魂の捕食者

真鉄

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魂の捕食者

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  びり、と布の破れる音にアーベルは目を見開いた。異形の手はまるで紙でも破るようにいとも簡単にコートを半ばまで引き裂き、先走りに濡れそぼったズボンの上から屹立をなぞった。アーベルはあまりにも淫らな光景に震え、か細い声を漏らす。

「もう、やめて……。やめて、ください……」
「何故だ? まだまだこれからだろう?」

  濡れた下着ごとズボンを太腿の辺りまで引き下ろすと、固く張り詰めた肉竿がぶるんと飛び出した。今までに彼自らの意志で性的に触れたことのない肉茎は、立派だが色素の沈着もなく、薄いピンク色の亀頭が先走りで艶々と濡れ光っていた。異形はいかにも清らかなそれに舌舐めずりし、大きな手で屹立をやんわりと握り込んだ。

「や、めっ……!」

  アーベルは唇を強く噛んだ。ぬちゃぬちゃといやらしい音を立てて異形の手が屹立をしごく。生まれて初めての直截な快感に腰の震えが止まらない。射精を求めて陰嚢がせり上がる。片手で異形に抱き込まれて身動きの取れないアーベルは否定するように首を振ることしかできなかった。だが、快感に不慣れな敏感な身体は強烈な快感の前になすすべもなく屈服した。

「……っ! あっ、あっ、だめぇっ……!」

  がくがくと腰を震わせ、アーベルは泣きながら大量の精を吐き出した。びゅるびゅると噴きあげた白濁は身にまとう引き裂かれた黒いコートの残骸に飛び散り、いやらしい彩りを添えた。異形は長い舌で手についた濃い精液を舐め取り、ついでにアーベルの眦から零れ落ちた涙の雫を舌先で掬った。美味そうに咀嚼すると、異形は目を閉じて脱力するアーベルの耳元で囁いた。

「お前の処女は全て俺のものだ」
「……何、言って」

  再び萎えかけたアーベルの肉茎に異形の手がかかる。達したばかりで敏感になっている肉竿を容赦なくしごかれ、彼はその強烈すぎる快感に悲鳴を上げた。

「ぐああっ……! ああっ、やめろっ! やめっ……!」

  だが、それはすぐにまた力を取り戻し始め、臍に向かって反り返り始めた。浅ましい己自身を忌まわしくて堪らない。思わず目を逸らしたところで、屹立に冷たい液体が掛けられ、弾かれるように目を戻した。異形の手には香油の瓶が握られていた。蓋はない。

「貴様っ、その香油は神の……!」
「なかなかいい潤滑油だな。あまり好きな匂いではないが」

  滑りの良くなった屹立をぬるぬるとしごき、指先が鈴口をくじる。神を侮辱する異形への怒りの言葉はくぐもった呻き声に変わり、香油とは違うぬるつきが先端から溢れ始めた。その時だ。

「な、にをする気だっ!」

  するすると屹立に赤い蛇が巻き付いた。いや、これは異形の尻尾だ。小指ほどの細さの長い尻尾が香油まみれの肉竿に絡み、てらてらといやらしく光っている。異形がくつくつと笑った。

「さっき言っただろう? 全ての処女を貰うと」

  濡れた尻尾の先端が鈴口に近づき、その頭が尿道の中へと潜り込んだ。

「ひああああああっ!!」

  尻尾は先端をぐぽぐぽと出入りしながら確実に尿道の奥へと進んでいく。痛みに近い灼熱の快感にアーベルは堪らず叫んだ。そうでもしないと気がおかしくなりそうだった。尻尾が動くたびに裏筋がぼこぼこと蠢く。異形は指先で再び乳首を可愛がりながらうっとりと囁いた。

「ああ、お前の悲鳴は本当に堪らない。もっともっと聞かせておくれ」
「やめっ、いやだっ、いやあああっ……!」

  ゆっくりと尻尾は尿道の奥へ奥へと進んでいく。それは膀胱付近まで達してついに動きを止めた。尻尾を咥え込んだ亀頭は痛々しいほどに真っ赤に充血している。異形の指が尻尾の形に膨らんだ裏筋を指で撫で上げた。中と外から与えられる圧迫と強烈な快感にアーベルは身体を引きつらせた。

「尿道を中から擦られる気分はどうだい?」
「ぬいて……いやだ、こんなの……」

  子どものように泣きじゃくるアーベルの涙や鼻水を異形は愛しげに舐め取るが、その手や尻尾を止める気配はない。アーベルが絶望に震える息を吐いたその時だった。

「んあああああっ!」

  アーベルは目を剥いて身体を引きつらせた。彼自身、何が起こったのか分からなかったが、強烈な電流がその身に流されたようにただ叫ぶことしかできなかった。屹立に突き刺さった尻尾が細かな振動を始めたのだ。尿道を灼くような凄まじい快感と、体の奥から湧き出す甘い甘い快感。尻尾は尿道の中から前立腺をこね回していた。

「ああああっ! やら、むりっ! おかしくなるっ!」
「気持ちいいんだね」

  死すら感じるほどの身を灼く快感に身悶えるアーベルを異形は嬉しげに金の瞳を細めながらうっとりと眺めている。人間の理論など異形に通じはしない。アーベルは涙や涎を垂らしながら、がくがくと腰を振った。強制的に達したのだ。

「んあああああっ!」

  長い尻尾がしゅるしゅると抜き取られ、それがまた尿道を擦り上げて強烈な快感を生んだ。後にはぱっくりと鈴口を開ききり、真っ赤に充血した屹立がひくひくと揺れていた。アーベルはがっくりと首を垂れ、力なく異形に凭れかかって、ただ荒い息をつくことしかできない。

  その間にも異形はアーベルにまとわりついた衣服を引き裂き、首から神の意匠を象った銀の首飾りだけを残して全てを取り去った。腕の拘束も外されたが、抵抗する気力も体力も残っていなかった。
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