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幼少期編
悲しい殿下とやべー女(男)5
ゴクリ…
しっかりとアルフレッド殿下に見えるように笑顔で暗殺の為に従者が持参していた毒を飲み込む…そんなおれのやべー異常行動を前に、アルフレッド殿下は真っ青な顔をしてとんでもない事を口走りながらこちらに向かって突進してきた
はっきりと「自分だけが死ねばいい」って叫びつつ…………
んんんーーーんん!?!
え、待って!?ちょ!ちょっと!!想定外が事しないで!?おれ、今片手塞がってるんですけど!?君の従者くんの上で妖艶?ごっこしてるんだから!大人しくその場で見ててくれない!?!
なんでこっちにくんの!?心配してくれてるのは分かるけどやめて!?本気でやめてーーー!!!
「ぐふっ……!!」
……………まだ毒を飲みきれていない状況で、アルフレッド殿下を躱す事など出来るわけも無く………
悲しい事に、どういう理由か従者の上に寝転ぶようにアルフレッド殿下に押し倒されるという意味不明な展開になってしまった
それだけではなく…とりあえず無我夢中で押し倒してみたはいいけど、既におれの胃の中にある毒をどうしていいかわからない、まだ子供のアルフレッド殿下は、ぐすぐすと涙まで溢れさせて「なんで、どうしてこんな事するんだよ…死ぬな………」と泣きじゃくっておれの上で泣きじゃくる始末
え、何この展開
もっとこう、いい感じにクールなやべー女を演じて帰る筈だったんだけど………予定狂い過ぎだよ………
まぁ、数々の苦難を既に経験?しているおれにしてみれば、これもある意味チャンスだ
幼子の様に泣きじゃくる今のアルフレッド殿下ならなんとなく、最終的にはおれの言う事を信じてくれるかも知れない………
そう思い、飲み込んだ毒を体内で解毒をしてから、おれを押し倒してるアルフレッド殿下へ優しく話しかけつつ逃げないように抱き締めてみた
「えっと、おれはちゃんと生きてるんで…?ちょっと話聞いてもらえます?大切な話があるんです」
……………………
………………
…………
ちょっとまた想定外な事しないで!?混乱するから!!
まさか死んだと思っていた毒を飲み干すやべー女(男)がいくら優しくとは言え話し始めたらきっと、「なんだこいつ!!」って逃げられると思ったがそんな事は無く…
現在も暗殺系従者の上でおれは押し倒してきたアルフレッドを抱き締めるという、とんでもない状況のまま説明を試みている
何故アルフレッド殿下がおれから逃げようとしないのか…それは考えないようにしよう
本当なら話すわけには行かないって、逃げるアルフレッド殿下も押し倒して無理矢理話を聞きつつ、今後の未来と毒を回避をさせる筈だったんだけど…こんな反応されたら優しくしたい!!
泣いてる子を放置出来るほどおれはダメなお兄さんじゃない!!愛里が言っていた!お兄ちゃんは学校の先生になれるくらい優しいねって!
愛里に憧れられてるおれでいたくなる………!!やべー女的なお兄ちゃんでいたくなる!!
「えっと…突然変なことをしてすいませんでした…毒は自分で解毒したんで大丈夫です
実は……おれには予知夢を時々見る力があり、今日…この国の第一王子が市街で死の危険に瀕するという夢を見て…
それを止めたくて…屋台なんか出して待ち構えていたんですが………あなたはアルフレッド殿下で間違い無いですよね?あなたが死を選ぼうとしてるのはこの従者を救う為ですか………?」
当初の予定とは違ったが、やる事は一緒だと割り切りなるべく優しく優しく声を掛けつつ、嘘にならないギリギリを攻めながらアルフレッド殿下の背中をよしよししてみた
おれ的乙女ゲームの考察も含め、先程叫んでた「自分だけが死ねばいい」という言葉の意味を王宮泥沼あるあるに当て嵌めつつ………
その結果なのか?、はたまた誰かに相談したい気持ちで内心つらかったのか?、かなり当たりを引いていたようで、アルフレッド殿下は大粒の涙を零しながら初対面なおれに色々話してくれた
「俺は…俺が死なないとみんな不幸になるんだ…
モブルの家族も…俺の母様も………俺が第一王子として生まれてしまったから………
でも、死ぬの怖くて…俺、おれっ………でも…モブルになら殺されてもいいかなって………でも………っ…ううっ…………」
あの暗殺系従者、モブルって名前なのか…っていうのは今はいいとして!
よっぽど考え込んでいたのか…悲痛な声で泣きながら話すアルフレッド殿下を見てると心が痛くなる
要約すると、王宮の闇は乙女ゲームの背景にしてはかなり深かった
第一王子として生まれてしまったアルフレッド殿下が第二王子派閥から邪魔者扱いされているのは分かっていたが、それでも王位継承を持つ高貴な存在…なのにどうして酷い扱いを受けるのか…その理由が分かった
アルフレッド殿下の母は側妃である以前に、第二王子の母である公爵令嬢の侍女だったのだ
侍女でありながら現国王陛下に見初められ、侍女から側妃となった母から生まれた…それがアルフレッド殿下
侍女であった側妃は元々男爵令嬢で実家の権力も大きくない…ただただ王位継承の高い邪魔な存在
側妃自体も疲弊しておりアルフレッド殿下をなんとか救う事で精一杯、ついでに現国王陛下は病に臥せっているらしくアルフレッド殿下の声は届かず…な状況だったらしい
そして、そんな中でこのモブルという従者だけは、本当にアルフレッド殿下を心配し、これまでずっと守っていてくれたと、しかしついに従者と従者の家族にまで第二王子派閥の手が伸びてしまう状況で……………
アルフレッド殿下は死ねば自分の母も大切な従者とその家族も守れる…そんな気持ちから暗殺を受け入れようとしていたらしい
……………いやいやいや!!重いって!!
乙女ゲーム制作者!?裏舞台で何考えてんの!?夢も希望もねぇじゃん!!!
こんな展開本当だめ、このままにしておいちゃいけない!!!
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