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第二章 家族とか
1.母
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私の母は「いい母親」だった。
何故なら、周囲から「いいお母さんね」とよく言われたからだ。
『お弁当には既製品は決して入れないで、すべて手作りでいいお母さんね』
子供のためを思っている証拠だと言われたが、その人が食べるわけじゃないからその味はわからない。そしてそれが昨日の夕飯の残り物で、夏場は時々変な匂いがすることも。
『自分の子だけじゃなく他の子供も叱れるなんていいお母さんよ』
背景も知らず、通りかかったその一場面だけを見て話も聞かずに一方的に叱る。まるで通り魔みたいに。
そんな理不尽を受けても子供はよく知らないおばさんに怯えるだけで、何も言うことができず黙る。母はそれを見て正義を成したと確信を深める。
そして次の日、私はクラスでハブられる。
中途半端な正義を振りかざしていい気分になるのは本人だけだ。一方的な決めつけが子供の教育にいいわけがない。
言うだけで言葉に責任を持つわけでもなく、聞かされた子がどう思うのかも考えもしない。教育的指導じゃなく、単に腹が立ったから言ってるだけで、酔っぱらったおじさんに絡まれるのと同じくらいタチが悪い。
『スイミングに英会話、様々な習い事をさせてくれて、送り迎えまでしてくれていいお母さんね』
やりたいと言ったことは一度もない。
将来のためにやりなさいと当たり前のように連れて行かれた。
特に英会話が嫌で、私はその日になると必ず腹痛を起こした。
それでも休ませてくれるわけもなく、私はいつも真っ青になりながらひたすら教室で身を縮めていた。
今でも英語は喋れない。
ずっと「いい母親」をやってきた母は言う。
「あんたたちが赤ちゃんの頃から水族館に動物園、美術館とあちこち連れてってあげたのに、覚えてやしないんだから。まったく無駄だったわ。三歳までにいろんなものに触れさせる経験が大事だって言うから連れてったのに。結局そこらの私大卒で、適当な会社にしか就職もできないし。そもそも夢も希望もない就職なんかするんだったら心を豊かにする教育なんて全く無意味だったじゃない」
夢を見る方が愚かだと教えてくれたのは母だ。母の教育は成功している。
だが母が教育した通りに堅実な会社に就職しても、結局母が満足することはない。
そして教育に失敗した母は、「こんなに大変なら子供なんて産まなければよかった。でもあんたたちのために捨てたりせずここまで育てたんだからね」とよくため息を吐いたものだった。
だったらどうして子供を産んだのかと聞けば、答えは明快だった。
「子供がいないと老後が大変だって聞いたからよ」
母はいつもどこかで聞いた言葉を自分なりのフィルターで浅く取り入れては少し先の未来で後悔するのを繰り返してきた。
だから母の人生は不満だらけだ。
特に子供が生まれてからは徹底的に最悪だったらしい。
一番後悔しているのは、三人も子供を産んだこと。
「昔は子供なんてよく死んだから兄弟は多いのが当たり前だったし、今だって事故とか病気とかあるから念のため三人産んだけど。今の時代、一人で十分だったわね」
母は第二子である私の前で、そう言った。
子供を産む前の母は、毎日が光り輝いていたらしい。
母が二十歳の頃には、何人も付き合っている彼氏がいて、どれも本命ではなくて、貢がせて、毎日がパーティのようで楽しかったと言っていた。
母は思い通りの人生を歩んで来た。
そしてこれからも思い通りの人生を歩むために子供を産んだのに、早々に失敗に気付いてしまった。
だからここまで大きく育てた子供が母のために身を粉にして働き、人生を捧げるのは当たり前だと言いたいのだろう。
◇
ダンダン、パァン!
ダンダン、パァン!
足を踏み鳴らし、手を打ち鳴らすどこかで聞いたことのあるリズムにはっとしてリビングのドアを開ける。
ダンダン、パァン!
ダンダン、パァン!
