20 / 37
マーリィ04 アベルの足跡
しおりを挟む
港湾都市レンブラントに着いた。
ここは人類大陸、イスコンティ王国の港である。
都市の住民たちは沈んでいた。
港街らしい活気がなく、雰囲気が暗い。
『なんじゃろうな? 前に寄ったときはもっと明るい港だったはずなのだが……。マーリィ。お主も覚えておるじゃろ?』
そうだったろうか。
そんな気もするけど、よく覚えていない。
わたしは興味のないことは、すぐに忘れるたちなのだ。
「どうでもいい。それより、お腹がすいた」
『……お主は、マイペースじゃのー』
神剣に宿ったアウロラさまが、これ見よがしにため息をついた。
でも実際にお腹が空いたんだし、仕方がないと思う。
人類大陸に戻ったら、いの一番にご飯にしようと思っていたのだ。
魔大陸では、ろくな食事にありつけなかった。
もう焼いただけの魔物肉は食べたくない。
「魚料理が食べたい。新鮮なやつ」
『金はあるのかえ?』
「ない。でもこれがある」
背負ったザックに、殺戮アリの甲殻をわんさと詰め込んできた。
魔大陸の魔物の素材は人気がある。
きっと売ればいいお金になるはずだ。
『そういうことなら、まずは換金じゃな。そして食堂じゃ。……はぁ、妾もこんな風になっとらんかったら、うまいもんをたらふく食べたかったのぅ』
「……アウロラさま、食欲あるの?」
『いや、腹が減るようなことはないのじゃが……』
なんでも古龍だったころの記憶が疼くらしい。
わたしたちは雑談を交わしながら、換金屋に向かった。
「こっち、角マグロのステーキ丼と、大王イカの一夜干し炙り、空トビウオの岩塩焼きに、拳闘シャコがんがん焼き、沈船鯨のカルパッチョ、ぜんぶ急いで持ってきて」
「あいよー!」
テーブルに所狭しと並べられた海鮮料理を、端から平らげていく。
ここは港湾都市だけあって、海の幸が豊富だ。
どれも美味しい。
『いいのぅ。妾も食べたいのじゃ……』
「……神剣で斬ったら食べられる?」
ぐりぐりと、切っ先を料理に押し付けてみた。
『ええい、無理に決まっとろう! やめいばか者!』
「……残念」
食事を再開する。
追加の料理もやってきて、幸せいっぱい。
詰め込めるだけ口にご飯を放り込んだ。
リスみたいに頬袋を膨らませながら、もっちゃもっちゃと咀嚼して飲み込む。
『くっ、そのうち人化の術を開発してやるのじゃ。いまに見ておれ……』
ばくばくと匙を動かし、あっという間に皿から料理が消えていく。
「ふぃー、お腹いっぱい……」
くちくなったお腹をさすった。
満足だ……。
下腹部がぽっこりと膨らんでいた。
「う……、動けない……」
『まったく……。お主は食い過ぎじゃぞ』
あんまり美味しかったものだから、ちょっと欲張り過ぎたかもしれない。
でも問題ない。
お金なら、まだたんまりあるのだ。
まったりお腹を休めながら、食後のお茶を啜る。
ついでに、食堂のおばさんに話しかけてみた。
「はぁ? なんだって? 街のみんなが暗い理由を聞きたいって? なんだい、あんた? そんなことも知らないのかい?」
「知らない。だから教えて」
「まぁ別に構わないけどね。あんた英雄クローネは、もちろん知ってるだろ?」
英雄?
