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火の竜の王との邂逅
救出
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#ユリア
どこかから魔物…火竜かな?大きな叫びが聴こえた。
そのあとには地震でも起きたのかと思うくらいの揺れ。
想像していたよりスゴい場所に来てしまったなぁと思う。
おじいちゃんを見送ったあと家に戻ったあたしは、ハリルの散歩に行くふりをして事前に生垣の陰に隠しておいた装備を回収し、南門でフリオおじさん達と待ち合わせ街を出た。
皆が心配しないように部屋に手紙も置いてきた。
馬車での旅は産まれて初めてで、遠くなっていく街、丘の向こうの森、空を飛ぶ魔物の影、だんだんと近付く岩山。
そのどれもに冒険があるのかなと、ワクワクした。冒険者って贅沢だなって思った。
すっかり暗くなってたどり着いた炭鉱の街で初めての外泊。お風呂がなかったのはイヤだったけど、エダさんとお湯で身体を拭きあうのはお姉ちゃんが出来たみたいで楽しかった。
翌朝、また馬車で山の麓にある村まで移動。そこからはいよいよ火竜の山へ。登山中にはゴブリンとかウサギみたいな魔物、ハリルの仲間みたいな狼の魔物はちょっと可哀想だったけど魔物が襲ってきて、エダさんとディーンさんがとても強くて槍でどんどん倒していった。
初めて魔物との戦いを間近に見て、血が見えたり魔物の悲鳴が聴こえたりスゴい怖かった。あたしは何も出来ず震えてるのを皆に気付かれないようにずっと身体を押さえてた。
火竜が住んでいる洞窟の入口は大きな魔物が大きな口を開いていて、まるで飲み込まれるような感じだった。
洞窟の中は外からは信じられないくらい広い空間になっていて、一言でいうと感動!これだけでも来て良かったと思える。
しばらく進むとドラゴンが襲ってきた。これが火竜なんだって思ったけど、この魔物はレッサードラゴンっていうらしい。ゴブリンと比べるとスゴい大きくてスゴい強そうだけど、火竜はもっとスゴいみたい。
「大丈夫。ワタシ達に任せておいて!」ってエダさんは言うけど、会ってみたい気持ちと会いたくないって気持ちが半々。
岩場の陰に風が吹き込んでいる場所があって涼しいからここで休憩することになった。ホントはこういった風のある場所だと人間の匂いが流れて魔物に気付かれるから危ないって、エダさんが教えてくれた。このときはエダさんが風魔法で匂いを散らしてくれているみたいで大丈夫って言ってた。そんな魔法もあるんだなって思った。
休憩中、フリオおじさんとディーンさんは相変わらずのやり取りをしていた。ホント面白い。
そんな時、魔物の大きな叫びが聴こえた──
「・・・何でしょうか?」
音がした瞬間にエダさんとディーンさんは素早く身構え、あたしとフリオおじさんを守る様に槍を構える。
「大方、フェンス達が火竜と交戦しているのだろう」
フリオおじさんは落ち着いてる。そういえばまだ一回も戦ってないんだな。勇者王って言うぐらいだから片腕でも強いんだろうけど、エダさんのほうがカッコよく見える。
「さて。休憩はここまでにして先を急ごうかの」
そう言うとフリオおじさんは立ち上がる。手早く二人が片付けを済ませる。あたしも立ち上り急いで立ち上る。
すると今度は地震のような大きな揺れ。
「キャッ!」
隣にいたエダさんがあたしの身体を支えてくれる。あたし守られてばかりだなぁ、と少し悲しくなる。
「へ、陛下っ!?崖が!!」
ディーンさんが上を見上げて叫ぶ。今の揺れで崩れたのか岩が頭上から降ってくる──
「──・・・ァァァアアアアアァァァァッ!!!」
あれ?人も降ってくる。
「ふむ。私がやろう」
フリオおじさんはそう言うと剣を抜き崩れてくる岩に剣を振った。
『ソニックスラッシュッ!』
フリオおじさんの振った剣から衝撃波が起こり、落ちてくる岩が吹き飛んでいく。落ちてきた人はフリオおじさんが器用に片腕でキャッチしていた。
「んん?お前は、フェンスと同行した魔道院の者ではないか」
「ふえっ? ?! へへへへへ、へ、陛下ぁっ?!!」
なんと!降ってきた人はおじいちゃんと一緒だった魔法使いの人だった。しかし、今のフリオおじさんはちょっとカッコ良かったな。
フリオおじさんは魔法使いの人をやゆっくりと降ろす。
「ふあぁっ・・・。で、伝説の勇者王、フリオニール陛下に助けられるなんて。わ、私・・・もう死んでもいいっ!!」
魔法使いの、女の人はなんだか変な動きをしている。
「上から降ってくるなどなかなか愉しそうなことをしているの。何があったのだ?」
「た、たのしぃっ!?あ!い、いえっ!あのですね・・・、火竜に襲われまして、足場が崩れてですね、そのっ、私は落ちてしまって・・・」
火竜に襲われた?!
