのさプレイヤーさん!」

「体も洗わず、かけ湯もせずに湯船に浸かっちまったーーーーーあああああああああーーー!」

俺はスノコの上で四つん這いになり拳でスノコをドンドンと何度も叩く

「そんな、自分を責めちゃ駄目だよプレイヤーさん!」

「しかしアーノ、これはマナーだ!」

自分で自分が許せない!

「アーノ」

「プレイヤーさん」

アーノと見つめ合っていると影が差し込む誰だ?

「いや、湯の問題か?なら入れ直せばいいだろうし気になるならば作り直せ、アーノロウティならばすぐだろうに」

さすがナーナンさんだもっともな意見だ

「「あっはい」」

即座に湯を入れ直すアーノ

「暇なんだな?」

「そうです」

「だからって何をしているんだ?」

「お風呂を作ってもらって入ろうかと」

「これが風呂か?」

「湯が溜まっていれば風呂かと…」

「そうかこれが風呂か…」

ナーナンさんがじっくりと見る

「風呂か」

「入ったことないのか?」

「ああ、初めてだな」

「よし入ろうか!」

「いいのか?」

何を言う当然だろう、みんなで入ろう

ナーナンさんとクルファが持ち帰った鹿肉は、俺のアイテムボックスに入れて後日調理とした

ナーナンさん、クルファ、ミルファと髪を洗っていく体は各自ということで…さて

ナーナンさんは角がなかったので洗いやすくなっていたがちょっとだけ問題があった

「ユウト、何も言わず気にせず角の生えていたところは避けて洗ってくれ」

「………」

フリですか?
そう思ってしまい、つい角が生えていた場所に指が行き

「ンクッ!」
『ビクンッ』

と体をビクつかせてジト目をさらに細くさせて睨まれた

「だっだから自分で洗うと言ったのだ!」

「いや、わざとじゃない!」

「……生え変わりの最中はとっても敏感なんだ気おつけてくれ」

「はい、すみません」

ナーナンさんは自分で洗うと言って、俺がいや洗わせてくれと言ったのは俺だから丁寧に洗うが、角の生え際の位置を覚えていないので何度か指が触れてしまったので途中で

「…我慢するからいっそのことさっさと終わらせてくれ」

そう言ってナーナンさんは両手で口をふさいだ

「えっとじゃあ、いきますね」
『コクリ』

その後は一気に洗うが指が当たるたびにビクビクとしてくぐもった声が漏れ出ていたが俺は無心になって髪を洗うことに集中した

「終わりました」

「はぁ…はぁ…つきぃから…じぶれあらぁう」

「はい」

真っ赤になった顔と異様に疲れたのかフラフラと体を洗う場所へ移動するのだった

「悪いことをしたな」

次にクルファを洗わせてもらう

「痒いところはあるか?」

「いっいえ……ありません」

鱗を爪でつつーーーーと

「ーーーーっ!」
『ビクビクビクッ!』

ビクついたと思ったらこちらを勢いよく振り返り涙で潤んだ瞳で無言の抗議

「…………」
「……すまん」

潤んだ瞳の無言の抗議は結構キツイんだな、でミルファは…

「………っ………っ…………っっ」

だからミルファ我慢はなんだかいやらしから少しは声に出してくれ、まあでも有角種は角の生え際が敏感なんだな、前回は賊共のせいで気が散って気が付かなかった

そしてルナさん

「お願いしますね♪」

「こちらこそ、堪能させてもらいます」

獣人のお耳様の周りをマッサージするように頭皮マッサージを開始

「んん゛!」

おっ気持ちよさそうだな、て言ってもイヤらしいものではない

……フムフム人間の耳はない……人間の耳のあるトコは普通に毛が生えているけど肉の厚みがあるのは耳を動かす筋肉かな?

それよりも、さっきからスリスリと…

「ルナさん」

「んん、なぁに主様?」

「尻尾が…その」

「あら、ごめんなさい♪」

ルナさんの尻尾がスリスリとしてくるのだ猫尻尾でマーキングするように力強く押してくる

猫の動作ではないがそこはやっぱり人型だからだろうか意識して動かしているのか?

「ふふふ、面白いわね勝手に動くときがあるのね」

おや、無意識でしたかでわでわ待ったかシスティ

「………」

システィは両手で顔を隠してしゃがみこんでいた

「?」

どうしたんだ?