あいつはただの薄汚い女盗賊だと思う。
アベルさまを裏切った4人のひとりだ。
「……その英雄さまがね、賊に殺されちまったんだよ。まったく酷い話さね!」
あの裏切りの夜を思い出して、自然とわたしの目が険しくなる。
それを見たおばさんは、何を勘違いしたのか我が意を得たりと頷いた。
「可愛い顔を顰めてまぁ! やっぱりあんたも酷いと思うかい。ほんと罰当たりな話もあったもんさ。よりにもよって魔王から人類を救ってくれた英雄さまを、殺しちまうんだからねぇ」
おばさんは腕組みをしてあごをひいた。
はぁと深くため息を吐く。
『……アベルがやったのじゃろうな』
「……ん」
わたしもそう思う。
きっとアベルさまが、裏切り者を制裁したのだ。
それはともかくとして、人類を救ったのはアベルさまだ。
おばさんの間違いを正したくなったけど、ぐっと堪える。
ここで余計な口を挟んでも仕方がない。
「それからどうなった?」
「賊はまだ捕まってないみたいだけど、はやく捕まえて、縛り首にして欲しいもんだよ!」
捕らえられていない……。
安心して胸を撫で下ろした。
あのクロなんとかいう、赤くてケバい年増女が死んだことなんてどうでもいい。
わたしの心配事はひとつだけ。
アベルさまは無事だろうか。
そう思うと、いてもたってもいられなくなってきた。
「お勘定、ここにおいておく」
「あいよっ、毎度ありー!」
わたしは店を飛び出した。
でもアベルさまの足取りを追うにも、どこに向かったかがわからない。
『これ、落ち着けマーリィ』
「……落ち着いてる」
『そわそわしっぱなしじゃろうに、まったく。アベルが心配なのはわかるが、何はともあれまずは情報じゃ。港の酒場に情報屋がおるから、そこにいくぞ』
アウロラさまに従って、酒場に向かった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
情報屋から無理やり聞き出した話によると、アベルさまは東のオット・フット都市連合国に向かったらしい。
狙いはラーなんとか言う、あの胡散臭い聖騎士だろう。
間違いない。
わたしたちはアベルさまの足跡を辿って、宗教都市ルルホトに向かっている最中だ。
長い長い街道を進んでいく。
馬車に乗ったり何日も歩いたりして、ようやく遠くにルルホトが見えてきた。
「やっとついた……」
ふぅと息を吐いた。
そのとき――
――ゾワリ……
いきなり背筋が凍えた。
『魔物の気配がするぞ! 気をつけよマーリィ!』
「わ、わかってる!」
強烈な負の気配がする。
ちょうどそのとき、慌てるわたしたちのそばを誰かが横切ろうとした。
「――ッ!?」
いつの間にこんな近くに!?
いまの今まで、まったく気配を感じなかった!
その人物はフードを目深に被っていた。
体を隠すように、マントで全身を包んでいる。
身長からして男性だとは思うが、はっきりとした性別は判断できない。
「……危険。これは近寄ったらだめなヤツ」
『うむ、妾も同感じゃ。先ほどの魔物のような気配は、あやつじゃな』
危険な人物が、すれ違いざまにわたしたちを流しみた。
なにか引っ掛かったのだろうか。
足を止めて、凝視してくる。
けれどもわたしたちも、こいつと同じような格好だ。
マントで体を覆っているから、わかるのは精々背格好くらいだろう。
「…………」
「…………」
フードの下で、視線が交差した気がした。
なにか気に触ることでもあったのだろうか。
剣呑な感じがビンビン伝わってくる。
強烈な悪の気配に、わたしの頬を緊張の汗が伝う。
なんだ、こいつ。
やるなら相手してやってもいい。
マントの下で、神剣の柄を握った。
『これマーリィ! このように危なげな者を相手にしている暇は無いのじゃ! 妾たちにはアベルを探すという大事な目的がある。忘れるでない!』
そうだった。
いまはこんな、通りすがりの危険人物を相手にしている暇はない。
緊張を緩めるのと同時に、マントの人物がわたしから視線を外した。
どうやら興味を失ってくれたらしい。
背を向けて、歩き去っていく。
『ほれ、妾たちもルルホトへ向かうぞ』
「……ん。……わかった」
なぜだろう。
去っていくマントの後ろ姿に、意識が引かれる。
