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6 私が決めた結婚
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「ここに来てから、はっきり言うようになったね」
兄の言葉にローゼリアは頷く。
「ええ、そもそもこの国は女性にとって生きにくく思いますの。3年留学してよく分かりました。どうして私がこのような目に遭わせた方々のところへ嫁がなければなりませんの?今ここで側妃というエサをぶら下げてみたら私が喜んで飛びつくと?」
これまで黙っていた父が思い切ったように話し始めた。
「ローゼリア、お前の気持ちはよく分かった。だがナタリーをピオシュ家に戻すのは決定事項だ。このような土地でナタリーが冬を越せるか心配だ。ナタリーをピオシュに戻してしばらく様子をみた後に我々も極秘でこの国を出る」
「父上っ、それは逃亡ではありませんか?失敗すれば国に対する反逆者扱いになりますわ」
「このままここにいたらローゼリアは王家に取られ、お前も私も借金を背負った上で平民になるだけだ」
「どういう事ですの?」
「今年は免除されたが、子爵家として国に納める税がこの領地の収入では足りない。この程度の領地ならば男爵家だったとしても税収が足りない。ローゼリアを王家が手に入れた後のフォレスターならば王家も爵位の返還に応じるだろう」
「そんな……」
ランゲル王国では、農民や商人は作物の生産高や売り上げに応じて税を納める事になっているが、貴族には領地で得た収穫量に応じた税の他に爵位に応じて納める税も課せられている。国が何を考えて新たなフォレスター家の領地を定めたのかは分からないが、ここの土地は元はどこかの男爵家が飛び地として持っていただけの土地で、その男爵家に後継ぎがいなかった為に10年ほど前に国に返還された土地だった。そして子爵家が納めるべき税金がこの領地では賄えない事に元公爵であるクレメンスは早々に気付いていた。
ローゼリアはスッと立ちあがり、凛とした表情で父親を見つめる。
「お父様、私宛ての釣書は届いているのでしょう?見せて下さい」
「一応届いてはいるが、ロクな相手しかいないぞ」
そう言ってクレメンスは執務室に行って戻ってくると、封筒の束をローゼリアに見せた。
ローゼリアはそれを一枚一枚丁寧に見ていく。
「あら、ヴィルタ様の寄子の家門からも何通か届いていらっしゃるわ。我が家も馬鹿にされたものですわね」
そんな事を言いながらローゼリアは封筒の束を選別していく。そうして三通の釣書がローゼリアの手元に残った。
「もう派閥争いはこりごりですから、どの派閥にも属していない家がいいですわね。それに第一夫人や第二夫人のいるお家も嫌ですわ。私の望む条件を満たしているお家の釣書はこの三通のみですわ。あら、こちらの二通の方は何人もの奥方と死別ばかりでしたからやめましょう。……そうなりますと、この釣書だけですわね」
そう言いながらローゼリアは一通の釣書の宛名を父と兄に見せる。
「こちらはオルコット伯爵様ですわ。少々お歳が上で離縁されたばかりですが、妻同士で揉める事も無さそうですわね」
「オルコット伯爵といったら、父上よりも年上じゃないかっ!」
「ええ、ですが王家に嫁いで後ろ盾の無い状態で妃同士の争いに明け暮れるのでしたら、オルコット様に嫁いだ方がずっと良いですわ」
クレメンスはローゼリアが手にしたオルコット伯爵からの釣書を取り上げる。
「ローゼリア、お前は私たちにお前を捨てさせるつもりなのか?」
