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幼少期編
悲しき殿下とやべー女(男)4
しおりを挟む「ねぇ、お兄さん?今バレないように振りかけようとしたその毒、本気でおれが作った料理に掛けるの?おれの料理した大切なタンパク質をゴミにするつもり???
絶対、そんな事させないから…………!!!」
そんなセリフと共に突如、どこからとも無く現れ、的確に力強く手首を全力で掴みにくるおれを前に、アルフレッド殿下も暗殺系従者も一瞬遅れて反応を示した
「…………はっ?………な、え………?
だ、だれっ、ですか!?あな………た、うぐっ!!!いたたっ!!!何をするんですかっ!!?!うわぁ!!!」
「っ!?、はぁ……!?急になんだ…!?お前、どこから…!?何をしているんだ!?」
気配を消す魔法、マリンと一緒に極めててよかったー!と、日頃の訓練を思い出しつつ、なんかアルフレッド殿下達がブツブツ文句を言ってるのを、全て無視して更に手首を捻り上げ、次の行動に移る
おれの見た目はライ達曰く、か弱い可憐な美少女らしいので、その美少女から発せられるとは到底思えない握力を披露し更に動揺してもらう
決して振りほどけ無いゴリラのような動きでおれ達の屋台で買った魔物の焼串を毒持ち従者から奪い取り、呆然としてるアルフレッド殿下に渡し、従者の服の中をゴソゴソと物色させて頂いた
たぶん、今回使う分は袖あたりに忍ばせてるだろうが、毒本体は服の中だろうし!
勿論、そのままではなくしっかりと暗殺系従者を押し倒してから拘束魔法で腕の自由を奪い取り、馬乗りになり隅から隅まで物色する
女の子が服を弄ってくるのだ、そりゃあ凄く動揺した声で「やめなさい!」とか言ってくるが………それも無視して暫し探しまくると上着の内ポケットから毒と思しき粉と小瓶を回収する事に成功した
ここまでの一連の動作に掛かった時間、わずか3分!!!カップ麺タイムで最悪の事態を打開したぜ!うん、我ながら素晴らしい記録を叩き出せたと思う
よし、後はやべー女を演じつつこの場を丸く??収めるだけだ………!
とりあえず話しやすい様に、暗殺系従者の拘束はそのままに、馬乗りからお腹に座る感じに移動し、無駄に足を組んでアルフレッド殿下の方を見つめ、話しかけた
「先程ぶりですね?お客様?
急なご無礼失礼します…先程、こちらのお客様から毒の匂いがしましてね…せっかくの美味しい大切なタンパク質を汚されると思ったらいてもたってもいられなくて………
お客様はこの小瓶と粉の袋、心当たりはおありですか?」
「…………………っ、…………!!!」
アルフレッド殿下によく見えるように奪い取った毒を見せつけ質問をすると、何だこの女!?と、驚いていた顔から今にも泣きそうな酷く辛く、思い詰めるような真っ青な顔に変わるのが分かった
ほほん………おれの想像はたぶん当たっている…のかもな?
乙女ゲームのシナリオで仲良くしていた従者から毒を盛られたアルフレッド殿下は深く絶望し、ヒロインに救われる過去を持つって話だけど、なんか妙に変だと思ったんだよ
普段から毒殺されそうな立場にいて、幼少期から王位継承を巡って酷い目にあって性格が歪んでるのに、どうしてこの従者だけは何も疑わずに信じたのかって…………いくら心を許していたとは言え、シナリオ的にはおかしくないけど、従者は暗殺未遂で死にましただけで終わらせちゃいけない何かがあるって…………!
それが分かるのがこの反応だ
アルフレッド殿下にとって、この従者は唯一無二の心の拠り所だっただけじゃない、シリアス展開あるある闇深い王宮で生きる意味だった可能性がある
普段から第二王子の派閥だけじゃなくて、従者にも毒を盛られていたんじゃないかと…それでも従者を信じたい理由があったんじゃないかなと…!色々考察できる奴がある!
乙女ゲームの展開的には深くは語られない…が、ヒロインとのイベントのあちらこちらでアルフレッド殿下はどこか儚いイメージがあった
最終的にはヒロインが守りたいと願うこの国を良くしようと本気で賢王になる素晴らしい人材な訳だが………
上手くそれを利用しない手はない
深くは語られてなかった部分を敢えてやべー女(男)が掘り下げてあげたら未来は変わるんではなかろうか!!!!と、思うわけ!!
まぁ一向に返答が聞かれないが、それも想定内とアルフレッド殿下を見据えて更に可愛く微笑み、おれは従者の腕を無理矢理こちらにむけて毒が付着していると思う手を舐め………そして奪い取った毒の小瓶と粉を口に放りんだ……………
「……………………なっ!?!おまえ、一体何を!?やめろ!!それは危険な毒なんだ!!直ぐに、直ぐに吐き出してくれ!!
死ぬのは!!死ぬのは俺だけでいいんだ!!!」
アルフレッド殿下の悲痛な叫び声を聞きながら
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