22 / 123
第3章覚醒の刻
21防具と武具
しおりを挟む
何で氷華がここにいるんだ?
いや、それよりもあんな鎧どこから持ってきたんだよ。
激闘を終えた俺と火憐(かれん)の前に現れたのは、全身鎧姿の氷華だった。
さすがに俺も驚きを隠せない。
驚くのも無理はないだろう?幼馴染が鎧を着て走ってくる姿など、誰が想像出来るだよ。
全速力で走ってくる鎧を見て、怯えている火憐に向かって俺はすぐさま事情を伝えたよ。
「火憐! あれは敵じゃない」
「敵じゃない?」
「そう。俺の幼馴染なんだ」
「だから、あなたの名前を呼んでたのね」
「そうだよ。朝、いつも登校してるから仲はいいんだ」
「ふ~ん。あの全身鎧、声が高いような気がするけど幼馴染って女?」
「う、うん。そうだけど何?」
「へぇ~、そうなんだ」
火憐の雰囲気が急に変わった。腕を組んでこちらを睨みつけている。
まるで獲物を狙う虎のように、眼の色が金色(こんじき)に輝いているように感じた。
その異様な雰囲気の中であっても、氷華は、こちらにどんどん近づいてくる。
「ちょっと! なんでいつも無視するのよ~」
【ガシャン!ガシャン!ガシャン!】
鎧の音を鳴らしながら走っていた。すごい速さだ。
恐らく制服姿の蓮と走っても勝つであろう。その迫り来る鎧目掛けて蓮は叫んだ。
「ごめんよ、氷華! でも怖いからゆっくり来てくれ!」
「あっ、はーい」
【ガシャン……ガシャン……】
氷華は軽い調子で返すと、速さを緩めてゆっくりと俺たちの元へと着いた。
よく見ると体系は確かに氷華である。遠くから見ると鎧の影響で大きく見えるが近くで見ると小さい。
身長160cmほどの彼女らしいサイズ感だ。
「ふっ、あなたチビね」
氷華が着くや否や火憐が腕を組んで身長のことを馬鹿にした。
火憐は160cm後半はあるので氷華よりも高いのだ。
その態度はまさに令嬢といった貫禄で、目には力が入っていた。
まるで氷華を敵対視しているようである。なんでかよく分からないけど。
2人の険悪な雰囲気は、近くにいた俺さえも圧倒するほとだ。
元々、俺は気が弱いからさ。事態を収拾させる事が出来ずにただ右往左往して戸惑っていたよ。
あぁ、なんで喧嘩腰なんだよ。敵じゃないんだから、仲良くしてくれ。
最悪、氷華の方から折れてくれればいいけど。
俺は氷華の方をチラリと見たが、願いは叶わなさそうであった。
氷華の方も馬鹿にされていて黙っているような性格ではないのだ。
彼女は体の向きを火憐の方向へ向けると、指で彼女の髪を指しながら反撃する。
「チビ? 可愛いと言いなさいよ、あんたも何その髪色。銀髪ってさ。中二病で銀色に染めちゃったの?」
「……あなた、人の髪色を馬鹿にする気かしら」
「喧嘩を売って来たのはそっちでしょ。ほら、さっさとその可笑しな髪色を直して来なさいよ」
「お……可笑しな髪色? こ、れは地毛の色なのよ。馬鹿に……しないでよ。うっ……」
髪の色は火憐にとっては地雷だったらしい。少しイジられただけで泣き出してしまった。
氷華はそれを見て罪悪感を感じたのだろう。すぐに近寄って謝罪をした。
「ご、ごめん。ちょっと言いすぎたわ。というか蓮この子誰?」
「俺の高校の友達で、松尾火憐って言うんだ」
「火憐ちゃんごめんね」
氷華にあやされている火憐を見て俺は遠い目をしていた。
高校で俺を虐めていた時からすると、現在の姿は全く想像できないのだ。
今日だけで松尾さんへの印象が変わるなぁ。
まぁ確かに俺を虐めてる時も別に見てるだけだったし、鮫島が俺を殴ろうとした時も止めてくれたし
やはり、火憐はいじめっ子気質ではなさそうだ。
でも、そんな事より今は氷華に聞かなきゃならない事がある。