「私は王家と我が家を陥れた家門、見て見ぬフリをした我が家の寄子だった家門が許せませんの。エルランドへは行きたいですが、陛下が阻んでいる以上は今の我が家が国を出る事は不可能ですわ。お母様をご実家に返された後にはきっと我が家に王家の監視がつきますでしょう。今ならば監視の目はゆるいですし、プライドの高い元公爵令嬢と思われている私がオルコット伯爵へ嫁ぐなんて誰も考えないでしょうから、王家の裏をかけます。私が嫁いだ後に爵位をお返ししてお母様とご一緒にエルランドへ行って下さいな。オルコット伯爵の婚歴は多いですが、子供に恵まれなかった事を理由にどの方も数年で離縁しています。きっと私も数年で解放されるでしょうから、離縁してからお父様たちを追ってエルランドへ行きますわ」
「ローゼリア……いや、ダメだ。お前ばかりに負担を掛けるわけにはいかない。お前は公爵令嬢として大切に育てたのに、かわいいお前をあんな30歳も年上の種無し伯爵と呼ばれている男に嫁がせるわけにはいかない」
クレメンスは頭をかかえた。しかしクレメンスに反してエーヴェルトの瞳には光が宿っていた。
「父上、オルコット伯爵の領地は荒れ地が多く、伯爵家の中でも低位ですが、妻を虐げるような悪い噂や愛人の話は聞きません。最近では甥を養子にしたと聞いていたのですが、実子へのこだわりが強いのでしたら、ロゼの言うように実子を産まなければ数年で離縁になると思います。ロゼがそれで良しとするのなら、僕はロゼの意見に賛成です」
「いや、それではローゼリアが傷物にされてしまうではないかっ」
「お父様、私は王太子殿下に婚約破棄されてしまった時に既に傷物になっていますわ。釣書の中には妻ではなく愛人にどうかというものも何通かありました。今の私の価値はその程度なのです。我が国では侯爵家以上の家の婚姻には血縁が濃くならいように王家の許可がいりますが、伯爵家以下の家は婚姻後の報告だけで王家の許可はいりません。王家がこちらの動きを警戒して動き出す前に急いで嫁ぎたく思います。お父様がお書きにならないのでしたら、私が伯爵様へお返事を書きますわ」
ローゼリアの意志は固く、クレメンスは折れるしか無かった。
そうしてわずかひと月ほどでローゼリアはオルコット領へ旅立つ事となった。
兄の言葉にローゼリアは頷く。
「ええ、そもそもこの国は女性にとって生きにくく思いますの。3年留学してよく分かりました。どうして私がこのような目に遭わせた方々のところへ嫁がなければなりませんの?今ここで側妃というエサをぶら下げてみたら私が喜んで飛びつくと?」
これまで黙っていた父が思い切ったように話し始めた。
「ローゼリア、お前の気持ちはよく分かった。だがナタリーをピオシュ家に戻すのは決定事項だ。このような土地でナタリーが冬を越せるか心配だ。ナタリーをピオシュに戻してしばらく様子をみた後に我々も極秘でこの国を出る」
「父上っ、それは逃亡ではありませんか?失敗すれば国に対する反逆者扱いになりますわ」
「このままここにいたらローゼリアは王家に取られ、お前も私も借金を背負った上で平民になるだけだ」
「どういう事ですの?」
「今年は免除されたが、子爵家として国に納める税がこの領地の収入では足りない。この程度の領地ならば男爵家だったとしても税収が足りない。ローゼリアを王家が手に入れた後のフォレスターならば王家も爵位の返還に応じるだろう」
「そんな……」
ランゲル王国では、農民や商人は作物の生産高や売り上げに応じて税を納める事になっているが、貴族には領地で得た収穫量に応じた税の他に爵位に応じて納める税も課せられている。国が何を考えて新たなフォレスター家の領地を定めたのかは分からないが、ここの土地は元はどこかの男爵家が飛び地として持っていただけの土地で、その男爵家に後継ぎがいなかった為に10年ほど前に国に返還された土地だった。そして子爵家が納めるべき税金がこの領地では賄えない事に元公爵であるクレメンスは早々に気付いていた。
ローゼリアはスッと立ちあがり、凛とした表情で父親を見つめる。
