【完結】ノンケだった俺が、敵対企業の年下イケメンCEOに堕とされました

砂原紗藍

文字の大きさ
2 / 23
【第1章】 君に教わる恋のルール

1.絡まれた夜に拾われて

しおりを挟む
慧の部屋は、タワーマンションの最上階だった。
エレベーターのボタンを押す慧の手元を見て、俺は思わず声を上げた。

「ここって……」
「どうかした?」
「いや、だってここ、家賃めちゃくちゃ高いよな……」
「ああ。親が『住むところだけは確保しろ』って……まあ、そういう家なんだ」

慧は少し照れくさそうに笑い、それ以上は何も言わなかった。

部屋に入ると、やはり広い。とにかく広い。

「座ってて。飲み物取ってくる」

慧はキッチンに消えた。俺はソファに腰を下ろす。
テーブルの上に、何気なく置かれた雑誌が目に入った。

『Forbes Japan.A』『経済ビジネス』『音楽情報誌』

……ビジネス系の雑誌? 
まぁ、意識高い系なのかもな。

でも、よく見ると家具は意外とシンプル。
広い部屋なのに、物が少ない。

「……物、少ないんだな」

慧が缶ビールを二つ持って戻ってくる。

「うん。あんまり家にいないから」
「仕事忙しいの?」
「まぁね。今ちょっと大きなプロジェクト抱えてて」

慧はソファに座り、俺の隣に缶ビールを置いた。

「でも今日は休みなんだろ?」
「そう。たまたまね」

……こいつ、誕生日って言ってたよな。

「慧って何歳?」
「27になった」
「俺より年下か」
「京介は?」
「29……」
「年齢なんて関係ないよね」

にこっと笑う慧は、やっぱり俳優かモデルみたいに爽やかで。

「……それにしても、慧ってイケメンだよな」
「いや、俺も普通の人間だし。今日だって振られたし」

その一言で、少し距離が縮まった気がした。

「今すごい寂しいんだ。だから京介がいてくれて、ほんと助かってる」
「……そうか」
「なぁ京介。さっきの話、もっと聞かせてよ」
「さっきの……?」

慧は俺のことをじっと見つめてくる。

「部下の人に告白されたって話」
「……何が知りたいんだよ」
「京介は、その人のこと、どう思ってるの?」
「……わかんねぇ。真面目で優しくて、仕事もできる奴で」
「好き?」
「……そういうんじゃない。尊敬はしてるけど」
「ふうん。じゃあ、男と付き合うこと自体が不安?」

その問いに、俺は黙り込んだ。

「……たぶん、それもある」
「たぶん?」
「だって俺、男を好きになったことないから」
「それなのに迷ってるってことは、少しは気になってる?」
「……いや、違くて」

言葉に詰まる。

「周りが期待してるから、断ったら悪いかなって……」
「それ、最悪だよ」

慧の声が、少し低くなった。

「え?」
「期待に応えるために付き合うなんてさ。その部下の人、可哀想だよ」
「……そうだよな」
「京介は優しいから、相手を傷つけたくないんだろうけど……中途半端が一番傷つくよ」

その言葉が、胸に刺さった。

「……俺、どうすればいいんだよ」
「好きじゃないなら、ちゃんと断ってあげて。それが優しさだから」

慧は俺の目を真っ直ぐ見つめた。

「でも、男と付き合うのが不安なだけなら……」
「なら?」
「試してみるのもありじゃない?」
「試すって……」
「俺と」

心臓が、ばくんと跳ねた。

「は……?」
「京介、男と付き合うのが怖いんでしょ? だったら俺と、練習してみない?」
「練習って……」
「付き合うってどういうことか。男同士でどう接すればいいか。それを俺が教えてあげる」

慧の手が俺の手に重なった。
その瞬間、俺の中で何かが壊れた気がした。

「……け、慧……」
「うん。いい声」

視線がこっちに向けられる。
にこりと笑われて、どきっとした。

「京介。俺、今日誕生日なんだ」
「……うん」
「だからさ、わがまま言っていい?」
「……何?」

慧の手が俺の頬に触れた。

「今日だけ、俺のものになってくれない?」

その言葉に、息が止まった。

「ちょ、待って……」
「嫌なら断っていいよ。でも……」

慧の顔が近づいてくる。

「俺、京介のこと……好きになったみたい」

その言葉を聞いた瞬間、俺の心臓は限界を迎えた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメン大学生にナンパされているようですが、どうやらただのナンパ男ではないようです

市川
BL
会社帰り、突然声をかけてきたイケメン大学生。断ろうにもうまくいかず……

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた

こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。

【短編】初対面の推しになぜか好意を向けられています

大河
BL
夜間学校に通いながらコンビニバイトをしている黒澤悠人には、楽しみにしていることがある。それは、たまにバイト先のコンビニに買い物に来る人気アイドル俳優・天野玲央を密かに眺めることだった。 冴えない夜間学生と人気アイドル俳優。住む世界の違う二人の恋愛模様を描いた全8話の短編小説です。箸休めにどうぞ。 ※「BLove」さんの第1回BLove小説・漫画コンテストに応募中の作品です

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

ワンナイトした男がハイスペ弁護士だったので付き合ってみることにした

おもちDX
BL
弁護士なのに未成年とシちゃった……!?と焦りつつ好きになったので突き進む攻めと、嘘をついて付き合ってみたら本気になっちゃってこじれる受けのお話。 初めてワンナイトした相手に即落ちした純情男 × 誰とも深い関係にならない遊び人の大学生

処理中です...