チートスキルと無限HP!〜いじめられっ子は最弱職業だが、実は地上最強〜

ボルメテウス

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第5章崩れゆく世界

73ケルベロス無双

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ALL CHANGEオール・チェンジ発動します】


 俺の目の前に現れる数字の羅列。
 それは戦いの火蓋が切って落とされた事を表していた。


「……」
『ガルルルル!』 


 ケルベロスの呻(うめ)き声が響く地下鉄構内。
 そこで、俺はスキルを発動したんだ。こいつらを倒して帝都駅のこの出入り口を制圧する為にね。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇


 ケルベロス達の鳴き声も大きくなる。
 スキルを発動した事に気付いたのか、それとも本能的に的に近づくとそうなるのか、俺には分からない。


『ガルルルルルル』
「そんなに腹減ってるのか?」


 カッ……カッ……カッ……。


 目の前にいるケルベロス達はよだれを垂らしながら俺にゆっくりと近づいてくる。
 まるで、獲物(えもの)に襲いかかろうとするライオンのようだ。
 でもなぜだろう。
 恐怖心を全く感じないんだ。最初にダンジョンへ入った時とは全然違う。
 むしろこの力を試してみたいとさえ思っている。


「さて……拝見させて貰おうか……」


 そんな俺は拳を握りしめてケルベロスの動きを注視していた。
 まぁ、さっきスキルで防御値に1万ずつ移動させたから攻撃されても問題ないんだけどね。
 でも一応相手のステータスは見ておくよ。


 そう思ってケルベロスを凝視した。すると出てきたよ、ステータスが。
 まぁこんなものか、って感じだったけど。


 ―――――――――――――――――――――――
 ●ケルベロス                                                                       Lv.30
 ○HP…『70000』
 ○状態…『通常』
 ○殺人カウント…『103』

 地獄に潜む番犬。3つの頭はそれぞれ独立しており、その牙は鉄より硬く……獲物の肉を喰い千切る。
 ―――――――――――――――――――――――


『ガルルルルルル』
「なるほどね」


 俺は1匹のステータスを見終わると深く深呼吸をした。


「スー……ハー……」


 俺の表情が自信に満ちていく。だって思ったんだ……。
 これならすぐに倒せるって。


「いくぞ! ケルベロス!」


 俺は勢いよく踏み込んだ。
 するとどうだろう。俺の力に耐えきれなかったようだ。
 床が悲鳴をあげていた。


 ベコッ!


 床のタイルが凹(へこ)む程の力で俺は床を蹴り上げた。
 そして、一蹴りで手前のケルベロスに近づくと、そのままケルベロスの右端の頭を殴ったんだ。


「スキル発動……」


 さっさと制圧したい。
 その気持ちが俺にスキルをさらに発動させた。


ALL CHANGEオール・チェンジ発動します】
【HPの値を10万ずつ攻撃値へ移動します】


 これで合計は11万。
 これならケルベロスを一撃で倒せるだろう。
 俺は渾身の一撃をケルベロスにぶちまけた。


「ふっ!」


 空中で体を回転させさらにスピードの乗った右拳がケルベロスの横顔にめり込んでいく。


 メリッッ!……。


(よし。入ったな。じゃあ……そのまま最後まで……。振り抜く!)


 ヒュッッ……ドゴォォォォォン!。


 まるでロケットのようだった。
 スピードの乗った拳はその勢いのままケルベロスを体ごと壁まで吹き飛ばしたのだ。
 俺本人が驚くくらいだったよ。


「え? こんなに飛ぶものなのか?……」
『ガ……ルル……ル……』


 パラッ……。


 叩きつけられた壁は大きく凹(へこ)み、ケルベロスはそのすぐそばで倒れていた。
 そして、徐々に姿形が薄くなっていく。


(ん?……もしかして……?)


 俺は消えゆくケルベロスのステータスを確認したんだ。そして分かった。ケルベロスが弱すぎるという事を。
 俺はため息混じりに両手をあげて残念がっていた。
 つまらないからな。


「やっぱりこんなものか」


 そう。ケルベロスのHPが0になっていたのだ。


 ―――――――――――――――――――――――
 ●ケルベロス                                                                       Lv.30
 ○HP…『0』
 ○状態…『通常』
 ○殺人カウント…『103』

 地獄に潜む番犬。3つの頭はそれぞれ独立しており、その牙は鉄より硬く……獲物の肉を喰い千切る。
 ―――――――――――――――――――――――


 スゥゥゥゥゥ……。


 俺は、殴ったケルベロスが完全に消え去る事を確認すると目を前に向けて他の個体を見つめた。


「まずは一体目」
『ガルルルル!!!!』


 仲間が倒されたからだろうか。
 ケルベロス達は毛を逆立てて、こちらを威嚇してきている。
 今にも一斉に襲いかかってきそうだ。


「仲間が殺されて怒ってるのか? でもなぁお前らこそ、人を殺しすぎだ」
『ガルルルル!』


 そう。こいつらは人を殺しすぎている。
 自衛官を殺したのか?一般人を殺したのか?それは分からない。
 でも、さっきのケルベロスやつは100人以上も殺してやがった。
 こっちは分かるんだよ。
 ステータスにある『殺人カウント』って項目でな。


「お前らはここで倒す」
『ガルルルル!』


 俺が足に力を入れて、またダッシュしようとしたその時だった。
 階段から変な音が聞こえてきたんだ。階段を駆け下りるような騒々しい音が。


 コツコツコツコツ!


(何だこの音?)


 俺達が先ほど使った階段から聞こえる、大きな足音……。何人かで急いで駆け下りているのだと思う。


(でも……一体誰が……)


 コツコツコツコツ!


 その正体はすぐに分かった。
 複数のうちの一人が大声でこちらに話しかけてきたからだ。
 ハッキリとした声にキビキビとした動き。それはまさに自衛官のそれだった。


「石黒大将! ここは制圧できていないんですよ。総員! 直ちに配置に付け!」
「「イエッサー!!!!!」」


 カチャッ……カチャッ……カチャ……。


 階段から降りてきたのは7人程の自衛官達。
 彼らは突然階段前に現れると、横一列に並んで銃口をこちらに向けてきた。


「少年! 体を床につけてください!」


 その一団の中心にいた人物が俺に向かって警告してきたんだ。


 え?え?え?何が起こってる?なんで自衛官達が降りてきているんだ?
 それに石黒大将には警告しないのか?


 突然の出来事わけがわからなかったが、こちらに向けられた銃口を見て思わず体を床に伏せてしまった。


「打てエ!!」


 一人が合図をすると爆音と共に鉛玉がケルベロスに叩き込まれた。
 これじゃまるで戦争だ。


 パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパ!!!!


 1人の自衛官がそう叫ぶと横一列に並んだ自衛官達が一斉に射撃を開始したんだ。
 物凄い銃声が響き渡る……鼓膜が破れそうだ。
 銃弾の弾幕が俺の上を過ぎていく。
 これだけ鉛玉を食らわせれば、もしくはなんて思っていたが、全然ダメだ。


 キンッキンッキンッキンッキンッキン。


 銃弾はケルベロスの皮膚を貫通せずに全て弾かれてゆく。


(ダメか。そんな攻撃じゃ……ケルベロス達こいつらは倒せない)


 俺は急いで自衛官に警告した。
 無駄死にをさせるわけにはいかないからな。ここは俺一人で十分だ。


「逃げろ自衛官! そいつらは今機嫌が悪いんだ!」

  
 でも遅かった。
 自衛官が俺の言葉を受け入れるよりも前に、ケルベロスが動き出したのだ。


『ガルルルルルル!』


 カッカッカッカッカッカッカッカッ!!


 銃弾の弾幕を物ともせずケルベロス数匹が自衛官達の元に走り出した。
 このままだとあの自衛官達は全員死ぬだろう。


(くそッ! こうなったら)


 俺は降り注ぐ銃弾の中で立ち上がりそのままケルベロス達を追いかけたんだ。
 ん?銃弾の中なのに大丈夫なのかって?もちろん大丈夫だ。俺は今、防御値が11万なんだからな。
 全く問題ないけど、流石に銃撃は止めて欲しかったな。
 皮膚が銃弾を弾(はじ)くけどさ。やっぱり怖いんだ。


 でも、自衛官達は俺以上に怖かったんだろう。
 銃弾の効かない化け物達が襲いかかっているんだから。


 その恐怖は見ていて分かったよ。
 自衛官達は、前を見ているというより迫り来るケルベロスしか見てなかったんだ。
 当然、俺の事なんか見ちゃいない。
 まぁ……そんな事はどうでもいいか。
 とりあえず、自衛官達に向かうケルベロスを倒さないとな。



『ガルルルルッ!』


 そのケルベロスのうち1匹が1人の自衛官に嚙みつこうと空中を舞った。


「く、くるなぁあ!」


 パパパパパパパパパパパパ!
 キンッキンッキンッキンッキンッ!


 自衛官は必死にケルベロスを撃っている……が、無意味だ。


 このままじゃ追い付けねぇ。こうなったら。


ALL CHANGEオール・チェンジ発動します】
【HPの値から100万ずつ攻撃力へ移動します……】


 ボゴッ!……。


 スキルで能力値を111万にした俺は瞬間移動と間違えられるような速さを手に入れた。
 俺が蹴り上げた床には穴が空き……殴ったケルベロスは拳が触れた瞬間に消滅する。


 だから1匹、また1匹とケルベロス達のHPをそぎ落としていった。
 その要領で走っているケルベロスを1匹ずつ消していく。


 ボゴッ!!……ボゴッ!!……。


 突然現れる大きな穴……。そして穴が出来る度(たび)に消えていくケルベロス。
 結局、俺のいるエリアは穴だらけになってしまった。


 でも、まぁいいだろう。
 まだ数匹ほどケルベロスは残っているが自衛官達を襲おうとしていたケルベロスは全部消したんだ。


 まぁ自衛官に飛びついたケルベロスはギリギリだったけどね。
 あともう少しで、牙が自衛官の顔に突き刺さりそうだった。


「打ち方やめ!」


 異変に気付いた自衛官がやっと銃撃を止めてくれたんだ。
 いや、急に目の前に男子高校生が現れたんだからな。止めるのは当然か。



「どうなっているんだ。こんな穴あったか……」
「化け物どもが……消えてる?……」


 襲ってきたケルベロスが消えて辺りが穴だらけになっている事を確認し、言葉を失う自衛官達。
 そんな中で最初に言葉を発したのは俺に向かって警告してきた人物だった。


「きっ……君はキングだったのか?」


 震える声……。まるで救世主でも現れたかのような表情だ。
 でもすまないな。俺はキングじゃない。
 そんな良い職業じゃないんだ。


 これから何回でも言われるだろうこの質問に、俺は笑顔で答えた。



「いいえ。俺の職業は……」


 ――【奴隷スレイヴ】です。

 と。
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