『マイマスター、羞恥ですよ?』

ああー、そういやそうだな普通は男女ともに裸なんてことは無いもんな!

現在も恥ずかしがっているのはシスティだけだ、普通の光景に違和感が出来てしまうが…

正しいのはシスティだ、冒険者などのなれている者じゃなければその反応が正しく真っ赤な顔のシスティを見ていると俺も恥ずかしくなる

「システィ…なんなら女になろうか?」

「いっいえだいじょぶですっ!」

顔は真っ赤だがすっと立ち上がった

「そっそうか、じゃあどうぞこちらへ」

「ハッハイ!」

カクカクとこちらへ歩いて椅子に座る、よし洗うぞ

…………

「……」

「……」

羞恥でお互いに会話が発生しない、これは良くない

「システィ」

「はい!」

「好みの男性は?」

「えっあー……そうですねー……」

なんだろ声的には全然悩んでいなさそうだが…答えるのはちょっと、という感じだ

「いや、プレイヤーさんそりゃユウキでしょう」

「アーノロウティさん!?」

「なるほ……ど?」

よくわからないが、システィの耳や首まで真っ赤になったので本当にそうなのだろう

「ユウキになろうか?」

「やめてください死んでしまいますっ!!!」

なるほど死因、『恥ずか死』かそれはだめだな

「ですが、なれたらそのうち……お願いします」

「君の勇気と大胆さには驚きを隠せないな」

「~~~~っ!」

あっ体を丸めないでくれ、まだ頭洗っている途中だから……

ふぅ、最後に

「プレイヤーさん♪」

アーノだ丁寧にちゃんと洗ってしんぜよう


アーノを洗ったら交代で俺を洗ってもらいお互いに体も洗って風呂に入る

「ふーーーーーーーー」

「ふぅ~♪」

あーーーーーー気持ちがいいな

「「「「「………」」」」」

皆無言だが本人含めて何かを見つめている

「どうしましたナーナンさん?」

「あっ…いやそのだな」

みんなナーナンさんの胸を見てどうしたんだ?

「浮くのだな…と思って」

うん、大きいのが浮いてるな

「知らなかったんですか?」

「ああ、初めて知った」

…なんだと?
と思いつつも納得だ風呂はきっと貴族ぐらいだろうし宿の水を使うのが外でありお風呂という言葉もしているかどうかだろうしな

「そうねぇー、あたしも初めて知ったわ~」

ルナさんもか

「そっか知らなかったんだ」

「ユウトは…いや、この湯に浸かるのを普通にしているなら知ってもおかしくない…か」

「やっぱり風呂はないのか?」

「私は知らないぞ」

ナーナンさんは考えるまでもなく即答

「「(ふるふる)」」

クルミルも首を横に振る

「私も知りません、聞いたこともありません」

システィもか

「あたしは貴族暗殺で最もヤリやすいから、風呂と聞いたらチャンスと思うぐらいかしら」

ヤリやすい…どっちでだ?
いや聞かないでおこう、ターゲットをどうするかで決まっているだろうし

「そっか、ちなみに水やお湯に浸かったことは」

「そんな危険な行為出来ないぞ、自殺志願者じゃないか?」

「そこまで言うか?」

いくらなんでもナーナンさん、言い過ぎではないかい?

「いうだろう、腰まで浸かったらどう攻撃を回避するんだ?」

確かに

「出来る限り自分に有利に持っていかなければならないのにあえて飛び込んでいくなんて自殺志願者と愛天使さんぐらいだろう」

「愛……天使?」

なんだろう神官戦士ミルマさんと同類な感じが

「ランク上位なら誰でも知っている冒険者だ」

「ふふふ、彼ね」

「ああ、愛天使と自ら称している」

愛天使イバラ、男
恵まれた体格で逆三角形の素晴らしい筋肉を持つ変態
魔物は倒すが人は倒さず故にどんなに強くともCランク止まりである
何故か愛を伝えると称して男女関係なくキスをする犯罪者に対してそのようにして捕まえない殺さないんだそうな

「オカマ?」

「ではないぞ普通……一様普通の男性だ」

「奇妙に声高くしてアタシとか言わないのか?」

「言わないわよ普通に俺と言って女の人が好きなのよイバラさん」

よくわからなくなってきた

「まあ、イバラさんのことは忘れよう」

「…………そうだな」

「「「「「「「…………………」」」」」」」

ゆっくりのんびり疲れを癒そうじゃないか 
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