「お父様、私宛ての釣書は届いているのでしょう?見せて下さい」
「一応届いてはいるが、ロクな相手しかいないぞ」
そう言ってクレメンスは執務室に行って戻ってくると、封筒の束をローゼリアに見せた。
ローゼリアはそれを一枚一枚丁寧に見ていく。
「あら、ヴィルタ様の寄子の家門からも何通か届いていらっしゃるわ。我が家も馬鹿にされたものですわね」
そんな事を言いながらローゼリアは封筒の束を選別していく。そうして三通の釣書がローゼリアの手元に残った。
「もう派閥争いはこりごりですから、どの派閥にも属していない家がいいですわね。それに第一夫人や第二夫人のいるお家も嫌ですわ。私の望む条件を満たしているお家の釣書はこの三通のみですわ。あら、こちらの二通の方は何人もの奥方と死別ばかりでしたからやめましょう。……そうなりますと、この釣書だけですわね」
そう言いながらローゼリアは一通の釣書の宛名を父と兄に見せる。
「こちらはオルコット伯爵様ですわ。少々お歳が上で離縁されたばかりですが、妻同士で揉める事も無さそうですわね」
「オルコット伯爵といったら、父上よりも年上じゃないかっ!」
「ええ、ですが王家に嫁いで後ろ盾の無い状態で妃同士の争いに明け暮れるのでしたら、オルコット様に嫁いだ方がずっと良いですわ」
クレメンスはローゼリアが手にしたオルコット伯爵からの釣書を取り上げる。
「ローゼリア、お前は私たちにお前を捨てさせるつもりなのか?」
「私は王家と我が家を陥れた家門、見て見ぬフリをした我が家の寄子だった家門が許せませんの。エルランドへは行きたいですが、陛下が阻んでいる以上は今の我が家が国を出る事は不可能ですわ。お母様をご実家に返された後にはきっと我が家に王家の監視がつきますでしょう。今ならば監視の目はゆるいですし、プライドの高い元公爵令嬢と思われている私がオルコット伯爵へ嫁ぐなんて誰も考えないでしょうから、王家の裏をかけます。私が嫁いだ後に爵位をお返ししてお母様とご一緒にエルランドへ行って下さいな。オルコット伯爵の婚歴は多いですが、子供に恵まれなかった事を理由にどの方も数年で離縁しています。きっと私も数年で解放されるでしょうから、離縁してからお父様たちを追ってエルランドへ行きますわ」
「ローゼリア……いや、ダメだ。お前ばかりに負担を掛けるわけにはいかない。お前は公爵令嬢として大切に育てたのに、かわいいお前をあんな30歳も年上の種無し伯爵と呼ばれている男に嫁がせるわけにはいかない」
クレメンスは頭をかかえた。しかしクレメンスに反してエーヴェルトの瞳には光が宿っていた。
「父上、オルコット伯爵の領地は荒れ地が多く、伯爵家の中でも低位ですが、妻を虐げるような悪い噂や愛人の話は聞きません。最近では甥を養子にしたと聞いていたのですが、実子へのこだわりが強いのでしたら、ロゼの言うように実子を産まなければ数年で離縁になると思います。ロゼがそれで良しとするのなら、僕はロゼの意見に賛成です」
「いや、それではローゼリアが傷物にされてしまうではないかっ」
「お父様、私は王太子殿下に婚約破棄されてしまった時に既に傷物になっていますわ。釣書の中には妻ではなく愛人にどうかというものも何通かありました。今の私の価値はその程度なのです。我が国では侯爵家以上の家の婚姻には血縁が濃くならいように王家の許可がいりますが、伯爵家以下の家は婚姻後の報告だけで王家の許可はいりません。王家がこちらの動きを警戒して動き出す前に急いで嫁ぎたく思います。お父様がお書きにならないのでしたら、私が伯爵様へお返事を書きますわ」
ローゼリアの意志は固く、クレメンスは折れるしか無かった。
そうしてわずかひと月ほどでローゼリアはオルコット領へ旅立つ事となった。
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