「We~」
「やめて!!」
ベッドに腰かけた母がとぼけた顔で振り返る。
「また苦情が来るから。やめてよ本当に! なんでそんなノリノリでリズムとってんのよ」
「あんた知らんの、この歌。聞いたらやらなにゃならないんだよ。ほれ、あんたも聞こえとるでしょうが」
「そんな義務はない!!」
同僚の話を思い出す。子供の足音がうるさいと毎日苦情が来て、決意してからたったの二週間で引っ越しするほど精神的に追い詰められたというが、騒音は子供だけじゃない。
元気な痴呆老人の方が体重がある分音は大きい。振動も。
そして母はそんな方言じゃなかったはずだ。
何のドラマの影響なのか。
そして音楽も聞こえていない。
脳内で一人楽しめるのだからエコだが、周囲の(私の)消費エネルギーがえげつない。
いつの間にか一人フェスは終わっていた。
「お帰り。ご飯冷蔵庫に入ってるよ。チンして食べな」
「ただいま。わかった」
だがご飯を作ったのは今朝の私だ。
今は「母をしていた頃の母」になっているのだろう。
母が夕飯を作ってくれていたのはもう十年も前のこと。
怒声で出迎えられるよりはマシだが、騒音に慌てた心拍でどっと疲れ、服を脱ぎ捨てたまま疲れてソファでぼんやりしてしまった。
そんな私に母は呆れたため息を吐いた。
「あんた、そんなんだから彼氏ができないのよ」
「そういうところだけはっきり会話するのやめてくれる?」
彼氏がいてもあんたのせいで会えない日々なんだとは言わない。言えば面倒な会話が続くのはわかっているから。文句を言ったところでストレスが倍返しされるだけだ。今はただ疲れた、休みたい。
「あんた、なんで毎日毎日こんな夜も早いうちから家にいるわけ」
あんたの介護だよ。
母の追撃は止まない。
「寂しい人生だわ、もっと外に出なさいよ。合コンは? 会社の飲み会は?」
「行けるなら行きたいわ。お母さん、行かせてよ」
「そんなもん、あんた自分で行きなさいよ。子供じゃないんだから」
「子供でもないのに面倒見なきゃいけない人がいるから家にいるんでしょうが」
「なーに言い訳ばっかして。結局やる気がないだけでしょうが」
「そりゃこんな毎日じゃ、やる気も何も失せるわ」
「まったくいつまでも甘えてんだから。自立しなさいよ」
絶妙に噛み合っているようで噛み合っていない。
自立した私の所に連れて来ざるをえなかったのは、あんたが病気したからじゃないか。
私はあんたにもう一度自立してほしい。
甘えてんのはあんたじゃないのか。
ずっと他人に甘えて依存して生きてきて、今はただひたすら娘に迷惑をかけてるのは誰だというのか。
「おかあさん、ご飯まだー? お腹空いたんだけどー。みそ汁は豆腐にしてよね」
突然母は娘に戻った。
昔から生意気な人間だったようだ。母親が作ってくれるメニューに注文までつけるとは。私の希望なんて聞いてくれたこともなかったのに。娘にばかり厳しく自分はとことん甘えて生きている。こんな不条理が許されていいのか。
仕方なく立ち上がり、キッチンに立つ。
ご飯を運べば、いつの間にやら母は母に戻っていた。
「ねえアンタ、なんで毎日毎日おかゆなのよ。手抜きしてないでちゃんとしたもの作りなさいよ」
ベッドの背もたれを上げて寝そべったまま、ベッド上のテーブルに置かれた茶碗をスプーンでカンカンと鳴らす。まるで子供のようだが言っていることは以前と同じ母のものだ。前からこんな母だった。
今飲んでる薬でお腹が弱ってるから仕方ないの。
そう言ってもまた怒鳴られるだけだとわかっているから、黙ってやり過ごす。
母の汚物の処理をするのは私なのだ。それがわかっていて、何を言われても普通のご飯なんて出せるわけがない。
「まったく、おかずもワンパターンだし、だからいつまでたっても嫁の貰い手もいないのよ」
昨日のおかずも覚えていないくせに、家族もみんな逃げてしまったのに、人を攻撃する言葉だけは母の中から去って行かないのだから大したものだと思う。筋金入りだ。
こんな状況で結婚なんてできるわけがないという正常な思考が今の母にあるはずもなく、いちいち腹を立てていたら身がもたない。
いちいちお前のせいだと騒ぎ立てたところで、意味をなさない言い合いで消耗するだけ。
わかっている。
けれど私はいつまで母のサンドバックでいればいいのだろうか。
私の母はみんなに「いい母親」と言われるのに、こうやって心の中で母を悪し様に言い、あげあしをとってばかりの私は「悪い子供」なのだろうか。
ぶつぶつと文句を言いながらおかゆを平らげたあと、母はしばらく静かになった。
そして再び茶碗をカンカンと鳴らし始めた。
「お腹空いたわ、早くお昼ご飯ちょうだい。あんたはなんでもかんでも遅いのよ。やることなすこと無駄ばっかり」
そうして私をじっと見て、母は言った。
「誰、あんた」
何故なら、周囲から「いいお母さんね」とよく言われたからだ。
『お弁当には既製品は決して入れないで、すべて手作りでいいお母さんね』
子供のためを思っている証拠だと言われたが、その人が食べるわけじゃないからその味はわからない。そしてそれが昨日の夕飯の残り物で、夏場は時々変な匂いがすることも。
『自分の子だけじゃなく他の子供も叱れるなんていいお母さんよ』
背景も知らず、通りかかったその一場面だけを見て話も聞かずに一方的に叱る。まるで通り魔みたいに。
そんな理不尽を受けても子供はよく知らないおばさんに怯えるだけで、何も言うことができず黙る。母はそれを見て正義を成したと確信を深める。
そして次の日、私はクラスでハブられる。
中途半端な正義を振りかざしていい気分になるのは本人だけだ。一方的な決めつけが子供の教育にいいわけがない。
言うだけで言葉に責任を持つわけでもなく、聞かされた子がどう思うのかも考えもしない。教育的指導じゃなく、単に腹が立ったから言ってるだけで、酔っぱらったおじさんに絡まれるのと同じくらいタチが悪い。
『スイミングに英会話、様々な習い事をさせてくれて、送り迎えまでしてくれていいお母さんね』
やりたいと言ったことは一度もない。
将来のためにやりなさいと当たり前のように連れて行かれた。
特に英会話が嫌で、私はその日になると必ず腹痛を起こした。
それでも休ませてくれるわけもなく、私はいつも真っ青になりながらひたすら教室で身を縮めていた。
今でも英語は喋れない。
ずっと「いい母親」をやってきた母は言う。
「あんたたちが赤ちゃんの頃から水族館に動物園、美術館とあちこち連れてってあげたのに、覚えてやしないんだから。まったく無駄だったわ。三歳までにいろんなものに触れさせる経験が大事だって言うから連れてったのに。結局そこらの私大卒で、適当な会社にしか就職もできないし。そもそも夢も希望もない就職なんかするんだったら心を豊かにする教育なんて全く無意味だったじゃない」
夢を見る方が愚かだと教えてくれたのは母だ。母の教育は成功している。
だが母が教育した通りに堅実な会社に就職しても、結局母が満足することはない。
そして教育に失敗した母は、「こんなに大変なら子供なんて産まなければよかった。でもあんたたちのために捨てたりせずここまで育てたんだからね」とよくため息を吐いたものだった。
だったらどうして子供を産んだのかと聞けば、答えは明快だった。
「子供がいないと老後が大変だって聞いたからよ」
母はいつもどこかで聞いた言葉を自分なりのフィルターで浅く取り入れては少し先の未来で後悔するのを繰り返してきた。
だから母の人生は不満だらけだ。
特に子供が生まれてからは徹底的に最悪だったらしい。
一番後悔しているのは、三人も子供を産んだこと。
「昔は子供なんてよく死んだから兄弟は多いのが当たり前だったし、今だって事故とか病気とかあるから念のため三人産んだけど。今の時代、一人で十分だったわね」
母は第二子である私の前で、そう言った。
子供を産む前の母は、毎日が光り輝いていたらしい。
母が二十歳の頃には、何人も付き合っている彼氏がいて、どれも本命ではなくて、貢がせて、毎日がパーティのようで楽しかったと言っていた。
母は思い通りの人生を歩んで来た。
そしてこれからも思い通りの人生を歩むために子供を産んだのに、早々に失敗に気付いてしまった。
だからここまで大きく育てた子供が母のために身を粉にして働き、人生を捧げるのは当たり前だと言いたいのだろう。
◇
ダンダン、パァン!
ダンダン、パァン!
足を踏み鳴らし、手を打ち鳴らすどこかで聞いたことのあるリズムにはっとしてリビングのドアを開ける。
ダンダン、パァン!
ダンダン、パァン!
