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加護の儀式と少女の願い
第三回対策会議4
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あ~・・・、確かに風竜王のことも話さなければいかんな。しかし、決して忘れていたわけではない。
ティアマトの話によれば、風竜王は人間の眼では捉えきれないほど高い空の上を絶え間なく飛び続けているという。そんなもの気にしたところでどうにかなるものではないし、魔人どももそう易々と手を出せまい。
単に他の問題のほうが優先度が高かったから。決して忘れていたわけではない。
「風竜王か・・・。そういえば何か方法があると言っていたな」
「ええ。少々手荒な方法にはなりますが」
ティアマトは風竜王を呼び寄せる何かしらの方法があるという。手荒というのが若干気にはなるが、聞いてみないことには分からんからな。
「どんな方法なんだ?」
「ええ。何も複雑なことではありません。合図を送るのです」
「合図?」
いとも簡単に言ってのけるが高い空の上にどんな合図を送るというんだ?まさかそこまで飛んでいくとか言うまいな・・・。
「はい。風竜王が飛行している高高度で魔法による大きな爆発を起こすのです。それであればその時何処を飛んでいようと爆音に気付くはずです。それで攻撃されたと勘違いさせこちらに向かってくるよう仕向けるのです」
「・・・・・・」
余りに乱暴で粗雑な方法に呆然としてしまう。他の全員もその口をポカンと開けていた。
「それで襲ってくるようでしたら、一度叩きのめして大人しくさせれば問題ありませんし、私とイグナーツも居ますから説得も出来ると思いますので・・・あら?皆さま、どうされました?」
「・・・あ、いや。竜王の発想力というものは我々人間とは比べ物にならんなと思ってな・・・」
儂らではそんな方法、絶対に思い付かないだろう。流石と言うべきか、何と言うべきか。
「そんな、フェンス様にお褒め頂くほどのことではありません」
「は、ははっ・・・」
決して褒めたわけではないのだが、まぁ良いか。
「・・・それって無理なんじゃない?」
「ん?どうしたミリアーナ」
「確かに、難しいですね・・・」
ミリアーナだけでなくマリアまで、ティアマトが言った方法を否定し始める。
「・・・そんなに高くまでどうやって魔法を飛ばすの?一番飛距離の長い魔法だって精々百五十間くらいでしょ?」
そうか!魔法の飛距離のことを忘れていた。確かに飛んでいる姿を見ることも出来ない程の高さに届く魔法など存在しない。ティアマトの言う方法は不可能だ。
「ええ。その通りです」
「なっ?!」
ティアマトはいとも簡単に不可能だということを認める。ではどうすると言うのだ。
「そこで、皆さまの御知恵を御借りしたいのです。風竜王に合図を送る方法は、考えられる限りこの方法しかありません。どうにかしてその方法を見つけるしかないのです」
そういえば、封印の池の畔で話したときも簡単ではないと言っていたな。確かにその通りだった。
「・・・ふむ。遠くに飛ばすか・・・。フェンスよ。あれは使えないか?」
「ん?あれ─とはなんのことだ?」
顎に手をあて、何かを考えていたフリオニールが唐突に儂に話を振ってくる。
「ほら、あっただろう。数で勝る帝国軍に対抗する手段として、敵軍の魔法の射程外から攻撃出来るように、お前が設計して国中の鍛冶士に作らせたあれが」
「あ・・・あれのことかっ!」
あれの名は──魔砲筒。
それが何かというと、鋼鉄製の長い大筒に魔法を籠めたミスリル製の砲弾を詰め、爆発系の魔法を大筒の端で放つことによって魔法の籠められた砲弾を本来の魔法の飛距離以上に飛ばすための道具。
当時の魔砲筒は一間くらいの長さで倍以上に飛距離を伸ばせていた。
「遥か高空まで届かせることが出来る程の大筒を作ればどうにかなるのではないか?」
「ああ・・・、言いたいことは分かった」
フリオニールの言う通り、その方法ならば可能かもしれない。その大筒を作ることが可能ならな──
「・・・どれだけ長くなると思うの?それ」
「う?うむ・・・。城の一番高い尖塔くらい・・・か?」
フリオニールの言う尖塔とは、王城の中心に建つかなり高い塔のこと。王城はシャルマート帝国のものだった城を改装して今もそのまま使用している。そのため他国の王城と比べかなり立派な造りとなっている。
「大筒に使う鉱石などはどうするのですか?陛下」
「それは・・・、掻き集めればどうにかなるのではないか・・・」
あの塔の長さの大筒を造るには、かなりの量の鉱石が必要になるだろう。しかも上に向けて固定をする必要もある。長い分倒れやすくもなるだろうから、かなりしっかりとした造りの土台が必要だ。
「・・・フェンス。どうにか出来んか・・・」
「・・・・・・」
そんな目で見るな。自分で案を出したのならどうにかしてくれ。
まぁ、方法としては悪くはないと思うのだが、造るにあたって問題が多すぎる。大筒を造るための鉱石は質の高いものであれば総量を減らすことは出来ると思うが、そうなると今度は集めること自体が大変になる。土台造りも思いのほか大掛かりになりそうだしな。固定するよりも何かを支えにしたほうが簡単か?
ううむ。何処かに大量に丈夫な鉱石が落ちていないか──
あっ!!
あるじゃないか!
つい先日、儂らを苦しめた大量の鉱石が──
ティアマトの話によれば、風竜王は人間の眼では捉えきれないほど高い空の上を絶え間なく飛び続けているという。そんなもの気にしたところでどうにかなるものではないし、魔人どももそう易々と手を出せまい。
単に他の問題のほうが優先度が高かったから。決して忘れていたわけではない。
「風竜王か・・・。そういえば何か方法があると言っていたな」
「ええ。少々手荒な方法にはなりますが」
ティアマトは風竜王を呼び寄せる何かしらの方法があるという。手荒というのが若干気にはなるが、聞いてみないことには分からんからな。
「どんな方法なんだ?」
「ええ。何も複雑なことではありません。合図を送るのです」
「合図?」
いとも簡単に言ってのけるが高い空の上にどんな合図を送るというんだ?まさかそこまで飛んでいくとか言うまいな・・・。
「はい。風竜王が飛行している高高度で魔法による大きな爆発を起こすのです。それであればその時何処を飛んでいようと爆音に気付くはずです。それで攻撃されたと勘違いさせこちらに向かってくるよう仕向けるのです」
「・・・・・・」
余りに乱暴で粗雑な方法に呆然としてしまう。他の全員もその口をポカンと開けていた。
「それで襲ってくるようでしたら、一度叩きのめして大人しくさせれば問題ありませんし、私とイグナーツも居ますから説得も出来ると思いますので・・・あら?皆さま、どうされました?」
「・・・あ、いや。竜王の発想力というものは我々人間とは比べ物にならんなと思ってな・・・」
儂らではそんな方法、絶対に思い付かないだろう。流石と言うべきか、何と言うべきか。
「そんな、フェンス様にお褒め頂くほどのことではありません」
「は、ははっ・・・」
決して褒めたわけではないのだが、まぁ良いか。
「・・・それって無理なんじゃない?」
「ん?どうしたミリアーナ」
「確かに、難しいですね・・・」
ミリアーナだけでなくマリアまで、ティアマトが言った方法を否定し始める。
「・・・そんなに高くまでどうやって魔法を飛ばすの?一番飛距離の長い魔法だって精々百五十間くらいでしょ?」
そうか!魔法の飛距離のことを忘れていた。確かに飛んでいる姿を見ることも出来ない程の高さに届く魔法など存在しない。ティアマトの言う方法は不可能だ。
「ええ。その通りです」
「なっ?!」
ティアマトはいとも簡単に不可能だということを認める。ではどうすると言うのだ。
「そこで、皆さまの御知恵を御借りしたいのです。風竜王に合図を送る方法は、考えられる限りこの方法しかありません。どうにかしてその方法を見つけるしかないのです」
そういえば、封印の池の畔で話したときも簡単ではないと言っていたな。確かにその通りだった。
「・・・ふむ。遠くに飛ばすか・・・。フェンスよ。あれは使えないか?」
「ん?あれ─とはなんのことだ?」
顎に手をあて、何かを考えていたフリオニールが唐突に儂に話を振ってくる。
「ほら、あっただろう。数で勝る帝国軍に対抗する手段として、敵軍の魔法の射程外から攻撃出来るように、お前が設計して国中の鍛冶士に作らせたあれが」
「あ・・・あれのことかっ!」
あれの名は──魔砲筒。
それが何かというと、鋼鉄製の長い大筒に魔法を籠めたミスリル製の砲弾を詰め、爆発系の魔法を大筒の端で放つことによって魔法の籠められた砲弾を本来の魔法の飛距離以上に飛ばすための道具。
当時の魔砲筒は一間くらいの長さで倍以上に飛距離を伸ばせていた。
「遥か高空まで届かせることが出来る程の大筒を作ればどうにかなるのではないか?」
「ああ・・・、言いたいことは分かった」
フリオニールの言う通り、その方法ならば可能かもしれない。その大筒を作ることが可能ならな──
「・・・どれだけ長くなると思うの?それ」
「う?うむ・・・。城の一番高い尖塔くらい・・・か?」
フリオニールの言う尖塔とは、王城の中心に建つかなり高い塔のこと。王城はシャルマート帝国のものだった城を改装して今もそのまま使用している。そのため他国の王城と比べかなり立派な造りとなっている。
「大筒に使う鉱石などはどうするのですか?陛下」
「それは・・・、掻き集めればどうにかなるのではないか・・・」
あの塔の長さの大筒を造るには、かなりの量の鉱石が必要になるだろう。しかも上に向けて固定をする必要もある。長い分倒れやすくもなるだろうから、かなりしっかりとした造りの土台が必要だ。
「・・・フェンス。どうにか出来んか・・・」
「・・・・・・」
そんな目で見るな。自分で案を出したのならどうにかしてくれ。
まぁ、方法としては悪くはないと思うのだが、造るにあたって問題が多すぎる。大筒を造るための鉱石は質の高いものであれば総量を減らすことは出来ると思うが、そうなると今度は集めること自体が大変になる。土台造りも思いのほか大掛かりになりそうだしな。固定するよりも何かを支えにしたほうが簡単か?
ううむ。何処かに大量に丈夫な鉱石が落ちていないか──
あっ!!
あるじゃないか!
つい先日、儂らを苦しめた大量の鉱石が──
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