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加護の儀式と少女の願い
ルードヴィングの陰謀?
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フリオおじさんの言葉に、その場にいた騎士やメイドさん達はいっせいに動き出す。何人かで話し合っていたと思ったら急に聖堂を飛び出していったり、メイドさんのひとりがエダさんの治療をしていたと思ったらどこからともなく剣を取り出したり・・・。その動きすべてに驚かされる。
でも──ジュリちゃんが連れ去られるなんて・・・。
犯人はジュリちゃんが王女さまだってことを知っててやったのかな?それに──大盾を持ってたってことは、おじいちゃんと同じ盾騎士・・・?黒髪の大男だったってエダさんは言ってたけど、あれ?そんな人どこかにいなかったっけ?
そんなことを考えていると、いつのまにか皆に指示をしていたフリオおじさんのところに、おじいちゃんがゆっくり近づいているのが見えた。
「・・・フリオニール。その対応は間違っているな」
「っ!?な、なんだとっ。ジュリエットを連れ去った男は十中八九まだこの街にいるはずだ。包囲を敷いて虱潰しに捜索するのは当然だろう」
お、おじいちゃん?!いったい何を──慌てて走り出そうとしたあたしに、おじいちゃんは片目をつぶり合図を送ってきた。ん?何かしようとしてる?
「・・・いや。間違っている」
「何故、そう言い切れるっ!・・・フェンス、お前何か知っているのか・・・」
「はっ。その男が誰かなど勿論知らんが、心当たりならある・・・」
「そ、それは誰だっ!」
おじいちゃんはわざとそうしてるのか、フリオおじさんの言葉を鼻で笑ってみたり、普段あまりしないのに手の動きを交えてわざとフリオおじさんを煽っているみたい。
「確証があるわけではないがな。考えても見ろ。王都のど真ん中、しかも真っ昼間にどうどうと連れ去るなど、場当たり的な犯行かそれとも余程計画された犯行のどちらかだろう。前者であるならば身代金目当ての小悪党の仕業だろうが、そんな奴等にエダほどの者が遅れをとるか?」
「・・・た、確かにそうだな。エダはまだ若いが実力はある。そう簡単にやられるはずもない」
エダさんが戦っているところは火山の洞窟のときに見たけど、たしかにすごく強かった。あたしもあんなふうに強くなれるかなと思ったくらい。
「そうだ。だが実際にはエダはこの有り様だ。相手が相当な手練であるのは間違いない」
おじいちゃんの言葉に、せっかくやる気を取り戻していたエダさんがまたうつ向いてしまう。おじいちゃんもその姿を見て少し気まずそうな顔をしていた。
「そ、そんな手練がジュリエットを連れ去った理由はなんなのか・・・」
「それこそ身代金目当てではないのか?」
おじいちゃんは人差し指を立てチッチッと舌を鳴らしながらその指を横に振る。
「身代金というのは強請る相手を把握して行うものだ。確かにジュリエットは大金を得るためには最高の相手だろう。その代わりに"勇者王"を始め、国中を敵に回すことになるだろうな。見返りは大きくても危険度が大き過ぎる。そんなことをするくらいなら、何処か適当に大店の娘でも狙ったほうがよっぽどましだ」
おじいちゃんの話に忙しく動き回っていた騎士やメイドさん達も動きを止め聞き入っていた。
「・・・では、誰が何の目的でジュリエットを・・・」
「目的はきっと・・・、フリオニール。お前だ」
「なっ!?なんだとっ!」
その一言で静かになっていた聖堂の中がざわつき始める。おじいちゃん・・・それはどこまでウソなの??
