チートスキルと無限HP!〜いじめられっ子は最弱職業だが、実は地上最強〜

ボルメテウス

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第4章過去との決別

45期待されない者の拳

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 俺の中にいるダンフォールという老人。彼のステータスを見た時は正直驚いたよ。
 Lv.9999って上限は無いのか?
 俺はしばらく言葉を失った。


――――――――――――――――――――――――――
 ●基本ステータス
 ・名前…ブレイン・ダンフォール
 ・性別…男
 ・年齢…100歳

 ●能力ステータス
 ・Lv.9999
 ・職業→『奴隷(スレイヴ)』
 ・魔法攻撃→『1000000』
 ・物理攻撃→『1000000』
 ・魔法防御→『10』
 ・物理防御→『10』
 ・知力→『1』
                            ↓↓↓↓↓ ――――――――――――――――――――――――――


 こちらが黙っているとダンフォールさんの方から声をかけてきた。
 何せさっきまで攻撃を止めてくれって、散々騒いでいた奴が急に黙り込んだんだからな。心配もするだろう。


(少年よ。どうした? 儂の技は見なくてよいのか)
(いや、ちがうよダンフォールさん。ステータスを見て驚いていたんだ。Lv.があり得ない数値になってるから)
(あぁ、確かにな。通常のプレイヤーはLv.100までが限度のはずじゃからな)
(ダンフォールさんが特別なだけなんですか?)


 ダンフォールは少し考え込むとゆっくりと答えてくれた。彼もまだ解決していない謎のようだ。


(正直なところ儂もよく分かっておらぬのじゃ。『奴隷(スレイヴ)』という職業自体が珍しいからな。他の『奴隷(スレイヴ)』にも儂のような奴がおるかもしれん)
(……)


 ダンフォールさんのこの言葉で俺はまた黙り込んでしまった。
 ゲーム化されたこの世界はまだ何が起こるか分からない。期待と不安が入り混じったような気持ちだ。


 そうやって考えていると時間が来たようだ。
 ダンフォールさん。いや、俺の両手が黒いオーラをまとっていた。
 恐らくさっき言っていた技なのだろう。


 ダンフォールさんは拳を握りしめて、鮫島の方向を真っ直ぐに見ている。
 対する鮫島の方は余裕があるようにみえた。
 『奴隷(スレイヴ)』如きに何が出来るんだ?と言わんばかりに顔がニヤついている。


「さっきからどうしたんだよ。奴隷君の攻撃なんかじゃ俺にかすり傷すらつけられないぞぉ」
「……」
「無視すんなよ! 奴隷が!!」
「鮫島殿。儂の攻撃が弱いと言っておるのか?」


 鮫島はここまで俺が強気なのが腑に落ちないようだ。顔を強張らせて大きな声で吠えた。
 そうやって不安をかき消しているのだろう。


「そう言ってんだよ! 誰もお前に何か期待しちゃいない! 周りを見てみろよ」
「ほぅ。なるほどな。儂に期待する者はおらぬか」


 ダンフォールさんが鮫島の言葉に反応して辺りを見回した。
 鮫島はクスクスと笑っているが、俺はずっと前から気づいている。
 そう。戦闘が始まってからクラスメイトはずっと鮫島を見ていた。
 俺が勝つなんて誰も思っちゃいないんだろう。


 こういうのは慣れてるから良いんだけどさ。
 文化祭や体育祭、修学旅行だって俺はいつも蚊帳の外だ。皆から気にかけられた事なんて無かったからな。
 いや、でも今回はいつもと少し違う。
 火憐だけは最初から俺をずっと見てくれていたから。


 一人でも自分を見てくれる人がいるのは心強い。自信を持って鮫島の目を見つめられるから。
 今、鮫島を見つめているのはダンフォールさんなんだけどね………。


「まぁ良いわ。期待などされなくとも儂は前に進むだけじゃ」


 ボソリと呟くとダンフォールさんが動いた。
 ゆっくりと鮫島の方向に歩いていき、真っ黒なオーラをまとった右拳で思いっきり鮫島の腹部を狙った。


「ははは。お前はHPしか自慢できる所のない奴隷だ。こんな所で意地を張っても無意味だぞぉ」

  
 鮫島はダンフォールさんが攻撃する所をゆったりと眺めていた。奴は俺のステータスが見えていないからな。
 そんなに余裕なんだろう。


【ガッ!……】


 遂にダンフォールの拳が鮫島の腹部分の装備を捉えた。これでダメージが発生する。
 しかし、この時はもう俺はダンフォールさんを止めなかった。
 いや、止めたかったんだけど諦めたんだ。俺にはそんな力ないから。
 刑務所に行く事になるのかな……。


 対して鮫島はいまだ余裕そうな表情のままだ。
 まさか、今の俺の攻撃値が100万あるとは思っていないのだろう。
 現実を知らない鮫島とって機械音が知らせるダメージは信じ難いモノだった思うよ。


〈プレイヤー『鮫島』に100万のダメージ〉


「え?」


 機械音が響いた瞬間。鮫島の小さな声が聞こえた。
 そして俺達2人の間にしばしの静寂が訪れたんだ。


 鮫島は顔を歪ませて俺を見つめていたよ。
 なんで奴隷がって。そんな表情でね。
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