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わたしのボディガード
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片脚を高く上げた昴くんのポージングからすると、どうやら鉄扉を蹴破って入ってきたようだ。
「…あ、あいつが1人でこの扉を!?」
「バカな…!扉には鍵がかかってたんだぞ!」
「し…信じられない」
昴くんの強さに3人は動揺している。
「昴くん!わたしなら大丈夫だよ!」
わたしは立ち上がって昴くんに手を振ってみせる。
3人と話しているときに、足の拘束も解いてもらっていた。
「ありす…、よかった」
わたしの姿を見て、ほっとした表情を見せる昴くん。
だけどすぐに、険しい顔つきへと変わる。
「お前ら…、よくもありすを!」
ギリッと唇を噛みしめた昴くんは、一直線に3人のもとへと突進する。
「今すぐありすから離れろっ!!」
飛び込んだ勢いのままに、昴くんは手前にいた1人に拳を振り下ろした。
その瞬間、一気にこの場の空気が変わった。
肌に刺さるようなピリついた感覚で、4人は拳を構えて臨戦態勢。
「さっきは油断したが、もう隙は見せねぇぞ!」
「お前、1人でこんなところに突っ込んできて、勝ち目があるとでも思ってるのか?」
「オレたちは、これまで死にものぐるいでのし上がってきた!腕っぷしにはそれなりの自信がある」
睨み合う4人。
いくら昴くんが強いといっても、3対1では不利にもほどがある。
だけど、昴くんは毅然としている。
「俺は、ただありすを守るだけのこと。相手がだれかなんて関係ない」
その瞬間、昴くんが3人に突っ込んだ。
昴くんの攻撃に3人も反撃する。
相手は年上で体格差だってあるのに、昴くんはそんなことものともしない。
でも『腕っぷしには自信かある』と言っていたとおり3人もケンカは得意なようで、なかなか勝負がつかない。
そのとき、1人の拳が昴くんの顔面に直撃した。
「…昴くん!」
はっとして、心臓が止まるかと思った。
「大丈夫…。直前で防いだから」
昴くんは顔の前で腕を交差させて、さっきのパンチをガードしたようだ。
…よかった。
だけど、こんな戦い見てられない。
「…もうやめて!こんなことやったって無意味だよ!」
「無意味なんかじゃない!オレたちには、佐藤アリスが必要なんだっ!」
「そうだ!だから、このガキはなんとしてでもここで追い払わねぇと!」
「あんたはそこで黙ってろ!」
…そんな。
「昴くんもやめて…!」
「ありすを素直に返してくれないのなら、力づくで奪い返すまで」
わたしを背中にして守ってくれる昴くん。
うれしいけど、ケガをする昴くんは…見たくない。
それに、あの3人だって本当は悪い人たちじゃないのに。
ケンカの決着はなかなかつかない。
このままでは、どちらもただ疲弊してしまうだけ。
いったいどうしたら…。
そう思っていた、――そのとき。
「ありすちゃ~ん!きたよ~!」
ピリついたこの場の空気には似つかわしくない陽気な声が聞こえてきた。
まさかとは思いながらも、声のしたほうへ目を向けると――。
「やっほ~。久しぶり!」
そこにいたのは、紛れもなくアリスちゃん本人だった!
