チートスキルと無限HP!〜いじめられっ子は最弱職業だが、実は地上最強〜

ボルメテウス

文字の大きさ
16 / 123
第2章ダンジョンの怪物

15裏切りの王

しおりを挟む
 電脳世界。いわゆるゲームの世界と現実世界が混ざり合う、そんな訳が分からない状況の中、俺たちは手探りで戦わなくちゃいけなかったんだ。
 コマンドの意味もよく分からずに――。


〈ダメージ貫通、終了いたしました〉
〈コマンドを選択してください〉
 


――――――――――――――――――――――――――
  選択時間:1分
→ ●戦う
  ●逃げる
――――――――――――――――――――――――――


(クソ!休ませてくれないのか)


 松尾への攻撃を身代わりした後は、目の前のコマンドを睨(にら)みつけながら歯ぎしりした。
 現状の確認すると1番左端には鮫島『王(キング)』、真ん中には松尾『魔道士(メイジ)』、そして1番右側には俺『奴隷(スレイヴ)』がいる。
 しかし、真ん中にいる松尾はさっきから気を失っていて眠っている、そんな状況だ。


 早く意識を取り戻してくれ。
 俺のこの感情は彼女を戦力として扱えるように、という考えから来るものじゃない。
 先程から化け物の攻撃の際に、上半身が裸同然になってしまった彼女が視線に入らないようにしている。


 それもあって鮫島と会話しづらいのだ。もちろんあいつの性格が嫌いってこともあるけどな。


 でもとりあえず。松尾さん、早く意識を取り戻して服を着てくれ。俺は慣れてないんだよ……。


 ただその点、鮫島は流石と言うべきか。松尾の裸を見ても何とも思ってないように見える。
 こいつら、もしかして付き合ってたのか?……


 俺は初めて見る松尾の体のせいで、変な想像をしてしまうんだけど……。
 あっいかんいかん、俺はこんな大変な時に何考えてんだ。


 そんな想像をしている間にも『コマンド』の選択時間がどんどん過ぎていくんだ。
 実際、時間が残り少ないかのように、鮫島が大声で先程の確認をしてきた。


「奴隷くん! 『魔法(マジック)』でMPをお前に移すけど、次のターンで化け物が俺を選択したら助けてくれよ」
「う、うん。もちろんだよ!」


 鮫島から助けてくれ、なんて言われる事になるとはな。
 これまであいつから虐められた事を許す気は無いけど、俺の言う事を聞いて、MPを分けてくれるって言うんだから多少は許してやるか。
 俺は少し顔をニヤつかせながら『戦う』の『コマンド』を選択した。
 鮫島が、MPを分けてくれるんだから『呪怨(じゅおん)』を選択できるはずだ。


(あれ?……)

 ――――――――――――――――――――――――――
   選択時間:20秒
→ ●物理攻撃
  ●呪怨(じゅおん) ※MPが0のため使用不可
  ●身を守る
  ●アイテム
 ――――――――――――――――――――――――――


 俺の目の前に映った画面では、まだ『呪怨(じゅおん)』の『コマンド』は選択不可のままだった。
 なぜ使用できないのか、俺は頭が混乱した。


 なんでまだ使えないんだ?
 もしかしたら、他人から移譲されるMPは無効なのか。
 俺は顔を引きつらせたままで鮫島の方に顔を向けて震えた声で話しかけた。


「さ、鮫島君。MPがまだ使えない事になってるんだけど」
「ん、、あぁ、まだ俺のターンが終わってないからな」
「あっ……そうか」


 そうだった。まだ鮫島は魔法を使っていないんだった。
 じゃあしょうがないか、さっきと同じで、このターンは耐えるしかない。
 俺は先程のターンと同様に『身を守る』を選択した。
 しかし、すぐには機械音は鳴らない。
 鮫島と俺が選択を終了したとしても、松尾が気絶しているので選択時間いっぱいまで待たなければならないのだ。


 待っている間そんな気絶している彼女を見ていると、不謹慎かもしれないが笑えてくる。
 俺は、強気な性格の彼女しか見てこなかったけど、優しくて弱い一面もあるんだな。
 早く意識を取り戻してくれ。令嬢だからって気を使ってたけど、もう一回話してみたい。
 そんな風に思えてきた。
 あ、意識を取り戻した後に裸を見たわね!って殴られるかもしれないね。まぁ。
 生きて帰れたらの話だけど――。


「もうそろそろかな」


 俺の予想通り、不気味な機械音が頭に鳴り響いた。



〈プレイヤー『松尾』は、選択時間内に『コマンド』を選択しませんでしたので、このターンは行動出来ません〉

〈プレイヤー側の選択が終わりましたので、プレイヤーのターンを開始いたします〉


 いよいよか。
 このターンが終われば、『呪怨(じゅおん)』を発動する条件が整うわけだけど。もし役に立たない『コマンド』だったら。
 正直、がダメならもう方法が無いんだ。


 俺はストレスのせいで眉間にしわを寄せていた。そんな時だ。
 そんな俺の耳に、可笑しな笑い声が聞こえ始めたのは。


「はははははははは」


 この笑い声。鮫島か?でもなんで笑って……。
 現状を理解できていない俺が横を向いて確認すると、そこには腹を抱えて笑っている姿があった。
 なぜ笑っているのか?それは機械音が現実を教えてくれた。


〈ブー!〉
〈プレイヤー『鮫島』は、『逃げる』を選択致しましたので実行します〉


(え?……嘘だろ……)


 俺の顔が白くなっていくところを、鮫島は満面の笑みで見ていた。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

追放された最強ヒーラーは、美少女令嬢たちとハーレム生活を送る ~公爵令嬢も義妹も幼馴染も俺のことを大好きらしいので一緒の風呂に入ります~

軽井広@北欧美少女 書籍化!
ファンタジー
白魔道師のクリスは、宮廷魔導師団の副団長として、王国の戦争での勝利に貢献してきた。だが、国王の非道な行いに批判的なクリスは、反逆の疑いをかけられ宮廷を追放されてしまう。 そんなクリスに与えられた国からの新たな命令は、逃亡した美少女公爵令嬢を捕らえ、処刑することだった。彼女は敵国との内通を疑われ、王太子との婚約を破棄されていた。だが、無実を訴える公爵令嬢のことを信じ、彼女を助けることに決めるクリス。 クリスは国のためではなく、自分のため、そして自分を頼る少女のために、自らの力を使うことにした。やがて、同じような境遇の少女たちを助け、クリスは彼女たちと暮らすことになる。 一方、クリスのいなくなった王国軍は、隣国との戦争に負けはじめた……。

処理中です...