お、おじいちゃんは大丈夫?!
「そ、それで──ああっ!?」
「?!ど、どうした?」
今度は急にバタバタと騒ぎ始めた。
「ふえぇっ!?わ、私の、か、鞄がっぬわぁいぃぃっ!!」
へっ?鞄?
「大事な鞄なのか?」
「は、はいぃぃ・・・。あの中には来月号の原稿が──」
「原稿?」
「あ!?い、いえっ!げ、原稿ではなくて、今回のち、調査を記入した用紙が入ってまして・・・。そ、それと鞄自体が魔法の袋になっていて、採取した魔結晶を入れて帰る予定だったんですぅ・・・ううっ」
なんとも便利な鞄らしい。原稿ってなんだろ?
「陛下っ?!」
崩れてきた岩の陰からまた二人誰かが降りてきた。この二人も確かおじいちゃんと一緒だったはず。
「んん?おお!騎士団の者か。この魔道院の者を追ってきたのか?」
「は、はっ!フェンス殿の指示でルーテ殿の救出を。・・・それより陛下は、な、何故こちらに??」
やっぱりおじいちゃんと一緒だった人達だ。救出って、何かあったのかな?おじいちゃんは大丈夫なのかな・・・?
「うむ・・・。私達がここにいる理由、そ、それは・・・そう!国家機密である!そのため詳しくは話せんっ!」
「?!こっ、国家機密!?」
見送ってくれたはずのしかも王様がこんなところにいたら誰だって不思議に思うはず。おじいちゃんを助けに来たなんてホントの理由は言えないし、フリオおじさんにいたっては誘ったあたしが言うのもなんだけど絶対に面白半分だと思うし・・・。
「「・・・・・・」」
エダさんとディーンさんもさすがに呆れ顔をしてる。
「し、失礼致しましたっ!私ごとき一兵卒が出すぎた真似を」
「ご、御容赦を」
あ~あ。騎士の二人膝までついて頭を下げちゃった。ホントの理由がばれちゃったら王様の威厳とか大丈夫なのかな。
「ごほんっ!ええと、ロディ先輩、ルーク先輩。状況を教えて頂けますか?」
「ん?おお!エダか。それにディーンも」
エダさんが一歩前に出て二人に話しかける。先輩って言ってたから顔見知りのようだ。
「状況・・・そ、そうだ!のんびりはしていられない!」
「先輩!落ち着いてください!一体何が?」
急に慌てた様子になった騎士の二人は勢いよく立ち上がるとそのまま走り出しそうになる。ディーンさんが二人を宥める。
「か、火竜の襲撃に遭い足場が崩れて、落下したルーテ殿をフェンス殿の指示で我らが救出に・・・」
「火竜の襲撃?!」
フリオおじさんの予想通りさっきの魔物の叫びは火竜のもので、おじいちゃんが戦っている?!
「お、おじいちゃんは?!」
「き、君はフェンス殿のお孫さんか?何故ここに・・・」
「そんなことよりっ、おじいちゃんは大丈夫なの?!」
騎士のおじさんの疑問はもっともだけど今はおじいちゃんのこと。
「フェンス殿は守護隊のお二人と共に、火竜と交戦を継続しているはず・・・。レッサードラゴンも4頭居たため数的には不利な状況です。早く戻らねば!」
そう言って騎士のおじさんは降りてきた崖を見上げる。上でどんなことがあったのか今にも崩れそうで、絶対に登れそうにない。
「まあ待つがよい。火竜ごときにフェンスが遅れを取るとは思えんが、合流は急いだほうが良さそうだ。この崖も何時までもつかわからん。まずはここを移動しようではないか」
皆の慌てようを余所にフリオおじさんは落ち着き払ってそう言った──
どこかから魔物…火竜かな?大きな叫びが聴こえた。
そのあとには地震でも起きたのかと思うくらいの揺れ。
想像していたよりスゴい場所に来てしまったなぁと思う。
おじいちゃんを見送ったあと家に戻ったあたしは、ハリルの散歩に行くふりをして事前に生垣の陰に隠しておいた装備を回収し、南門でフリオおじさん達と待ち合わせ街を出た。
皆が心配しないように部屋に手紙も置いてきた。
馬車での旅は産まれて初めてで、遠くなっていく街、丘の向こうの森、空を飛ぶ魔物の影、だんだんと近付く岩山。
そのどれもに冒険があるのかなと、ワクワクした。冒険者って贅沢だなって思った。
すっかり暗くなってたどり着いた炭鉱の街で初めての外泊。お風呂がなかったのはイヤだったけど、エダさんとお湯で身体を拭きあうのはお姉ちゃんが出来たみたいで楽しかった。
翌朝、また馬車で山の麓にある村まで移動。そこからはいよいよ火竜の山へ。登山中にはゴブリンとかウサギみたいな魔物、ハリルの仲間みたいな狼の魔物はちょっと可哀想だったけど魔物が襲ってきて、エダさんとディーンさんがとても強くて槍でどんどん倒していった。
初めて魔物との戦いを間近に見て、血が見えたり魔物の悲鳴が聴こえたりスゴい怖かった。あたしは何も出来ず震えてるのを皆に気付かれないようにずっと身体を押さえてた。
火竜が住んでいる洞窟の入口は大きな魔物が大きな口を開いていて、まるで飲み込まれるような感じだった。
洞窟の中は外からは信じられないくらい広い空間になっていて、一言でいうと感動!これだけでも来て良かったと思える。
しばらく進むとドラゴンが襲ってきた。これが火竜なんだって思ったけど、この魔物はレッサードラゴンっていうらしい。ゴブリンと比べるとスゴい大きくてスゴい強そうだけど、火竜はもっとスゴいみたい。
「大丈夫。ワタシ達に任せておいて!」ってエダさんは言うけど、会ってみたい気持ちと会いたくないって気持ちが半々。
岩場の陰に風が吹き込んでいる場所があって涼しいからここで休憩することになった。ホントはこういった風のある場所だと人間の匂いが流れて魔物に気付かれるから危ないって、エダさんが教えてくれた。このときはエダさんが風魔法で匂いを散らしてくれているみたいで大丈夫って言ってた。そんな魔法もあるんだなって思った。
休憩中、フリオおじさんとディーンさんは相変わらずのやり取りをしていた。ホント面白い。
そんな時、魔物の大きな叫びが聴こえた──
「・・・何でしょうか?」
音がした瞬間にエダさんとディーンさんは素早く身構え、あたしとフリオおじさんを守る様に槍を構える。
「大方、フェンス達が火竜と交戦しているのだろう」
フリオおじさんは落ち着いてる。そういえばまだ一回も戦ってないんだな。勇者王って言うぐらいだから片腕でも強いんだろうけど、エダさんのほうがカッコよく見える。
「さて。休憩はここまでにして先を急ごうかの」
そう言うとフリオおじさんは立ち上がる。手早く二人が片付けを済ませる。あたしも立ち上り急いで立ち上る。
すると今度は地震のような大きな揺れ。
「キャッ!」
隣にいたエダさんがあたしの身体を支えてくれる。あたし守られてばかりだなぁ、と少し悲しくなる。
「へ、陛下っ!?崖が!!」
ディーンさんが上を見上げて叫ぶ。今の揺れで崩れたのか岩が頭上から降ってくる──
「──・・・ァァァアアアアアァァァァッ!!!」
あれ?人も降ってくる。
「ふむ。私がやろう」
フリオおじさんはそう言うと剣を抜き崩れてくる岩に剣を振った。
『ソニックスラッシュッ!』
フリオおじさんの振った剣から衝撃波が起こり、落ちてくる岩が吹き飛んでいく。落ちてきた人はフリオおじさんが器用に片腕でキャッチしていた。
「んん?お前は、フェンスと同行した魔道院の者ではないか」
「ふえっ? ?! へへへへへ、へ、陛下ぁっ?!!」
なんと!降ってきた人はおじいちゃんと一緒だった魔法使いの人だった。しかし、今のフリオおじさんはちょっとカッコ良かったな。
フリオおじさんは魔法使いの人をやゆっくりと降ろす。
「ふあぁっ・・・。で、伝説の勇者王、フリオニール陛下に助けられるなんて。わ、私・・・もう死んでもいいっ!!」
魔法使いの、女の人はなんだか変な動きをしている。
「上から降ってくるなどなかなか愉しそうなことをしているの。何があったのだ?」
「た、たのしぃっ!?あ!い、いえっ!あのですね・・・、火竜に襲われまして、足場が崩れてですね、そのっ、私は落ちてしまって・・・」
火竜に襲われた?!
お、おじいちゃんは大丈夫?!
「そ、それで──ああっ!?」
「?!ど、どうした?」
今度は急にバタバタと騒ぎ始めた。
「ふえぇっ!?わ、私の、か、鞄がっぬわぁいぃぃっ!!」
へっ?鞄?
「大事な鞄なのか?」
「は、はいぃぃ・・・。あの中には来月号の原稿が──」
「原稿?」
「あ!?い、いえっ!げ、原稿ではなくて、今回のち、調査を記入した用紙が入ってまして・・・。そ、それと鞄自体が魔法の袋になっていて、採取した魔結晶を入れて帰る予定だったんですぅ・・・ううっ」
なんとも便利な鞄らしい。原稿ってなんだろ?
「陛下っ?!」
崩れてきた岩の陰からまた二人誰かが降りてきた。この二人も確かおじいちゃんと一緒だったはず。
「んん?おお!騎士団の者か。この魔道院の者を追ってきたのか?」
「は、はっ!フェンス殿の指示でルーテ殿の救出を。・・・それより陛下は、な、何故こちらに??」
やっぱりおじいちゃんと一緒だった人達だ。救出って、何かあったのかな?おじいちゃんは大丈夫なのかな・・・?
「うむ・・・。私達がここにいる理由、そ、それは・・・そう!国家機密である!そのため詳しくは話せんっ!」
「?!こっ、国家機密!?」
見送ってくれたはずのしかも王様がこんなところにいたら誰だって不思議に思うはず。おじいちゃんを助けに来たなんてホントの理由は言えないし、フリオおじさんにいたっては誘ったあたしが言うのもなんだけど絶対に面白半分だと思うし・・・。
「「・・・・・・」」
エダさんとディーンさんもさすがに呆れ顔をしてる。
「し、失礼致しましたっ!私ごとき一兵卒が出すぎた真似を」
「ご、御容赦を」
あ~あ。騎士の二人膝までついて頭を下げちゃった。ホントの理由がばれちゃったら王様の威厳とか大丈夫なのかな。
「ごほんっ!ええと、ロディ先輩、ルーク先輩。状況を教えて頂けますか?」
「ん?おお!エダか。それにディーンも」
エダさんが一歩前に出て二人に話しかける。先輩って言ってたから顔見知りのようだ。
「状況・・・そ、そうだ!のんびりはしていられない!」
「先輩!落ち着いてください!一体何が?」
急に慌てた様子になった騎士の二人は勢いよく立ち上がるとそのまま走り出しそうになる。ディーンさんが二人を宥める。
「か、火竜の襲撃に遭い足場が崩れて、落下したルーテ殿をフェンス殿の指示で我らが救出に・・・」
「火竜の襲撃?!」
フリオおじさんの予想通りさっきの魔物の叫びは火竜のもので、おじいちゃんが戦っている?!
「お、おじいちゃんは?!」
「き、君はフェンス殿のお孫さんか?何故ここに・・・」
「そんなことよりっ、おじいちゃんは大丈夫なの?!」
騎士のおじさんの疑問はもっともだけど今はおじいちゃんのこと。
「フェンス殿は守護隊のお二人と共に、火竜と交戦を継続しているはず・・・。レッサードラゴンも4頭居たため数的には不利な状況です。早く戻らねば!」
そう言って騎士のおじさんは降りてきた崖を見上げる。上でどんなことがあったのか今にも崩れそうで、絶対に登れそうにない。
「まあ待つがよい。火竜ごときにフェンスが遅れを取るとは思えんが、合流は急いだほうが良さそうだ。この崖も何時までもつかわからん。まずはここを移動しようではないか」
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