「ジュリエットを囮にして獲られる最高の獲物は、フリオニール。お前だ。その男・・・、いや。ひとりではないかもしれんが、最初から狙いはお前だったんだろう」
「・・・そ、そんなことを、一体──っ!まさかっ!?」
フリオおじさんは何かに気づきすごく驚いた顔をする。え?え?犯人は誰なの?あたしが思ってる人じゃないの?でも・・・、そんなことしなそうな人だけど・・・。
「それは、フリオニールに恨みを持つ。それかこの国の滅亡を願うもの・・・。状況から考えれば黒幕は"ルードヴィング"。奴で間違いないだろうな」
へっ?ルードヴィングってたしか・・・、おじいちゃん達がこないだ戦ったっていう元帝国の人だよね?ど、どういうこと?さっぱり分からない。
「くっ・・・。むざむざ王都への侵入を許すとは。フェンスっ!それで、奴は何処に居る可能性が高い?」
「予測だが、協力者もいるはずだ。もう王都内にはいないだろうな。時間的にまだそれほど遠くまでは逃げられんだろうから、探すのであれば王都周辺の村や、森、洞窟、隠れられそうなところを虱潰しにするしかあるまい」
「そうかっ!エダ。皆も聞いたな?早急に手配をするのだ!蟻一匹逃すでないぞっ!」
「「「はっ!」」」
その号令に聖堂にいた人達は、あたしとおじいちゃん、司祭のオッタルトさんを残して皆出ていってしまった。
「・・・どうやら、上手くいったようだな」
「え?おじいちゃん、どういうことなの?」
「はっはっはっ。今、フリオニールに話したことは、全部儂の考えた出鱈目だよ。我ながら上手く騙せたものだ」
「ほっほっほ。中々迫真の演技でしたな」
「これは、司祭殿は気づかれてましたか」
出鱈目?ウソってこと?大人二人で笑いあっているのが、なんだか腹が立つ。
「な、なんでそんなこと・・・。っていうか、そんな話いつ考えたの?!」
「ん?これはだな、儂が考えたと言ったが、実のところは儂の愛読書の冒険譚にあった話のひとつでな?咄嗟に思い出してちょっと内容を変えて話したのさ」
ええ?!そんな話あるの?
「・・・そ、それじゃ、ジュリちゃんを連れ去った本当の犯人は誰なの・・・?」
「ああ。それはきっと、あの男で間違いないだろうな──
でも──ジュリちゃんが連れ去られるなんて・・・。
犯人はジュリちゃんが王女さまだってことを知っててやったのかな?それに──大盾を持ってたってことは、おじいちゃんと同じ盾騎士・・・?黒髪の大男だったってエダさんは言ってたけど、あれ?そんな人どこかにいなかったっけ?
そんなことを考えていると、いつのまにか皆に指示をしていたフリオおじさんのところに、おじいちゃんがゆっくり近づいているのが見えた。
「・・・フリオニール。その対応は間違っているな」
「っ!?な、なんだとっ。ジュリエットを連れ去った男は十中八九まだこの街にいるはずだ。包囲を敷いて虱潰しに捜索するのは当然だろう」
お、おじいちゃん?!いったい何を──慌てて走り出そうとしたあたしに、おじいちゃんは片目をつぶり合図を送ってきた。ん?何かしようとしてる?
「・・・いや。間違っている」
「何故、そう言い切れるっ!・・・フェンス、お前何か知っているのか・・・」
「はっ。その男が誰かなど勿論知らんが、心当たりならある・・・」
「そ、それは誰だっ!」
おじいちゃんはわざとそうしてるのか、フリオおじさんの言葉を鼻で笑ってみたり、普段あまりしないのに手の動きを交えてわざとフリオおじさんを煽っているみたい。
「確証があるわけではないがな。考えても見ろ。王都のど真ん中、しかも真っ昼間にどうどうと連れ去るなど、場当たり的な犯行かそれとも余程計画された犯行のどちらかだろう。前者であるならば身代金目当ての小悪党の仕業だろうが、そんな奴等にエダほどの者が遅れをとるか?」
「・・・た、確かにそうだな。エダはまだ若いが実力はある。そう簡単にやられるはずもない」
エダさんが戦っているところは火山の洞窟のときに見たけど、たしかにすごく強かった。あたしもあんなふうに強くなれるかなと思ったくらい。
「そうだ。だが実際にはエダはこの有り様だ。相手が相当な手練であるのは間違いない」
おじいちゃんの言葉に、せっかくやる気を取り戻していたエダさんがまたうつ向いてしまう。おじいちゃんもその姿を見て少し気まずそうな顔をしていた。
「そ、そんな手練がジュリエットを連れ去った理由はなんなのか・・・」
「それこそ身代金目当てではないのか?」
おじいちゃんは人差し指を立てチッチッと舌を鳴らしながらその指を横に振る。
「身代金というのは強請る相手を把握して行うものだ。確かにジュリエットは大金を得るためには最高の相手だろう。その代わりに"勇者王"を始め、国中を敵に回すことになるだろうな。見返りは大きくても危険度が大き過ぎる。そんなことをするくらいなら、何処か適当に大店の娘でも狙ったほうがよっぽどましだ」
おじいちゃんの話に忙しく動き回っていた騎士やメイドさん達も動きを止め聞き入っていた。
「・・・では、誰が何の目的でジュリエットを・・・」
「目的はきっと・・・、フリオニール。お前だ」
「なっ!?なんだとっ!」
その一言で静かになっていた聖堂の中がざわつき始める。おじいちゃん・・・それはどこまでウソなの??
「ジュリエットを囮にして獲られる最高の獲物は、フリオニール。お前だ。その男・・・、いや。ひとりではないかもしれんが、最初から狙いはお前だったんだろう」
「・・・そ、そんなことを、一体──っ!まさかっ!?」
フリオおじさんは何かに気づきすごく驚いた顔をする。え?え?犯人は誰なの?あたしが思ってる人じゃないの?でも・・・、そんなことしなそうな人だけど・・・。
「それは、フリオニールに恨みを持つ。それかこの国の滅亡を願うもの・・・。状況から考えれば黒幕は"ルードヴィング"。奴で間違いないだろうな」
へっ?ルードヴィングってたしか・・・、おじいちゃん達がこないだ戦ったっていう元帝国の人だよね?ど、どういうこと?さっぱり分からない。
「くっ・・・。むざむざ王都への侵入を許すとは。フェンスっ!それで、奴は何処に居る可能性が高い?」
「予測だが、協力者もいるはずだ。もう王都内にはいないだろうな。時間的にまだそれほど遠くまでは逃げられんだろうから、探すのであれば王都周辺の村や、森、洞窟、隠れられそうなところを虱潰しにするしかあるまい」
「そうかっ!エダ。皆も聞いたな?早急に手配をするのだ!蟻一匹逃すでないぞっ!」
「「「はっ!」」」
その号令に聖堂にいた人達は、あたしとおじいちゃん、司祭のオッタルトさんを残して皆出ていってしまった。
「・・・どうやら、上手くいったようだな」
「え?おじいちゃん、どういうことなの?」
「はっはっはっ。今、フリオニールに話したことは、全部儂の考えた出鱈目だよ。我ながら上手く騙せたものだ」
「ほっほっほ。中々迫真の演技でしたな」
「これは、司祭殿は気づかれてましたか」
出鱈目?ウソってこと?大人二人で笑いあっているのが、なんだか腹が立つ。
「な、なんでそんなこと・・・。っていうか、そんな話いつ考えたの?!」
「ん?これはだな、儂が考えたと言ったが、実のところは儂の愛読書の冒険譚にあった話のひとつでな?咄嗟に思い出してちょっと内容を変えて話したのさ」
ええ?!そんな話あるの?
「・・・そ、それじゃ、ジュリちゃんを連れ去った本当の犯人は誰なの・・・?」
「ああ。それはきっと、あの男で間違いないだろうな──
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