「ア…、アリスちゃん!!」
わたしの驚く声に反応して、3人はわたしの視線の先に目を移す。
そして、わたしと瓜二つの顔のアリスちゃんを見たときの3人の顔といったら――。
「…さ、佐藤アリス!?」
「えっ…、でも佐藤アリスはここに…」
「こっちもアリス、あっちもアリス…?どういうことだよ!?」
顎が外れそうなくらいに、間抜けにも口をぽかんと開けていた。
「でも…、どうしてアリスちゃんがここに!?」
「えへへ~。それはね、この2人に警護してもらってきたんだよ」
そう言うアリスちゃんの後ろから現れたのは、虹斗くんと慎太郎くん。
「今だに信じられないけど、本当にアリスちゃんが2人いる~!」
「オレもまだ目を疑ってるけど…。でもこれで、この場は解決するんじゃないのか?」
慎太郎の言葉に、昴くんはフッと口角を開ける。
「2人とも助かった。本物の“佐藤アリス”様がお越しになられたんだ。俺との争いに意味があるのか…、考えてみたらわかるよな?」
3人は昴くんの話を聞いて、すべてを悟ったようだった。
自分たちが誘拐したのは、佐藤アリスにそっくりな別人だったということを。
混乱しながらも理解した3人は、その後素直に降参してくれた。
わたしのもとへは、すぐに昴くんが駆けつけてくれた。
「ありす、ケガはないか!?」
「大丈夫だよ。それよりも…昴くんが」
決定的な一撃は与えられていないとはいえ、昴くんの手や顔は傷だらけ。
「こんなの、たいしたことない。ありすが無事でいてくれたら、それだけで十分だ」
わたしをぎゅっと抱きしめる昴くん。
――すると。
「なになに~?ありすちゃん、そういうことになってるの~?」
振り返ると、ニヤニヤしながらわたしたちを見下ろすアリスちゃんが。
「ア…アリスちゃん!…それよりも、どうしてここに!?」
「あ~、それはね」
そう言って、アリスちゃんが経緯を説明してくれた。
校門付近でわたしがいないことにイージスが気づいたときには、すでにわたしは連れ去られたあとだった。
そして、通話中になったままのわたしのスマホが落ちているのを虹斗くんが見つける。
すぐに、わたしがアリスちゃんと間違われて攫われたと悟った昴くん。
そのとき、保留音からアリスちゃんに切り替わり、事の成り行きを昴くんがアリスちゃんに説明してくれた。
虹斗くんと慎太郎くんには、わたしのおばあちゃん家にいるアリスちゃんを連れてくるようにと指示。
そうして、昴くんはわたしを助けるために1人でこの廃ビルに乗り込んできたというわけだ。
「ありすの位置は、制服につけられているGPSですぐにわかったから」
「そうだったんだ…!」
制服にGPSがつけられていたなんて初耳だ。
「…ということです。本物のアリスちゃんじゃなくて、ごめんなさい」
わたしは3人の男の人に頭を下げた。
「どうしてあんたが謝るんだ。勘違いしていたのはオレたちのほうなのに…」
「…悪かった。あんたの言葉を信用することができなくて」
「間違ったとはいえ…、オレたちは『誘拐犯』。さっ、早く警察を呼んでくれ」
3人は深く反省していて、力なくうつむいていた。
このままだと、さらに未来に希望を持てなくなるんじゃないかな。
だけど、…どうすることもできないのだろうか。
――すると。
「あなたたち、よかったらあたしのボディガードになってみない?」
突拍子もないアリスちゃんの発言に、この場にいたアリスちゃん以外の目が点になった。
「ア…アリスちゃん?どういうこと?」
「イージスって、ものすごく優秀な警護部隊なんだよね?そこのリーダーと互角に渡り合うその身体能力、活かさない手はないでしょ~!」
「だ、だがボディガードなんて…。どうせ専門の学校へ行って、知識を身につける必要があるんじゃないのか?」
「…そんなの無理だっ。金もないっていうのに――」
「それは心配しなくて大丈夫。学費やその他諸々の費用は、あたしがパパにお願いするから♪だから今よりも強くなって、将来あたしのボディガードになってよ!」
こうして、この3人はその強さをアリスちゃんに認められ、立派なボディガードになるべく、専門の学校へと通うことができるようになった。
「もうみんなにはバレちゃったし、入れ替わりも今ここで終了ってことでいいかな?ありすちゃん」
「うん、そうだね」
わたしたちは、顔を見合わせてにこりと微笑んだ。
「それにしても、どうして昴は本物のアリス様が別にいるってわかったんだ?」
「あっ、それぼくも思ったー。もう1人の存在を知らなくちゃ、ここに本物のアリス様を連れてくる指示なんてできないよね?」
実はわたしも、慎太郎くんと虹斗くんと同じことを思っていた。
顔も名前も同じということすら信じがたいのに、落ちていたスマホの通話相手が本物のアリスちゃんだと把握して、2人に的確な指示なんて出せるものなのだろうか。
すると、昴くんがそっとわたしを抱き寄せた。
「俺は初めからわかってた。イージスで護衛することになったアリス様が、ありすだってことを」
「「…えっ!?」」
わたし、虹斗くん、慎太郎くんの声が重なる。
「そ、そんなのわかるはずないよ…!顔が瓜二つの佐藤アリスがもう1人いるって知っていないと、そもそも入れ替わってることなんて気づかないんだから」
「そう。だから、知ってたんだよ。もう1人の“佐藤ありす”の存在を」
「でもそれって…、わたしと会ったことがある人じゃないとわからな――」
「まだわからない?俺とありす、ずっと前に会ってるよ」
昴くんのその言葉に、わたしはキョトンと首をかしげる。
昴くんとわたしは、以前に会ったことがある…?