『マーリィ? どうしたのじゃ?』
「……なんでもない」
わたしは気持ちを切り替え、前を向いて歩き出した。
開けた平野にぽつんとある、小高い丘のような街。
宗教都市ルルホトだ。
頂上部にある大聖堂を中心に、歴史ある街並みには広場や様々な店が雑多にひしめき合っている。
はじめてやってきたルルホトは、独特の景観をしていた。
「アベルさま、見つかるかな?」
『見つけるのじゃ。ラーバンのやつめを張っておれば、きっと鉢合わせることができる』
ならまずは、ラーなんとかの居場所を掴まなければならない。
往来で市民をつかまえて、尋ねてみた。
「……はぁ? ラーバンさまだって? そんな事も知らないのか?」
「いいから、はやく教えろ」
「ったく、口の悪いガキだな! ラーバンさまなら賊に殺されたよ! 街の騒ぎを見りゃわかるだろうが! まったく英雄さまを相手に、酷い真似をしやがる輩もいたもんだ!」
思わず舌打ちをした。
『く……。ひとあし遅かったのじゃ……』
すでにアベルさまは、この街での復讐を遂げたあとだった。
ここは人類大陸、イスコンティ王国の港である。
都市の住民たちは沈んでいた。
港街らしい活気がなく、雰囲気が暗い。
『なんじゃろうな? 前に寄ったときはもっと明るい港だったはずなのだが……。マーリィ。お主も覚えておるじゃろ?』
そうだったろうか。
そんな気もするけど、よく覚えていない。
わたしは興味のないことは、すぐに忘れるたちなのだ。
「どうでもいい。それより、お腹がすいた」
『……お主は、マイペースじゃのー』
神剣に宿ったアウロラさまが、これ見よがしにため息をついた。
でも実際にお腹が空いたんだし、仕方がないと思う。
人類大陸に戻ったら、いの一番にご飯にしようと思っていたのだ。
魔大陸では、ろくな食事にありつけなかった。
もう焼いただけの魔物肉は食べたくない。
「魚料理が食べたい。新鮮なやつ」
『金はあるのかえ?』
「ない。でもこれがある」
背負ったザックに、殺戮アリの甲殻をわんさと詰め込んできた。
魔大陸の魔物の素材は人気がある。
きっと売ればいいお金になるはずだ。
『そういうことなら、まずは換金じゃな。そして食堂じゃ。……はぁ、妾もこんな風になっとらんかったら、うまいもんをたらふく食べたかったのぅ』
「……アウロラさま、食欲あるの?」
『いや、腹が減るようなことはないのじゃが……』
なんでも古龍だったころの記憶が疼くらしい。
わたしたちは雑談を交わしながら、換金屋に向かった。
「こっち、角マグロのステーキ丼と、大王イカの一夜干し炙り、空トビウオの岩塩焼きに、拳闘シャコがんがん焼き、沈船鯨のカルパッチョ、ぜんぶ急いで持ってきて」
「あいよー!」
テーブルに所狭しと並べられた海鮮料理を、端から平らげていく。
ここは港湾都市だけあって、海の幸が豊富だ。
どれも美味しい。
『いいのぅ。妾も食べたいのじゃ……』
「……神剣で斬ったら食べられる?」
ぐりぐりと、切っ先を料理に押し付けてみた。
『ええい、無理に決まっとろう! やめいばか者!』
「……残念」
食事を再開する。
追加の料理もやってきて、幸せいっぱい。
詰め込めるだけ口にご飯を放り込んだ。
リスみたいに頬袋を膨らませながら、もっちゃもっちゃと咀嚼して飲み込む。
『くっ、そのうち人化の術を開発してやるのじゃ。いまに見ておれ……』
ばくばくと匙を動かし、あっという間に皿から料理が消えていく。
「ふぃー、お腹いっぱい……」
くちくなったお腹をさすった。
満足だ……。
下腹部がぽっこりと膨らんでいた。
「う……、動けない……」
『まったく……。お主は食い過ぎじゃぞ』
あんまり美味しかったものだから、ちょっと欲張り過ぎたかもしれない。
でも問題ない。
お金なら、まだたんまりあるのだ。
まったりお腹を休めながら、食後のお茶を啜る。
ついでに、食堂のおばさんに話しかけてみた。
「はぁ? なんだって? 街のみんなが暗い理由を聞きたいって? なんだい、あんた? そんなことも知らないのかい?」
「知らない。だから教えて」
「まぁ別に構わないけどね。あんた英雄クローネは、もちろん知ってるだろ?」
英雄?
あいつはただの薄汚い女盗賊だと思う。
アベルさまを裏切った4人のひとりだ。
「……その英雄さまがね、賊に殺されちまったんだよ。まったく酷い話さね!」
あの裏切りの夜を思い出して、自然とわたしの目が険しくなる。
それを見たおばさんは、何を勘違いしたのか我が意を得たりと頷いた。
「可愛い顔を顰めてまぁ! やっぱりあんたも酷いと思うかい。ほんと罰当たりな話もあったもんさ。よりにもよって魔王から人類を救ってくれた英雄さまを、殺しちまうんだからねぇ」
おばさんは腕組みをしてあごをひいた。
はぁと深くため息を吐く。
『……アベルがやったのじゃろうな』
「……ん」
わたしもそう思う。
きっとアベルさまが、裏切り者を制裁したのだ。
それはともかくとして、人類を救ったのはアベルさまだ。
おばさんの間違いを正したくなったけど、ぐっと堪える。
ここで余計な口を挟んでも仕方がない。
「それからどうなった?」
「賊はまだ捕まってないみたいだけど、はやく捕まえて、縛り首にして欲しいもんだよ!」
捕らえられていない……。
安心して胸を撫で下ろした。
あのクロなんとかいう、赤くてケバい年増女が死んだことなんてどうでもいい。
わたしの心配事はひとつだけ。
アベルさまは無事だろうか。
そう思うと、いてもたってもいられなくなってきた。
「お勘定、ここにおいておく」
「あいよっ、毎度ありー!」
わたしは店を飛び出した。
でもアベルさまの足取りを追うにも、どこに向かったかがわからない。
『これ、落ち着けマーリィ』
「……落ち着いてる」
『そわそわしっぱなしじゃろうに、まったく。アベルが心配なのはわかるが、何はともあれまずは情報じゃ。港の酒場に情報屋がおるから、そこにいくぞ』
アウロラさまに従って、酒場に向かった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
情報屋から無理やり聞き出した話によると、アベルさまは東のオット・フット都市連合国に向かったらしい。
狙いはラーなんとか言う、あの胡散臭い聖騎士だろう。
間違いない。
わたしたちはアベルさまの足跡を辿って、宗教都市ルルホトに向かっている最中だ。
長い長い街道を進んでいく。
馬車に乗ったり何日も歩いたりして、ようやく遠くにルルホトが見えてきた。
「やっとついた……」
ふぅと息を吐いた。
そのとき――
――ゾワリ……
いきなり背筋が凍えた。
『魔物の気配がするぞ! 気をつけよマーリィ!』
「わ、わかってる!」
強烈な負の気配がする。
ちょうどそのとき、慌てるわたしたちのそばを誰かが横切ろうとした。
「――ッ!?」
いつの間にこんな近くに!?
いまの今まで、まったく気配を感じなかった!
その人物はフードを目深に被っていた。
体を隠すように、マントで全身を包んでいる。
身長からして男性だとは思うが、はっきりとした性別は判断できない。
「……危険。これは近寄ったらだめなヤツ」
『うむ、妾も同感じゃ。先ほどの魔物のような気配は、あやつじゃな』
危険な人物が、すれ違いざまにわたしたちを流しみた。
なにか引っ掛かったのだろうか。
足を止めて、凝視してくる。
けれどもわたしたちも、こいつと同じような格好だ。
マントで体を覆っているから、わかるのは精々背格好くらいだろう。
「…………」
「…………」
フードの下で、視線が交差した気がした。
なにか気に触ることでもあったのだろうか。
剣呑な感じがビンビン伝わってくる。
強烈な悪の気配に、わたしの頬を緊張の汗が伝う。
なんだ、こいつ。
やるなら相手してやってもいい。
マントの下で、神剣の柄を握った。
『これマーリィ! このように危なげな者を相手にしている暇は無いのじゃ! 妾たちにはアベルを探すという大事な目的がある。忘れるでない!』
そうだった。
いまはこんな、通りすがりの危険人物を相手にしている暇はない。
緊張を緩めるのと同時に、マントの人物がわたしから視線を外した。
どうやら興味を失ってくれたらしい。
背を向けて、歩き去っていく。
『ほれ、妾たちもルルホトへ向かうぞ』
「……ん。……わかった」
なぜだろう。
去っていくマントの後ろ姿に、意識が引かれる。
『マーリィ? どうしたのじゃ?』
「……なんでもない」
わたしは気持ちを切り替え、前を向いて歩き出した。
開けた平野にぽつんとある、小高い丘のような街。
宗教都市ルルホトだ。
頂上部にある大聖堂を中心に、歴史ある街並みには広場や様々な店が雑多にひしめき合っている。
はじめてやってきたルルホトは、独特の景観をしていた。
「アベルさま、見つかるかな?」
『見つけるのじゃ。ラーバンのやつめを張っておれば、きっと鉢合わせることができる』
ならまずは、ラーなんとかの居場所を掴まなければならない。
往来で市民をつかまえて、尋ねてみた。
「……はぁ? ラーバンさまだって? そんな事も知らないのか?」
「いいから、はやく教えろ」
「ったく、口の悪いガキだな! ラーバンさまなら賊に殺されたよ! 街の騒ぎを見りゃわかるだろうが! まったく英雄さまを相手に、酷い真似をしやがる輩もいたもんだ!」
思わず舌打ちをした。
『く……。ひとあし遅かったのじゃ……』
すでにアベルさまは、この街での復讐を遂げたあとだった。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる