美的感覚が逆転してる国で醜いと言われ続け、全てが敵に回ったので私はまともな国で幸せに暮らします。

銀杏鹿

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03 敵しかいない国

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「ミザリー?何をしてるの?」

 追手を吹き飛ばし、呼び出した箒で街路を滑るように飛んでいた私は知り合いに呼び止められた。

「アニー、私、この国で出てくから」

 赤髪の彼女はまだ人間に近い形をしている。あくまで球体か人間で言えば人間かなぁ、と言えるくらい。

「え、何で?」

「私は逆に何で出て行かないのか理解出来ない」

「ここは良い国じゃない!貴女は使い果たされて死ぬまで、生まれたこの国に奉仕する義務があるのよ!聖女の仕事はどうするの!」

「別に私がいなくても聖女は何人もいるし」

「そんな振る舞いは美しくないよ!」

「じゃあ、聖女の先輩達みたいに何もしないのに威張り散らしたり、人を馬鹿にすることしかしない後輩の振る舞いは美しいと思う?」

「美しいに決まってるじゃん!私の憧れの人達と一緒に働けるのに何が不満なの!?」

 この通り、何を言っても無駄。この国では私の方が間違っている。

「不満しかない!」

「そんな無責任な人だと思わなかった!もしかして、まさか、自分のしたいように生きるつもり!?」

「そう!私は自由になる!こんな国を抜け出してね!」

「醜い!醜すぎる!聞いてると頭がおかしくなりそう!貴女みたいな人が友達だったなんて……!幻滅したわ!幻滅!見た目は化け物でも心くらいはまだマシだと思ってたのに!」

「今更だけど、貴女の頭の中もそんな酷いと思わなかった」

「今更少し美しいことを言っても無駄、もう無理、無理なの!無理から無理になって無駄!」

 それ美しい判定になるんだ、わかんないなこれ。

「じゃ、もう行くから」

「あ!待って!」

「何?」

「実は、通報してたの!もう聖女の皆様がいらしてるはずだから!諦めて!死んで!」

「友達とか言って最初から裏切ってるじゃんこいつ……敵かよ……!」

「だって!貴女の懸賞金高いんだよ!嬉しいじゃない!友達がお金になるなんて!これまで嫌なのにサービスで友達やってた甲斐が──」

「そっか!じゃあ私からもサービスで!」

 無詠唱の風魔術で吹き飛ばした彼女は彼方へ飛んでいった。

「絶交してやるぅぅぅ」

「友達だから初回は無料ねー」

 友人との今生の別れを惜しみながら手を振る。

「そこまでよ!化け物!」

 声に振り向くと、私の前には十数名の聖女隊。

「無駄な抵抗やめなさぁい?あんたの魔力で私達に何か出来るわけないでしょぉ?」

 聖女の先輩、丸いカバのような女のツボ・ネーが杖を向ける。

「……五月蝿いなぁ」

「あっ、枯れ枝が喋ってる!お化けみたい!聞きました?あれ、風のざわめきですかぁ!?気のせいかなぁ!?」

 そして後輩、毛の生えていない巨大な齧歯類のような女、ウザビッチ・ファックスキーが吠える。

 次から次へと、なんなの?この国は敵しか居ないの?
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