…いつ、どこで?
「忘れちゃった?俺は今でも覚えてるよ。4歳のとき、砂場で」
「4歳のときの…砂場?」
4歳といったら、わたしが幼稚園に通っていたころ。
そのときの砂場って――。
その瞬間、電流のようななにかがわたしの頭の中を駆け巡った。
一瞬にして、当時のおぼろげな記憶が鮮明に脳裏に浮かぶ。
…そうだ。
幼稚園の砂場で派手に転んで大泣きしていたとき、同い年の男の子がわたしに手を差し伸べてくれた。
その男の子の名前は、『るぅくん』。
わたしが密かに想い続けていた、初恋の人。
そして、今思い出した。
るぅくんの本名は、――『四之宮昴』。
なんと、わたしの初恋のるぅくんが…昴くんだった!
「る…るぅくん?」
「その名前で呼ばれるのも久しぶりだな」
照れくさそうに頬をかく昴くん。
たしか、当時わたしが『すばるくん』と上手に発音できなくて、『すばる』の“る”を取って『るぅくん』と呼ぶようになったんだっけ。
わたしが昴くんに感じていた懐かしさも、すべて幼稚園の記憶があったからなんだ。
「なんで初めて会ったときに言ってくれなかったの?」
「護衛は仕事だから。イージスのリーダーとして、そこは守る必要があったから」
昴くんがそんな前からわたしに気づいていたという事実にはびっくりだ。
「顔と名前が同じでも、ありすは俺の初恋なんだからすぐにわかるよ。当たり前だろ」
昴くんも…わたしが初恋。
すでに付き合っているというのに、改めて聞かされるとさらにうれしさが込み上げてくる。
そういえば、雷が鳴っていた夜――。
『ありす、雷苦手だろ?だから、心配になって様子を見にきた』
わたしが雷嫌いなのをもともと知っての言葉だとわかったら納得がいく。
それに、翌朝のあの言葉だって――。
『ありすが覚えていなくたって、俺が好きなのはありすだけ』
あれは、“わたしが眠っていて覚えていない”ということではなかった。
“わたしがるぅくんの顔を覚えていなくて昴くんに気づいていなくても”――という意味だったんだ。
「だけど、ありすの想いを知って、もうイージスのリーダーとしていられなくなった。ありすの彼氏として、そばにいたいと思ったんだ」
わたしもだよ、昴くん。
ただの護衛されるお嬢様じゃなくて、昴くんの彼女としていっしょにいたかった。
でも、それもアリスちゃんと入れ替わっている間まで。
アリスちゃんは星乃川学園の交換留学期間が終わって、明日アメリカへ帰る。
わたしはというと、また『佐藤ありす』に戻って平凡な生活を送ることとなる。
もう星乃川学園の生徒じゃない。
――まるで夢みたいな時間だった。
だれもが憧れるセレブ学校の星乃川学園に通って、エリート警護部隊『イージス』に護衛されることになって。
しかも、その『イージス』のメンバーの中にわたしの初恋の人がいて、想いを通わせることができて――。
だけど、その魔法も今日で解ける。
「ありすがもとの学校に戻ったって、俺たちの関係が終わるわけじゃない」
「…うん!そうだね」
わたしは昴くんに笑ってみせた。
本当は寂しいという気持ちは隠して。
――アリスちゃんと間違われて攫われた、わたしの誘拐事件。
いろいろあったけど、最後は昴くんがわたしの初恋の相手だということもわかって、無事に幕を下ろしたのだった。
* * *
