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27 ローゼリアの持つカード
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ローゼリアはマリーナをじっと見つめる。
婚約をした当初からヘンリックとの関係は不仲だとずっと言われ続けていたが、彼女が登場した事で更に関係が複雑になり、社交界でも彼らがどのような結末を迎えるのかを面白がっている者さえいた。
本気で彼女がヘンリックの事を想っていたのなら、ヘンリックの王太子としての立場と引き換えに彼の妻の座を譲っても良かったのだが、調べた限り彼女は自分を着飾るのが大好きで、彼女の中心にあるのは物欲だった。
ローゼリアは彼女を破滅させるカードを持っている。マリーナから身を引いてもらうために使うのか、ヘンリックの目を覚ますために使うべきか、どう使おうか迷っているうちに、ヘンリックの方からマリーナと距離を取り始めたので、これまで使う機会がなかっただけのカードだった。
彼女のマナーの酷さは知っていたので、挨拶もいらないと判断したローゼリアはそのまま会話を続ける。
「分かりやすく申しますと、もうアンダーソン様のやり方では殿下の関心は得られないという事ですわ」
「ひどいっ、どうしてフォレスター様はそのように意地悪をおっしゃいますのっ!」
そう言ってマリーナは、芝居がかったような大げさな仕草でしくしくと泣き始めた。
マリーナの泣き声は大きく、貴族たちの注目が自分たちに集まっている事を分かった上で、ローゼリアはにっこりと笑う。
「アンダーソン様は私を悪者としたいのですね。よろしいですわ、本日はあなたにとっての悪役になって差し上げますわ、ふふふ」
ローゼリアはどこか嬉しそうだった。恋愛小説を読むのが好きなローゼリアは、悪役令嬢という立ち位置に自分が立っているこの状況を楽しんでいた。
「バルシュ様、コゼル様、パウヌ様、ヴィルタ様……」
ローゼリアは貴族家の名前をいくつか挙げていく。
周りに少しずつ集まりかけている貴族たちからざわめきが聞こえる。
「どうして私がこちらの方々のお名前を上げさせて頂いたのかお分かりになりまして?」
彼らの多くはヴィルタ派の貴族だったが、コゼル家だけは中立派の男爵家で、それぞれの領地も距離が遠く、バルシュ家にいたっては土地を持たない宮廷貴族だった。さらに爵位もバラバラだったので、少し考えただけでは共通点は見つからない。
ローゼリアはマリーナがいつ気付くのかを楽しみな様子で見ていた。
「そんなに難しい事をおっしゃないで。女ですから政治の事なんて分かりませんわ。私はフォレスター様とは違いますのに……」
マリーナは同情を誘うように弱々しい口調で答える。
「いいえ、政治の話ではありませんわ。とっても簡単な事なのですのよ。よぉく考えて下さいまし」
興味津津といった表情のローゼリアを見ているうちに、マリーナの頭の中で彼らの共通点にたどり着いてしまったようだった。気付いてしまったマリーナの視線が泳ぎ出す。
それを見て満足そうな表情を浮かべたローゼリアは話を続ける。
「この事をいつお話してしまおうかずっと考えておりましたの。こんなに大勢の方々がいらっしゃる場で話してしまうなんて思いませんでしたが、先ほど殿下が別室でとおっしゃって下さったのを拒まれたのですから仕方ありませんわね」
「やめて! それ以上は話さないで!」
「派閥も年齢も越えてこんなに幅広い交友関係をお持ちだなんて、アンダーソン様を尊敬していましたのよ。……そうそう、その大きなネックレスは先日引退したばかりのロウダ商会の元会頭の方からでしたよね。宝石はルビーと思われていらっしゃるのでしょうが、宝石がお好きなのでしたら、本物と偽物を見分けるようになられた方がよろしくてよ」
ヘンリックはギョッとした表情でマリーナを見る。ロウダ商会の元会頭といえば白い頭に白い髭をもつ平民の老人だったからだ。
若い娘が親族でも何でもない男から高価そうに見えるアクセサリーを受け取る理由なんてひとつしか思い浮かばない。
「本当の話、なのか?」
ヘンリックは驚いた表情のままローゼリアに確認をするが、ローゼリアは口の端を上げて笑うだけだった。事実は変わらないのだから、ヘンリックが信じようが信じまいがどちらでも良かった。
「ふふふ、それはアンダーソン様に聞いて下さいまし」
「嘘よ、嘘よ、嘘よっ! この方は嘘を吐いていらっしゃいますわ!」
「アンダーソン様、いつも思っておりましたが、お言葉はよく選ばれる事をお勧めいたしますわ。これまで便宜を図って下さったヴィルタ様は引退なされましたから。あの方とは確かデビュタント前からのお付き合いでしたわね。殿下とお付き合いをされていらっしゃった時期も色々な方々と懇意にされていらして、随分と大胆な方だと思っていましたのよ」
ヘンリックとマリーナが付き合い始めた頃、彼女が側妃となる可能性も考えたフォレスター家はマリーナの事を密かに調べていた。そしてマリーナ本人の資質や交友関係の問題から王家に入れるべきではないと判断が下されていた。
「そんなの知らないわよ! そうやって私を罠にはめて何が楽しいのよっ」
マリーナは悔しそうな表情でまた泣き始めてしまった。先ほどの芝居がかった涙とは違って、怒りの感情を露わにした涙であった。
疑わしい関係も含めると、彼女の交友関係はもっと広いのだが、ヘンリックに近づく為に協力してきた貴族家には、裏からフォレスターを追い落とそうとする動きもあった。彼らにはそれなりの制裁を与えたかったので、ローゼリアは敢えてそれらの家名を貴族たちの前で挙げたのだった。
マリーナは彼らと個人的な深い交流以外にもしている事があった。
ヘンリックと共に食事に出掛けた時に得た些細な情報、観劇の時にヘンリックが語っていた言葉、それらの情報と引き換えに彼女は交流のあった貴族たちから宝飾品やドレスを与えられてきたのだった。
さすがにヘンリックも出掛けた先で機密情報を漏らすような事はしなかったので、マリーナが持っていたのはどれも大した情報ではなかったが、これがもしも寝台の上で二人きりであったなら、マリーナの誘導で国家に関わる機密を話していた可能性もあった。
そんな彼女を王家に迎える事は出来ないので、ローゼリアは彼女をヘンリックから離すか、ヘンリックを王家から離すかのどちらかをするつもりだった。
(そんなに王太子妃という地位は眩しかったのかしら?)
若さを武器に彼女は色々なものを手にしてきた。権力を手にすればより素晴らしい物が手に入る、きっと彼女は単純にそう思って王太子妃の座を狙っていたのだろう。
しかし、現実には王太子妃の予算には限りがあるし、華やかな面はほんの少しで、そのほとんどが地味な裏方の仕事ばかりなのだ。彼女ほどの押しの強さと行動力があるのなら、平民の豪商にでも嫁いだ方がよほど彼女の望む暮らしが出来ただろう。
「……アンダーソン令嬢、キミは王家を、私を騙そうとしていたのか?」
ヘンリックは信じられないものを見るような目でマリーナを見ていた。
「ちっ、ちがいますぅ。……ヒック、私にはヘンリック様だけなのにぃ……」
マリーナは泣くばかりで、もう話が出来る状態ではなかった。
ヘンリックはローゼリアを見る。
「どちらの話を信じるのかは、殿下がお決めになればいいですわ」
そう言ってローゼリアはヘンリックを突き離すように、違う方を向くのだった。
マリーナは出会った頃はしおらしく、遠慮がちな令嬢だった。初めて食事に出掛けた時は随分と男性に慣れていると思ったのだが、今の令嬢は皆そういうものだと教えられたのでそれを信じてきたのだった。前シーズンで彼女の行動や言動に矛盾を感じ、彼女は決して善良なタイプではないと知ってはいたが、ヘンリックに対しては一途だと思っていた。だからヘンリックは迷いながらもローゼリアに白い結婚を告げようしたのだった。
「私は、キミを信じる」
ヘンリックはローゼリアを見て、はっきりとそう言った。
しかしローゼリアは軽く小さなため息を吐いたのだった。自分はまた間違えてしまったのかと、ヘンリックの表情に不安そうな色が浮かぶ。
「……無闇に誰かを信じるというのは馬鹿のすることですわ。情報を精査せずに判断を下す事はお止めになった方がよろしくてよ」
ローゼリアはヘンリックにしか聞こえないくらいの小さな声で答えた。
「キミだから信じたいんだ。キミになら騙されてもいいし、キミがそばにいてくれるのなら、私は馬鹿でいい」
ヘンリックも同じくらいの小さな声で答えてローゼリアをじっと見つめる。
すると、それまで澄ました顔をしていたローゼリアの頬が赤く染まった。
突然その時、大広間の入口の方から大きな声が上がった。
「火事です! 急いでお逃げ下さい!」
危険を知らせる声に、会場にいた貴族たちの注目がローゼリアたちからは逸れ、入口の方へと集まるのだった。
婚約をした当初からヘンリックとの関係は不仲だとずっと言われ続けていたが、彼女が登場した事で更に関係が複雑になり、社交界でも彼らがどのような結末を迎えるのかを面白がっている者さえいた。
本気で彼女がヘンリックの事を想っていたのなら、ヘンリックの王太子としての立場と引き換えに彼の妻の座を譲っても良かったのだが、調べた限り彼女は自分を着飾るのが大好きで、彼女の中心にあるのは物欲だった。
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彼女のマナーの酷さは知っていたので、挨拶もいらないと判断したローゼリアはそのまま会話を続ける。
「分かりやすく申しますと、もうアンダーソン様のやり方では殿下の関心は得られないという事ですわ」
「ひどいっ、どうしてフォレスター様はそのように意地悪をおっしゃいますのっ!」
そう言ってマリーナは、芝居がかったような大げさな仕草でしくしくと泣き始めた。
マリーナの泣き声は大きく、貴族たちの注目が自分たちに集まっている事を分かった上で、ローゼリアはにっこりと笑う。
「アンダーソン様は私を悪者としたいのですね。よろしいですわ、本日はあなたにとっての悪役になって差し上げますわ、ふふふ」
ローゼリアはどこか嬉しそうだった。恋愛小説を読むのが好きなローゼリアは、悪役令嬢という立ち位置に自分が立っているこの状況を楽しんでいた。
「バルシュ様、コゼル様、パウヌ様、ヴィルタ様……」
ローゼリアは貴族家の名前をいくつか挙げていく。
周りに少しずつ集まりかけている貴族たちからざわめきが聞こえる。
「どうして私がこちらの方々のお名前を上げさせて頂いたのかお分かりになりまして?」
彼らの多くはヴィルタ派の貴族だったが、コゼル家だけは中立派の男爵家で、それぞれの領地も距離が遠く、バルシュ家にいたっては土地を持たない宮廷貴族だった。さらに爵位もバラバラだったので、少し考えただけでは共通点は見つからない。
ローゼリアはマリーナがいつ気付くのかを楽しみな様子で見ていた。
「そんなに難しい事をおっしゃないで。女ですから政治の事なんて分かりませんわ。私はフォレスター様とは違いますのに……」
マリーナは同情を誘うように弱々しい口調で答える。
「いいえ、政治の話ではありませんわ。とっても簡単な事なのですのよ。よぉく考えて下さいまし」
興味津津といった表情のローゼリアを見ているうちに、マリーナの頭の中で彼らの共通点にたどり着いてしまったようだった。気付いてしまったマリーナの視線が泳ぎ出す。
それを見て満足そうな表情を浮かべたローゼリアは話を続ける。
「この事をいつお話してしまおうかずっと考えておりましたの。こんなに大勢の方々がいらっしゃる場で話してしまうなんて思いませんでしたが、先ほど殿下が別室でとおっしゃって下さったのを拒まれたのですから仕方ありませんわね」
「やめて! それ以上は話さないで!」
「派閥も年齢も越えてこんなに幅広い交友関係をお持ちだなんて、アンダーソン様を尊敬していましたのよ。……そうそう、その大きなネックレスは先日引退したばかりのロウダ商会の元会頭の方からでしたよね。宝石はルビーと思われていらっしゃるのでしょうが、宝石がお好きなのでしたら、本物と偽物を見分けるようになられた方がよろしくてよ」
ヘンリックはギョッとした表情でマリーナを見る。ロウダ商会の元会頭といえば白い頭に白い髭をもつ平民の老人だったからだ。
若い娘が親族でも何でもない男から高価そうに見えるアクセサリーを受け取る理由なんてひとつしか思い浮かばない。
「本当の話、なのか?」
ヘンリックは驚いた表情のままローゼリアに確認をするが、ローゼリアは口の端を上げて笑うだけだった。事実は変わらないのだから、ヘンリックが信じようが信じまいがどちらでも良かった。
「ふふふ、それはアンダーソン様に聞いて下さいまし」
「嘘よ、嘘よ、嘘よっ! この方は嘘を吐いていらっしゃいますわ!」
「アンダーソン様、いつも思っておりましたが、お言葉はよく選ばれる事をお勧めいたしますわ。これまで便宜を図って下さったヴィルタ様は引退なされましたから。あの方とは確かデビュタント前からのお付き合いでしたわね。殿下とお付き合いをされていらっしゃった時期も色々な方々と懇意にされていらして、随分と大胆な方だと思っていましたのよ」
ヘンリックとマリーナが付き合い始めた頃、彼女が側妃となる可能性も考えたフォレスター家はマリーナの事を密かに調べていた。そしてマリーナ本人の資質や交友関係の問題から王家に入れるべきではないと判断が下されていた。
「そんなの知らないわよ! そうやって私を罠にはめて何が楽しいのよっ」
マリーナは悔しそうな表情でまた泣き始めてしまった。先ほどの芝居がかった涙とは違って、怒りの感情を露わにした涙であった。
疑わしい関係も含めると、彼女の交友関係はもっと広いのだが、ヘンリックに近づく為に協力してきた貴族家には、裏からフォレスターを追い落とそうとする動きもあった。彼らにはそれなりの制裁を与えたかったので、ローゼリアは敢えてそれらの家名を貴族たちの前で挙げたのだった。
マリーナは彼らと個人的な深い交流以外にもしている事があった。
ヘンリックと共に食事に出掛けた時に得た些細な情報、観劇の時にヘンリックが語っていた言葉、それらの情報と引き換えに彼女は交流のあった貴族たちから宝飾品やドレスを与えられてきたのだった。
さすがにヘンリックも出掛けた先で機密情報を漏らすような事はしなかったので、マリーナが持っていたのはどれも大した情報ではなかったが、これがもしも寝台の上で二人きりであったなら、マリーナの誘導で国家に関わる機密を話していた可能性もあった。
そんな彼女を王家に迎える事は出来ないので、ローゼリアは彼女をヘンリックから離すか、ヘンリックを王家から離すかのどちらかをするつもりだった。
(そんなに王太子妃という地位は眩しかったのかしら?)
若さを武器に彼女は色々なものを手にしてきた。権力を手にすればより素晴らしい物が手に入る、きっと彼女は単純にそう思って王太子妃の座を狙っていたのだろう。
しかし、現実には王太子妃の予算には限りがあるし、華やかな面はほんの少しで、そのほとんどが地味な裏方の仕事ばかりなのだ。彼女ほどの押しの強さと行動力があるのなら、平民の豪商にでも嫁いだ方がよほど彼女の望む暮らしが出来ただろう。
「……アンダーソン令嬢、キミは王家を、私を騙そうとしていたのか?」
ヘンリックは信じられないものを見るような目でマリーナを見ていた。
「ちっ、ちがいますぅ。……ヒック、私にはヘンリック様だけなのにぃ……」
マリーナは泣くばかりで、もう話が出来る状態ではなかった。
ヘンリックはローゼリアを見る。
「どちらの話を信じるのかは、殿下がお決めになればいいですわ」
そう言ってローゼリアはヘンリックを突き離すように、違う方を向くのだった。
マリーナは出会った頃はしおらしく、遠慮がちな令嬢だった。初めて食事に出掛けた時は随分と男性に慣れていると思ったのだが、今の令嬢は皆そういうものだと教えられたのでそれを信じてきたのだった。前シーズンで彼女の行動や言動に矛盾を感じ、彼女は決して善良なタイプではないと知ってはいたが、ヘンリックに対しては一途だと思っていた。だからヘンリックは迷いながらもローゼリアに白い結婚を告げようしたのだった。
「私は、キミを信じる」
ヘンリックはローゼリアを見て、はっきりとそう言った。
しかしローゼリアは軽く小さなため息を吐いたのだった。自分はまた間違えてしまったのかと、ヘンリックの表情に不安そうな色が浮かぶ。
「……無闇に誰かを信じるというのは馬鹿のすることですわ。情報を精査せずに判断を下す事はお止めになった方がよろしくてよ」
ローゼリアはヘンリックにしか聞こえないくらいの小さな声で答えた。
「キミだから信じたいんだ。キミになら騙されてもいいし、キミがそばにいてくれるのなら、私は馬鹿でいい」
ヘンリックも同じくらいの小さな声で答えてローゼリアをじっと見つめる。
すると、それまで澄ました顔をしていたローゼリアの頬が赤く染まった。
突然その時、大広間の入口の方から大きな声が上がった。
「火事です! 急いでお逃げ下さい!」
危険を知らせる声に、会場にいた貴族たちの注目がローゼリアたちからは逸れ、入口の方へと集まるのだった。
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読む前にご確認いただけると助かります。
1)西洋の貴族社会をベースにした世界観ではあるものの、あくまでファンタジーです
2)作中では第一王位継承者のみ『皇太子』とし、それ以外は『王子』『王女』としています
→ただ今『皇太子』を『王太子』へ、さらに文頭一文字下げなど、表記を改訂中です。
そのため一時的に『皇太子』と『王太子』が混在しております。
よろしくお願いいたします。
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誤字を教えてくださる方、ありがとうございます。
読み返してから投稿しているのですが、見落としていることがあるのでとても助かります。
アルファポリス第18回恋愛小説大賞 奨励賞受賞
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