俺は真面目な顔に切り替えた話を切り出した。
「氷華。なんで今1人で行動をしているんだ?」
「それがね。みんな塾があるって先に帰っちゃったのよ」
「え……そ、そうか。じゃあ今着ている鎧はどうしたの?」
「この鎧のこと? これはね。横穴に入れば奥に宝箱があってそこから取ってきたの!」
「横穴に入ったのか! 全く、度胸あるなぁ」
「いや、普通は入るでしょ。装備も無しに戦えないよ」
「え? 装備も無しに戦えない?」
「!? もしかして装備を付けずに戦ったの?」
【ガシャン!】
彼女は頭につけた鎧を外して素顔を見せる。その表情は驚きを隠せない様子であった。
装備?今、氷華が着ている鎧の事かな。
俺は何のことか分からず、顔を傾けたまま彼女に答えた。
「うん。なにも装備せずに戦ったけど」
「うっ、わたしも、ヒグッ……装備ない……よ……」
「はぁ。全く……多分ここダンジョンの最下層よ。危ないわね」
まだ泣いている火憐であったが話の内容が内容なだけに頑張って会話に参加して来た。『装備』という概念すらない2人の話を聞いて氷華は呆れ顔のまま言葉を続ける。
「装備を付けずに戦ってよく生き残れたわね。ゲームでも武器とか防具をつけてから戦うでしょ?」
「ん、どういう意味?」
俺は氷華の言葉の意味が分からなかった。隣にいる火憐もそうだ、首を傾げて考えている。
「意味分からない……」
いつまで経っても理解できない2人に、氷華は呆れ果てたようだ。
外国人のようにやれやれという感じで手を水平にして動かすと、細い目をしながら意図を教えてくれた。
「簡単に言うと、装備を一切付けずに『FPS』をやるようなモノよ」
「なるほど」
「なるほど……うぐっ……」
氷華の説明を聞いた俺たちはなぜか妙に納得出来た。
いや、それよりもあんな鎧どこから持ってきたんだよ。
激闘を終えた俺と火憐(かれん)の前に現れたのは、全身鎧姿の氷華だった。
さすがに俺も驚きを隠せない。
驚くのも無理はないだろう?幼馴染が鎧を着て走ってくる姿など、誰が想像出来るだよ。
全速力で走ってくる鎧を見て、怯えている火憐に向かって俺はすぐさま事情を伝えたよ。
「火憐! あれは敵じゃない」
「敵じゃない?」
「そう。俺の幼馴染なんだ」
「だから、あなたの名前を呼んでたのね」
「そうだよ。朝、いつも登校してるから仲はいいんだ」
「ふ~ん。あの全身鎧、声が高いような気がするけど幼馴染って女?」
「う、うん。そうだけど何?」
「へぇ~、そうなんだ」
火憐の雰囲気が急に変わった。腕を組んでこちらを睨みつけている。
まるで獲物を狙う虎のように、眼の色が金色(こんじき)に輝いているように感じた。
その異様な雰囲気の中であっても、氷華は、こちらにどんどん近づいてくる。
「ちょっと! なんでいつも無視するのよ~」
【ガシャン!ガシャン!ガシャン!】
鎧の音を鳴らしながら走っていた。すごい速さだ。
恐らく制服姿の蓮と走っても勝つであろう。その迫り来る鎧目掛けて蓮は叫んだ。
「ごめんよ、氷華! でも怖いからゆっくり来てくれ!」
「あっ、はーい」
【ガシャン……ガシャン……】
氷華は軽い調子で返すと、速さを緩めてゆっくりと俺たちの元へと着いた。
よく見ると体系は確かに氷華である。遠くから見ると鎧の影響で大きく見えるが近くで見ると小さい。
身長160cmほどの彼女らしいサイズ感だ。
「ふっ、あなたチビね」
氷華が着くや否や火憐が腕を組んで身長のことを馬鹿にした。
火憐は160cm後半はあるので氷華よりも高いのだ。
その態度はまさに令嬢といった貫禄で、目には力が入っていた。
まるで氷華を敵対視しているようである。なんでかよく分からないけど。
2人の険悪な雰囲気は、近くにいた俺さえも圧倒するほとだ。
元々、俺は気が弱いからさ。事態を収拾させる事が出来ずにただ右往左往して戸惑っていたよ。
あぁ、なんで喧嘩腰なんだよ。敵じゃないんだから、仲良くしてくれ。
最悪、氷華の方から折れてくれればいいけど。
俺は氷華の方をチラリと見たが、願いは叶わなさそうであった。
氷華の方も馬鹿にされていて黙っているような性格ではないのだ。
彼女は体の向きを火憐の方向へ向けると、指で彼女の髪を指しながら反撃する。
「チビ? 可愛いと言いなさいよ、あんたも何その髪色。銀髪ってさ。中二病で銀色に染めちゃったの?」
「……あなた、人の髪色を馬鹿にする気かしら」
「喧嘩を売って来たのはそっちでしょ。ほら、さっさとその可笑しな髪色を直して来なさいよ」
「お……可笑しな髪色? こ、れは地毛の色なのよ。馬鹿に……しないでよ。うっ……」
髪の色は火憐にとっては地雷だったらしい。少しイジられただけで泣き出してしまった。
氷華はそれを見て罪悪感を感じたのだろう。すぐに近寄って謝罪をした。
「ご、ごめん。ちょっと言いすぎたわ。というか蓮この子誰?」
「俺の高校の友達で、松尾火憐って言うんだ」
「火憐ちゃんごめんね」
氷華にあやされている火憐を見て俺は遠い目をしていた。
高校で俺を虐めていた時からすると、現在の姿は全く想像できないのだ。
今日だけで松尾さんへの印象が変わるなぁ。
まぁ確かに俺を虐めてる時も別に見てるだけだったし、鮫島が俺を殴ろうとした時も止めてくれたし
やはり、火憐はいじめっ子気質ではなさそうだ。
でも、そんな事より今は氷華に聞かなきゃならない事がある。
俺は真面目な顔に切り替えた話を切り出した。
「氷華。なんで今1人で行動をしているんだ?」
「それがね。みんな塾があるって先に帰っちゃったのよ」
「え……そ、そうか。じゃあ今着ている鎧はどうしたの?」
「この鎧のこと? これはね。横穴に入れば奥に宝箱があってそこから取ってきたの!」
「横穴に入ったのか! 全く、度胸あるなぁ」
「いや、普通は入るでしょ。装備も無しに戦えないよ」
「え? 装備も無しに戦えない?」
「!? もしかして装備を付けずに戦ったの?」
【ガシャン!】
彼女は頭につけた鎧を外して素顔を見せる。その表情は驚きを隠せない様子であった。
装備?今、氷華が着ている鎧の事かな。
俺は何のことか分からず、顔を傾けたまま彼女に答えた。
「うん。なにも装備せずに戦ったけど」
「うっ、わたしも、ヒグッ……装備ない……よ……」
「はぁ。全く……多分ここダンジョンの最下層よ。危ないわね」
まだ泣いている火憐であったが話の内容が内容なだけに頑張って会話に参加して来た。『装備』という概念すらない2人の話を聞いて氷華は呆れ顔のまま言葉を続ける。
「装備を付けずに戦ってよく生き残れたわね。ゲームでも武器とか防具をつけてから戦うでしょ?」
「ん、どういう意味?」
俺は氷華の言葉の意味が分からなかった。隣にいる火憐もそうだ、首を傾げて考えている。
「意味分からない……」
いつまで経っても理解できない2人に、氷華は呆れ果てたようだ。
外国人のようにやれやれという感じで手を水平にして動かすと、細い目をしながら意図を教えてくれた。
「簡単に言うと、装備を一切付けずに『FPS』をやるようなモノよ」
「なるほど」
「なるほど……うぐっ……」
氷華の説明を聞いた俺たちはなぜか妙に納得出来た。
0
あなたにおすすめの小説
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる