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第2章ダンジョンの怪物
15裏切りの王
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電脳世界。いわゆるゲームの世界と現実世界が混ざり合う、そんな訳が分からない状況の中、俺たちは手探りで戦わなくちゃいけなかったんだ。
コマンドの意味もよく分からずに――。
〈ダメージ貫通、終了いたしました〉
〈コマンドを選択してください〉
――――――――――――――――――――――――――
選択時間:1分
→ ●戦う
●逃げる
――――――――――――――――――――――――――
(クソ!休ませてくれないのか)
松尾への攻撃を身代わりした後は、目の前のコマンドを睨(にら)みつけながら歯ぎしりした。
現状の確認すると1番左端には鮫島『王(キング)』、真ん中には松尾『魔道士(メイジ)』、そして1番右側には俺『奴隷(スレイヴ)』がいる。
しかし、真ん中にいる松尾はさっきから気を失っていて眠っている、そんな状況だ。
早く意識を取り戻してくれ。
俺のこの感情は彼女を戦力として扱えるように、という考えから来るものじゃない。
先程から化け物の攻撃の際に、上半身が裸同然になってしまった彼女が視線に入らないようにしている。
それもあって鮫島と会話しづらいのだ。もちろんあいつの性格が嫌いってこともあるけどな。
でもとりあえず。松尾さん、早く意識を取り戻して服を着てくれ。俺は慣れてないんだよ……。
ただその点、鮫島は流石と言うべきか。松尾の裸を見ても何とも思ってないように見える。
こいつら、もしかして付き合ってたのか?……
俺は初めて見る松尾の体のせいで、変な想像をしてしまうんだけど……。
あっいかんいかん、俺はこんな大変な時に何考えてんだ。
そんな想像をしている間にも『コマンド』の選択時間がどんどん過ぎていくんだ。
実際、時間が残り少ないかのように、鮫島が大声で先程の確認をしてきた。
「奴隷くん! 『魔法(マジック)』でMPをお前に移すけど、次のターンで化け物が俺を選択したら助けてくれよ」
「う、うん。もちろんだよ!」
鮫島から助けてくれ、なんて言われる事になるとはな。
これまであいつから虐められた事を許す気は無いけど、俺の言う事を聞いて、MPを分けてくれるって言うんだから多少は許してやるか。
俺は少し顔をニヤつかせながら『戦う』の『コマンド』を選択した。
鮫島が、MPを分けてくれるんだから『呪怨(じゅおん)』を選択できるはずだ。
(あれ?……)
――――――――――――――――――――――――――
選択時間:20秒
→ ●物理攻撃
●呪怨(じゅおん) ※MPが0のため使用不可
●身を守る
●アイテム
――――――――――――――――――――――――――
俺の目の前に映った画面では、まだ『呪怨(じゅおん)』の『コマンド』は選択不可のままだった。
なぜ使用できないのか、俺は頭が混乱した。
なんでまだ使えないんだ?
もしかしたら、他人から移譲されるMPは無効なのか。
俺は顔を引きつらせたままで鮫島の方に顔を向けて震えた声で話しかけた。
「さ、鮫島君。MPがまだ使えない事になってるんだけど」
「ん、、あぁ、まだ俺のターンが終わってないからな」
「あっ……そうか」
そうだった。まだ鮫島は魔法を使っていないんだった。
じゃあしょうがないか、さっきと同じで、このターンは耐えるしかない。
俺は先程のターンと同様に『身を守る』を選択した。
しかし、すぐには機械音は鳴らない。
鮫島と俺が選択を終了したとしても、松尾が気絶しているので選択時間いっぱいまで待たなければならないのだ。
待っている間そんな気絶している彼女を見ていると、不謹慎かもしれないが笑えてくる。
俺は、強気な性格の彼女しか見てこなかったけど、優しくて弱い一面もあるんだな。
早く意識を取り戻してくれ。令嬢だからって気を使ってたけど、もう一回話してみたい。
そんな風に思えてきた。
あ、意識を取り戻した後に裸を見たわね!って殴られるかもしれないね。まぁ。
生きて帰れたらの話だけど――。
「もうそろそろかな」
俺の予想通り、不気味な機械音が頭に鳴り響いた。
〈プレイヤー『松尾』は、選択時間内に『コマンド』を選択しませんでしたので、このターンは行動出来ません〉
〈プレイヤー側の選択が終わりましたので、プレイヤーのターンを開始いたします〉
いよいよか。
このターンが終われば、『呪怨(じゅおん)』を発動する条件が整うわけだけど。もし役に立たない『コマンド』だったら。
正直、これがダメならもう方法が無いんだ。
俺はストレスのせいで眉間にしわを寄せていた。そんな時だ。
そんな俺の耳に、可笑しな笑い声が聞こえ始めたのは。
「はははははははは」
この笑い声。鮫島か?でもなんで笑って……。
現状を理解できていない俺が横を向いて確認すると、そこには腹を抱えて笑っている姿があった。
なぜ笑っているのか?それは機械音が現実を教えてくれた。
〈ブー!〉