アリスちゃんはアメリカに帰国し、わたしは1ヶ月ぶりにおばあちゃん家へと帰った。
おじいちゃんもおばあちゃんも、わたしとアリスちゃんが入れ替わっていたことにはまったく気づいていない様子。
星乃川学園のゴージャスな寮の部屋もよかったけど、やっぱりこの家が一番落ち着くことを改めて感じさせられた。
そして、おばあちゃんの手料理が懐かしくてたまらなかった。
週明けからは、もとの学校へ久々に登校した。
ここには、わたしがカースト1位だからといっていじめてくる女の子たちもいなければ、紳士的すぎる男の子たちもいない。
どこにでもある、ごくごく普通の中学校だ。
だから、昴くんがすぐそばにいることが当たり前だった生活が夢のようで――。
余計に昴くんがいない今の生活に虚しさを感じていた。
――ところが。
わたしに思ってもみなかったことが起こる。
新しい年が明けた、3学期初日の登校日。
なんとわたしは、星乃川学園の制服に袖を通していた。
というのも、冬休みに入る前にアリスちゃんから2通の手紙が届いた。
そこには、あの3人組が今はがんばって訓練を受けているという進捗と、わたしへの感謝の気持ちが綴られていた。
そして――。
【あっ、それと。ありすちゃんにはなにもお礼できてなかったよね。だから、あたしからのプレゼント!大きいほうの封筒を見てね♪】
と書かれてあったから、もう1つの大きな封筒を開けてみると――。
そこに入っていたのは、星乃川学園の転入手続きの書類だった。
『佐藤アリス』の推薦で、『佐藤ありす』を転入させたいという旨を理事長に伝えておいたとのこと。
もちろん、学費は免除で。
【これで、いつでも昴くんといっしょだね♪】
手紙の最後は、そんなふうに締めくくられていた。
もちろん、この話を断ることもできた。
だけど、わたしに断る理由なんてなかった。
そして、『佐藤ありす』として迎えた星乃川学園登校初日。
「…えっと。以前、交換留学生としてきていた生徒とそっくりですが…、佐藤…ありすさん?…で間違いないでしょうか…?」
「はい!“佐藤ありす”です!」
前と同じ担任の先生は混乱しているようだったけど、わたしは先生とは初対面を装って接した。
「聞いているかとは思いますが、この学園は女子生徒1人につき、エスコート科の男子生徒がボディガードとして1人つくことになっており――」
よく知っている説明をされながら、わたしは別室へと案内された。
「今回、佐藤さんとペアになるエスコート科の生徒はこちらです」
そう言って、先生が開けたドアの先にいたのは――。
深々とお辞儀をする黒髪の男の子。
ゆっくりと体を起こしたときに見えた左の胸元には、『イージス』の証である金色に輝く星のバッジ。
「お初にお目にかかります。四之宮昴と申します。ありす様は、責任を持ってお守りいたします」
そう。
それは、紛れもなくわたしの愛しい昴くんだった。
「それでは四之宮くん、あとの説明は任せましたよ」
「はい」
先生は昴くんの返事を聞くと、そっと部屋のドアを閉めた。
昴くんと2人きりの部屋。
久々に会う昴くんを前にして、わたしは緊張で固まってしまう。
――だけど。
「おいで、ありす」
昴くんがやさしい微笑みを浮かべ、両手を広げた。
その姿に緊張でこわばっていた頬がゆるみ、わたしは昴くん腕の中に思いきり飛び込んだ。
「会いたかった…昴くん!」
「ああ、俺も」
わたしたちは、強くぎゅっと抱きしめ合った。
「ずっとこうしたかった…!ありす、もう離さないから覚悟しろよ」
そう言って、昴くんはわたしの頬にキスをした。
昴くん、わたしももう離れない。
これからは、ずっとずっといっしょだよ。
『\ トップ★シークレット /』【完】
「…あ、あいつが1人でこの扉を!?」
「バカな…!扉には鍵がかかってたんだぞ!」
「し…信じられない」
昴くんの強さに3人は動揺している。
「昴くん!わたしなら大丈夫だよ!」
わたしは立ち上がって昴くんに手を振ってみせる。
3人と話しているときに、足の拘束も解いてもらっていた。
「ありす…、よかった」
わたしの姿を見て、ほっとした表情を見せる昴くん。
だけどすぐに、険しい顔つきへと変わる。
「お前ら…、よくもありすを!」
ギリッと唇を噛みしめた昴くんは、一直線に3人のもとへと突進する。
「今すぐありすから離れろっ!!」
飛び込んだ勢いのままに、昴くんは手前にいた1人に拳を振り下ろした。
その瞬間、一気にこの場の空気が変わった。
肌に刺さるようなピリついた感覚で、4人は拳を構えて臨戦態勢。
「さっきは油断したが、もう隙は見せねぇぞ!」
「お前、1人でこんなところに突っ込んできて、勝ち目があるとでも思ってるのか?」
「オレたちは、これまで死にものぐるいでのし上がってきた!腕っぷしにはそれなりの自信がある」
睨み合う4人。
いくら昴くんが強いといっても、3対1では不利にもほどがある。
だけど、昴くんは毅然としている。
「俺は、ただありすを守るだけのこと。相手がだれかなんて関係ない」
その瞬間、昴くんが3人に突っ込んだ。
昴くんの攻撃に3人も反撃する。
相手は年上で体格差だってあるのに、昴くんはそんなことものともしない。
でも『腕っぷしには自信かある』と言っていたとおり3人もケンカは得意なようで、なかなか勝負がつかない。
そのとき、1人の拳が昴くんの顔面に直撃した。
「…昴くん!」
はっとして、心臓が止まるかと思った。
「大丈夫…。直前で防いだから」
昴くんは顔の前で腕を交差させて、さっきのパンチをガードしたようだ。
…よかった。
だけど、こんな戦い見てられない。
「…もうやめて!こんなことやったって無意味だよ!」
「無意味なんかじゃない!オレたちには、佐藤アリスが必要なんだっ!」
「そうだ!だから、このガキはなんとしてでもここで追い払わねぇと!」
「あんたはそこで黙ってろ!」
…そんな。
「昴くんもやめて…!」
「ありすを素直に返してくれないのなら、力づくで奪い返すまで」
わたしを背中にして守ってくれる昴くん。
うれしいけど、ケガをする昴くんは…見たくない。
それに、あの3人だって本当は悪い人たちじゃないのに。
ケンカの決着はなかなかつかない。
このままでは、どちらもただ疲弊してしまうだけ。
いったいどうしたら…。
そう思っていた、――そのとき。
「ありすちゃ~ん!きたよ~!」
ピリついたこの場の空気には似つかわしくない陽気な声が聞こえてきた。
まさかとは思いながらも、声のしたほうへ目を向けると――。
「やっほ~。久しぶり!」
そこにいたのは、紛れもなくアリスちゃん本人だった!