「We~」
「やめて!!」
ベッドに腰かけた母がとぼけた顔で振り返る。
「また苦情が来るから。やめてよ本当に! なんでそんなノリノリでリズムとってんのよ」
「あんた知らんの、この歌。聞いたらやらなにゃならないんだよ。ほれ、あんたも聞こえとるでしょうが」
「そんな義務はない!!」
同僚の話を思い出す。子供の足音がうるさいと毎日苦情が来て、決意してからたったの二週間で引っ越しするほど精神的に追い詰められたというが、騒音は子供だけじゃない。
元気な痴呆老人の方が体重がある分音は大きい。振動も。
そして母はそんな方言じゃなかったはずだ。
何のドラマの影響なのか。
そして音楽も聞こえていない。
脳内で一人楽しめるのだからエコだが、周囲の(私の)消費エネルギーがえげつない。
いつの間にか一人フェスは終わっていた。
「お帰り。ご飯冷蔵庫に入ってるよ。チンして食べな」
「ただいま。わかった」
だがご飯を作ったのは今朝の私だ。
今は「母をしていた頃の母」になっているのだろう。
母が夕飯を作ってくれていたのはもう十年も前のこと。
怒声で出迎えられるよりはマシだが、騒音に慌てた心拍でどっと疲れ、服を脱ぎ捨てたまま疲れてソファでぼんやりしてしまった。
そんな私に母は呆れたため息を吐いた。
「あんた、そんなんだから彼氏ができないのよ」
「そういうところだけはっきり会話するのやめてくれる?」
彼氏がいてもあんたのせいで会えない日々なんだとは言わない。言えば面倒な会話が続くのはわかっているから。文句を言ったところでストレスが倍返しされるだけだ。今はただ疲れた、休みたい。
「あんた、なんで毎日毎日こんな夜も早いうちから家にいるわけ」
あんたの介護だよ。
母の追撃は止まない。
「寂しい人生だわ、もっと外に出なさいよ。合コンは? 会社の飲み会は?」
「行けるなら行きたいわ。お母さん、行かせてよ」
「そんなもん、あんた自分で行きなさいよ。子供じゃないんだから」
「子供でもないのに面倒見なきゃいけない人がいるから家にいるんでしょうが」
「なーに言い訳ばっかして。結局やる気がないだけでしょうが」
「そりゃこんな毎日じゃ、やる気も何も失せるわ」
「まったくいつまでも甘えてんだから。自立しなさいよ」
絶妙に噛み合っているようで噛み合っていない。
自立した私の所に連れて来ざるをえなかったのは、あんたが病気したからじゃないか。
私はあんたにもう一度自立してほしい。
甘えてんのはあんたじゃないのか。
ずっと他人に甘えて依存して生きてきて、今はただひたすら娘に迷惑をかけてるのは誰だというのか。
「おかあさん、ご飯まだー? お腹空いたんだけどー。みそ汁は豆腐にしてよね」
突然母は娘に戻った。
昔から生意気な人間だったようだ。母親が作ってくれるメニューに注文までつけるとは。私の希望なんて聞いてくれたこともなかったのに。娘にばかり厳しく自分はとことん甘えて生きている。こんな不条理が許されていいのか。
仕方なく立ち上がり、キッチンに立つ。
ご飯を運べば、いつの間にやら母は母に戻っていた。
「ねえアンタ、なんで毎日毎日おかゆなのよ。手抜きしてないでちゃんとしたもの作りなさいよ」
ベッドの背もたれを上げて寝そべったまま、ベッド上のテーブルに置かれた茶碗をスプーンでカンカンと鳴らす。まるで子供のようだが言っていることは以前と同じ母のものだ。前からこんな母だった。
今飲んでる薬でお腹が弱ってるから仕方ないの。
そう言ってもまた怒鳴られるだけだとわかっているから、黙ってやり過ごす。
母の汚物の処理をするのは私なのだ。それがわかっていて、何を言われても普通のご飯なんて出せるわけがない。
「まったく、おかずもワンパターンだし、だからいつまでたっても嫁の貰い手もいないのよ」
昨日のおかずも覚えていないくせに、家族もみんな逃げてしまったのに、人を攻撃する言葉だけは母の中から去って行かないのだから大したものだと思う。筋金入りだ。
こんな状況で結婚なんてできるわけがないという正常な思考が今の母にあるはずもなく、いちいち腹を立てていたら身がもたない。
いちいちお前のせいだと騒ぎ立てたところで、意味をなさない言い合いで消耗するだけ。
わかっている。
けれど私はいつまで母のサンドバックでいればいいのだろうか。
私の母はみんなに「いい母親」と言われるのに、こうやって心の中で母を悪し様に言い、あげあしをとってばかりの私は「悪い子供」なのだろうか。
ぶつぶつと文句を言いながらおかゆを平らげたあと、母はしばらく静かになった。
そして再び茶碗をカンカンと鳴らし始めた。
「お腹空いたわ、早くお昼ご飯ちょうだい。あんたはなんでもかんでも遅いのよ。やることなすこと無駄ばっかり」
そうして私をじっと見て、母は言った。
「誰、あんた」
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