〈プレイヤー『鮫島』は、『逃げる』を選択致しましたので実行します〉
(え?……嘘だろ……)
俺の顔が白くなっていくところを、鮫島は満面の笑みで見ていた。
コマンドの意味もよく分からずに――。
〈ダメージ貫通、終了いたしました〉
〈コマンドを選択してください〉
――――――――――――――――――――――――――
選択時間:1分
→ ●戦う
●逃げる
――――――――――――――――――――――――――
(クソ!休ませてくれないのか)
松尾への攻撃を身代わりした後は、目の前のコマンドを睨(にら)みつけながら歯ぎしりした。
現状の確認すると1番左端には鮫島『王(キング)』、真ん中には松尾『魔道士(メイジ)』、そして1番右側には俺『奴隷(スレイヴ)』がいる。
しかし、真ん中にいる松尾はさっきから気を失っていて眠っている、そんな状況だ。
早く意識を取り戻してくれ。
俺のこの感情は彼女を戦力として扱えるように、という考えから来るものじゃない。
先程から化け物の攻撃の際に、上半身が裸同然になってしまった彼女が視線に入らないようにしている。
それもあって鮫島と会話しづらいのだ。もちろんあいつの性格が嫌いってこともあるけどな。
でもとりあえず。松尾さん、早く意識を取り戻して服を着てくれ。俺は慣れてないんだよ……。
ただその点、鮫島は流石と言うべきか。松尾の裸を見ても何とも思ってないように見える。
こいつら、もしかして付き合ってたのか?……
俺は初めて見る松尾の体のせいで、変な想像をしてしまうんだけど……。
あっいかんいかん、俺はこんな大変な時に何考えてんだ。
そんな想像をしている間にも『コマンド』の選択時間がどんどん過ぎていくんだ。
実際、時間が残り少ないかのように、鮫島が大声で先程の確認をしてきた。
「奴隷くん! 『魔法(マジック)』でMPをお前に移すけど、次のターンで化け物が俺を選択したら助けてくれよ」
「う、うん。もちろんだよ!」
鮫島から助けてくれ、なんて言われる事になるとはな。
これまであいつから虐められた事を許す気は無いけど、俺の言う事を聞いて、MPを分けてくれるって言うんだから多少は許してやるか。
俺は少し顔をニヤつかせながら『戦う』の『コマンド』を選択した。
鮫島が、MPを分けてくれるんだから『呪怨(じゅおん)』を選択できるはずだ。
(あれ?……)
――――――――――――――――――――――――――
選択時間:20秒
→ ●物理攻撃
●呪怨(じゅおん) ※MPが0のため使用不可
●身を守る
●アイテム
――――――――――――――――――――――――――
俺の目の前に映った画面では、まだ『呪怨(じゅおん)』の『コマンド』は選択不可のままだった。
なぜ使用できないのか、俺は頭が混乱した。
なんでまだ使えないんだ?
もしかしたら、他人から移譲されるMPは無効なのか。
俺は顔を引きつらせたままで鮫島の方に顔を向けて震えた声で話しかけた。
「さ、鮫島君。MPがまだ使えない事になってるんだけど」
「ん、、あぁ、まだ俺のターンが終わってないからな」
「あっ……そうか」
そうだった。まだ鮫島は魔法を使っていないんだった。
じゃあしょうがないか、さっきと同じで、このターンは耐えるしかない。
俺は先程のターンと同様に『身を守る』を選択した。
しかし、すぐには機械音は鳴らない。
鮫島と俺が選択を終了したとしても、松尾が気絶しているので選択時間いっぱいまで待たなければならないのだ。
待っている間そんな気絶している彼女を見ていると、不謹慎かもしれないが笑えてくる。
俺は、強気な性格の彼女しか見てこなかったけど、優しくて弱い一面もあるんだな。
早く意識を取り戻してくれ。令嬢だからって気を使ってたけど、もう一回話してみたい。
そんな風に思えてきた。
あ、意識を取り戻した後に裸を見たわね!って殴られるかもしれないね。まぁ。
生きて帰れたらの話だけど――。
「もうそろそろかな」
俺の予想通り、不気味な機械音が頭に鳴り響いた。
〈プレイヤー『松尾』は、選択時間内に『コマンド』を選択しませんでしたので、このターンは行動出来ません〉
〈プレイヤー側の選択が終わりましたので、プレイヤーのターンを開始いたします〉
いよいよか。
このターンが終われば、『呪怨(じゅおん)』を発動する条件が整うわけだけど。もし役に立たない『コマンド』だったら。
正直、これがダメならもう方法が無いんだ。
俺はストレスのせいで眉間にしわを寄せていた。そんな時だ。
そんな俺の耳に、可笑しな笑い声が聞こえ始めたのは。
「はははははははは」
この笑い声。鮫島か?でもなんで笑って……。
現状を理解できていない俺が横を向いて確認すると、そこには腹を抱えて笑っている姿があった。
なぜ笑っているのか?それは機械音が現実を教えてくれた。
〈ブー!〉
〈プレイヤー『鮫島』は、『逃げる』を選択致しましたので実行します〉
(え?……嘘だろ……)
俺の顔が白くなっていくところを、鮫島は満面の笑みで見ていた。
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