「ア…、アリスちゃん!!」
わたしの驚く声に反応して、3人はわたしの視線の先に目を移す。
そして、わたしと瓜二つの顔のアリスちゃんを見たときの3人の顔といったら――。
「…さ、佐藤アリス!?」
「えっ…、でも佐藤アリスはここに…」
「こっちもアリス、あっちもアリス…?どういうことだよ!?」
顎が外れそうなくらいに、間抜けにも口をぽかんと開けていた。
「でも…、どうしてアリスちゃんがここに!?」
「えへへ~。それはね、この2人に警護してもらってきたんだよ」
そう言うアリスちゃんの後ろから現れたのは、虹斗くんと慎太郎くん。
「今だに信じられないけど、本当にアリスちゃんが2人いる~!」
「オレもまだ目を疑ってるけど…。でもこれで、この場は解決するんじゃないのか?」
慎太郎の言葉に、昴くんはフッと口角を開ける。
「2人とも助かった。本物の“佐藤アリス”様がお越しになられたんだ。俺との争いに意味があるのか…、考えてみたらわかるよな?」
3人は昴くんの話を聞いて、すべてを悟ったようだった。
自分たちが誘拐したのは、佐藤アリスにそっくりな別人だったということを。
混乱しながらも理解した3人は、その後素直に降参してくれた。
わたしのもとへは、すぐに昴くんが駆けつけてくれた。
「ありす、ケガはないか!?」
「大丈夫だよ。それよりも…昴くんが」
決定的な一撃は与えられていないとはいえ、昴くんの手や顔は傷だらけ。
「こんなの、たいしたことない。ありすが無事でいてくれたら、それだけで十分だ」
わたしをぎゅっと抱きしめる昴くん。
――すると。
「なになに~?ありすちゃん、そういうことになってるの~?」
振り返ると、ニヤニヤしながらわたしたちを見下ろすアリスちゃんが。
「ア…アリスちゃん!…それよりも、どうしてここに!?」
「あ~、それはね」
そう言って、アリスちゃんが経緯を説明してくれた。
校門付近でわたしがいないことにイージスが気づいたときには、すでにわたしは連れ去られたあとだった。
そして、通話中になったままのわたしのスマホが落ちているのを虹斗くんが見つける。
すぐに、わたしがアリスちゃんと間違われて攫われたと悟った昴くん。
そのとき、保留音からアリスちゃんに切り替わり、事の成り行きを昴くんがアリスちゃんに説明してくれた。
虹斗くんと慎太郎くんには、わたしのおばあちゃん家にいるアリスちゃんを連れてくるようにと指示。
そうして、昴くんはわたしを助けるために1人でこの廃ビルに乗り込んできたというわけだ。
「ありすの位置は、制服につけられているGPSですぐにわかったから」
「そうだったんだ…!」
制服にGPSがつけられていたなんて初耳だ。
「…ということです。本物のアリスちゃんじゃなくて、ごめんなさい」
わたしは3人の男の人に頭を下げた。
「どうしてあんたが謝るんだ。勘違いしていたのはオレたちのほうなのに…」
「…悪かった。あんたの言葉を信用することができなくて」
「間違ったとはいえ…、オレたちは『誘拐犯』。さっ、早く警察を呼んでくれ」
3人は深く反省していて、力なくうつむいていた。
このままだと、さらに未来に希望を持てなくなるんじゃないかな。
だけど、…どうすることもできないのだろうか。
――すると。
「あなたたち、よかったらあたしのボディガードになってみない?」
突拍子もないアリスちゃんの発言に、この場にいたアリスちゃん以外の目が点になった。
「ア…アリスちゃん?どういうこと?」
「イージスって、ものすごく優秀な警護部隊なんだよね?そこのリーダーと互角に渡り合うその身体能力、活かさない手はないでしょ~!」
「だ、だがボディガードなんて…。どうせ専門の学校へ行って、知識を身につける必要があるんじゃないのか?」
「…そんなの無理だっ。金もないっていうのに――」
「それは心配しなくて大丈夫。学費やその他諸々の費用は、あたしがパパにお願いするから♪だから今よりも強くなって、将来あたしのボディガードになってよ!」
こうして、この3人はその強さをアリスちゃんに認められ、立派なボディガードになるべく、専門の学校へと通うことができるようになった。
「もうみんなにはバレちゃったし、入れ替わりも今ここで終了ってことでいいかな?ありすちゃん」
「うん、そうだね」
わたしたちは、顔を見合わせてにこりと微笑んだ。
「それにしても、どうして昴は本物のアリス様が別にいるってわかったんだ?」
「あっ、それぼくも思ったー。もう1人の存在を知らなくちゃ、ここに本物のアリス様を連れてくる指示なんてできないよね?」
実はわたしも、慎太郎くんと虹斗くんと同じことを思っていた。
顔も名前も同じということすら信じがたいのに、落ちていたスマホの通話相手が本物のアリスちゃんだと把握して、2人に的確な指示なんて出せるものなのだろうか。
すると、昴くんがそっとわたしを抱き寄せた。
「俺は初めからわかってた。イージスで護衛することになったアリス様が、ありすだってことを」
「「…えっ!?」」
わたし、虹斗くん、慎太郎くんの声が重なる。
「そ、そんなのわかるはずないよ…!顔が瓜二つの佐藤アリスがもう1人いるって知っていないと、そもそも入れ替わってることなんて気づかないんだから」
「そう。だから、知ってたんだよ。もう1人の“佐藤ありす”の存在を」
「でもそれって…、わたしと会ったことがある人じゃないとわからな――」
「まだわからない?俺とありす、ずっと前に会ってるよ」
昴くんのその言葉に、わたしはキョトンと首をかしげる。
昴くんとわたしは、以前に会ったことがある…?
…いつ、どこで?
「忘れちゃった?俺は今でも覚えてるよ。4歳のとき、砂場で」
「4歳のときの…砂場?」
4歳といったら、わたしが幼稚園に通っていたころ。
そのときの砂場って――。
その瞬間、電流のようななにかがわたしの頭の中を駆け巡った。
一瞬にして、当時のおぼろげな記憶が鮮明に脳裏に浮かぶ。
…そうだ。
幼稚園の砂場で派手に転んで大泣きしていたとき、同い年の男の子がわたしに手を差し伸べてくれた。
その男の子の名前は、『るぅくん』。
わたしが密かに想い続けていた、初恋の人。
そして、今思い出した。
るぅくんの本名は、――『四之宮昴』。
なんと、わたしの初恋のるぅくんが…昴くんだった!
「る…るぅくん?」
「その名前で呼ばれるのも久しぶりだな」
照れくさそうに頬をかく昴くん。
たしか、当時わたしが『すばるくん』と上手に発音できなくて、『すばる』の“る”を取って『るぅくん』と呼ぶようになったんだっけ。
わたしが昴くんに感じていた懐かしさも、すべて幼稚園の記憶があったからなんだ。
「なんで初めて会ったときに言ってくれなかったの?」
「護衛は仕事だから。イージスのリーダーとして、そこは守る必要があったから」
昴くんがそんな前からわたしに気づいていたという事実にはびっくりだ。
「顔と名前が同じでも、ありすは俺の初恋なんだからすぐにわかるよ。当たり前だろ」
昴くんも…わたしが初恋。
すでに付き合っているというのに、改めて聞かされるとさらにうれしさが込み上げてくる。
そういえば、雷が鳴っていた夜――。
『ありす、雷苦手だろ?だから、心配になって様子を見にきた』
わたしが雷嫌いなのをもともと知っての言葉だとわかったら納得がいく。
それに、翌朝のあの言葉だって――。
『ありすが覚えていなくたって、俺が好きなのはありすだけ』
あれは、“わたしが眠っていて覚えていない”ということではなかった。
“わたしがるぅくんの顔を覚えていなくて昴くんに気づいていなくても”――という意味だったんだ。
「だけど、ありすの想いを知って、もうイージスのリーダーとしていられなくなった。ありすの彼氏として、そばにいたいと思ったんだ」
わたしもだよ、昴くん。
ただの護衛されるお嬢様じゃなくて、昴くんの彼女としていっしょにいたかった。
でも、それもアリスちゃんと入れ替わっている間まで。
アリスちゃんは星乃川学園の交換留学期間が終わって、明日アメリカへ帰る。
わたしはというと、また『佐藤ありす』に戻って平凡な生活を送ることとなる。
もう星乃川学園の生徒じゃない。
――まるで夢みたいな時間だった。
だれもが憧れるセレブ学校の星乃川学園に通って、エリート警護部隊『イージス』に護衛されることになって。
しかも、その『イージス』のメンバーの中にわたしの初恋の人がいて、想いを通わせることができて――。
だけど、その魔法も今日で解ける。
「ありすがもとの学校に戻ったって、俺たちの関係が終わるわけじゃない」
「…うん!そうだね」
わたしは昴くんに笑ってみせた。
本当は寂しいという気持ちは隠して。
――アリスちゃんと間違われて攫われた、わたしの誘拐事件。
いろいろあったけど、最後は昴くんがわたしの初恋の相手だということもわかって、無事に幕を下ろしたのだった。
* * *
アリスちゃんはアメリカに帰国し、わたしは1ヶ月ぶりにおばあちゃん家へと帰った。
おじいちゃんもおばあちゃんも、わたしとアリスちゃんが入れ替わっていたことにはまったく気づいていない様子。
星乃川学園のゴージャスな寮の部屋もよかったけど、やっぱりこの家が一番落ち着くことを改めて感じさせられた。
そして、おばあちゃんの手料理が懐かしくてたまらなかった。
週明けからは、もとの学校へ久々に登校した。
ここには、わたしがカースト1位だからといっていじめてくる女の子たちもいなければ、紳士的すぎる男の子たちもいない。
どこにでもある、ごくごく普通の中学校だ。
だから、昴くんがすぐそばにいることが当たり前だった生活が夢のようで――。
余計に昴くんがいない今の生活に虚しさを感じていた。
――ところが。
わたしに思ってもみなかったことが起こる。
新しい年が明けた、3学期初日の登校日。
なんとわたしは、星乃川学園の制服に袖を通していた。
というのも、冬休みに入る前にアリスちゃんから2通の手紙が届いた。
そこには、あの3人組が今はがんばって訓練を受けているという進捗と、わたしへの感謝の気持ちが綴られていた。
そして――。
【あっ、それと。ありすちゃんにはなにもお礼できてなかったよね。だから、あたしからのプレゼント!大きいほうの封筒を見てね♪】
と書かれてあったから、もう1つの大きな封筒を開けてみると――。
そこに入っていたのは、星乃川学園の転入手続きの書類だった。
『佐藤アリス』の推薦で、『佐藤ありす』を転入させたいという旨を理事長に伝えておいたとのこと。
もちろん、学費は免除で。
【これで、いつでも昴くんといっしょだね♪】
手紙の最後は、そんなふうに締めくくられていた。
もちろん、この話を断ることもできた。
だけど、わたしに断る理由なんてなかった。
そして、『佐藤ありす』として迎えた星乃川学園登校初日。
「…えっと。以前、交換留学生としてきていた生徒とそっくりですが…、佐藤…ありすさん?…で間違いないでしょうか…?」
「はい!“佐藤ありす”です!」
前と同じ担任の先生は混乱しているようだったけど、わたしは先生とは初対面を装って接した。
「聞いているかとは思いますが、この学園は女子生徒1人につき、エスコート科の男子生徒がボディガードとして1人つくことになっており――」
よく知っている説明をされながら、わたしは別室へと案内された。
「今回、佐藤さんとペアになるエスコート科の生徒はこちらです」
そう言って、先生が開けたドアの先にいたのは――。
深々とお辞儀をする黒髪の男の子。
ゆっくりと体を起こしたときに見えた左の胸元には、『イージス』の証である金色に輝く星のバッジ。
「お初にお目にかかります。四之宮昴と申します。ありす様は、責任を持ってお守りいたします」
そう。
それは、紛れもなくわたしの愛しい昴くんだった。
「それでは四之宮くん、あとの説明は任せましたよ」
「はい」
先生は昴くんの返事を聞くと、そっと部屋のドアを閉めた。
昴くんと2人きりの部屋。
久々に会う昴くんを前にして、わたしは緊張で固まってしまう。
――だけど。
「おいで、ありす」
昴くんがやさしい微笑みを浮かべ、両手を広げた。
その姿に緊張でこわばっていた頬がゆるみ、わたしは昴くん腕の中に思いきり飛び込んだ。
「会いたかった…昴くん!」
「ああ、俺も」
わたしたちは、強くぎゅっと抱きしめ合った。
「ずっとこうしたかった…!ありす、もう離さないから覚悟しろよ」
そう言って、昴くんはわたしの頬にキスをした。
昴くん、わたしももう離れない。
これからは、ずっとずっといっしょだよ。
『\ トップ★シークレット /』【完】
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